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第404回高知市議会定例会市長説明要旨(平成19年9月11日)

 第404回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
 議案の説明に先立ち,まず国政の動向について申し上げます。
 去る7月29日に実施されました参議院選挙では,民主党が改選議席121の約半数に当たる60議席を獲得し躍進する結果となりました。
 その要因は様々な分析がされていますが,特に,国が進めてきましたこれまでの構造改革路線の推進が地域経済の活性化や地域雇用の創造にまで十分に波及せず,地域間格差がさらに拡大してきたことが,与党として地方の有権者の支持を得ることができなかったのではないかと考えます。
 厳しい雇用状況にある本県の実情を踏まえ,第二期地方分権改革の推進では,住民本位の真の分権型社会の実現に向けて,国と地方の役割分担の明確化とそれに見合った財源を確保するため,地域間の財政力格差に配慮した地方税財政基盤の確立を目指し,国に対し強く働きかけてまいります。
 財務省の平成20年度一般歳出の概算要求基準では,本年6月に閣議決定されました「経済財政改革の基本方針2007」を踏まえ,引き続き徹底した歳出全般にわたる見直しを行うことによる歳出抑制と予算配分の重点化・効率化の実施,プライマリーバランスの改善を目的とする国債発行額の抑制の2点が基本的な考え方として位置づけられています。
 具体的には,高齢化の進展に伴い7,500億円の自然増が見込まれる年金・医療費については制度改革等によって2,200億円の削減・合理化を図ることや,公共事業関係費について昨年度と同じ対前年度比3パーセント減などが示されたほか,地方財政についても人件費や地方単独事業等の徹底した見直しにより引き続き歳出規模を抑制することが示されており,依然として厳しい内容となっています。
 このため,本年12月に策定されます地方財政対策につきましても,大変厳しい内容になることが予測されることから,今後の国の動向をさらに注視していく必要があります。
 本年10月から始まります本市の平成20年度当初予算編成作業では,市民の皆様の生活を守り,地域の活性化をさらに進めることを大きな命題として,全事務事業の総点検やアウトソーシング推進計画などの内容を詰めながら,より簡素で効率的な行財政運営を進めるため,強い決意を持って取り組んでまいります。
 以下,当面する市政課題と提出いたしました議案に関連し,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

 まず,最初にアウトソーシングの推進や事務事業の抜本的な改革など,事務事業の総点検に関する取組状況について申し上げます。
 本年3月に策定いたしました行政改革第2次実施計画では,平成19年度から3か年で一般財源ベース190億円の収支不足の解消と,平成24年度までに市民130人当たり一人の職員数に総定数を削減することを目標に,現在すべての事務事業について総点検を行っております。
 本年4月からは,市民生活を守り,財政を破綻させないという強い姿勢の下,すべての職場で取組を開始し,7月から8月のサマーレビューや行政改革推進本部会等での論議を重ねて今般基本方針をとりまとめました。
 このうち事務事業の抜本的な改革については,事務事業をゼロベースから見直すため,まず事務事業の法的な整理を行い,法律で実施が義務づけられているものや人事,財政,庶務事務など組織運営のために必要とされる内部管理事務を行政が担うべき事務事業として位置づけております。
 今後は,その他法的な義務づけのない事務事業について,市政の重点課題や市民生活への影響等を考慮しながら,行政として実施しなければならないものをその中から抽出するとともに,事業の必要性や効果が薄いと判断される事務事業については廃止に向けた検討を行ってまいります。
