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第459回高知市議会定例会市長説明要旨(平成29年3月6日)

 第459回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。


1 国政及び経済の動向

 まず最初に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月11日で,東日本大震災の発生から早くも6年が経とうとしていますが,この間,昨年4月の熊本地震をはじめ多くの地域で大規模な災害が発生しており,犠牲になられました多くの方々のご冥福を心からお祈りいたします。

 国においては,復旧・復興対策に全力を尽くすことはもちろんのこと,これまでの貴重な教訓を最大限に活かしながら,一層の国土強靱化を進められることを強く願います。

 さて,先月13日に内閣府が発表しました昨年10月から12月期の国内総生産の実質成長率は,輸出の増加や設備投資の回復により,前期比0.2パーセント増,年率換算で1.0パーセント増となり,伸び率は前期から縮小したものの4四半期連続のプラス成長を維持しております。

 また,先月23日に発表された月例経済報告では,国内景気の基調判断を「一部に改善の遅れも見られるが,緩やかな回復基調が続いている」と2か月連続で据え置いた一方で,個人消費の判断は11か月振りに下方修正し,先行きについては,海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとの見方を示しています。

 県内では,先月7日に発表されました日本銀行高知支店の高知県金融経済概況において,「景気は緩やかに回復している」との基本的な見方は変わらないものの,海外経済の動向や消費者の根強い低価格志向等について注視していく必要があるとされています。 

 このような経済状況の下,先月10日に,安倍首相とトランプ米大統領による初めての首脳会談がホワイトハウスで行われ,両首脳は同盟強化の決意を盛り込んだ共同声明を発表するなど,新たな日米関係の第一歩を踏み出しましたが,「米国第一」を掲げるトランプ米大統領の動向によっては,輸出や設備投資が失速することなども懸念されるところであり,経済・通商分野をはじめとする今後の日米協議の動向に留意してまいります。


2 財政健全化・行政改革等

 次に,本市の財政健全化への取組について申し上げます。

 まず,平成29年度の地方財政対策では,一般財源総額については,平成28年度を0.4兆円上回る62.1兆円を確保しておりますが,地方交付税は3,705億円減少しており,財源不足分を臨時財政対策債の増額でカバーしています。

 地方税については対前年で3,641億円の増加を見込んでおりますが,そのうち,道府県民税である配当割・株式等譲渡所得割,並びに地方消費税等の減収が見込まれており,これらの税収の一定割合は市町村に交付されることから市町村の財政運営に与える影響が懸念されます。

 特に,地方消費税交付金は,既に本年度から多くの自治体で当初の収入見込みを下回っていることから,財政運営に大きな影響を与えている状況にあります。

 こうした厳しい地方財政の下,新年度からは,昨年12月に改訂した2011高知市総合計画に基づく平成29年度から32年度までの4か年の第3次実施計画がスタートします。

 改訂後の総合計画では,東日本大震災や熊本地震を教訓とした南海トラフ地震対策の加速化や,国,地方挙げての人口減少問題の克服に向けた地方創生の推進といった大きな社会経済情勢の変化については,分野の垣根を越えて,施策を横断的に連携させていく「維新・創生8大エンジン」に反映させながら取組を進めてまいります。

 併せて,新たに各施策に成果指標を設定し,PDCAサイクルの下に,計画の実効性を高め,各施策を着実に推進してまいります。 

 第3次実施計画の初年度となる新年度予算は,南海トラフ地震対策と地方創生の推進強化を2本柱として,実施計画に登載された事業を中心に予算編成作業に取り組み,今後4年間で着実に事業を推進し,成果目標に結びつけながら,「にぎわいと暮らし安心のまちづくり」を実現してまいります。

 今後の財政収支につきましては,平成29年度から33年度までの5か年で75億円程度の財源不足が見込まれる厳しい収支見通しとなっていることから,新年度の予算編成作業を通じて,市税収入や地方交付税などの一般財源の推移と事務事業見直し効果等を反映した上で,第3次実施計画の財源を確保することとしております。

 今回の財源不足の大きな要因としては,先に申し上げました地方消費税交付金をはじめとする歳入が全国的に想定以上に落ち込むとともに,地方交付税が伸びていないことから,財源不足額がこれまでより大きくなっているものです。

