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歴史万華鏡コラム 2021年10月号

歴史万華鏡
高知市広報「あかるいまち」より

公文書の世界

10月号写真
●高知城の下に立つ高知県立公文書館(全景)

「公文書」という言葉を聞くと、公の機関で作られた決裁文書等を思い浮かべ、日常生活にあまりなじみがないと感じられるかもしれない。

高知県立公文書館(令和2年4月に旧県立図書館を改修し開館)では、県が作成した公文書のうち、歴史的に重要と判断したものを永久に保存している。「歴史的に重要なもの」とは、言い換えると、県行政の推移が分かるものを指す。十年後、五十年後、百年後…あるいはもっと先の未来の人々がこの公文書を見たとき、当時の高知県政を物語る貴重な資料といえるのか――その視点を持ちながら、県のさまざまな組織で作成された公文書の選別を行うのが公文書館の重要な役割の一つである。

昭和20年の高知大空襲により、それ以前の公文書がほぼ焼失したが、その時期の「知事引継書」には、戦災直後から復興に向かう県政の様子が記されている。昭和20年11月作成の栗原知事から永野知事への引継書は、内政部、経済部、警察部の各課が概要をまとめ、県内1市165町村(当時は高知市が唯一の市)で生活する人々の暮らしが垣間見える。また、昭和22年の引継書では、南海大地震復興対策や水害復旧作業に関連した内容が多く、相次ぐ災害で、財政的窮乏に陥りながらも一歩ずつ前へ進む状況が分かる。

このほか、昭和34年から発行された県広報誌「県民グラフ」も戦後の高知県の姿を映し出した歴史的公文書といえる。防災、環境、教育、文化等多彩な分野の写真も掲載され、昭和の風景が広がる紙面からは、懐かしさと同時にその時代ならではの着眼点も見え、とても興味深い。

このように、公文書の世界は文字だけに限らず、県政の動きを記録した写真等も含まれ、中には私たちの生活場面を振り返ることができるものも存在する。それらの資料を利用していただきながら、公文書館は県民の方々にとって身近な施設となるべく「県政の記録を未来へ」というキャッチフレーズとともに、これから歴史を刻んでいくところである。

高知県立公文書館 三宮 久美

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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。