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第509回高知市議会定例会市長説明要旨(令和7年9月9日)
第509回高知市議会定例会市長説明要旨
令和7年9月9日
第509回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
1 観光振興
はじめに,観光振興について申し上げます。
今年で75回目を迎えた高知市納涼花火大会は,時折小雨がありましたが,花火の打上中は雨に降られることはなく,約4千発の打ち上げ花火や仕掛け花火を多くの皆様に楽しんでいただきました。
みどりの広場に設置した有料観覧席は,チケット販売率が99.3パーセントとなるなど好調で,大きな混乱もなく無事終えることができました。
また,今年のよさこい祭りは,初日は途中から大雨,2日目も不安定な天候となりましたが,雨にも負けず,188チーム,約1万8千人の踊り子が熱い演舞を披露してくださいました。
8月9日から3日間での人出は,昨年より約10万人増の97万人と多くの観覧者が来場し,追手筋本部競演場もパラソル席を含めた桟敷席が,昼の部・夜の部ともほぼ完売するなど,多くの皆様に本場高知のよさこいを楽しんでいただきました。
あいにくの天気となりましたが,一方で,気温の上昇が抑えられたため,熱中症の訴えは昨年に比べて少なく,その点は幸いだったと感じています。
高知市納涼花火大会やよさこい祭り,よさこい全国大会の実施に当たりまして,協賛やご尽力をいただいた関係者の皆様に,この場をお借りして御礼を申し上げます。
2 シティプロモーション
次に,シティプロモーションについて申し上げます。
先月4日,本市の魅力を広く国内外にPRする総合的なシティプロモーションをスタートしました。
シティフレーズを「こっち!こっち!」とし,新たに開設したポータルサイトでは,観光,外商,ふるさと納税,移住・定住などの行政情報をワンストップで提供することで,より効果的に本市の魅力を発信しています。
併せて,まずはこのポータルサイトの認知度を高めることが重要ですので,よさこい祭りや大阪・関西万博,原宿表参道元氣祭スーパーよさこいといった多くの方が集まる場でPR活動を積極的に展開するなど,広報に力を入れているところです。
また,テレビやInstagram,YouTubeなどを通じてPR動画を配信しており,本市の公式チャンネルの再生回数は,8月末時点で4万1千回を超えるなど,徐々に認知が広がってきていると感じています。
今後につきましても,様々なコンテンツを配信するなど,さらなる効果的なシティプロモーションを展開してまいります。
また,先月22日・23日に,大阪・関西万博会場内のEXPOアリーナ「Matsuri」において,よさこい演舞や街路市をメインテーマとしたイベント「高知の祭典 WORLD YOSAKOI DAY」を県と共に開催し,国内外に高知の魅力をPRしてまいりました。
当日は,厳しい暑さのため,来場者数を懸念していましたが,目標の1万5千人を大きく上回る約5万4千人が訪れ,暑さを吹き飛ばす大変な盛り上がりとなりました。
よさこい鳴子踊りには,本市が派遣した高知市役所踊り子隊のほか,国内外から計18チームが参加し,熱いエネルギーと魅力溢れる踊りで観客を魅了しました。
また,物販エリアでの街路市には,現役の出店者8店舗が出店し,街路市の風情を再現するとともに,れんけいこうちの枠組みにより県内全市町村が参加し,高知の様々な特産品を紹介・販売するなど,高知の魅力を発信することができました。
特に,1日を締めくくる,よさこいの「総踊り」には,会場を埋め尽くすほど多くの皆様にご参加いただき,踊り子や来場者がまさに一体となって盛り上がり,会場全体が熱気に包まれました。
その一体感を体験し,私自身,「よさこい」のパワーを改めて感じたところです。
このように,高知が誇る「よさこい」と「街路市」の魅力を国内外に存分に発信してまいりましたので,今後,観光誘客や移住・定住など,本市の活性化につながることを期待しています。
踊り子や出店者の皆様をはじめ,開催にご尽力いただいた関係者の皆様に感謝を申し上げます。
3 高知市総合計画
次に,高知市総合計画について申し上げます。
総合計画は,本市のすべての行政分野を網羅する,中長期的な視点に立った最上位計画であり,基本構想に掲げる将来の都市像や,その達成に向けた政策・施策の方針に基づき,これまで着実に市政を推進してまいりました。
