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第407回高知市議会定例会市長説明要旨(平成20年3月6日)

 第407回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
 議案の説明に先立ち,まず国政の動向について申し上げます。
 国内景気は,都市部で息の長い回復が続いていると言われておりますが,高知県のようにその影響が地域経済に波及していない地方がある中で,去る2月に日本銀行から示されました金融経済月報では,景気の先行きは今後も緩やかな拡大を続けるものの,住宅投資の落ち込みなどから景気の減速が懸念されています。
 こうした状況の下,国における平成20年度当初予算案は深刻な状況にある財政事情を踏まえ,平成23年度までにプライマリーバランスの黒字化を確実に実行するため,歳出改革の取組を今後も緩めることなく,国・地方を通じた歳出全般の削減を行うとともに,若者が希望を持ち,お年寄りが安心できる「希望と安心」の国の実現に向け,予算の重点化・効率化が進められることとされております。
 本年1月に発表されました平成20年度地方財政計画では,給与関係経費や投資的経費,一般行政経費が厳しく抑制される一方で,財政運営に必要な地方税や地方交付税等の一般財源の総額は確保される見通しとなっているところです。
 また,この計画の中で新たに「地方と都市の共生」という考え方の下,法人事業税を中心とした都道府県間の地方税収の格差を是正することによって生じる財源を活用して,財政状況が厳しい自治体などに地方交付税として配分する「地方再生対策費」が特別枠として創設され,総額で約4,000億円が交付されることとなり,本市におきましては約5億円が基準財政需要額に新たに算入される見込となっております。
 平成20年度の地方財政計画の総額は対前年度比0.3パーセント増の83兆4,014億円と7年ぶりに増加に転じておりますが,地方再生対策費を除きますと対前年度比0.2パーセント減の83兆14億円と7年連続で減少しており,地域間格差の是正に一定の配慮がなされたとはいえ,まだまだ地方にとりましては厳しい財政環境が続いております。
 さて,本年1月1日の春野町との合併によりまして,本市は県下の都市機能が集積する広域拠点であるとともに,県内屈指の園芸地域と自然豊かな中山間地域を擁する魅力ある中核都市として新たなスタートを切りました。
 今回の合併では,「交流・連携・共生・発展」をキーワードに掲げ,南四国をリードする中核都市を目指して,都市部,田園地域,中山間地域それぞれの特色や資源,機能を最大限に活かしながら,地域間の交流を深め,さらに連携を強化して共生へと繋げるまちづくりを進めていくことが重要です。
 合併協議の中で明らかになってまいりました町有地の未登記や地籍調査等の諸問題を早期解決に向けた課題として受け止め,本年1月4日には庁議メンバーで構成する春野地域振興対策本部を設置し,課題解決へ向けた取組を開始しております。
 今後とも議員の皆様のご意見等も賜りながら新たなまちづくりに向けて,積極的に取り組んでまいりますので,よろしくお願いいたします。
 高知市は地方分権の推進とともに,この3年の間に2度の市町村合併を実施し,本市を取り巻く社会経済環境は大きく変化してまいりました。
 平成13年に策定しました現行の高知市総合計画2001は,平成32年度(2020年)までを計画期間とする基本構想と平成22年度(2010年)までを計画期間とする基本計画,そして3か年ごとの実施計画からなり,目指すべき都市像を掲げ,本市の行財政運営の指針として重要な役割を果たしております。
 今般,市町村合併により新たに鏡地区・土佐山地区・春野地区のそれぞれ特色を持った地域が市域に加わり,本市の基礎的条件が大きく変化いたしました。
 こうしたことから,現行の基本計画の計画期間が満了します平成22年度末に向けて,基本構想を含め総合計画全体の見直しを行う必要があり,平成23年度を初年度とする新しい計画の策定に本格的に着手いたします。
 平成20年度には,庁内において職員による策定推進組織を立ち上げ,計画策定に向けた具体的な作業を開始するとともに,市民意識調査の実施をはじめ,市議会や市民の皆様方のご意見やご提案等を幅広くいただきながら作業を進めてまいりますので,よろしくお願いいたします。

 次に,目標管理制度及び新人事考課制度について申し上げます。
 まず,目標管理制度につきましては,より効果的・効率的な行政運営を行っていくために,組織マネジメントの向上を図り組織目標の達成に向けて一人ひとりの職員がそれぞれの職務目標を掲げ,年3回の職場内面談を通じまして職務の達成状況を確認しながら職務に取り組むものであり,19年度当初から管理職全員を対象に試行を行っております。