 本来は,歳入の不足分は地方交付税で一定カバーされるべきものでありますが,国の財政状況の悪化によりまして必要な財源が十分に措置されないおそれもありますので,全国市長会を通じて全国の財政状況等を分析しながら,市議会議長会とともに地方財源の充実強化を国に強く働きかけてまいります。

 今後の収支見通しが不透明で流動的な部分もありますが,この財源不足への対応としては,時間外勤務削減などの人件費の適正化,事業のスクラップアンドビルド,市税等徴収率の向上による収入の確保など,行財政改革の着実な実施と併せて,投資事業の平準化等を行い,なお財源不足が見込まれる場合には,財政調整基金や減債基金等も活用しながら収支の均衡を図ってまいります。


3 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について順次申し上げます。

 まず,津波避難対策及び長期浸水対策の取組について申し上げます。

 「津波から命を守る対策」として,避難タワーや避難路等のハード整備は昨年度末で一定完了し,今年度からレベル2での浸水が想定される地区別津波避難計画の本格的な検証を種崎地区をモデルに実施しながら,地区別津波避難計画の見直しや津波避難ビルへの資機材の配備等に取り組んでまいります。

 また,今年度は,津波避難ビルにおける孤立者の早期救助・救出に向けて,高知県防災関連登録製品に認定されている上空への救助サイン用資機材「RESCUE REQUEST」(レスキュー リクエスト)を津波避難ビルへ整備するとともに,飲料水の備蓄についても現在20施設に配備したところであり,さらに計画的な配備を進めます。

 加えて,長期浸水想定地域の住民の方々5千人を対象に無作為抽出による防災意識調査を実施し,この調査結果を反映した津波避難シミュレーションを高知県が実施しておりますので,今後,この結果を踏まえて,具体的な救助・救出計画を策定してまいります。

 また,中山間地域の防災対策として,地区別の中山間防災計画において,防災拠点として位置付けられた公民館等の耐震化を支援することとしており,新年度に耐震診断を行った後,必要に応じて耐震設計や改修などの助成を行い,施設の安全性を確保してまいります。


4 庁舎等の整備・耐震化

 次に,新庁舎整備について申し上げます。

 新庁舎の整備につきましては,昨年6月に建設工事に着工し,これまでに旧庁舎地下部分の解体工事を終え,今後,新庁舎建物部分の液状化対策として,県産材の丸太を利用した地盤改良工事を進めます。

 平成29年度には,新庁舎を支える杭工事のほか,基礎・地下躯体工事を進めるとともに,免震装置の取付工事を行い,平成30年度からは,地上部分の躯体工事や建物外装・内装工事などを順次進め,平成31年6月末の完成,同年秋頃の本格的な供用開始を予定しています。

 併せて,市民の皆様が利用しやすい市民サービスの在り方の検討を進めており,新庁舎完成までの間,市民の皆様には,大変ご不便をおかけいたしますが,ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に,春野庁舎・鏡庁舎につきましては,耐震診断の結果を受けて,災害時の庁舎機能の確保等を目的に,新庁舎の建築工事を進めてきたところであり,本年1月30日には春野庁舎で,2月27日には鏡庁舎で開庁式を行い,新庁舎において業務を開始しております。

 両庁舎ともに,内装等に高知県産木材をふんだんに使用するとともに,ユニバーサルデザインを取り入れるなど,温かみのある親しみやすい庁舎となっております。

 次に,消防署所再編について申し上げます。

 (仮称)北消防署は,昨年3月から建設工事に着手しており,本年10月の開署を目指して,順調に工事が進捗しています。

 (仮称)北消防署では,高度救助隊の対応力強化のため,CSR(コンファインド・スペース・レスキュー)と呼ばれる狭隘空間における救助活動の訓練施設等を整備することとしています。

 具体的には,マンションなどの中層階が地震でつぶれる「パンケーキクラッシュ」と呼ばれる被害に備える高知市独自の訓練装置を設置することとしており,3層の鋼板を床や天井に見立てて床の高さや角度を変え,つぶれた建物内の複雑な空間を再現できる訓練施設を目指します。

 併せて,救急救命士の活動における処置範囲の拡大などに対応するため,四国内の消防本部としては初となる救急車のカットモデルの配置など,救助隊や救急隊の実践力を高める訓練施設などを整備することとしております。

