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第484回高知市議会定例会市長説明要旨(令和3年6月11日)

第484回高知市議会定例会市長説明要旨


令和3年6月11日


 第484回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 新型コロナウイルス対策

 まず,新型コロナウイルス対策について申し上げます。

 最初に,この度のワクチン接種に関しまして,4月23日からの予約受付の開始時に大きな混乱を招き,市民の皆様や議会の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

 各医療機関等でワクチン接種を受けていただく約9万5千人の高齢者の皆様につきましては,4月20日に接種券を発送し,同23日から予約を開始いたしましたが,予約初日には,本庁舎の特設会場に2千人を超える方々が来場されるとともに,WEB予約が短時間に集中したことにより,システムの稼働能力が著しく低下したため,午後2時過ぎにシステムを緊急停止させ,予約受付を一旦中止し,大変ご迷惑をおかけいたしました。

 4月30日の予約再開に当たりましては,再び大勢の皆様が市役所に来場されることが予測され,会場での三密を避けるため,市役所特設会場での受付を中止することとし,コールセンターの電話回線を14回線から40回線にまで順次拡充するとともに,WEB予約システムの稼働能力を向上させ,予約を再開いたしました。

 しかしながら,予約再開後におきましても,予約枠が短時間で埋まる状況が続き,コールセンターは電話が集中したことにより,長時間お待たせするとともに,電話がつながってもご希望の予約が取れないなど,ご迷惑をおかけしていますことをお詫び申し上げます。

 接種予約システムにつきましては,議会の皆様などからお寄せいただいていますご指摘等を踏まえ,随時見直しを行いますとともに,電話回線につきましても,さらに10回線増設し50回線とすることなど,さらなる受付事務の改善を図ってまいります。

 予約開始当初は大きな混乱もありましたが,各医療機関をはじめとする関係機関からのご協力を得て,ワクチン接種は5月6日から開始しており,現在100か所を超える医療機関において着実に個別接種を進めているほか,長期入院や施設に入所されている高齢者の方々に対しましては,巡回方式により,鋭意,接種を進めています。

 高齢者の皆様の個別接種の予約状況では,約66,500人の想定接種者数に対する第1回目の予約確定数の割合は,5月31日時点で88.7パーセントとなっています。

 また,高知県内における高齢者全体に占める第1回目を接種した人の割合は,今月6日時点における内閣府発表による都道府県別では,全国第8位となる30.04パーセントとなっています。

 ファイザー社ワクチンの本市への供給量は,接種の進捗状況に応じた国からの傾斜配分もあり,20万回・10万人分を超える量が確保できる見通しであり,高知市医師会等にご協力を賜りながら,個別接種が可能な医療機関を順次増やすとともに,医療関係従事者の集団接種の完了を見据えて,明日12日からは総合あんしんセンターにおいて,毎週土曜日・日曜日に,接種予約が取れていない市民の方々を対象に集団接種を開始いたします。

 今後,個別接種や巡回接種の医療機関をさらに増やしていくとともに,集団接種を併せて実施していくことで,ワクチン接種を希望される高齢者の皆様が7月末までに2回の接種を行えるように,全庁を挙げて精力的に取り組んでまいります。

 本市における新型コロナウイルス感染症の発生状況については,4月末以降,各分野で7件のクラスターが発生するなど,新規感染者数が急増しており,感染経路不明のケースも増加傾向にあり,県内の1日当たりの新規感染者数は先月18日以降,連日高水準が続いており,今月9日時点での累計感染者数は,県内で1,626名,市内では1,163名となり,危機的な状況にあります。

 感染力が強いとされるイギリス型の変異株による感染が,県内では主流となっていることから,感染経路不明の感染者数の増加等に伴い,先月24日に開催された県の「新型コロナウイルス感染症対策本部会議」において,感染症対応のレベルが上から2番目の「特別警戒(赤)」に引き上げられ,マスクの着用・三密の回避・手指消毒等の感染防止策を徹底することや,会食時の感染リスクを下げる行動制限への協力を広く市民に呼び掛けるとともに,飲食店等に対しては午後8時までの営業時間短縮の協力要請が行われています。

 本市では,感染経路を把握しながら積極的疫学調査を迅速に行い,昼夜にわたり県と密接に連携して,まん延防止対策を強化して取り組んでおりますが,今後の感染拡大を食い止める有力な手段として,ワクチン接種を着実に推進していくことが重要な鍵を握ることとなります。