 また,新人事考課制度では,職場での上司と部下との意思疎通を図り,共通意識に立った上で適正な人事評価を行うことにより,職務に対する職員の意欲の向上を図るとともに,人材育成や職員の能力向上,適材適所の人材登用や人事異動に活用することを目的として,本年度,試行いたしました。
 試行の実施に関しましては,事前研修を重ねながら,職員の理解と協力の下に円滑に実施できたところですが,各職場からの意見としては,職員個人の年間の職務目標が明確になったという評価もいただいておりますが,一方で制度の目的や意義について現時点で浸透しきれていない点もあり,今後に向けた課題であると考えております。
 制度試行後に職員アンケートを実施し,現在,その結果を取りまとめ中ですが,試行結果の検証を行い,さらに充実した制度への修正を加え本格実施に向けた取組を進めてまいります。
 次に,平成20年度当初予算について申し上げます。
 平成20年度は,春野町合併による新市誕生後の新たなまちづくりのスタートの年となりますことから,二期目の選挙公約やマニュフェストに掲げてまいりました南四国をリードする35万都市高知の発展を図るため,「にぎわいとあんしんのまちづくり」を目標に,「自主・自立のまちづくり」「活力あるまちづくり」「安心・安全のまちづくり」の3つの重点施策に積極的に取り組むことといたしました。
 以下,重点施策について順次ご説明申し上げます。
 重点施策の一つ目としまして『自主・自立のまちづくり』につきましては,まず,財政再建の推進として,昨年3月に策定いたしました財政再建推進プランのうち単年度64億円の収支不足の改善とともに,「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」に基づく「健全段階,早期健全化段階,財政再生段階」に位置づけられる4つの財政指標の推移に慎重に対応しながら,徹底した行財政改革に取り組んでまいります。
 行政改革第2次実施計画に基づき進めておりますアウトソーシング推進計画の策定につきましては,平成19年度当初から全庁的な論議を重ねながら,対象となる事務事業ごとのアウトソーシングの手法や作業の工程等をまとめた計画案を策定いたしました。
 この計画案では,これまでの44項目の事務事業に春野町との合併に伴い新たに6項目を加えました50項目についてアウトソーシングを進めていくこととし,今後5年間で約220人の職員数の削減と20億円前後のコスト削減効果を見込んでおります。
 今後は,それぞれの事務事業ごとに関係の方々のご理解等も賜りながら,アウトソーシングに向けた取組を本格的に進めてまいりますとともに,地元企業や団体等が業務を受託しやすい環境整備やNPO団体の育成等にも努めてまいります。
 次に,平成20年度からの5年間を期間とする新定員適正化計画につきましては,最終年度となります平成24年度において,職員定数を現在の3,133人から440人削減する2,693人を目標数値に設定いたしました。
 この数値は,現在進めています定員適正化計画6.3パーセントの削減率を大幅に上回る14パーセントの削減率であり,厳しい目標数値ではありますが,全国の中核市の状況や本市の財政状況等を考えますと,組織のスリム化は喫緊の課題であり,アウトソーシングや事務事業の見直し,組織・機構改革等を進めることによりまして,着実に達成しなければならない目標であると考えております。
 また,財団等の外郭団体の見直し方針につきましては,本市が50パーセント以上出資・出捐している財団など12団体を対象としまして,業務と役割の見直し,組織の再編,経営改善の3つの視点から,それぞれの団体ごとに見直し方針を策定いたしました。
 見直し方針では,平成35年度までに財団法人高知市学校建設公社を廃止するとともに,財団法人高知市都市整備公社など4団体について,今後の役割について見直しや組織再編を行うこととしており,その他の団体につきましても,厳しい財政状況を踏まえた上で経営改善に向けた組織体制の在り方を検討していくこととしております。
 今後,さらに各団体とも連携しながら見直しに向けて取り組んでまいります。

 次に,平成20年度の組織・機構改革につきましては,本年1月1日の春野町との合併に伴います組織の見直しから期間が短いこともあり,安心・安全のまちづくり,合併後の課題解決や内部管理組織の見直し等の喫緊の課題に対応するための必要最小限の見直しにとどめました。
 具体的には,総務部に危機管理室及び人事政策室を,また,建設下水道部に技術管理課を新設いたしますとともに,新人事考課や目標管理,リスク管理等の制度構築について制度設計が組み上がりました改革推進室のほか,市町村合併対策課,防災対策課を廃止することといたしました。