 (仮称)中央消防署につきましては,本年5月末までの予定で実施設計作業を行っており,平成29年度は,廃止予定の市道に埋設されている上下水道管等の移設補償を行うとともに,敷地内の防火水槽等の工事を行い,来年1月には建設工事に着工し,平成31年度上半期の開署を目指します。

 (仮称)中央消防署では,中高層階建物災害に対応できる四国最大の30メートル級の訓練塔の建設を予定しており,階毎に間取りを変えて,一戸建てやホテル,店舗などを再現するとともに,4階から6階をマンション構造とし,メーカー毎に形状が異なるベランダを再現するなど,高層火災の実践に即した訓練塔として整備してまいります。

 南部分署における四国初の模擬火災訓練施設も含め,各署の訓練施設を最大限に活用しながら隊員のスキルアップにつなげてまいります。 

 次に,保育園の耐震化について申し上げます。

 南海トラフ地震に備えて,平成30年度末までに市内すべての認可保育所の耐震化を目指して重点的に取組を進めており,平成29年度は,公立保育園については愛善保育園の耐震改修工事の基本・実施設計及び久重保育園の耐震診断に着手するとともに,各園における保育室や調理室の家具の固定等の安全対策や災害時の備蓄整備を進めてまいります。

 民営保育所については,小高坂双葉園,瀬戸東保育園,あおい保育園,東山保育園,大津東保育園,種崎保育園の6園の改築工事等に対する助成を行い,耐震化を促進します。


5 地方創生

 次に,地方創生の取組について申し上げます。

 昨年公表されました平成27年国勢調査の確報値によりますと,高知県の人口は,平成22年国勢調査との比較で5年間に36,180人減少するとともに,高知市の人口も6,203人減少しており,少子高齢化の課題先進県である本県の実態を如実に表す結果となっています。

 加えて,平成27年国勢調査結果における県人口に占める本市人口の割合は,約46パーセントとなり年々増加傾向にあることから,県都としての本市の役割が,さらに大きくなってきています。

 こうしたことから,県域全体の発展を見据え,県との連携の下,県内市町村との共存共栄の関係を保ちながら,これまで以上に県域全体のけん引役としての役割を発揮していくため,昨年から「連携中枢都市圏」の形成に向けた取組を進めております。

 現在は,庁内に発足させたプロジェクトチームを中心に,県の協力もいただきながら,連携事業のブラッシュアップ作業を進めており,各市町村との丁寧な事務協議を行いながら,本年12月を目指して連携中枢都市圏の形成に精力的に取り組んでまいります。

 次に,長浜南部地域の振興について申し上げます。

 平成27年10月に策定した「高知市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」において,長浜南部地域における平成72年の将来人口推計では,平成22年と比較して御畳瀬地区は81.5パーセントの減少,浦戸地区は61.7パーセントの減少と市内最大の減少率となっており,今後,コミュニティの維持や地場産業の衰退が強く懸念されています。

 一方,中山間地域や市内中心部においても人口減少が見込まれていますが,これまでの過疎地域自立促進計画や中心市街地活性化基本計画に基づく様々な振興策に取り組んだ結果,コミュニティや地域に根ざした産業の衰退に一定の歯止めがかかってきており,長浜南部地域においても沿岸部における活性化のモデルとなるような,総合的な振興計画を策定していく必要があるものと考えます。

 計画の策定に当たっては,地域の皆様と協議を重ね,新年度の早い段階で,具体的な振興策の検討を始める協議会組織を立ち上げてまいりたいと考えております。

 現在,長浜南部地域が抱える様々な課題の洗い出しや,これまでの人口動態やコミュニティ計画をはじめとする関連計画の進捗状況などについて,長浜南部地域のデータ分析等も行いながら,庁内関係各課において現状認識の共有を図っているところです。

 新年度からは,庁内横断的なプロジェクトチームを新たに発足させ,人口減少問題を総括する地方創生推進室を中心に検討を進めてまいります。


6 中心市街地活性化

 次に,中心市街地活性化基本計画の策定について申し上げます。

 中心市街地活性化の取組につきましては,現行計画にハード・ソフト合わせて57事業を登載し計画的に進めており,中心市街地の賑わいを取り戻してきているところです。

 一方で,現行計画策定時の平成24年と平成28年の歩行者通行量の比較では,中央公園から西側商業エリアの通行量が増加しているのに対して,東側商業エリアの通行量が減少傾向にあるなど,新たな課題も生じてきております。