 このため,高齢者の方々に対する円滑なワクチン接種の推進をはじめ,8月以降から順次接種対象となる65歳未満の皆様につきましては,当初の反省を踏まえて,接種予約の際の混乱を招かないように,対象となる方々を年齢区分毎に限定しながら,順次,接種券を送付するなど,円滑な実施に向けて的確に準備を進めてまいります。

 次に,コロナ対応の事業者支援対策について申し上げます。

 本市では,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,深刻な打撃を受けている事業者の皆様の雇用維持や事業継続を支援するため,様々な支援策を展開しており,昨年度には本市独自の「事業者支援給付金」や「テイクアウト・デリバリー等業態変更支援事業費補助金」,インターネットを活用した販路拡大へのニーズに応える「ECサイト等利用促進支援事業費補助金」などの制度を創設し,中小事業者等の皆様の事業継続を積極的に支援してまいりました。

 今年度は,昨年度に実施した補助制度の内容を利用者の皆様のご要望に応じて一部リニューアルして,キッチンカーの導入などの非店舗型事業の展開を支援する「飲食店業態転換支援事業費補助金」,「ECサイト開設支援事業費補助金」など,支援内容を拡充し,厳しい経営状況が続く事業者の皆様を引き続き支援しています。

 また,市民の皆様が安心して来店できるように,来店型店舗等が実施する感染症対策を支援する「感染症対策環境整備支援事業費補助金」を新たに創設し,これら3種類の補助金は,5月6日から申請受付を開始しています。

 このうち,「感染症対策環境整備支援事業費補助金」につきましては,飲食事業者の皆様のニーズが高く,受付開始後1週間で6,000万円の予算枠を消化し,先月14日に受付を終了するなど,事業者の皆様からご好評をいただいております。

 今後とも,多くの事業者の方々に本市のメニューをご活用いただけるように,関係機関のご協力をいただきながら,制度周知を図ってまいります。

 なお,国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の本市への配分につきましては,現時点ですべて予算化していますが,今後の執行見込額を精査しながら,さらなる支援が必要な方々への対策予算として組替えを行い,本年9月の補正予算等としてお諮りしたいと思います。

 次に,中小企業の振興に向けた取組について申し上げます。

 本市では,平成7年に制定した「高知市産業活性化条例」に基づき,中小企業を含む商工業者の方々への支援を実施してまいりましたが,国においては,平成11年に「中小企業基本法」が抜本的に改正されるともに,平成26年には「小規模企業振興基本法」が制定されるなど,地方公共団体には,中小企業支援に関する施策のさらなる拡充が求められています。

 現状の「高知市産業活性化条例」は,平成7年の制定から既に25年が経過し,事業者の皆様を取り巻く社会経済環境が大きく変化していることから,来年6月議会での「(仮称)高知市中小企業振興条例」の制定を目指し,先月,商工観光部内にプロジェクトチームを設置し,他都市での事例研究や中小企業者向けのアンケートなどを実施することとしております。

 市議会におかれましては,会派を超えて議員の皆様が新条例の制定に向けまして,勉強会を開催されているとお聞きしていますので,議員の皆様とも連携しながら,本市の産業構造や中小企業者の皆様のニーズに沿った新条例の制定に向けた具体的検討を積極的に進め,支援施策を充実させ,アフターコロナを見据えた地域経済の再興を図ってまいります。

2 国政・経済の動向

 次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月8日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の2次速報値では,緊急事態宣言の発令による外出自粛で個人消費が大きく減少したことなどにより,実質成長率は前期比1.0パーセント減,年率換算では3.9パーセント減と3四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 また,先月26日に公表された月例経済報告では,「景気は持ち直しの動きが続いているものの,一部で弱さが増している」とされ,緊急事態宣言による個人消費の落ち込み等が下押し要因となり,3か月ぶりに景気判断が引き下げられるとともに,今後の先行きについては,「持ち直しの動きが続くことが期待できるが,内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」との認識が示されています。

 県内経済の状況では,先月19日に公表された日本銀行高知支店の金融経済概況において,新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの,「緩やかに持ち直す動きが続いている」との判断がなされた一方,今後の先行きについては,「不確実性の高い状態が続くことから,新型コロナウイルス感染症の動向が企業収益,雇用・所得等に与える影響について,注視していく必要がある」との見方を示しています。

 こうした経済状況の下,政府は今月9日の第8回経済財政諮問会議において,今後の予算編成や政策指針となる「骨太の方針2021」の原案を提示し,菅総理は,「新型コロナウイルス対策を最優先とした上で,ポストコロナを見据えて,力強い成長を実現して世界をリードしていくため,グリーン社会の実現,デジタル化の加速,地方創生,子育て支援 の4つの重点課題に取り組んでいく」姿勢を表明いたしました。

