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第510回高知市議会定例会市長説明要旨(令和7年12月4日)

第510回高知市議会定例会市長説明要旨

 

 

令和7年12月4日

 

 第510回高知市議会定例会にご出席をいただき、まことにありがとうございます。
 市第189号和解に関する議案につきまして、ご説明申し上げます。
 はじめに、昨年7月5日、長浜小学校の水泳授業中に起こりましたプール事故につきまして、改めまして、お亡くなりになりました児童に、心よりお悔やみを申し上げますとともに、ご家族、ご親族の皆様に深くお詫びを申し上げます。
 事故に関する損害賠償につきまして、これまでご遺族と話し合いを重ね、この度、合意に至りましたことから、今定例会において和解に関する議案を提出させていただきました。
 今回の事故は、本来、安全に行われるべき学校の授業において、かけがえのない児童の命が失われるという大変痛ましいものであり、決して起こしてはならないものでございます。
 学校や教育委員会と共に、事故の再発防止を図るとともに、さらなる安全・安心の学校づくりを進め、保護者や市民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
 事故から1年5か月が経とうとしており、この間、ご遺族の皆様には大変なご心労をおかけしてまいりましたので、損害賠償金につきましては、本市として可能な限り速やかに手続きを進め、一日も早くお支払いできるよう対応したいと考えています。
 以上、提出をいたしました議案について、概要の説明を申し上げましたが、よろしくご審議の上、適切なご決定をお願いいたします。
 
 引き続きまして、市第169号議案から市第188号議案につきまして、提案理由の説明を申し上げます。
 議案の説明に先立ち、当面する市政課題に関連して、ご報告と考え方を申し上げ、ご理解を賜りたいと存じます。
 
1 国政の動向
 はじめに、国政の動向について申し上げます。
 高市総理は10月24日の所信表明演説において、「「強い経済」を構築するため、「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行う」とし、物価高対策に最優先で取り組むことを表明し、先月28日には、経済対策に係る補正予算を閣議決定しました。
 この補正予算案には、「「強い経済」を実現する総合経済対策~日本と日本人の底力で不安を希望に変える~」として、電気・ガス料金、ガソリン代等の負担軽減策のほか、地方団体が地域の実情に応じて生活者や事業者を支援するための重点支援地方交付金の拡充などが盛り込まれています。
 国は、これらの対策を速やかに執行し、一刻も早く国民へ支援を届けるとしており、地方団体に対しても、重点支援地方交付金を活用した物価高対策の早期執行に向け、可能な限り年内に予算化するよう文書で要請しています。
 本市としましても、物価高の影響を受けている皆様を迅速に支援するため、一部につきましては、今議会に補正予算案を追加提出させていただくべく作業を進めています。
 引き続き国の動向を注視するとともに、情報収集に努め、的確かつ速やかに支援策を取りまとめてまいります。
 
2 本市の財政見通し
 次に、本市の財政見通しについて申し上げます。
 本年8月に決定された国の普通交付税の算定では、当初予算計上額を3億4千万円余り上回る結果となりました。
 補正財源の確保に不安がある中で、貴重な一般財源が一定額確保できたことは、一つの好材料であると受け止めています。
 一方で、一般会計の9月補正後予算では、収支不足に対応するため、財政調整基金及び減債基金から36億円余りを繰り入れています。
 財政調整基金は、今後見込まれる補正予算にも活用せざるを得ない状況であり、現時点で想定している年度末残高見込みでは、令和8年度当初予算の財源調整には不十分な状況です。
 また、税収をはじめとする一般財源は、物価高によるコスト増大に伴う企業収益の圧迫などの影響に左右されますので、今後の歳入見通しが立てにくく不安定な状況が続きます。
 さらに、高齢化に伴う扶助費や物価高の影響による各種経費など、歳出予算の増加も見込まれており、令和8年度当初予算編成は、これまで以上に厳しい財政状況の中での作業となります。
 今後発表される国の地方財政対策等を慎重に精査し、市税をはじめとする一般財源総額を的確に見込むとともに、全庁一丸となって、歳入確保と歳出削減を同時並行で進めてまいります。
 今年度は、昨年度に開催した「財政問題懇話会」でのご意見も踏まえ、年度当初から、事務事業の見直しに取り組んでいます。
 今後の予算査定では、さらに議論を深め、個別事業の必要性や効果、実施手法、スキーム、官民連携やデジタル活用の可能性など、多角的に検証し、限られた財源の最適配分を図ります。
 併せて、持続可能な行財政運営の実現に向け、市民や議会の皆様のご理解とご協力をいただけるよう説明責任を果たしてまいります。
 その上で、令和8年度当初予算は、引き続き、私の公約である5つのまちづくりビジョンに基づく各施策を着実に推進するための予算編成を行うこととしており、喫緊の課題である「人口減少対策」「南海トラフ地震対策」「市民の安全・安心のための予算」を3本柱として編成することとしています。
 大変厳しい財政状況ではありますが、将来を見据えた持続可能な財政運営と喫緊の課題への着実な対応を両立させるため、全力で取り組んでまいります。
 