 また,アウトソーシングの推進については,財政再建への対応はもとより,効果的・効率的な行政運営を実施するために限られた財源と人員の重点配分を目的として,行政が直接担うべき明確な根拠のないものや,アウトソーシングによってコストの削減が見込めるもの,他都市に先進事例があるものなどを抽出検討し,その対象業務を選定いたしました。
 具体的には,市立保育園の統廃合や一部民営化,学校給食調理業務の学校ごとの民間委託の試行,水道局料金課業務の民間委託,一部直営業務を残した上でのごみ収集業務の民間委託など,44項目の事務事業をそれぞれ平成22年度までの短期,平成24年度までの中期,平成25年度から平成29年度までの長期に区別し,アウトソーシングを進めることとしております。
 アウトソーシングの実施は,県内の有効求人倍率が0.50倍と依然として低水準の中で,民間企業等に業務を委託することによって雇用の場を確保する観点からも有効な取組であり,地元企業等で対応できない特殊技術などが必要な場合を除いて,基本的には地元企業を中心に委託していくほか,対象業務の内容によっては,高齢者の方々や障害者の皆様方が構成する団体等にその受皿となっていただくことが社会参画などの面からも有効な場合もありますので,地域団体やNPO団体などの育成も視野に入れながら,アウトソーシングを実現してまいりたいと考えております。
 また,不燃物収集でのごみ分別作業など,市民の皆様には様々な場面で常日頃から大変なご協力をいただきながら事業を行っておりますが,厳しい財政状況の中で,さらに市民の皆様との協働という視点も取り入れながら取組を進めてまいります。
 今後,アウトソーシングの対象事務事業につきましては,実施に向けた各職場における検証や関係団体等との調整を進めるとともに,議会の皆様や関係者の方々のご意見をお伺いしながら,来年3月には詳細なアウトソーシング推進計画を策定し,順次実施してまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 次に,春野町との合併に伴う来年1月1日からの機構及び職員定数について申し上げます。
 まず,機構につきましては,合併後の新しい市政運営が計画的かつ効率的に実施できること,そして市民の皆様にわかりやすい組織であることなどを基本に,春野町の地域特性や合併協議の経過等を踏まえ,円滑な事務の移行と行政区域の拡大等に対応できる体制としております。
 具体的には,合併後の一定期間,春野町の現行制度を継続するため,ごみ・し尿収集処理業務を担当します「春野環境センター」を環境部に設置,春野地域の主要産業である農業を中心とした地域振興施策を担当する「春野地域振興課」を農林水産部に新設するとともに,春野庁舎に窓口センターを設置するなど,春野地域の発展と市民サービスの確保に重点を置いた機構としております。
 併せて春野地域における市民の皆様からのご要望や課題等に対して的確な対応を図るために,庁内横断的な調整役割を担う春野振興担当参事を企画財政部に設置することといたしました。
 また,職員定数に関しましては,組織の拡大に伴う今回の機構見直しと合併による職員の定数削減効果を勘案し,合併前の両市町及び仁淀消防組合の合計定数3,233人と比べて100人の定数を減じた3,133人の総定数といたしました。
 現在進めておりますアウトソーシングの推進や事務事業の抜本的な改革の取組によりまして,5年後の平成24年度までには400人の定数をさらに削減し,職員定数2,700人を目指す新定員適正化計画を来年3月を目途に策定してまいります。

 次に,追手前小学校をはじめとする特認校の検証と今後の方向性について申し上げます。
 特認校制度は,平成13年4月から市内の小学校8校・中学校1校において開始され,平成18年度には土佐山中学校が新たに指定され,現在は合計10校で特認校制度を実施しております。
 教育委員会では,本年度,特認校制度を開始して7年目を迎え,制度開始時に入学されました児童が本年3月に卒業するという6年間が経過したこの時期を大きな区切りとして,本年4月に高知市学校規模問題検討委員会を設置し,特認校1校ごとに教育効果や教育環境の観点からその成果や課題を検証するとともに,その他の小規模校も含めた今後の方向性について検討し,本年7月末に報告書としてまとめていただいたところです。