 現行計画は平成29年度で終了することから,昨年12月から第二期中心市街地活性化基本計画策定検討委員会を立ち上げ,現状の分析や課題整理を行っているところであり,平成29年度には,第二期計画に向けた具体的な事業構築を検討し,平成30年3月までの内閣総理大臣の認定を目指します。 

 また,新図書館西敷地につきましては,昨年2月に新図書館西敷地利活用検討委員会を設置し,先月,委員長から当該敷地に相応しい機能について,「広場機能」や「家族で訪れて,こどもが安全に遊ぶことができる機能」など,4つの機能を上位A評価とする報告をいただいたところです。

 旧追手前小学校跡地である当該敷地は,中心市街地の活性化を図る上で重要な立地特性を持った貴重な公有地であり,多くの市民・県民の皆様がその活用について高い関心を持たれておりますので,検討委員会の検討結果を基に,議会のご意見もいただきながら,本市としての西敷地利活用についての基本方針を策定してまいります。


7 観光行政

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 平成28年に高知県を訪れた県外観光客は424万人となり,龍馬伝が放映された平成22年の435万人に迫る過去2番目の入り込み数となりました。

 インバウンド観光では,本県の外国人旅行者の延べ宿泊者数は,平成27年の69,560人泊に対して,平成28年は速報値ではありますが,73,240人泊と好調に推移しています。

 今月4日には,俳優の高橋英樹さんや女優の広末涼子さんをお迎えして,「志国高知 幕末維新博」のオープニングセレモニーを開催しました。

 同日には土佐のおきゃくがスタートし,高知城周辺のぼんぼり点灯式も行われ,2か年にわたる幕末維新博のオープニングに相応しい華やかな幕開けとなりました。

 今後も,多くの観光客の皆様にお越しいただけるよう,積極的なプロモーション等を展開してまいります。

 本市の施設では,「龍馬の生まれたまち記念館」と「自由民権記念館」が博覧会の地域会場となっており,「龍馬の生まれたまち記念館」ではバーチャル映像等を活用した体験施設の導入により,幅広い世代が楽しめる充実した内容にしてまいります。

 自由民権記念館では,館内で放映する映像コンテンツの新規作成や貴重な歴史資料のレプリカ作成等を行うとともに,両館において幕末維新博のテーマに関連した企画展を順次実施してまいります。

 また,昨年11月に四国経済連合会と合同で,台湾・高雄市での観光キャンペーンを実施したところ,デパートでの物産販売,よさこい観光PRが非常に好評であり,デパート側からのご提案も踏まえ,新年度には,よさこい鳴子踊りの披露に向けた踊り子の派遣を行い,約500万人の人口規模を有する台湾南部地域での誘客活動を展開してまいります。

 次に,桂浜公園の再整備の取組では,昨年10月に基本計画を策定し,11月には市民の皆様を対象にしたシンポジウムを開催したところです。

 平成29年度は,国が進める浦戸湾三重防護の取組も考慮しながら,国民宿舎桂浜荘も含め民間の資金・ノウハウを活用したPFI等の事業手法の検討や対話型市場調査等を実施し,今後の整備手法の絞込みを行ってまいります。

 平成28年度のクルーズ客船の高知新港への寄港は,今月に予定されているクイーンエリザベス号など6隻を加え,過去最高の30隻になる予定で,年間で約7万8千人という大変多くのお客様が高知にお越しいただきました。

 平成29年度も既に,本年2月末現在で,予約・仮予約を含め56隻の寄港予約をいただいており,年間で約16万7千人の外国人観光客等が高知を訪れることが見込まれていますので,リピーターの確保に向けて,受入体制の充実を図ってまいります。


8 子ども・子育て支援

 次に,子ども・子育て支援の取組について申し上げます。

 まず,子どもさんに係る医療費につきましては,本年2月1日現在で,拡充対象の小学生の99パーセントに当たる14,902人に対して受給者証の交付を行っており,医療機関等での受診の際にご活用いただいているところです。