一方で,社会・経済情勢が急激に変化し,市民生活や社会のあり方に大きな影響をもたらしている中,現行計画は,平成23年度から令和12年度までの20年間という非常に長期にわたる計画となっており,社会の変化が加速化する時代に,このような長期計画が十分対応できているのか,私自身,市長に就任して以降,問題意識を持ってまいりました。
そのため,昨年度から,見直しの必要性について庁内での議論を重ねてきたところであり,この度,時代の変化に即応できる機動的な市政運営を実現するとともに,市民の皆様が施策の効果を実感し,安心して暮らせるまちづくりをより確かなものとするため,総合計画のあり方を見直すこととしました。
新しい総合計画は,引き続き本市の最上位計画として,総合的かつ計画的な市政運営を支える柱としての機能を維持しつつ,「機動性」と「柔軟性」を重視し,計画期間をこれまでよりも短縮するとともに,市民の皆様にとって分かりやすく,親しみやすい計画となるよう,内容はコンパクトに整理することとしています。
具体的には,現行計画は,第2次実施計画の終期である令和8年度末をもって廃止することとし,令和9年度からの8年間を計画期間とする目指すべき未来の姿や政策の方向性を示す指針としての「(仮称)高知市未来ビジョン」と,その実現に向けた進捗管理を行うため,前期・後期それぞれ4年間を期間とする「実施計画」を策定したいと考えています。
策定に当たりましては,質の高い議論を速やかに進められるよう,総合計画審議会等の組織体制をコンパクト化することとし,今議会には,その体制整備のために必要となる高知市総合計画審議会条例の一部を改正する条例議案をお諮りするとともに,今年度中に開催する審議会の委員報酬に係る補正予算を計上しています。
時代に即した市政運営を確保し,市民の皆様が将来にわたって安心して暮らし続けられるまちを築くため,市議会の皆様にも丁寧な説明を重ねながら,本市が目指すべき未来の姿についてご意見を賜り,新たな総合計画の策定に向けて取り組んでまいります。
4 不登校対策
次に,不登校対策について申し上げます。
近年,不登校の背景や要因が複雑・多様化する中,不登校児童生徒数は全国的に増加しており,本市も同様に,学校に通うことが難しい子どもたちが年々増えている状況です。
このような中,行政には,子どもたちが誰一人学びから取り残されることなく,将来の社会的な自立に向けて,安心して自分のペースで歩みを進めていくことができるよう,一人ひとりに寄り添った支援体制を強化するとともに,多様な教育環境を整えていくことが求められています。
国は,教育基本振興計画において,「不登校児童生徒の教育機会の確保や相談体制の充実など,不登校対策を強力に推進していくことが重要である」とし,その一環として,不登校の子どもたちの実態に配慮した特別の教育課程に基づく新たな学びの形である「学びの多様化学校」の設置を推進しており,本年4月時点で全国に58校が設置されています。
これらの状況を踏まえ,本市におきましても,不登校児童生徒への支援体制を一層強化するため,「学びの多様化学校」を設置することとし,来年4月の開設に向け,今議会に,設置のための条例議案や環境整備のための補正予算をお諮りさせていただきました。
新たに設置する「学びの多様化学校」は,一人ひとりの状況に応じた居場所づくりや相談支援,学習支援の充実を目的として,これまで本市が取り組んできた「教育支援センター」や「校内サポートルーム」に加え,子どもたちにとって新たな選択肢となる学校です。
また,潮江中学校の分教室として,潮江市民図書館4階に設置することとしており,隣接する「教育支援センター」と有機的な連携を図り,一体的な支援体制を構築することで,子どもたちが安心して過ごすことができる場になるとともに,新しい一歩を踏み出す学びの場として,不登校支援の拠点となることを目指しています。
子どもたちが未来に希望を持って歩んでいけるよう,多様な学びの場を保障するとともに,複雑な背景に寄り添う支援体制の充実を図り,誰一人取り残さない教育の実現に向けて取組を進めてまいります。
5 行財政改革の推進
次に,行財政改革の推進について申し上げます。
令和6年度の一般会計の決算では,財政調整基金及び減債基金の取崩しが必要な状況になるなど,厳しい財政運営が続いており,令和8年度当初予算編成に向けた財源確保が課題となっています。
財政構造改革に向けましては,昨年度に財政問題懇話会を開催したところであり,今年度は,懇話会でのご意見を踏まえ,具体的な取組に着手することとしており,現在,全ての事務事業を総点検し,廃止や縮小も含めたゼロベースによる検討を全庁一丸となって進めています。