 この報告書では,周辺部に位置する御畳瀬小・浦戸小・久重小・行川小の4小学校及び行川中・土佐山中の2中学校については,本制度により転入学児童生徒数が大きく増加することはないものの,「小規模校の特性を活かしたきめ細かな支援や指導を希望する児童生徒や保護者の方々にとって,本制度の果たしている役割は大きいものがある」とまとめられております。
 また,中心市街地に位置する新堀小・追手前小・第四小・第六小の4小学校については,特認校制度により児童数・学級数が増加するとともに,学校の教育活動の活性化をもたらしたことが成果として挙げられております。
 一方,本制度の課題としては,緊急時や災害時における児童生徒の安全確保の問題や家庭との連携の難しさが挙げられております。
 本検討委員会では,これらの成果や課題を踏まえ,特認校10校の今後の在り方を検討し,「特認校制度そのものは継続しながら,一部の学校では募集人数の制限等の新たな手立てを講じるとともに,今後も各学校における児童生徒数・学級数の推移を見守り,学校によっては統合も視野に入れた検討をしていく」との結論に至っております。
 特に,焦点となっております追手前小学校につきましては,校区内と校区外の児童の割合が3対7と不均衡な状況となっており,本来,地域に見守られ,その支援の下で教育を行う公立小学校の在り方という点では大きな課題も出ていることから,「特認校制度の募集人数を,校区内児童と同程度に制限していくことが望ましい。この特認校制度の継続については,学校施設について早期に耐震化のための抜本的な改修を行うことが前提条件となる。しかしながら,本市財政が未曾有の厳しい状況の中で,この抜本的改修による多額の財源確保には相当の困難を伴うものと予想される。施設の抜本的な改修のための財源が保障されない場合には,統合も視野に入れた検討がなされることになるが,将来本校の統合が行われることがあったとしても,現在在学している児童が卒業するまでの間は,本校で教育を受けられることを保障すべきものであると考える」と結論づけております。
 また,周辺部に位置する御畳瀬小学校につきましては,「特認校制度導入後も児童数増とはならず,今後の推計児童数からみても,本校の複式学級を解消することは困難であると考える。当面は特認校制度を継続しながら,近隣の小学校との統合も視野に入れた検討が必要である」と報告されております。
 この御畳瀬小学校につきましては,現在全校児童数が21名となっており,少人数による教育上の様々な課題や複式学級における授業の困難性が指摘されております。教育委員会では,今議会終了後,保護者の方々と協議を行っていくとの報告を受けており,今後の動向を注視しながら対応を検討してまいります。

 次に,この特認校制度に関連しまして,追手前小学校の今後の対応について申し上げます。
 まず,子どもたちに安全な教育環境を保障していくためには,将来に向けて安全で安心して学べる学校施設を整備していくことが重要であると考えております。
 現在,本市では105棟という大変多くの耐震補強が必要な校舎を抱えており,限られた財源の中でできるだけ効率的かつ速やかに耐震化工事を進めていく必要性に迫られているところです。
 本市の未曾有の厳しい財政状況の下で,向こう3年間だけでも190億円の財源不足が生じる見込であり,中心市街地4校の施設整備を考えた時に,残念ながら追手前小学校と新堀小学校の学校施設の整備を別々に実施できる財政状況ではありません。
 現在両校の学校施設は,早期の耐震化のための抜本改修が必要な状況となっており,限られた財源と将来の子どもたちの安全性を考え合わせますと,追手前小学校と新堀小学校とを合併統合し,新しい学校として施設整備を行うべきであると考えております。