 なお,平成21年度には,より効率的な行財政運営に向けまして,事務事業の見直しやアウトソーシングの推進,職員定数の削減等の進捗状況を踏まえ,大幅な組織・機構の見直しを行う必要があると考えておりますので,さらに具体的な検討作業を進めてまいります。
 次に,市民の皆様との協働で進めておりますコミュニティ計画の取組について申し上げます。
 コミュニティ計画につきましては,これまでに26地区で計画を策定し,各地区におきましてコミュニティ計画推進市民会議を中心に,交流や防災活動をはじめとします様々な活動に取り組んでいただいておりますが,これらの計画の多くは,策定後10年余りが経過しております。
 このため,昨年8月にこれらの計画の進捗状況について結果を取りまとめましたものを,本年3月中を目途に各地区の皆様方に順次ご報告しているところであり,今後の推進市民会議の活動に反映していただき,さらなる取組の充実を図ってまいりたいと考えております。
 また,新たにコミュニティ計画を策定いたします鏡地区,土佐山地区につきましては,まちづくりに意欲を持った職員による「まちづくりパートナー」を組織するとともに,現在,両地区の住民の皆様方に計画づくりへの参加を呼びかけているところであり,平成20年度からは両地区でコミュニティ計画策定市民会議を発足し,計画づくりに本格的に着手いたします。
 春野地区につきましては,平成20年度中に「まちづくりトーク」を開催し,それぞれの地域の実情や課題等について広く市民の皆様と意見交換を行いながら,今後のまちづくりに皆様方のご意見を活かしてまいりたいと考えております。
 次に,重点施策の二つ目としまして『活力あるまちづくり』について申し上げます。
 まず,本市の重要な都市基盤づくりとして進めております高知駅周辺都市整備事業では,高知市の新しいランドマークとしての「陸の玄関口」である新駅舎が完成し,去る2月26日に念願の鉄道高架への切り替えとともに,新駅の開業がなされました。
 これにより鉄道で南北に分断されていた本市の弱点であった南北交通が円滑に流れるようになり,市街地が一体化し道路交通の円滑化と利便性が向上し,災害救急時の対応,駅周辺の商業・業務施設の高度化の促進などが一層加速するものと期待しております。
 また,新しくオープンしました高知駅は,世界的にも珍しい木造大屋根の大架構構造で,高知県産材の杉を用いた大変美しい景観となっておりまして,今後,全国各地から施設見学者が増えるものと考えられます。
 旧駅舎が本年7月までに撤去されますと,市内中心部から,その美しい外観が多くの人々の眼にも明らかになってまいりますので,都市美としても秀逸なランドマークとなっています。
 また,高知駅北口広場の整備に引き続き,平成20年度には南口広場の整備に着手し,平成8年度から進めてまいりました事業の概成が近づいてまいりました。
 駅周辺の5つの拠点街区につきましては,去る2月18日に,県,市,JR四国,JR貨物の4地権者で機能的な都市空間づくりや景観への配慮を盛り込みました「よさこい咲都まちづくり協定」を締結したところであります。
 新駅の北東側に位置する市有地に立地が予定されています国の高知第2地方合同庁舎は,地上10階地下1階建て,延床面積約9,500平方メートルの規模になるもので,平成20年度実施設計,21年度から2か年の工期で建設され,高知地方法務局,高知税務署,高知財務事務所,自衛隊高知地方協力本部の4官署が入居する予定となっております。
 市有地以外の拠点街区については,開発の方向性が現時点では明らかにされておりませんが,今後も互いに連携しながら,県都の陸の玄関に相応しく,また,中心市街地とも連携がとれた回遊性のあるまちづくりに積極的に取り組んでまいります。

 次に,旭駅周辺地区の整備について申し上げます。
 旭地区は,宅地規模の比較的小さな老朽木造住宅が密集し,狭隘な道路も多いために,震災など防災対策上の観点からも街路や公園などの公共施設整備を進める必要があるとともに,密集住宅地の解消を図り,安心・安全のまちづくりを進めていくことが重要であります。
 このため,旭地区にお住まいの皆様方に対し,今後のまちづくりに関するアンケート調査等を実施してきたところですが,平成20年度には地域の現況や物件調査,地元の皆様方との勉強会等を実施し,今後の事業化に向けた手法等について具体的に検討し,平成23年度の事業認可を目指してまいります。
 次に,中心市街地活性化の取組につきましては,商業関係者,交通事業者,建築事業者,有識者の皆様で構成する中心市街地活性化基本計画検討委員会や庁内検討組織におきまして,旧中心市街地活性化基本計画の見直しや中心市街地内の既存計画の実情把握等に努めてまいりました。
