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歴史万華鏡コラム 2025年12月号

高知市広報「あかるいまち」より
文化施設の情報発信と関係人口
『good!アフタヌーン』(講談社)に連載中の『タイマド ~タイムスリッパーおもてなし窓口~』は、架空の都市の公務員が主人公の漫画である。作者は武市半平太を主人公とする『サムライせんせい』の黒江S介先生で、主人公の勤務先は高知市役所がモデルであるなど、高知との縁を感じる作品でもある。そんな同作の第11話に、オーテピアそっくりの図書館(作中では「ユートピア」)が登場した。もちろんこれは当館をもじったものである。黒江先生と高知の文化施設とは、これまでにも『サムライせんせい』における横山隆一記念まんが館や県立歴史民俗資料館との連携展示などで関わりがある。そして今回、新たに当館とも関わりができたわけで、大変ありがたいことである。
このとおり、黒江先生は高知と深く関わっていただいているが、こうした特定の地域と継続的に関わりのある人は「関係人口」と呼ばれる。少子高齢化・人口減少が進む地方自治体においては、地域課題の解決等への期待を込めて、この関係人口の創出・拡大への取り組みが進められている。人口減少が著しい高知においても、文化施設はその課題に向き合い、解決に取り組む必要がある。幸いにして、文化施設はそれぞれ固有の地域資源を持っており、それを適切に扱える人材がいる。例えば、その特性を利用し、地域資源を活用した情報発信を行うことは、地域への理解が深まる効果が得られ、関係人口の創出・拡大につながるとみられる。そして、関係人口からの情報発信が、さらなる創出・拡大を生むという好循環をもたらすことも期待される。今回の黒江先生と当館との関わりは、そうした事例に位置付けられよう。新たな社会貢献を果たすという意味でも、文化施設の情報発信は重要である。
なお、当館3階展示室では、高知市をテーマとした文学や美術を紹介する企画展示「高知市を描く」を令和8年2月1日まで開催している。『タイマド』の複製原画も特別に展示しているので、ぜひご覧いただきたい。
オーテピア高知図書館 資料管理担当 徳平 晶
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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。