 次の南海大地震の発生に備えて,限られた財源の中で,できるだけ速やかに子どもたちが安心して学ぶことができる学校施設の整備をしていく必要があると判断し,学校設置の権限を有する者として,追手前小学校と新堀小学校とを合併統合し,両校のすばらしい伝統とそれぞれの優れた教育特色を取り入れた新しい学校を設置してまいりたいと考えております。
 そして両校の合併統合の時期についてでありますが,平成19年度に現に追手前小学校に在学されている子どもさんたちにつきましては,教育委員会の報告書にあるように,追手前小学校において卒業ができるように配慮すべきであると考えています。
 そのことを踏まえますと,追手前小学校と新堀小学校の合併統合による新校の設置時期は平成25年4月1日を想定しております。
 前身の成章学舎から数えると135年という伝統ある追手前小学校と,昭和22年に第一国民学校と第二国民学校が合併統合してできた60年の伝統を持つ新堀小学校が,さらに合併統合し,新しい学校が誕生していくことには,それぞれの学校に在学中の子どもさんたちや,伝統ある両校の大変多くの卒業生の皆様方にとりまして,深い寂しさと言い難い思いがあるものと推察され,そのことを考えますと,私自身大変申し訳なく残念な思いも強く感じておりますが,子どもたちの安全を守るべき立場にある学校の設置者として,苦渋の選択をせざるを得ないと判断しており,ご理解を賜りたいと考えております。
 市議会でも様々なご論議をいただきながら,統合の決定についてのご判断をいただき,今後両校を統合するということになりますと,平成24年度までには新堀小学校の既存校舎の耐震化を含め,学校施設全体のリニューアルを目的とする工事を完成させ,平成25年度入学から統合後の新しい学校をスタートさせたいと考えております。
 今月8日には,追手前小学校の保護者の皆様と意見交換会を実施し,大変多くのご意見をいただきましたが,今後,議会の皆様方のご意見等もお聞きしながら課題への対応をしてまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 また,両小学校が合併統合し,新しい学校が現在の新堀小学校敷地に設置されるということになりますと,帯屋町二丁目の中心商業地の一画に位置し,市民共有の貴重な市有財産であります追手前小学校の敷地約1万平方メートルの有効活用の検討が必要になってまいります。
 本市の中心市街地は,城下町として商業,業務,居住等の様々な機能が集積・繁栄する中で,特色ある文化や伝統を育んできた「高知の顔」ともいうべき重要な地域であります。
 特に,追手門から続く追手筋周辺は,図書館・文学館,公立・私立高等学校,県立女子大学のある文教地域であるとともに,土佐の文化を代表する日曜市,そして,よさこい祭りなどのメイン会場でもあり,高知の伝統ある文化の発信基地として,今後もその歴史と文化を継承しながら,新しい時代の歴史と学術・文化を築きあげる重要な場所であると認識しております。
 こうしたことからも,追手前小学校敷地の活用につきましては,学術と文化振興,産学官連携,情報発信などをテーマとするまちづくりを主体に考えており,学校が合併統合し移転した場合の市有地の高度利用のひとつとして,県市共々,近い将来に建替えが必要となっておりますそれぞれの図書館を新しい時代に対応した幅広い年代層で利用可能な情報のメディアセンターと生涯学習の機能を持つ,多くの県民市民の皆様が幅広く活用できる公共公益施設として整備することなどをイメージしております。
 また,当該地域と近接します本市の中心商業地域では,商店数,従業員数,年間販売額,歩行者の通行量などの衰退が急速に進んでおり,既に撤退したダイエー敷地の民有地も含めた土地の有効活用が,今後の地域商業活性化の鍵を握ることになります。
 現在,中心市街地活性化の取組では,国のまちづくり三法の改正の主旨も踏まえながら,現行の中心市街地活性化基本計画を見直し,新たな基本計画を策定するため,諸条件の整理や方向性の見極めなどの作業を行っております。
 本年7月18日には地元関係者・有識者・行政で構成する中心市街地活性化基本計画検討委員会を立ち上げ,初会合を開催したところであり,今後,委員の皆様や関係の皆様からご意見をお伺いしながら,長期的な視点も踏まえ,本年度末を目処に中心市街地の活性化に向けた方向性を整理してまいります。
