本文
焼却不適物が焼却設備に与える悪影響
ごみ焼却の流れ
（1）ごみ投入口から投入されたごみは、（2）ごみピット内部で（3）ごみクレーンによってかくはん（かき混ぜ）され、性状が均質化されます。
十分にかくはんされたごみは、ごみクレーンによって（4）ごみホッパに投入され、（5）ごみ焼却炉内部で焼却されて灰になります。
焼却灰は（6）灰押出装置によって（7）灰コンベヤに送られ、磁選（金属を取り除く）、加湿（灰がほこらないよう湿らせる）などの処理がなされた後、（8）灰ピットに貯蔵されます。
焼却不適物が引き起こすトラブル
受け入れ基準を超えた大きさのごみや、焼却に適さないごみが焼却炉に投入された場合、設備上でさまざまなトラブルを発生させます。
また、焼却設備自体にもダメージを与えることとなるため、設備や機器の修理、交換のために大きな費用が必要となります。
このため、焼却不適切なごみについては、ごみピット内に投入されないように、係員が計量棟や投入ステージ上で監視・指導を行っています。
（2）ごみピット
| ごみの一時貯留場所です。 ごみピットにごみを貯蔵し、クレーンによるかくはんと、ごみホッパへの投入を行います。 ごみのかくはん作業は、焼却するごみの質を均一にし、燃焼状態を安定させるための重要な作業です。 |
金属やガラス・陶器などの不燃物は、焼却設備にさまざまなトラブルを引き起こす原因となります。 また、ライターや多量のマッチ、花火などの発火物が火種となり、ごみピット内部で火災を起こす事があります。 |
|
（４）ごみホッパ
| 焼却炉へのごみ投入口です。 投入されたごみ自体が、焼却炉内とごみピットとのシール（ふた）となります。 投入基準を超える大きさの木材や畳などがごみホッパ内部に詰まり、ホッパブリッジと呼ばれるトラブルを引き起こします。 |
ホッパブリッジによってごみが長時間供給されなくなると、緊急停止やホッパ火災の原因となります。 木材については、長さ80ｃｍ以下、直径10ｃｍ以下に切断してください。 板状のものについては、一辺を90ｃｍ以下に切断してください。 |
|
（５）焼却炉内
| ストーカー式の焼却炉です。 階段状の火格子（ストーカー）が稼働し、ごみを攪拌しつつ焼却を行ないます。 階段状の構造となっているため、焼却によってできた灰は、焼却炉の下部にある灰押出装置へと落ちていきます。 |
| 大径の木・丸太・木の根などは、そのまま炉内を転げ落ちたり、燃え尽きないまま未燃物となって、下流の灰押出装置や灰コンベヤを詰まらせます。 |
|
（６）灰押出装置
| 炉内で発生した灰を、ラムと呼ばれる押し出し板で下流の灰コンベヤへと送る装置です。 灰を押し出す間隔を任意で設定し、灰コンベヤへ送る灰の量を調節することができます。 |
座いすやベッドなどの金属フレームや、マットレスのスプリング類、燃え残った大径の木などは、装置内に詰まります。 これらのものが詰まり、取り出せない状態が長く続くと、焼却炉を緊急停止する必要が生じます。 |
|
（７）灰コンベヤ
| 灰を灰ピットまで送るためのコンベヤです。 灰ピットまでに、6つのコンベヤを通ります。総延長が長く、各コンベヤ間で高低差があります。 灰コンベヤの途中には、磁選機や灰定量供給機などの多くの機器があります。 |
| スプリング・ボルト・パイプ等の金属類は、灰コンベヤや灰定量供給機などの機器上で、詰まり、異常磨耗、噛み込み、チェーンの破断など、さまざまなトラブルの原因となります。 |
|
トラブルによる影響
ピット火災
ごみピット内部に火種が投入されることで、ごみピット内のごみに引火して火災が発生することがあります。
消火装置により消火を行いますが、ごみクレーンの設備に損傷をあたえる恐れがあります。
ごみホッパブリッジ
長径の木や、畳などの大きな板状のものが投入され、ホッパ内部に橋をかけたように詰まることで発生します。
通常はブリッジ解除装置によって解除を行いますが、それでも解除できない場合は職員が直接詰まりを取り除きます。
長時間ブリッジ状態が続くと、焼却炉を緊急停止する必要が生じます。
ごみホッパ火災
ごみホッパブリッジが長時間解消されない際に、ホッパ内部に詰まっているごみが焼却炉内部から燃え上がってくると、ごみホッパ上で火災が発生します。
ごみホッパ火災は、ホッパ上にあるごみクレーン設備を焼損させる恐れがあります。
灰押出装置の詰まり
灰押出装置に大径物が詰まると、焼却炉内の灰を灰コンベヤに押し出すことができなくなります。
この場合、灰押出装置横の点検口から職員が直接異物を取り除きますが、除去作業に長い時間を要する場合、焼却炉を緊急停止する必要が生じます。
緊急停止による影響
焼却炉は、定期整備期間以外は常に稼動しており、ごみの供給と、ごみを焼却した後の灰の処理が絶え間なく行われています。
上記のトラブルなどによって、ごみの供給や灰処理ができない状態が続くと、焼却炉の運転が不可能となり、緊急停止（緊急的に焼却を中止して炉内の火を消すこと）を行うことになります。
焼却炉を緊急停止した場合、次のような影響があります。
- 焼却炉の修理・点検が必要となる場合があります。
- 通常，焼却炉の運転中は燃料を使っていませんが、焼却炉の立ち上げ・立ち下げを行うために大量の灯油（約8600リットル）が必要となります。
- ボイラーで発生させる蒸気の量が急激に低下して発電を行うことができなくなり、不足する電力を購入することとなります。また、余剰電力の売却ができなくなります。
- 蒸気の発生量が少なくなることで余熱が利用できなくなり、ヨネッツこうちを臨時休館する場合があります。
焼却不適物は、火災などの重大事故を引き起こしたり、高額な修理費や燃料代の原因となる場合があります。
ごみの分別にご協力ください。