 また,子育て支援環境の充実を図る高知市版ネウボラ構想の実現に向けて,地域子育て支援センター等の地域拠点を核にしながら,妊娠期から子育て期までの,連続性かつ一貫性のある切れ目のない支援を行うこととしています。

 さらに,各地域における細やかな支援を行うための「子育て集いの場」として,各小学校区1か所以上の設置を目指しており,現在,民生委員・児童委員さんなどが中心になって取り組んでいる「子育てサロン」が11か所開設されています。

 また,出産し退院された直後の母子の方々に対する支援として,昨年10月から開始した訪問型の産後ケア事業では,助産師が利用者の自宅を訪問し,心身のケアや育児のサポート等の支援を実施しており,今後も,制度の更なる周知を図るとともに,利用を希望される方々のご意見も伺いながら,支援の充実を図ります。


9 国民健康保険

 次に,国民健康保険について申し上げます。

 国保の運営は,平成30年度の抜本的な国保制度改革により,運営主体に都道府県が位置付けられ,都道府県単位での財政運営がスタートしますので,昨年度から高知県と県内市町村では,県に納める国保事業費納付金や標準保険料率の算定方法のほか,高知県国民健康保険運営方針などについて具体的な協議を重ねております。

 平成29年度はこれらの内容を精査しながら,本年12月頃までには納付金や標準保険料率が確定してまいりますので,本市においても保険料率等についての検討を重ね,国保システムの改修等を行い,都道府県単位化への準備を着実に進めてまいります。

 本市の国保の財政運営については,被保険者数の減少が続く中で,医療給付費総額は減少する見込みですが,新たながん免疫薬等の認可や医療水準の高い65歳以上の前期高齢者の割合が増加していくため,一人当たりの医療費は伸びてきており,引続き厳しい状況になるものと予想しております。

 このため,都道府県単位化による県内保険料水準の平準化を図ることも勘案し,保険料の賦課限度額を平成28年度の国の賦課上限額に合わせることとし,後期高齢者支援金分を2万円引き上げさせていただく条例改正議案をお諮りしておりますので,ご理解を賜りますようお願い申し上げます。


10 中学校給食

 次に,中学校給食について申し上げます。

 教育委員会では,中学校給食の完全実施に向けて,現在未実施の中学校13校へ給食を提供するための給食センター整備について,平成27年12月から基本・実施設計に着手し,事業を進めています。

 併せて,先行して設計が完了した造成工事に一部着手するとともに,新たに給食を開始する中学校の配膳室につきましても順次整備を進めております。

 今後は,国の補正予算を活用して,平成28年度の3月補正予算に事業費の一部を前倒し,基金も活用しながら,30年度までの3か年継続事業として,2か所の給食センターの建設工事を進めるとともに,上水道の配水管布設工事や下水道の管渠築造工事,給食センター内に設置する厨房機器等の調達業務に取り組んでまいります。

 また,新しい給食センターでは,大規模災害時等における炊き出しが可能となる防災拠点としての機能も併せ持つ計画としており,議会や地域の皆様からのご意見を賜りながら,平成30年度中の中学校給食の完全実施に向けて精力的に取り組んでまいります。


11 学力向上対策 等

 次に,学力向上対策における「英語教育強化推進事業」について申し上げます。

 本事業は,高知市立学校の生徒の英語力を「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能別に生徒一人一人の習熟度を客観的に測定し,英語力向上のために個々の生徒への具体的な支援を行うとともに,次期学習指導要領で求められている英語力を育成するため,英語科教員の授業力向上を図ることを目的としており,英語検定3級程度の力を有する生徒の割合を平成28年度調査の29パーセントから35パーセント以上に引き上げることを目標に,国際社会に対応できる新たな英語教育を目指してまいります。


12 機構改革

 次に,機構改革について申し上げます。

 平成29年度の機構改革につきましては,第3次実施計画に盛り込まれた施策や事業を着実に推進し,効率的な事務事業の執行体制を構築することを目指しております。

 総務部では,重点課題である人口減少問題の克服に向けた地方創生の取組や,全国初となる県下全域を対象とした「連携中枢都市圏構想」の実現に向けて,政策の企画・調整機能の強化と意思決定の迅速化を目指し,総合政策課と移住・定住促進課を再編し,市長公室内に「政策企画課」を設置します。