 次に,中心市街地への都心キャンパス構想につきましては,現在,国立大学法人高知大学のキャンパスがあります朝倉地区の皆様が中心となって,大学の移転構想に反対する活動も行われておりますが,少子化の進行や道州制の論議が高まり国立大学法人の統廃合が懸念される状況の中で,今回の都心キャンパス構想は単に大学の一部施設が移転するということではなく,広く一般市民の皆様も通い学べることができる開かれたオープンキャンパスとしての整備も含まれた構想になるのではないかと考えております。
 本市にとりまして,高知大学は産学官の地域連携の大変重要な機能を持つ大学であり,高知大学の新しい都心キャンパス構想は,大学存続のための有効な手段として国に対してもアピールでき,また,併せて本市の重要課題であります産学官連携の拠点づくりとしても大変大切な役割を担っていただけるものであると期待するところです。
 今後,多方面の皆様方に様々な角度から多くの論議をいただきながら,大学の存続に向けまして高知大学と今後とも連携を密にしてまいりたいと考えております。

 次に,高知県が実施する連続立体交差事業と本市が施行中の土地区画整理事業,県市で進める関連街路事業の3事業からなる高知駅周辺都市整備について申し上げます。
 関係者の皆様方のご協力とご努力によりまして平成19年度末の事業の進捗率は,連続立体交差事業及び土地区画整理事業ともに90パーセントを超える見込みとなっており,今年度末には新駅舎開業と鉄道高架の切替えを行い,平成20年度末には南駅前広場を含めましてすべての事業を概成させたいと考えています。
 この土地区画整理事業の推進に当たりましては,市有地の仮設店舗に入居されておられました皆様方をはじめ,事業区域内に事業の着工前からお住まいになっておられました皆様や事業者の方々の深いご理解とご協力をいただきましたことにつきまして,改めまして心から敬意と感謝を申し上げます。
 本年8月下旬には,地上から立ち上がった柱が高架橋をすっぽりと覆う構造が日本では例を見ない形態となる,高知市の新しいランドマークの県内産の杉材を活用した高知駅舎の大屋根が完成いたしました。
 また,本市が実施しています29.5ヘクタールの土地区画整理では,幹線街路や南北駅前広場,公園等の公共施設の整備を行っており,このうち高知駅を中心とした約3.2ヘクタールの拠点街区につきましては,土地の高度利用を図るとともに,にぎわいのあるまちづくりを進め,地域に居住されます市民の皆様方の利便性の向上と秩序あるまちの発展を目指しています。
 この拠点街区の北東に位置する市有地については,国の合同庁舎誘致に向けて根気強く関係省庁と交渉を進めてまいりましたが,この度,平成20年度予算の概算要求に高知第2地方合同庁舎整備費が計上され,本市の長年の努力が幸いにして実現することとなりました。
 現在の国の計画では,平成22年度中の完成を目指して,地上10階地下1階建て,延べ床面積約1万平方メートルの建築規模で,高知税務署,高知地方法務局,高知財務事務所,自衛隊高知地方協力本部の4機関の職員,合計約300人の方々が勤務する合同庁舎となっております。
 これまで誘致に向けて多大なご支援とご協力を賜りました議員の皆様方や関係の皆様方に対しまして,この場をお借りして心より感謝を申し上げます。
 今後は,残る拠点街区についてもできるだけ早期に方向性が決定しますよう地権者の方々と連携しながら,県都の陸の玄関にふさわしいまちづくりに積極的に取り組んでまいります。
 次に,地域提案型雇用創造促進事業について申し上げます。
 全国的に景気の拡大が続く中,本市では景気回復の遅れから求人が低迷し若者の県外流出や建設業の倒産が相次ぐなど,極めて厳しい雇用情勢となっています。
 このため,平成16年度から企業誘致や若年層を対象とする独自の雇用対策事業に取り組んでまいりましたが,より効果的な取組による総合的な雇用対策の充実強化が課題となっており,平成18年度から国の事業導入に向けて準備を進めてまいりました。