3 高知県消防広域化
 次に、県内消防の広域化について申し上げます。
 本市を含め県全体で人口減少が進む中、将来にわたり持続可能な消防力を確保するため、県は昨年度末に県内全市町村の消防組織等の一元化に向け、「高知県消防広域化基本構想」を策定しました。
 この基本構想は、消防本部機能の集約により、管理・統括を担う間接部門のスリム化を図り、生じた余力を消防・救急の現場を担う直接部門へ振り向けるとともに、消防サービスの高度化を図り、県民の皆様の安全・安心を確保することが目的とされています。
 これを受け、今年度からは、県内全市町村長で構成する「消防広域化基本計画あり方検討会」を中心に、「総務」「財務」「消防業務」「通信・システム」の4つの専門部会や実務者レベルのワーキンググループにおいて検討・議論を重ねているところです。
 検討に当たりましては、年度内に基本計画を取りまとめ、県及び全市町村の議会において法定協議会設置に関する議決を得た上で、令和10年度に県一広域連合を発足させるスケジュール案が県から提示され、組織体制の原案や将来的な財政負担のシミュレーションなどについて議論を進めてまいりました。
 しかしながら、給与を含む職員処遇の統一や分賦金の算定基準など、解決すべき重要課題が多数あることから、私を含む各市町村長からは、市民や議会の皆様に十分かつ丁寧な説明を尽くすためにも、さらなる議論と調整の時間が必要ではないかとの意見を申し上げてきたところです。
 こうした声を踏まえ、先月14日の第2回あり方検討会では、県からスケジュールの見直し案が示され、来年2月を目途に基本計画の策定を目指すものの、法定協議会設置に関する議決時期を令和9年度前半に延期し、新たに任意協議会を設置して議論を続けることが提案されました。
 正式なスケジュールは、来年1月の第3回あり方検討会で確定する見込みですが、各市町村の声を受けた県の対応は評価するところです。
 私としましては、高知県全域の消防力の維持・確保に向けた取組の必要性を感じているところであり、何よりも県都・高知市としての役割を果たすことが重要だと考えています。
 一方で、高知市長としての責任から、広域化によって本市の消防力が低下し、市民の皆様の安全・安心が損なわれることや、広域化に伴う財政負担が過大になることがあってはならないとの立場で真摯に議論の場に臨んでいます。
 市民や議会の皆様に対しましては、広域化の必要性を含め、しっかりと情報提供をさせていただきながら、将来にわたり市民の皆様の安全・安心を守り抜いていけるよう引き続き全力を尽くしてまいります。
 