 計画策定に向け検討を進めております「中心市街地の活性化に関する法律」に基づく基本計画として国の認定を受けるためには,概ね5か年の計画期間中に,中心市街地の活性化に確実に寄与するものと認められる数値目標を設定した具体的な事業を盛り込むことが必要となっております。
 このため平成20年度には,ソフト事業を含めた新規事業の検討や既存事業の掘り起こしを行うため,関係者や専門家の方々で構成する専門部会を設置し,中心商店街の魅力づくりや核となる拠点の形成,街なか居住の推進等について検討を進めてまいります。
 また,追手門から続く旧ダイエー敷地や追手前小学校周辺地域は,本市の商業,業務等の都市機能と土佐の歴史,文化,芸術が融合し,文化活動を創出する潜在的な可能性を秘めており,大型商業施設としての土地利用にとどまらず,学術,文化,芸術などの文教的要素を持つ複合的な土地利用を考えていく必要があります。
 こうした状況も踏まえ,中心市街地の核として中心商業地再生をはじめとします重要な拠点整備の在り方について具体的な検討をさらに進めてまいります。
 次に,雇用対策について申し上げます。
 高知市の雇用情勢は,本年1月の有効求人倍率が全国の0.98倍,高知県の0.50倍に対し,高知市を含む高知公共職業安定所管内では0.65倍と若干改善されておりますが,依然として厳しい状況であります。
 このため平成20年度は,若者就職応援セミナーを引き続き実施するとともに,国の新パッケージ事業である地域雇用創造推進事業としまして,経営者や従業者の方々を対象とする5講座と求職中の方々230名程度を対象とします9つの人材養成セミナーを開催することとしており,合同面接会も開催しながら,目標であります平成20年度99名の就職者実現に向けて,推進母体の雇用創出促進協議会と一体となって取り組んでまいります。
 また,企業誘致につきましては,平成18年度から事務系・情報系企業の誘致にも積極的に取り組み,平成18年度に2社,平成19年度1社を本市に誘致いたしました。
 平成20年度は,起業化等を行う企業に対する企業立地助成金について,新規雇用者一人当たりの助成額の増額や人材確保に係る経費に対する支援メニューの新設,助成限度総額の増額等による制度充実とともに,県と連携し,雇用・税収等の付加価値の高い製造業についての企業の誘致にも積極的に取り組んでまいります。

 次に,観光振興について申し上げます。
 平成20年度の観光振興の大きな柱であります「花・人・土佐であい博」は,「花と出合い,人に出会う。そして,土佐流のもてなしとのであい。」をコンセプトに3月1日から開幕し,平成21年2月まで県下で数多くの事業が繰り広げられます。
 本市で開催されます事業としましては,3月1日から開催中の「土佐のおきゃく」のほか牧野植物園開園50周年を記念しました「五台山花絵巻」が4月1日から3か月間,わが国最大級の花のイベント「ジャパンフラワーフェスティバル2008 inこうち」が,5月16日から3日間開催されることとなっております。
 本市としましては,「であい博」と連携して,昨年開催し高い評価をいただきました「高知城花回廊」や,世界的なフィギュアメーカー海洋堂の特別企画展「海洋堂の宝島」を新京橋プラザで4月下旬から8月末まで開催いたしますとともに,例年,実施しております花とみどりのまちづくり事業や花のよさこいタウン春花祭も関連事業として「であい博」を盛り上げ,本市への観光客の誘致拡大を図ってまいります。
 また,今月21日から開催されます女子プロゴルフトーナメント及び本年11月の男子プロゴルフトーナメントでは,本市周辺の会場で3日ないし4日間継続して行われる大会であり,多くのゴルフギャラリーの来高が期待できますとともに,ゴルフを目的としました高知市等へのリピータの確保や今後の観光面での誘客効果も大きいことから,積極的に開催を支援することとしております。
 次に,農林業の振興について申し上げます。
 高知市と旧春野町の農業産出額の合計は,平成18年で127億1千万円,県下全体に占める割合も約13パーセントで県内第1位となります。
 農家・農業者の状況につきましても,販売農家数2,129戸,認定農業者381経営体と共に県下の約1割を占めることとなり,本市は,今後の高知県の農業の振興において大変重要な役割を担うこととなります。
 このため,平成20年度は,本市農業振興の基本方針であります第10次高知市農業基本計画の見直しに取り組むとともに,県の補助制度を活用し,春野農業協同組合が建設する低コスト耐候性レンタルハウスへの助成等を行ってまいります。
 併せて,食品加工業などの企業や関係団体とも連携し,農産物や水産物の高付加価値化,ブランド化等による1.5次産業の振興に向け取組を一層進めてまいります。