これは,先の6月定例会でも申し上げましたとおり,財政の健全化を図るとともに,人口減少が進む中,将来の状況に柔軟に適応できる効率的で持続可能な行政への転換を図ることを目的として実施するもので,将来の状況をイメージし,政策的に賢く縮小すべき施策や,むしろ充実させていく施策,前例の踏襲ではなく,新しい手法を創造する施策などを見極めながら,後退ではなく,将来に向けて前向きな見直しを進めることとしています。
今回の見直しでは,令和8年度当初予算編成で想定される収支不足に対応するため,5億円の一般財源の削減を短期目標として取り組んでおり,見直しの概要につきまして,先月の行財政改革調査特別委員会でご報告させていただいたところです。
今後は,それぞれの事業に関係する市民や各種団体等の皆様にもご意見を伺いながら,さらに検討を深めていくこととしており,10月から始まる令和8年度当初予算編成の中で,見直し案をとりまとめてまいります。
また,事務事業の見直しと合わせて,職員の適正配置による新たな人員の創出や人件費の抑制を図るため,業務執行体制の見直しも進めています。
現在,事務補助として雇用している会計年度任用職員の業務量や,草刈りや浚渫などの役務作業などの実態調査を行っており,調査結果を踏まえ,各所属のヒアリングを実施することとしています。
さらなる業務の効率化に向けて,職員定数の適正化や複数課の業務を担当する会計年度任用職員の配置など,職員の適正配置を進めるとともに,重複している業務を集約化するなど,具体的な取組を進めてまいります。
基礎自治体である本市には,一人ひとりの「生活の土台」として,市民の生命・財産を守るとともに,地域課題の解決を図り,持続可能な市民サービスを提供し続ける責務があります。
行財政構造改革は,高知市のさらなる発展のために必ず成し遂げなければならないと考えており,私自身,覚悟を持って,また,議会の皆様のご理解もいただきながら取り組んでまいります。
6 使用料・手数料の改定
次に,使用料・手数料の改定について申し上げます。
本市の使用料・手数料につきましては,平成21年度に全面改定を行って以降,消費税の改定に伴う見直しを除き,16年間据え置いてまいりました。
しかしながら,近年の物価上昇や経済状況の変化により,施設の維持管理や行政サービスの提供にかかる経費が大きく増加しているのが現状です。
こうした状況を踏まえ,施設等を利用する方と利用しない方との間における負担の公平性をより一層確保するため,受益と負担の適正なあり方について改めて整理を行い,今議会に関係条例を改正するための議案を提出させていただきました。
今回の改定は,新たに「使用料・手数料の見直しに関する基本方針」を策定し,原則,全庁統一的な考え方により改定するもので,改めて,サービス提供に係る原価の積算について整理するとともに,市民生活におけるサービスの必需性や,民間での提供状況などの市場性を踏まえて,施設種別ごとに受益者負担割合を設定することとしています。
今回提出しました改定案は,それぞれの施設や手数料ごとに,原価と負担割合を掛け合わせて新たな金額を算出したもので,値上げとなるものもあれば,一部では値下げとなるものもあり,差し引きで1年間当たり約1億円の歳入増加を見込んでいます。
なお,改定に当たりましては,市民生活への影響を考慮しまして,急激な負担の増加を抑えるための激変緩和措置として,見直しの上限を設けるとともに,半年間の周知期間を設けることとしています。
また,今後につきましては,施設の維持管理やサービス提供に係る経費の変化などを踏まえ,概ね4年ごとを目途に見直しを行いたいと考えています。
引き続き,業務効率化などにより経費削減を図るとともに,市民の皆様全体にとって公平で納得感のある使用料・手数料となるよう努めてまいります。
7 税外収入の確保
次に,税外収入の確保について申し上げます。
税外収入の確保策として昨年度に導入した公共施設の「ネーミングライツ」につきまして,本年度は,6月に17施設の「ネーミングライツパートナー」を募集し,おまち多目的広場など4施設に対して応募をいただきました。
先月には,新たにパートナーとなる企業との契約を締結し,今回の4施設を含めますと,導入施設は21施設となり,1年間で3千9百万円余りの歳入が確保できることとなりました。
この取組は,市民の皆様のご理解のもと,企業の皆様に本市のまちづくりにご参加いただく官民一体の取組です。
新たに契約した4施設につきましては,10月1日から愛称の使用が開始されることとなっていますので,決定した愛称に親しみを持って接していただき,各施設をさらにご利用いただきますようお願い申し上げます。
なお,今回の募集で応募がなかった施設につきましては,本年度中に二次募集を行う予定としており,引き続き,取組を推進してまいります。