 また,昨年12月に策定した「高知市広聴広報戦略プラン」に基づき,市民の皆様との「キャッチボール型広聴・広報」を実現するため,広聴広報推進室を「広聴広報課」として体制強化を図るとともに,複雑化する法務事務や争訟事務への適切な対応,文書事務におけるコンプライアンスの徹底に向けて,新たに「文書法制課」を設置します。

 財務部では,公共施設マネジメントの一層の推進に向けて,財産政策室を「財産政策課」として体制強化を図ります。

 市民協働部では,市民の暮らしの安全安心という視点から,消費生活,交通安全,公共交通,防犯などの事業を総合的に展開する「くらし・交通安全課」を設置し組織体制の整備を図ります。

 また,環境部では,高知市再生資源処理センターなどの環境施設のBCP対応や魚さい加工施設の経営改善並びに高知県の管理型最終処分場の次期施設の在り方などの課題への適切な対応を図るため,新たに「環境施設対策室」を設置するとともに,都市建設部では,土地保全条例の運用改定への対応や違反指導の強化を図るため,新たに「開発指導室」を設置するなど,重点課題への体制強化を図ります。


13 29年度当初予算

 以下,総合計画の施策の大綱で掲げた六つの環の主な施策の新年度予算について順次申し上げます。


(1)共生の環

 下水道雨水整備(秦地区等)

 一つ目の「共生の環」では,まず,雨水対策として,平成29年度は,秦地区において県市連携で進めております都市計画道路高知駅秦南町線の整備に合わせて,約130メートルの区間で管径1,500ミリメートルの雨水管渠の整備に着手するとともに,引き続き東秦泉寺・南秦泉寺排水機場のポンプ能力の増強を進めます。

 本宮町では,江ノ口川の排水機能が十分でないことから,本宮川へのポンプによる強制排水を行うための土木工事を実施してまいります。

 朝倉総合市民会館の耐震化

 次に,朝倉総合市民会館の耐震化について申し上げます。

 市内に13館あります市民会館は,その多くが昭和40年から50年にかけて建設され,現況施設の老朽化が進むとともに,すべての市民会館が緊急避難場所に指定されていることから,隣保事業等を実施する地域福祉の拠点としての役割のみならず,防災面からも重要な施設であり,耐震整備の必要性があります。

 平成29年度は,朝倉南部地域の中核施設である朝倉総合市民会館の耐震化に向けた基本構想を策定し,合築されている老人福祉センターや児童館との機能統合や複合化を進めながら,施設管理や事業運営の効率化を図ってまいります。


(2)安心の環

 高知市障害者計画・障害福祉計画の策定

 次に,「安心の環」では,まず,本市の障害福祉施策全般の取組方針を示す「障害者計画・障害福祉計画」について申し上げます。

 障害者の方々が自ら望む地域生活を営むことができるよう,「生活」と「就労」に対する支援の一層の充実や,高齢障害者による介護保険サービスの円滑な利用を促進するための見直しを行うとともに,障害児に対する切れ目のない支援の充実を目指すほか,サービスの質の確保や向上を図るための環境整備等が求められています。

 こうした障害福祉を取り巻く状況を踏まえ,本市では,自立支援協議会や意見交換会等を開催しながら平成30年度からの次期計画案をまとめており,今後,障害者の方々の生活実態やニーズ調査等を反映させるとともに,障害者計画等推進協議会等における検討を重ねて,来年3月までに障害者計画・障害福祉計画の策定を目指してまいります。

 第7期高知市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定

 次に,さらなる地域包括ケアシステムの推進を目指す平成30年度から始まる「第7期高知市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」につきましては,現在,国等の動向を見極めながら,基本的な方向性等について,庁内ワーキンググループで論議を重ねているところです。

 具体的な取組として,本年4月から要介護状態以外の高齢者の方々を対象とした「介護予防・日常生活圏域ニーズ調査」や,在宅による要介護高齢者を対象とした「在宅介護実態調査」を実施することとしており,日常生活におけるニーズやリスクの把握などの調査結果等を踏まえ,さらには市町村の給付費推計や介護における地域マネジメントを支援する国の「見える化システム」を活用した計画案を,高齢者保健福祉計画推進協議会でご審議いただきながら,計画の策定に取り組んでまいります。