 林業につきましては,近年の企業における社会貢献や温暖化への関心の高まりを受けまして,県の「環境先進企業との協働の森づくり事業」に参加する企業が増えております。
 本市におきましても,二酸化炭素の吸収による地球温暖化の防止と水源涵養に貢献する森林の整備促進を目的に,平成19年3月に株式会社四国銀行と「未来に鏡をから四銀・絆の森」パートナーズ協定を交わし,今後10年間,協賛金による支援をいただきながら,協定森林である市有林の整備を進めてまいります。
 なお,民間企業による森林整備の支援としましては,衛生機器のトップメーカーであるTOTO株式会社の水環境基金助成事業から,清流鏡川を守る市民の森プロジェクトとして植林を通じた森と鏡川の再生活動をしている,170名余りの皆さんが参加するボランティア団体「こうち森林救援隊」に対しまして,平成19年から3か年の予定で合計660万円を支援いただくこととなっております。
 この他,平成20年度は,多面的な役割を持つ森林機能の保全等を図るための森林の間伐や林道・作業道の整備,林業の担い手である森林組合等の行う高性能林業機械の整備に対する助成を行ってまいります。
 市民の森の整備につきましては,一昨年,市民の森に選定しました雪光山,焼野の森,工石山につきまして,整備計画に基づき駐車場や看板等の整備を順次進めてまいります。

 次に,中山間地域の振興について申し上げます。
 全国的に中山間地域の活力は衰退傾向にあり,地域が本来持っております国土・自然環境の保全等の国民生活にとって欠かせない多面的機能の低下が懸念されています。
 本市の中山間地域においては,これまで集落単位で農道,水路などの管理が行われ農業経営が維持されてきましたが,若者の流出による人口の減少や高齢化の進行で,集落機能の維持が危ぶまれる状況にあります。
 こうした状況の中,中山間農業の振興策の一つとして,生産・加工・流通の基盤があり長期的かつ安定的な取引と需要の拡大が見込めますユズの生産拡大を図るため,果樹専門の営農指導員を配置し,ユズ栽培指針の作成や営農技術の確立に取り組んでまいりました。
 平成20年度には,主なユズ酢の取引先である旭食品株式会社と5年間の協定を締結し,ユズ生産の中山間地域全体への普及などの中山間農業の振興に支援をいただくこととなっております。
 次に,重点施策の三つ目としまして『安心・安全のまちづくり』について申し上げます。
 まず,少子化対策について申し上げます。
 都市化や核家族化等により子育ての孤立化が大きな課題となっておりますが,子育てしやすい環境づくりは本市にとりまして重要な施策の一つであり,本年1月からは生後4か月までの乳児のいる全てのご家庭を訪問し,育児不安等の相談に応じる「こんにちは赤ちゃん事業」を開始いたしました。
 また,平成20年度からは,妊娠・出産にかかる経済的な不安の軽減や積極的な妊婦健診の受診を図るため,公費負担を年2回から年5回に拡充するとともに,平成16年度から実施しています不妊治療費用の助成を継続してまいります。
 次に,施設の老朽化等に伴い,従前の田渕保育園の敷地内に統合し建設いたします下知・田渕統合保育園は,入所定員180人の規模で本年4月から建設工事に着手し,平成21年1月頃に完成する予定となっております。
 本年4月には下知保育園・田渕保育園を廃止しまして,新たに,現在,合同保育を実施している下知保育園を「さえんば保育園」としてスタートさせ,平成21年4月には新しい園舎に移動し,来る南海地震への対応を図るとともに,ゼロ歳児の受入れを行うなど保育内容の充実を図ってまいります。
 次に,高齢者福祉の推進について申し上げます。
 現在,本市の高齢者人口は約7万4千人余り,高齢化率21パーセント台でほぼ全国平均並みで推移していますが,2040年には3人に1人が高齢者という推計がされています。
 来年度早々には,75歳以上の後期高齢者数が65歳以上75歳未満の前期高齢者の数を上回り,今後,介護認定者の重度化が予測されるところです。
 医療制度改革に伴う療養病床の削減・廃止につきましては,高知県地域ケア体制整備構想において,県下の療養病床6,793床を平成24年度には3,082床にまで削減する計画であり,その転換先としては,老人保健施設などの介護保険施設や有料老人ホーム等への入居又は在宅での生活を想定しております。
 今後,療養病床を有する医療法人の転換意向調査や,転換先施設,転換の時期等を把握する必要がありますので,県と連携を密にしながら円滑な転換が行われるよう取り組んでまいります。
 また,こうした動向を見極めながら,高齢者保健福祉に関するアンケート調査等により実態を把握して,適正な介護保険料の推計を行い,平成21年度から平成23年度までの第4期介護保険事業計画及び高齢者保健福祉計画を策定してまいります。
 次に,後期高齢者医療制度について申し上げます。
