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歴史万華鏡コラム 2026年07月号

更新日:2026年6月30日更新 印刷ページ表示

歴史万華鏡
高知市広報「あかるいまち」より

鏡川のハマボウ

7月号写真
●ハマボウの花

鏡川の河口付近の両岸には、ハマボウという植物が生育している。ハマボウはアオイ科の落葉低木で、関東地方南部以西の川岸や海岸などに自生し、直径7センチメートル程にもなる淡黄(たんこう)色の花は「一日花(いちにちばな)」だが、夏の間2カ月以上にわたり次々と咲き続ける。

最近増えてきたように感じたため、昨夏鏡川を中心に分布状況を調査した。その結果、川岸では国分川、舟入川、江ノ口川で、海岸では絶海(たるみ)(いけ)、下知(青柳町公園を含む)、横浜西灘、ツヅキ島で確認した。

昭和53(1978)年、高知大学教授であった山中(つぎ)()博士が県内の植物相を1冊の本にまとめている。その中でハマボウの分布として挙げられていたのは室戸市と宿毛市のみであった。平成12(2000)年頃には高須の絶海池や春野町の新川川(しんかわがわ)の河口付近でも確認され、新川川では、洪水対策の()(どう)拡幅工事後に行われた植生復元において、現地の種子から育てられた株が用いられた。

今回の調査で、鏡川には高さ50センチメートル以上に限っても1,800株以上あることが分かった。ではいつからあるのか。国土地理院の空中写真を調べてみたところ、平成22(2010)年の写真には写っていないようだった。ハマボウの種子は水に浮く性質があるため、この15年の間にどこからか流れ着いたのかもしれない。

ハマボウは、河口や湾内の塩湿(えんしっ)()などで広大な面積の純群落を形成することがある。そうした場所では天然記念物に指定され、観光資源として活用される例も少なくない。その一方で、群生地であっても管理上の理由から保護されないこともある。鏡川の自生地はまさにそうで、水の流れの妨げになるという懸念から過去に一部の株が根元から伐採された。数年が経過した今、それらはほとんどが生き残っている上、(ほう)()再生して枝が増え、より一層ゴミが引っかかりやすい樹形になってしまっている。

ある場所では「天然記念物」として珍重され、別の場所では「邪魔者」として伐採される。人間の都合によって価値が変わるのは世の常だが、私たちが鏡川のハマボウと共存する未来はあるだろうか。

牧野植物園 主任研究員 前田 綾子

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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。

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