 生活困窮者自立支援

 次に,生活困窮者への支援では,本年11月11日から12日の2日間にかけて,生活困窮者支援に携わる方々が一堂に会する「第4回生活困窮者自立支援全国研究交流大会」が本市において開催されることとなっており,生活困窮者の自立支援のネットワークを全国に広げる場として,実りある大会にしたいと考えております。


(3)育みの環

 体調不良児対応型病児保育事業費補助金

 次に,「育みの環」では,まず,体調不良児対応型の病児保育事業費補助金について申し上げます。

 児童が保育中に微熱を出すなど体調不良となった場合などに緊急的な対応を図るため,平成29年度から,看護師等を配置する民営保育所等の施設に対して,新たに雇用費等を補助する体調不良児対応型病児保育事業費補助金を創設し,児童の保健衛生面の処遇向上を図ってまいります。

 新図書館等整備

 次に,新図書館等複合施設整備事業について申し上げます。

 本事業につきましては,本年12月に竣工し,来年夏頃の開館を目指して着実に工事を進めております。

 関係機関の方々にもご協力をいただきながら,「オーテピア高知図書館サービス計画」を策定したところであり,計画に沿って全国に誇れる新図書館とするための準備を進めてまいります。

 本事業は,県立図書館と市民図書館本館を一体的に整備する国内初の取組になるとともに,点字図書館及び高知みらい科学館を併設することにより,全国有数の施設規模と総合的なサービスを展開しようとするものであり,多くの皆様方から注目を集め,期待されていますので,着実な事業の推進を図ってまいります。

 多目的ドーム整備

 次に,東部総合運動場に整備を進めている多目的ドームについて申し上げます。

 多目的ドームについては,本年秋の供用開始を目指し,引き続き建設工事のほか,周辺整備等を行うこととしております。

 施設の完成により,野球やサッカーの室内練習や,フットサル,ハンドボールの試合等にも活用できるようになり,市民の皆様のスポーツ環境の充実と活動の推進を図ることができることとなります。

 また,プロ野球球団をはじめ大学や社会人チームのトレーニング環境が格段に向上することから,近隣に整備が進む高知東部自動車道(仮称)高知南インターチェンジの利便性等も活かし,県市が連携して進めるスポーツツーリズムの推進にも大きく貢献するほか,災害時には,広域支援物資の集積・荷捌き場として活用するなど,防災機能の強化にもつなげてまいります。


(4)地産の環

 農業振興対策(耕作放棄地産地化推進事業)

 次に,「地産の環」では,まず,農業振興対策について申し上げます。

 近年の本市の農業を取り巻く状況は,農業従事者の高齢化や担い手の減少などにより耕作放棄地が増加傾向にあり,この耕作放棄地対策として,農業者の耕作意欲を向上させ,所得向上につなげる施策が重要となります。

 本市では,昨年2月に高知県食品工業団地事業協同組合と「業務連携・協力に関する協定」を締結し,市場ニーズのあるイタドリなどの有望品目について,再生した耕作放棄地で栽培し産地化するなどの取組を進めており,今後とも,地域において新たな有望品目となり得る農産物について,関係機関との連携を図りながら,地域特性を活かした農業振興と農家所得の向上に取り組んでまいります。

 新産業団地整備の取組等

 次に,操業環境の改善や南海トラフ地震に備えたBCP対応などに向けた産業団地開発の取組について申し上げます。

 平成25年度から高知県と共同で,製造業を対象に開発に着手しました(仮称)高知一宮団地につきましては,現在,分譲地造成や道路等の公共施設整備を進めており,平成29年度末の団地整備完了及び平成30年度早期の分譲を目指してまいります。

 また,平成29年度からは,市内企業の移転需要に対応するため隣接する布師田地区におきまして,新たな産業団地としての課題整理や適地調査などを行ってまいります。

 (仮称)仁井田産業団地につきましては,製造業以外の企業の移転需要に応えるため,引き続き,団地整備着手を目指して実施設計等に取り組んでまいります。


(5)まちの環

 旭駅周辺整備 

 次に,「まちの環」について,順次申し上げます。

 まず,旭駅周辺市街地整備事業における下島土地区画整理事業については,平成29年5月中を目途に仮換地指定を行い,順次,移転補償契約を締結しながら,建物の解体を進め,区画道路や宅地造成工事に着手する予定です。