8 補正予算・予算外議案
以下,議案についてご説明を申し上げます。
今回提出いたしました議案は,予算議案4件,条例議案55件,その他議案9件です。
今回の補正予算は,先に申し上げました「学びの多様化学校」の設置に係る経費など,子ども・子育て支援の充実や,東消防署三里出張所の移転のための建設工事に係る継続費設定,福寿園敷地の砂防工事に向けた設計等に係る経費など,安全・安心のまちづくりに関する経費等を中心に計上しましたので,主な内容について,順次申し上げます。
まず,東消防署三里出張所の移転のための建設工事に係る継続費の設定について申し上げます。
三里出張所につきましては,令和5年度から高台移転に向けた取組を進めており,本年6月に新庁舎建設に向けた実施設計が完了したことから,今議会には,今年度からの3年間を期間とする総額10億円の継続費設定に係る補正予算を計上しました。
高台移転を実施することで,災害時の消防力の維持・強化を図るとともに,「緊急消防援助隊」を受け入れるスペースを確保することで,大規模災害時における東部地域の消防活動拠点としても機能するよう,令和10年4月の運用開始を目指して取り組んでまいります。
次に,「グループホーム等整備事業費補助金」について申し上げます。
グループホームにつきましては,障がい者の高齢化や高齢化による重度化,いわゆる「親亡き後」の課題などに対応するサービスとしてニーズが高まっていることから,本市の障害者計画等において,国の補助金を活用し,優先的に整備することとしています。
今回,国費の内示があったことから,社会福祉法人こうち福祉会が実施する障がい者のグループホーム整備への補助金として,7千8百万円余りを計上しました。
次に,斎場の施設整備について申し上げます。
本市では,毎年,火葬需要が高まる冬期の火葬待ちが課題となっています。
そのため,火葬待ちの長期化の解消を目指すとともに,今後の火葬需要増加に対応することを目的として,1日当たりの火葬件数を現状の22件から24件に拡大したいと考えており,これに必要な台車等の購入や予約システムの改修を行うための経費として1千万円余りを計上しました。
このほか,南海トラフ地震の被害想定について,県から新たな震度分布及び津波浸水想定区域が10月頃に公表される予定となっていることから,公表後,速やかに「地震・津波ハザードマップ」の改訂を行うための経費や,企業版ふるさと納税でいただいた寄附金を活用し,高知ユナイテッドSCを支援する「ホームタウンチーム地域活動推進事業費補助金」1千万円などを計上しています。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,
一般会計 1億9,400万円の増額
特別会計 7億5,052万3千円の減額
であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,878億4,152万6千円となり,補正財源として,国庫支出金などの特定財源のほか,一般財源では繰越金を充当しました。
次に,予算外議案について申し上げます。
条例議案は,先に申し上げました使用料・手数料の改定に伴うものなど55件です。
このうち,市第114号高知市鏡こどもの広場条例制定議案につきましては,鏡地域における子どもの遊び場として,小浜地区に整備を進めている広場について,11月に整備工事が完了する見込みとなっていることから,12月の供用開始に向けて設置条例を制定するものです。
その他の議案は,高知市シェアサイクルシステム運用保守業務委託契約の解除に伴う違約金及び損害賠償請求権を放棄することに係る市長専決処分の承認議案など9件となっています。
このうち,市第122号あっせんの申立ての追認について申し上げます。
この議案は,本年2月に公益財団法人交通事故紛争処理センターに和解のあっせんの申立てを行ったことについて,追認の議決をお願いするものです。
今回のあっせんの申立てにつきましては,昨年9月に発生した公用バイクと相手方乗用車との衝突事故に係る過失割合について,相手方との交渉がまとまらなかったことから行ったものであり,申立て前に必要な地方自治法第96条第1項第12号の規定に基づく議決を得ることなく申立てを行っていたことから,深くお詫び申し上げますとともに,追認の議決をお願いするものです。
このほか,決算の認定議案等につきましては,この後,上下水道事業管理者及び財務部長から概要の説明を申し上げます。
報告10件につきましては,継続費の精算報告や財政健全化法関連数値の報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。