 本年4月からスタートします後期高齢者医療保険制度につきましては,現在,高知市において被保険者となられます約3万7千人の皆様に対し,新しい保険証の郵送準備を進めております。
 しかしながら,未だに本制度の対象となられる方々への周知不足が危惧されており,制度開始後の混乱を防ぐためにも,広報あかるいまちなどで,再度,新制度についてお知らせするとともに,ご要望があれば老人クラブなどの団体等へも出張し説明会を実施するなど,保険料額や支払方法・納付時期などの周知活動に一層努めてまいります。

 次に,食育及び地場産品の活用促進につきましては,市民の皆様が生涯にわたり健全な心身を培い,豊かな人間性を育み,豊かな食生活が実現できることを目標に取り組んでいるところです。
 平成20年度は,指針となる高知市食育推進計画及び地産地消推進計画の策定や,食育・地場産品活用推進に重点的に取り組む学校の指定と実践発表会の開催,食育指導用リーフレット等を活用した普及啓発等とともに,布師田小学校におきまして周辺地域で生産されるお米を学校給食に使用するための自校炊飯施設の整備を行ってまいります。
 次に,成人の健康づくりについて申し上げます。
 本市が老人保健法により実施してまいりました基本健康診査は,平成19年度末で終了し,平成20年度からは生活習慣病の解消を目的として各保険者が実施する特定健診・特定保健指導が開始されることとなりました。
 このため,国民健康保険の加入者の方々を対象として,これまでの集団健診方式から個別健診方式に移行するなど,身近で検診が受けやすい体制を進めてまいりたいと考えております。
 また,死亡原因の第1位である,がん死亡の縮減を図るため,大腸がん検診を個別検診に移行し,自己負担金を無料化することにより検診受診率の向上を図ってまいります。
 肝炎対策では,平成20年度の国の緊急措置法に基づき無料の肝炎ウイルス検査を実施します。
 次に,高知医療センターの運営状況について申し上げます。
 高知医療センターは,この3月で開院から3年が経過しましたが,これまで扱うことができなかった手術の実施や症例を扱うなど,県内全域をカバーする短期・急性期型の高度な医療を提供できる施設となっております。
 昨年は,目標としておりました地域医療支援病院の承認も受け,成果が着実に現れてきております。
 しかしながら,平成19年度の経営状況は,患者数が計画数値を下回る見込であり,費用面でも材料費の増嵩などにより大変厳しい状況となっており,平成20年度からは新たに職員宿舎の割賦償還が始まることもあり,今後とも厳しい状況が続く見通しであります。
 昨年12月には市議会の皆様方から経営改善を強く求める決議をいただいたところであり,高知医療センターにつきましては,より一層の経営改善を求めていくとともに,市民,県民のために良質の医療を提供する大切な医療機関として,今後とも県と共同して運営を支援してまいりますので,よろしくお願いいたします。
 次に,(仮称)総合あんしんセンターの整備につきましては,旧市民病院の解体工事が本年1月に終了しましたことから,平成22年4月のオープンを目指し,約2か年の建設工事に着手してまいります。
 また,今後は保健・医療・防災機能を備えた総合的な拠点施設としての体制づくりに向けて,新施設に参画されます医師会・歯科医師会等と連携し取り組んでまいります。
 次に,本市の小中学校における学力向上の取組について申し上げます。
 平成19年4月に実施されました全国学力・学習状況調査の結果,本市の小学校6年生では,ほぼ全ての領域において県平均を上回り,全国平均をも上回る状況でありましたが,中学校3年生では,国語・数学の知識問題・応用問題ともに全国平均を大きく下回る大変残念な結果となりました。
 この調査の結果を受けまして,教育委員会では,小規模校1校を除きます中学校18校に学力向上支援員を配置するとともに,家庭における学習環境づくりを促すための保護者向け啓発リーフレットの配付,中学校1年生と2年生の生徒全員に家庭学習の定着を図るための基礎問題集の配付等の取組を進めるとともに,平成20年を本市の「授業改革元年」と位置づけて,特に中学校における授業改善の取組を一層推進してまいります。

 次に,児童虐待の対応について申し上げます。
 本年2月3日に南国市において,母親の内縁の夫から暴行を受けた小学校5年生が翌日亡くなるという大変痛ましい事件が発生いたしました。
 近隣の住民の方々,学校,警察,児童相談所が,この児童が虐待を受けている恐れがあるという認識を持っていたにも関わらず,結果としてこの児童の命を救うことができなかったことに大きな悲しみと衝撃を受けております。
 児童虐待の問題への対応は,いじめの問題への対応と同様に,子どもたちの立場に立つことが最も重要であると考えます。