 中須賀土地区画整理事業については,用地の先行買収の最終年度となることから,買収地を確定し,換地設計準備を進めるとともに,公共施設整備の基本設計に着手してまいります。

 また,都市再生住宅の整備に向けまして,旭町二丁目の第一期南棟について本年8月末の完成を目指すとともに,年内には下島町第二期棟の建築・設備の実施設計を完了するなど,下島地区の換地移転や中須賀地区の先行買収等に伴う住宅の確保を図ってまいります。

 市営住宅再編 

 次に,東石立町・筆山町公営住宅建替事業について申し上げます。

 本事業は,平成26年3月に策定しました「高知市営住宅再編計画」に基づき,老朽化した東石立町及び筆山町の両市営住宅を,現東石立町市営住宅の敷地内に統合し,建設するものです。

 建設する市営住宅は,敷地西半分に高層耐火7階建56戸を2棟,敷地東半分に高層耐火8階建80戸を1棟の合計3棟・192戸を整備する計画となっております。

 本年度において,敷地の西半分の入居者の移転を完了し,取り壊しも行ったところであり,今後は7階建2棟の整備に向けて,平成29年度から30年度までの2か年の継続費を設定し,建設に着手する予定としております。

 木造住宅耐震化推進事業

 次に,木造住宅の耐震化の促進について申し上げます。

 南海トラフ地震から,市民の生命・財産を守るためには,住宅の安全性を高めることが重要であり,現在,木造住宅耐震化の推進及び耐震診断制度の普及,啓発に努めています。

 耐震診断の結果,耐震性が低いと診断された住宅については,耐震改修計画作成費及び耐震改修費の一部を助成しておりますが,木造住宅の耐震化の加速には至っていない状況です。

 木造住宅の耐震化を加速するには,申請者の負担の軽減が最も重要であることから,代理受領制度や低コスト工法の周知を図るとともに,本年6月を目途に耐震改修費助成額の上限額を17万5千円引き上げて,現行の92万5千円から110万円に引き上げたいと考えております。

 通常,耐震改修の工事費用は120万円程度が最も多く,120万円を例にとりますと,今般の補助上限額の引き上げによりまして,自己負担額が27万5千円から10万円に軽減されることになりますので,耐震改修の加速化の契機になることを強く期待するところです。

 当初予算規模等

 以上,主な施策についてご説明を申し上げましたが,平成29年度一般会計の当初予算規模は,対前年度当初比11億円,0.7パーセント増の1,564億円となり,過去最大の予算規模となっています。

 全会計の予算規模は,収益事業特別会計の事業売上が増加していることや介護保険事業特別会計の給付費が増加していることなどによりまして,純計で2,719億6,750万余円,対前年度当初比0.7パーセント増となっております。


14 補正予算・予算外議案

 平成28年度補正予算

 平成28年度補正予算につきましては,国費の追加内示に伴い前倒しして実施する横内小学校の普通教室等の整備に係る経費や市立小学校11校及び中学校6校の校舎等への強化ガラス整備及び外壁工事の改修工事に係る経費のほか,港湾や街路等の県営工事負担金,退職手当など,補正総額は,全会計純計で28億6,632万余円となっております。

 これらの補正財源は,国庫支出金等の特定財源のほか,一般財源として財政調整基金からの繰入金等を充当いたしました。

 予算外議案

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正等によるものなど30件です。

 この中で市第32号議案は,公共施設マネジメントの推進に向けて,公共施設の計画的な保全,更新等に必要な財源を確保するための基金を創設するものです。

 また,市第38号議案は,高知市児童福祉審議会に新たに臨時委員,部会を設置し,本年1月11日に認可外保育施設において乳児が救急搬送され,翌日に死亡した事案について,国のガイドラインに基づき,再発防止策を検討するために行う検証作業等に対応するものです。

 市第45号議案は,農業委員会法の改正に伴う農業委員の選考過程の公平性及び透明性を確保するため,選考を行う附属機関を設置するものです。

 その他議案は,包括外部監査契約締結,市道路線の廃止認定の議案など5件です。

 報告4件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。