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落ちアユ迷入防止パネルの取り付け

No.27 落ちアユ迷入防止パネルの取り付け

ほぼ週刊鏡川 2010年10月19日

江ノ口鴨田堰の写真


 落ちアユの季節になりました。例年この時期になると,ここ江ノ口鴨田堰では困ったことが起こります。入ってはいけない用水路(上の写真の手前側水路)に落ちアユが多数迷入するのです。用水路下流には産卵に適した場所がないため,迷入した親アユはそのままでは産卵がうまくできずに死んでしまいます。

 そこで昨年,用水路の入り口に自作パネルを取り付けて,迷入防止効果や取水等への影響を調べる実験を行いました(No.4参照)。

 その実験の結果,完全に迷入を防ぐことはできませんでしたが,迷入防止に高い効果が認められました!例年は3,000から4,000尾の迷入があると考えられていましたが,昨年はピーク時に250尾程度と例年の10分の1以下の迷入に抑えることができました。しかも,取水量やゴミづまりなどの悪影響はなく,ほぼメンテナンスフリーです!

 昨年の観察から,迷入する個体は,より速い流速を選好して川を下っているであろうこともわかりました。

 今年は,昨年の実験結果を踏まえ,さらに改良を施しました。

 迷入する原因は,用水路の流速が併設された魚道よりも大幅に速いことにあります。用水路の流速を下げることができれば,迷入は緩和されるはず。

 そこで,用水路内にせき板を設置して水位を上げることで用水路入り口の流速を落とし(同じ流量でも流水断面が2倍になれば流速は半分になる),取水口に設置したパネルとの相乗効果で魚道にアユを誘導する作戦です。

水位を調節するためのせき板

 市役所にはお金がありませんので,施工も工具も全て自前です。コンクリートの壁面にアンカーボルトを打設し,ステンレスアングルをボルトで固定します。そこにヒノキで作成したせき板をボルトで止めていきます。せき板は6枚で構成し,細かな水位調節が可能です。下部は開放構造として,土砂の堆積を防ぎます。取り外しも簡単ですのでもしものときにも安心です。

壁面にアンカーボルト施工

 というわけでせき板は完成っ!!

 さて,アンカーボルト施工のため水を止めていた用水路に通水を再開します。

通水を再開した用水路

 下の写真はせき板設置前。ゲート直下の流速は3m/s以上(手持ちの流速計では針が振り切って計測不能)。

せき板設置前の流速の速い取水口

 それが,せき板設置後は下の写真のようになりました。流速は1.8m/sと,おそらく半分程度に落ちました。せき板より下流の水位計での水位・流速とも設置前後で変わりはありません。つまり,取水量には影響なく,用水路入り口の流速を落とすことができました。計算どおり!

せき板設置後の流速が落ちた取水口

 続いてパネルを取り付けます。このパネルを用水路取水口の外側に取り付けます。パネル自体は去年のものを流用。アユをおどかすためのキラキラテープは新しいものに交換しました。今後の交換も簡単にできるように設計しています。

迷入防止パネル

 パネルを水中に沈め,ボルトで壁面に固定します。木材の収縮により,パネルに去年空けた穴の位置が微妙にずれています。水中で穴を拡大する作業をして,なんとか無事に取り付けできました。

水中でパネルをボルトで固定する

パネル取り付け完了

 パネル外側の鏡川本流から魚の目線で見るとこんな感じ。キラキラテープがかなりうっとうしいです。パネル沿いに川をくだるとそこは魚道になっています。

水中から見た迷入防止パネル

 今年はこの仕様で迷入防止効果を見てみます。最低週1回程度は見回りますが,もし破損などの異常を発見された場合は環境保全課までお知らせいただけると助かります。

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