 この中で,地方創生については,「賃上げを通じた経済の底上げや,感染症の影響で打撃を受けた観光・インバウンドの再生を図る」こととされていますので,政府においてスピード感のある具体的な経済対策を強力に推進していただくことを強く望みます。

 また,新型コロナウイルス対策に伴う多額の国債発行により急速に悪化した国家財政については,「プライマリーバランス黒字化などの財政健全化目標は堅持し,歳出改革努力を続けていく」とされていますので,今後の地方交付税の動向や社会保障改革などの議論の動向を注視してまいります。

 地方行財政については,感染症への対応に対する国からの支援の拡充を強く求めていくとともに,地域経済の活性化や地方におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進,防災・減災対策などを一層推進していくため,一般財源総額を的確に確保することが重要になりますので,全国市長会等を通じて国に対し強く働きかけてまいります。

3 地域共生社会の実現に向けた取組

 次に,地域共生社会の実現に向けた取組について申し上げます。

 令和4年度から実施を予定している「重層的支援体制整備事業」は,介護・障害・子育て・生活困窮の各分野における「断らない相談支援」や「参加支援」,「地域づくり」に向けた支援等を一体的に実施するものであり,「高知市型共生社会の実現」を目指す取組になりますので,現在,高知市社会福祉協議会をはじめとする関係機関との協議等を通じ,課題の共有や共通認識の醸成等を図っております。

 庁内における推進体制の強化に向けて,本年4月に市長を本部長とする「地域共生社会推進本部」を立ち上げ,第1回目の本部会を5月に開催し,全庁を挙げて「高知市型共生社会の実現」に取り組んでいくこととしており,関係各課で構成するカウンターパートによる専門部会やワーキングチームにおいて具体的な協議を進めます。

 令和元年11月から地域における薬局や社会福祉法人等にご協力をいただき,現在市内28か所で開設している「ほおっちょけん相談窓口」では,地域で課題を抱えている人を孤立させず,早期に把握して適切な支援につなぐための窓口として,福祉制度の枠にとどまらない幅広い困りごとに関する相談を受けていただきますとともに,最近では,新型コロナウイルスワクチン接種に関するご相談にも一定対応いただいており,関係者の皆様に感謝申し上げます。

 「ほおっちょけん相談窓口」に寄せられた相談内容については,民生委員をはじめとする地域の関係者の皆様が共有し,課題解決に向けた話し合いの場となる「ネットワーク会議」などが発足した地域もあり,取組内容の充実と併せて,行政と関係者の皆様との協働による地域づくりにもつながっています。

 「ほおっちょけん相談窓口」は,現在,市内5地区28か所で開設していますが,今年度は,新たに「秦・初月・大津・高須・五台山」の5地区で開設を予定しており,秋頃からのスタートに向けて,高知市薬剤師会や民生委員の皆様など,関係者の方々との具体的な協議を進めています。

 さらに,令和4年度からは,「ほおっちょけん相談窓口」の全市的な展開を目指しておりますので,高知市社会福祉協議会に配置する地域福祉コーディネーター等とも連携して,地域で課題を抱える方々に対する相談支援体制のさらなる充実を図ってまいります。

4 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。

 南海トラフ地震などの大規模災害が発生した際には,行政側も被災することとなりますので,限られた職員数や資機材等の資源に制約がある中で,応急対策業務や非常時の優先業務を明確にした上で,業務継続に要する人員体制の確保や復旧の手順等を速やかに決定していく必要があり,平成28年度に「高知市南海トラフ地震対策業務継続計画(BCP)」を策定しています。

 現行のBCPにつきましては,機構改革等を踏まえ,見直しを重ねてまいりましたが,甚大な被害が想定される南海トラフ地震に備え,さらに実効性を高める必要があることから,令和2年度から2か年にわたり,具体的な改訂作業を進めています。

 昨年度は,非常時の優先業務や必要人員等を精査するとともに,市職員のBCPへの理解を深めるための勉強会や,熊本地震の対応に従事した熊本市防災担当職員の講演会を開催したほか,全職員を対象とするアンケート調査やワークショップを実施し,「高知市南海トラフ地震対策業務継続計画改訂方針」を作成しました。

 本年度は,この方針に基づき,各部局が主体となって改訂版のBCPを策定しますので,改訂作業等を通じ,支援が必要となる外部からの応援要員の規模や資機材等の精査を行い,実効性のある受援体制の構築につなげてまいります。

