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歴史万華鏡コラム 2022年05月号

歴史万華鏡
高知市広報「あかるいまち」より

あつまれ 郷土の資料 ―そして現在―

11月号写真
● 収蔵品検索データベースの拡大画像。髪の毛一本一本まで見える。

高知市立市民図書館では、図書や雑誌だけではなく、江戸時代の古文書や地図などの歴史資料、明治期以降の写真、絵画や民具などの美術工芸品といった貴重な資料を保存している。

そもそもなぜ図書館に図書以外の資料があるのかというと、市民図書館が開館した昭和二十四年以降、長期間にわたって、高知県内には貴重な資料を保管する受け皿としての施設がなかった。このような状況下で資料が散逸するのを防ぐため、昭和四十一年に「郷土の資料を図書館に集めよう」と高知県下に呼び掛けを行った結果、数多くの資料が集まり現在に至っているのである。

これまでに集まった郷土資料の例をあげてみよう。

【近森文庫】高知市出身の近森重治氏のしゅうしゅう資料。明治期の啓蒙思想書や、夏目漱石、森鴎外などの文学書の初版本、こうぼん、古文書、錦絵や絵葉書、SPレコードなどさまざまな資料を有する。

【中山高陽ふんぽん資料】江戸時代の画家であり、谷ぶんちょうに先立つなんの草分けとして知られる中山高陽が描いたびょうじた 。昭和四十二年高知市保護有形文化財指定。

【寺田正写真文庫】高知県営林局職員の寺田正氏が撮影した写真。なかでも昭和二十~三十年代に撮影された高知県東部・中芸地区の森林鉄道の写真は、林業に携わる人々の仕事ぶりや暮らしがいきいきと写し出されている。

呼び掛けから約六十年。今では八万点を超える資料が貴重書庫でひしめき合っている。作られてから数百年を経過した資料も少なくない現在、当館では閲覧による原本の劣化を抑えるため、資料のデジタル化を進めている。「収蔵品検索データベース」上では資料の検索や、画像の閲覧ができるようになった。画像は拡大して細部の意匠までじっくりと見ることができるため、多彩な色づかいが特徴的な錦絵が利用者の好評を得ている。ぜひ一度ご覧いただきたい。

オーテピア高知図書館 学芸員 南 昇平

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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。