 本市の学校におきましては,子どもの様子に変化があった場合には,時を置かずに家庭訪問を行い,直接,子どもや家庭の状況を確認することを徹底しますとともに,子どもたちや家庭への支援の充実に向けて高知市要保護児童対策地域協議会を設置し,強化を図っているところです。
 なお,現在,緊急度の高い事案につきましては,教育委員会から児童相談所長に直接対応を要請しておりますが,今後も,学校で子ども一人ひとりの様子や状況を把握するなど虐待の早期発見に努めるとともに,関係機関との連携強化を図ってまいります。
 次に,本市教育の最重点課題として取り組んでおります不登校対策について申し上げます。
 教育委員会と学校現場が一丸となって進めております,不登校を生じさせない学校づくりの取組によりまして,不登校児童生徒数は年々減少傾向にあるものの,特に中学校におきましては,今なお全国平均を上回る発生率となっております。
 しかしながら,この取組によって,過去最高の高校進学率の確保や進路未定者の大幅な減少,校内における暴力行為発生件数の減少など,一定の成果が現れてきたものと考えております。
 今後におきましても現在の取組をさらに充実させるとともに,スクールソーシャルワーカー配置事業など国・県の事業も積極的に活用し,本市独自の事業である教員補助員の配置や学習チューターの派遣等についても継続しながら,子ども一人ひとりの学びが保障される魅力ある学校づくりをさらに進めてまいります。
 次に,本年度,本館のリニューアルや東別館の建替え等を実施いたしました工石山青少年の家につきましては,今月22日にリニューアルのオープンセレモニーを本館玄関前で開催いたします。
 同施設につきましては,青少年の健全でたくましい心と身体を育むための施設として,今後も,高知市内の子どもさんたちはもとより,多くの皆様方に新しくなった施設をご利用いただけるよう,学校の集団宿泊訓練や野外体験活動などの誘致に努め利用者増を図ってまいります。
 次に,(仮称)江ノ口コミュニティプラザの整備につきましては,昨年6月の建築基準法の改正に伴う設計の見直しが必要となったため着工が遅れておりましたが,平成21年度早期の完成を目指し建設工事に着手します。
 新しい施設は,「だれもが安心して利用でき,たびたび来てみたくなる施設」を基本理念に,図書館の機能を一層充実させるとともに,市民の皆様の自主的なコミュニティ活動や生涯学習の場としてコミュニティサロン,会議室,和室,最大150人収容のコミュニティホール等を備えるとともに,災害時における避難場所としての機能を併せ持つ施設として整備してまいります。

 さて,今年はオリンピックの年であり,本年8月には中国北京で「第29回夏季大会」が開催されます。
 昨年8月に開催された世界陸上大阪大会では,海外から参加選手の事前合宿の受け入れを行い成功裏に終わりましたが,本年も引き続き北京オリンピックに向けポーランド共和国,スロバキア共和国,オーストラリアの陸上競技連盟から再び高知での事前合宿を希望する旨の連絡をいただいており,日程調整を行っているところです。
 4月には県・市で招致委員会を設置し,多くの国々の選手が合宿のために来高いただけるよう,万全の受け入れ体制を整備してまいります。
 次に,日本スポーツマスターズ2008高知大会について申し上げます。
 本大会は,競技志向の高いシニア世代を対象としたスポーツの祭典で,本年9月19日に開会式を行い9月26日までの間,高知市を中心とします34会場において13競技が開催されます。
 本市では,県立春野総合運動公園でのサッカーや東部総合運動場くろしおアリーナの水泳など20会場11競技が行われることとなっており,全国から選手や監督,役員の方々など約7,000人の参加が見込まれています。
 この大会の開催に当たりましては,大会の機運を高めるための事前イベントの開催とともに,大会期間中には,生涯スポーツのより一層の普及や振興を図るためのシンボルメンバーによるスポーツ教室などを開催し,全国から高知を訪れる皆様を温かくお迎えし,心に残る大会にしていただけるよう準備を進めております。
 次に,防災対策について申し上げます。
 平成19年度には,3月の能登半島地震や7月の新潟県中越沖地震など大きな地震が相次いで発生し,特に新潟県においては平成16年の新潟県中越地震の復興途上の中,3年間で2度の大災害となりました。
 本市としましては,こうした災害を教訓として,地域防災力の向上が喫緊の課題だと考えており,自主防災組織の育成強化や現在38パーセントと低水準にある組織率の向上,地域での防災活動の中心となる防災リーダーの養成,市民の防災意識の啓発等に向けて積極的に取り組んでまいります。