5 デジタル化の推進

 次に,デジタル化の推進に関する取組について申し上げます。

 本市では,コロナ禍における急速なデジタル化の動きに即応するため,本年2月1日付けで市長を本部長とする「高知市DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進本部」を立ち上げ,デジタル技術やデータを活用した行政サービスの利便性向上や業務の効率化に向けて,全庁一丸となって戦略的に取り組んでいく体制を整えました。

 この推進本部では,総務省が昨年12月に策定した「自治体DX推進計画」の内容を踏まえ,当面は,基幹業務システムの標準化・共通化への対応やマイナンバーカードの普及促進,行政手続のオンライン化等の8つの重点事項を中心に,本市の実情を踏まえた取組を着実に進めます。

 本年4月には,特に優先的に取り組む分野横断的テーマとして,「住民窓口改善」及び「押印廃止」を掲げ,関係部署の中堅・若手職員で構成する2つのプロジェクトチームを設置し,具体的な検討を進めています。

 このうち,住民窓口改善プロジェクトチームでは,令和4年度中の実現を目指し,デジタル技術を活用した窓口におけるお客様の「密」の回避や待ち時間の短縮,申請書等の記載に伴う市民負担の軽減などに取り組みます。

 また,押印廃止プロジェクトチームでは,オンライン手続やテレワークなどの新しい生活様式の確立に向けて,今年度末を目途に押印廃止の検討作業を行い,書面主義・対面主義の見直しに向けた押印等の整理を進めます。

 次に,マイナンバーカードの普及促進について申し上げます。

 国は,昨年12月に閣議決定した「デジタル・ガバメント実行計画」において,マイナンバーカードをデジタル化の推進に必要な「最高位の本人確認ツール」として位置付け,地方公共団体と協力して全力で普及促進に取り組む方針を示し,昨年11月から本年3月末にかけて,マイナンバーカードをお持ちでない方にQRコード付き交付申請書を送付するとともに,マイナポイント事業の申請期間を4月末までに延長いたしました。

 このため,全国的に申請件数が増加しており,本市でも本年2月の申請件数は,それまでの月平均の件数と比較して約3倍となる9,133件に急増し,3月には過去最高となる16,652件,4月は9,498件の交付申請がありました。

 一方,申請に対するカードの交付については,窓口数の増設や土日窓口の開設など体制強化に努めましたが,現状では月に約5,000枚の交付処理が限界であるため,このままでは交付事務の大幅な遅れや窓口での混雑発生など,市民の皆様にご不便をおかけすることが懸念されます。

 そのため,カードの交付能力の増強を目指して,庁外に専用窓口を早急に新設することとし,本年7月から運用を開始できるように,必要な補正予算を5月24日付けで市長専決処分させていただきました。

 新設する「マイナンバーカード交付センター」は,庁舎内に設置スペースを確保することができませんので,はりまや橋交差点近くの「デンテツ・ターミナルビル内」に設けることとし,庁舎外での交付となりますことから,地域窓口センターと同様に交付は事前予約制とし,予約の受付は専用のコールセンターで対応します。

 この取組により,交付能力の強化を図り,事務処理スピードを加速させ,今年度末までにマイナンバーカードの交付率を50パーセント程度にまで引き上げることを目指してまいります。

6 国民宿舎運営事業

 次に,国民宿舎運営事業について申し上げます。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により,本市の観光関連産業は厳しい経営環境に置かれており,令和6年度までの5年間の指定管理協定を締結している国民宿舎桂浜荘についても,令和2年度の宿泊者数は,対前年度比で67.7パーセント減と厳しい状況が続いています。

 桂浜荘の指定管理者である一般財団法人高知市桂浜公園観光開発公社に対しましては,令和2年度に6,400万円余りのコロナ対策支援金を支出し,運営を継続しておりましたが,新型コロナウイルスの影響は令和3年度に入っても収束の見通しが立たず,本市としましては,これ以上多額の公費を投入しながら事業を運営することは困難であると判断いたしました。

 このため,本年9月末をもって施設を休館する意向を公社側にご説明申し上げ,公社におきましても現場でご苦労されている従業員のことを考えますと苦渋の決断をしていただきましたが,先月行われた同公社の理事会において,大筋で合意が得られましたことから,具体的な事務手続などについて協議を行っているところです。