4 新県民体育館
 次に、県が検討を進めている新県民体育館の整備について申し上げます。
 県民体育館は、昭和48年の建設以来、50年以上にわたりスポーツ活動や各種イベントの開催などを通じて、多くの市民・県民の皆様に利用されてきました。
 しかし、近年は老朽化が進み、利用に支障を来していることに加え、土日・祝日や平日夜間に利用者が集中し、利用ニーズに十分応えられていないことや、機能面では、大規模なスポーツ大会やイベントの受入が困難であることなど、様々な課題を抱えています。
 このような状況を踏まえ、県は本年7月に「新県民体育館整備等基本計画検討会」を立ち上げ、再整備に向けた検討を進めています。
 その中で、現在の敷地では十分な機能を発揮することが難しいことが明らかになり、隣接する本市の所有地である旧南消防署跡地及び青年センターのグラウンドを活用する複数の整備案が示され、本市に協力依頼がありました。
 しかしながら、青年センターは、同センターと教育研究所の複合施設である「アスパルこうち」内の「教育支援センターみらい」における不登校児童の相談や通所支援の場として重要な役割を果たしているほか、来年4月には潮江市民図書館内に「学びの多様化学校」を設置する予定であり、グラウンドは子どもたちが安心して学べる教育環境を確保するための重要な場所です。
 また、青年センター自体も長年にわたり本市の社会教育の中核を担っており、グラウンドは青少年のスポーツ活動の拠点としても大切な施設です。
 このためグラウンドの利用が制限される場合は、代替機能の確保が本市にとって大きな課題となり、これまで市民の皆様からも様々なご意見やご要望をいただいているところです。
 さらに、県民体育館のプールについても、生涯スポーツを推進する上で大変重要な施設と考えています。
 現在、年間約6万人が利用しているこのプールが再整備されない場合、多くの利用者が他の施設に移ることが懸念されますが、本市総合運動場のプールは既に年間7万人を超える利用があり受入は困難な状況です。
 加えて、高齢の利用者の中には、移動の負担などによりプールを利用できなくなる方が想定され、日常的な運動機会を失うリスクもあります。
 こうした状況を踏まえますと、当該プールは市民の皆様の利便性と健康増進の観点から、現在地で再整備することが望ましいと考えます。
 このように県民体育館の再整備は、本市に大きな影響を及ぼしますので、先月、私自ら知事を訪問し、これらの課題や新県民体育館における防災面での活用について申し入れを行いました。
 そして今月1日、県から再整備案の説明がありましたので、その内容と私の判断を報告します。
 まず、教育的配慮としてグラウンドの代替施設となる人工芝等の運動・活動スペースを新県民体育館の屋上に設け、日中は教育研究所や学びの多様化学校に通う児童生徒が優先的に利用できるようにすることを確認しました。
 さらに、空調設備が整備されるサブアリーナも使わせていただけることが示され、季節や天候に関わらず、運動に適した温度に管理された環境での屋内活動が可能となることを確認しました。
 また、アスパル高知と隣接するサブアリーナの建物は、一定の距離を確保することで圧迫感の低減に努めるとともに、周辺には花壇や樹木などの植栽を設置し、子どもたちが土や草木、虫などの自然に触れ、安らげる環境を整備することが示されています。
 加えて、青年センターにおける夜間等の青少年スポーツ活動は、旧高知南中高等学校グラウンドへの照明の整備などにより代替施設の確保に努めることも確認しました。
 これらの点から、県の対応は本市の教育機関の機能や青少年のスポーツ活動に支障がないよう十分配慮されたものと受け止めたところです。
 また、プールにつきましても、敷地内で一体的に整備する案が提示され、利用者や地域の要望に応える前向きな案が示されました。
 このほか、今後のあり方が議論されている「ぢばさんセンター大ホール」で現在行われている大規模展示会等について、新たに整備されるメインアリーナで実施可能であるとの説明がありました。
 私としましては、こうした新県民体育館の整備により、これまで以上に市民・県民の皆様のスポーツ活動の機会が拡大することに加え、これまで実施が難しかったプロスポーツの試合や有名アーティストのコンサートなどが開催できるようになり、市民の皆様がこれまでにない体験を得られると考えています。
 また、ぢばさんセンター大ホールと同等の機能を有することで、市中心部に展示会などのMiceを誘致できるようになり、新たな経済効果が生まれることを期待するところです。
 以上を総合的に判断し、教育的配慮が確実に担保されることを大前提として、旧南消防署跡地と青年センターグラウンドの全面使用を認め、県に新県民体育館の整備を推進していただきたいと考えるに至りました。
 新県民体育館が教育やスポーツ、文化、経済振興に加え、防災機能も兼ね備えた施設として効果が最大限発揮されるよう本市としても連携し、「新県民体育館を核としたまちづくり」を推進してまいりたいと考えています。
 また、県から示された教育的配慮を含め、お互い確認した内容が確実に実現されるよう県と継続的に意思疎通を図るとともに、何よりも、将来にわたって市民・県民の皆様に「本当にいい施設ができた」と実感していただけるよう県と共に知恵を出し、魅力ある地域づくりに努めてまいります。
 
5 補正予算・予算外議案
 以下、議案についてご説明を申し上げます。
 提出いたしました議案は、予算議案5件、条例議案11件、その他議案4件です。
 今回の補正予算は、公共工事の施工時期の平準化を目的としたゼロ市債の設定や民間保育所等に係る公定価格増額に伴う追加配分、養護老人ホームや軽費老人ホームの職場環境改善等に係る補助金などを計上しています。
 また、ふるさと納税による寄附金が当初見込みを上回る見込みとなったことから、歳入及び謝礼品発送業務に係る委託料等を増額する経費や、収益事業特別会計における民間ポータルサイト等の売上増に伴う歳入及び売上連動経費等を計上しています。
 以上、申し上げました内容によりまして、提案しております今回の補正規模は、
  一般会計 12億5,300万円の増額
  特別会計 60億2,823万5千円の増額
であり、補正後の予算規模は全会計の純計で2,957億4,852万6千円となり、この補正予算の財源として、特定財源では国庫支出金や市債等を充当し、一般財源では地方交付税等を充当いたしました。
 
 次に、予算外議案について申し上げます。
 条例議案は、令和8年度からの「こども誰でも通園制度」の本格実施に伴う実施施設の認可基準を定めるための「高知市乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定める条例」制定議案など11件です。
 その他議案は、指定管理者の指定に関する議案など4件です。
 報告2件につきましては、いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上、提出をいたしました議案について、概要の説明を申し上げましたが、よろしくご審議の上、適切なご決定をお願いいたします。