 また,津波対策では,防災拠点施設として約800人を収容できる避難スペースと消防団屯所を併設した4階建ての(仮称)種崎地区津波避難センターの建設に着工し,平成20年度内の完成を予定しております。
 災害時の市民の方々への情報提供や情報収集にとって重要な防災行政無線につきましては,老朽化により早急な整備が必要となっています中山間地域の固定系防災行政無線の今後の整備方法について具体的な実施設計に着手してまいります。
 次に,学校施設の耐震化について申し上げます。
 学校施設の耐震化につきましては,耐震診断により耐震性が不足していると判定されました秦小学校北舎,新堀小学校校舎,初月小学校北西舎の補強工事を,国の補正予算に合わせ平成19年度3月補正予算で前倒し実施いたします。
 また,平成20年度当初予算では,五台山小学校西舎,西部中学校北西舎の耐震補強設計を行うとともに,平成18年度に策定した高知市立小中養護学校施設耐震化計画に沿って,江ノ口小学校北舎,潮江東小学校北西舎,青柳中学校東舎の耐震診断を行ってまいります。
 また,児童数の増加に伴いプレハブ校舎での対応を余儀なくされています初月小学校につきましては,構造上危険な状態にあると診断された3階建の北東舎を平成20年度から22年度までの3か年の継続事業で5階建校舎に改築し耐震化を図ってまいります。
 次に,本市のシンボルである鏡川の清流保全について,「川を守るのは森が健康であり地域が元気である」という新たな視点に立ち,鏡川を「森と海とまちをつなぐ環境軸」として位置づけ,新鏡川清流保全基本計画による取組を進めております。
 平成20年度は,鏡川流域の残された自然の保護や環境の再生により,天然アユの100万尾遡上を目指し,鏡川水系における生態系,増殖の条件を探るための遡上及び流下調査を行うとともに,生息環境の改善など生態系に優しい川づくりを進めてまいります。
 また,流域全体で一丸となって清流保全の取組を進めていくため,漁協や森林組合などの関係団体,NPOや釣団体,土佐山・鏡地区の地域づくり団体などで構成する「鏡川流域ネットワーク」を立ち上げ,鏡川を機軸として源流から河口までを包括した「交流・連携・共生」が図られる循環型流域圏の構築に取り組んでまいります。

 以上,重点施策についてご説明を申し上げましたが,平成20年度一般会計の当初予算規模は,対前年度当初比91億円増(7.3パーセント増)の1,331億円,国の平成19年度補正予算に伴う3月補正予算への前倒し分を含めました実質的な予算規模も対前年度当初比7.3パーセント増であり,平成16年度から4年ぶりの増加となりました。
 この要因としましては,旧春野町関係分として約52億円を予算計上しますとともに,満期一括償還を行う公債費が31億円ありますので,これを除く実質的な伸び率は0.6パーセントとなっています。
 また,全会計の予算規模は,本年4月から後期高齢者医療制度が開始されますことから後期高齢者医療事業特別会計を新たに設置し,高知県後期高齢者医療広域連合への負担金など40億円余りを予算計上いたしましたが,同制度への移行に伴う老人医療事業や,昨年9月にオールスター競輪が開催された収益事業で予算規模が縮小しましたことから,純計では2,416億9,077万余円,対前年度当初比9.6パーセント減となっております。
 平成20年度当初予算では,市税や地方交付税等について年間収入見込額を計上しますとともに,財政調整基金や減債基金の取崩し等により財源の確保に努めました。
 平成19年度補正予算につきましては,連続立体交差や港湾等の県営工事負担金,小学校施設の耐震補強整備等の国の補正予算関連事業,退職手当など,補正総額は全会計純計で34億3,170万余円となっております。
 これらの補正財源は市債等の特定財源のほか,一般財源として地方交付税等を充当いたしました。
 次に,予算外議案について申し上げます。
 条例議案は,法令の改正等によるものなど21件です。
 この中で市第22号議案は,平成20年度の機構改革に伴い,企画財政部及び総務部の事務分掌を変更するものです。
 市第23号議案は,本年4月からの後期高齢者医療制度に係る特別会計の設置を行うものです。
 市第34号議案は,下知保育園及び田渕保育園を廃止し,新たに「さえんば保育園」を設置するものです。
 市第41 号議案は,今後の一般廃棄物処理施設の整備に要する経費に充てるため,廃棄物処理施設整備基金を設置するものです。
 その他議案は,包括外部監査契約締結議案,指定管理者の指定に関する議案,市道路線の廃止・認定議案,高知駅周辺地区及び潮江西部地区における町の区域の変更等に伴う町界の見直し等に関する議案,工事請負契約締結議案など21件です。
 報告7件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。