 今議会に提出いたしました補正予算に係る市長専決処分の承認議案は,現在の利用料金制から徴収委託制に切り替える年度協定を締結するため,施設経営に必要となる9月末までの上半期分の指定管理料等の経費を緊急的に計上したものでありますので,ご理解賜りますようお願いいたします。

 桂浜荘で長年にわたり勤務されています公社の職員の皆様には,これまで本市の観光振興に資する桂浜荘の運営に真摯に携わっていただいておりますことに感謝を申し上げますとともに,施設の休館によりまして,大変なご苦労をおかけすることとなりますので,従業員の皆様の補償や再就職等に向けた支援につきましては,誠意をもって丁寧に協議を行ってまいります。

7 観光振興

 次に,観光振興について申し上げます。

 昨年の第67回よさこい祭りは,新型コロナウイルス感染症の影響により,史上初の中止となりましたので,昨年10月からは,主催者であるよさこい祭振興会を中心に,関係者間で第68回大会の開催に向けて,本市を交えた協議を重ねてまいりました。

 その結果,従来の方式では,競演場・演舞場における観客の感染防止対策が難しいことから,昨年に続き,通常のスタイルによるよさこい祭りの実施は残念ながら中止となりますが,新型コロナウイルス対策を徹底した上で,よさこい演舞を披露する方法を関係者の皆様と熱心に協議した結果,感染予防の三密対策が可能な高知市陸上競技場りょうまスタジアムを会場として,8月19日・20日の2日間にわたり,「2021よさこい鳴子踊り特別演舞」を代替イベントとして開催することとなりました。

 本イベントの開催に当たりましては,参加チームの踊り子やスタッフの感染防止対策を徹底していただくとともに,観客の皆様には入場人数の制限を行うほか,観客席の間隔を確保し,観客と踊り子との動線を確実に分離するなど,よさこい祭振興会をはじめとする関係者の皆様と詳細な協議を進めてまいります。

8 令和2年度の決算見込み

 次に,令和2年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

 一般会計では,臨時財政対策債を含めた実質的な普通交付税が当初の想定を下回るとともに,新型コロナウイルス対策として創設された徴収猶予の特例措置等による影響により,市税が減収となるなど厳しい財政収支となりましたが,対象税目が追加された減収補てん債の活用や,不要不急の経費について執行抑制を図ったことなどにより,財政調整基金や減債基金を取り崩すことなく,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。

 特別会計では収益事業において,インターネットを活用したポータルサイトの利用増加等に伴い車券売上が伸びたことなどにより,約2億円を後年度の施設整備のため基金に積み立てた上で,10年連続の単年度黒字を確保した結果,累積赤字額は50億円を下回り,48億9,000万円余りにまで圧縮できる見込みとなりました。

 企業会計のうち,水道事業では,給水収益が減少いたしましたが,支払利息などの経費節減に努めました結果,純利益は前年度より1,700万円余り多い11億7,100万円余りとなりました。

 また,公共下水道事業では,4億5,400万円余りの純利益となり,うち受益者負担を原則とする汚水事業では,新型コロナウイルス感染症の影響などにより下水道使用料が落ち込みましたが,1億4,100万円余りの純利益を確保することができ,累積赤字額も12億4,700万円余りへと減少しております。

9 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案2件,条例議案13件,その他議案9件です。

 まず,今回の補正予算は,新型コロナウイルス感染症による影響が長期化していることを踏まえ,低所得の子育て両親世帯等に対して支給する「子育て世帯生活支援特別給付金」や,生活に困窮する方々に対して家賃を補助する「住居確保給付金」に要する経費を計上するとともに,障がいのある方々の社会参加や地域生活支援の推進に向けて,社会福祉法人すずめ福祉会が行う多機能型事業所を改築するための費用を助成する事業費等を補正するものです。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,


 一般会計 8億7,500万円の増額

 特別会計 700万円の増額

であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,661億4,341万1千円となり,この補正財源として,特定財源である国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では繰越金を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正に伴うものなど13件です。

 このうち,市第75号高知市税条例及び高知市税条例等の一部を改正する条例の一部を改正する条例議案につきましては,今年度の税制改正等に伴い,新型コロナウイルスの影響を踏まえた経済対策として行われる住宅ローン控除の特例措置の延長や,軽自動車税種別割のグリーン化特例が適用となる対象車種の見直しなどについての規定を整備するものです。

 その他の議案は,マイナンバーカード交付センターの新設に要するコールセンターや事務所家賃など総額6,500万円を計上した一般会計補正予算についての市長専決処分の承認議案など9件となっています。

 報告15件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。