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歴史万華鏡コラム 2019年8月号

歴史万華鏡
高知市広報「あかるいまち」より

記憶の街

8月号写真

香美市立美術館では、平成二十九年秋に「記憶の街・記録写真は時代を歩く」と題して武吉孝夫の写真展を開催した。これは、四万十町在住の武吉孝夫(一九四六年~)が昭和五十一年に高知市中心部をくまなく歩き、街並みを写真に収めたもので、会期中は多くの人々でにぎわい大変反響が大きかった展覧会である。

これらの写真は、すべて記録に徹することで成り立ち、作者の武吉孝夫の個性や感覚的な要素を極力排し、当時の高知市の様子を淡々と写し出している。そのことが四十年以上前の高知市の様子や人々の暮らしぶりをそのまま残すことに成功している。作者の言う「なっちゃじゃない」写真である。

高知市は平成の時代に都市計画が進み、それまで残っていた昭和の街並みが姿を消し、新しい街へと生まれ変わっていった。そのため武吉孝夫の写真は、人々の記憶の街として多くの人々の共感を呼び、思い出の玉手箱になっている。特に旭地区は人々の思い入れが強く、その地区の写真集はあっという間に売り切れとなってしまった。

このことは、昭和五十一年が現在高齢者となっている日本の高度成長期を支えてきた人々が、まだ元気で社会の最前線で活躍していたまさにその時代であったことを意味する。四十年以上前の高知市の様子は多くの人々が懐かしいと感じる鮮やかな時代の断面であり、何でもない街角の写真からあふれるように記憶がよみがえってくる。

昭和、平成、令和を通して高知市の変化を撮り続けている武吉孝夫の「なっちゃじゃない」写真の威力を再び皆さまにご紹介したいと思っている。

右写真は「追手筋二丁目」。ここはオーテピアの西側で、現在はひろめ市場の一部となっている。日曜市で、多くの買い物客がにぎわっている。中央に写っている建物に見覚えがある方も多く、そこで古銭や切手、たばこを買ったことがあると言う話を何人かの人々が語っていた。人々の服装にも昭和時代が感じられる。

香美市立美術館 館長 都築 房子

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※このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。