 本年6月の地域雇用開発促進法の改正により国の直轄事業である地域雇用創造推進事業,いわゆる「新パッケージ事業」が設置されました。
 高知商工会議所や高知県経営者協会などとともに高知市雇用創出促進協議会設立準備会を設置し,事業構想を作成してまいりましたが,この事業構想が去る7月19日にほぼ提案どおり国の事業採択の内示をいただきました。本年度は,採択枠35地域に対して全国60地域から応募があり,大変厳しい競争の中,本市の提案が採択され,事業構想策定にご協力いただきました関係の皆様方のご尽力の賜物であると心より感謝申し上げます。
 内示を受けまして8月には,事業実施主体となります高知市雇用創出促進協議会を正式に設置し,国との委託契約締結に向けた協議や事業実施に向けた取組を開始いたしました。
 今後は3年間の事業期間の中で263名の新規雇用の創出を目標としておりますが,事業の実施に当たっては,毎年一定の成果を達成できない場合には翌年度の事業が継続できないこととされており,関係団体や産業界の方々のご意見もお聞きしながら,実効性の高い事業を実施し,本市の雇用環境の改善を目指して,積極的に取り組んでまいります。

 次に,観光行政について申し上げます。
 先月開催されました第54回よさこい祭りは,昨年を上回る過去最多の189チーム,約2万人の踊り子が参加し,踊り子たちの躍動感あふれる踊りが,街中を熱気と感動に包みました。
 また,8月12日に開催しました「よさこい全国大会」では,北は北海道から南は九州の長崎県まで,過去最多となる県外45チームと本祭で入賞した22チームによる競演が繰り広げられ,大いに盛り上がりました。
 今年は,高知城追手門のライトアップを初めて実施いたしましたが,その効果も重なり4日間で120万人の人出があり,多くの県内外の皆様方に本場のよさこい鳴子踊りを満喫していただけたものと喜んでいます。
 ただ,残念なことに,地方車の事故が発生したことと,よさこい祭りのフィナーレを飾る高知市納涼花火大会が悪天候のため中止となりました。
 事故による被害を受けられました関係者の方々に心からお見舞い申し上げますとともに,年に一度の納涼花火大会を楽しみにしていただいておりました多くの市民の方々や観光客の皆様には,大変残念な結果となりお詫びを申し上げます。
 花火大会の中止については大変に難しい判断でしたが,祭りやイベントでは安全第一が基本と考え,天候状況と併せて過去に他都市で起きた花火大会での事故なども参考に,観客の皆様の安全確保が何よりも重要であることから中止とさせていただいたものであり,ご理解を賜りたいと思います。
 今年は会場の都合で予備日を設定することができませんでしたが,来年の花火大会は関係機関と早めの調整を行いながら,予備日の設定を含めて日程調整を行い,多くの市民の皆様方に楽しんでいただきたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 次に,国民健康保険事業における特別調整交付金について,一連の経過を申し上げます。
 この件につきましては,本年6月26日に厚生労働省から当該交付金の算定に誤りがあり,平成5年度から平成17年度までの間,477市町村で交付額が不足している恐れがあると発表したことに端を発したものです。
 この特別調整交付金は,市町村が運営する国民健康保険の前年12月から当該年度の11月まで一年間の総医療費のうち,結核性疾病及び精神病に係る医療費の割合が15パーセントを超える場合に,その超過分相当額の最大8割が交付される制度であります。
 本市では,平成6年度まで当該交付金につきまして,該当するレセプトの医療費すべてが対象と解釈して申請を行っておりましたが,平成7年度からは,交付基準に達するかどうかの精査の必要性が生じてまいりました。
 この作業には,全レセプトの対象医療費を項目ごとに精査する必要があり,年間150万枚を超えるレセプトを保管することができ,併せて個人情報保護のため盗難・火災の心配がない作業室と専門知識のある人的体制の確保をするためには多額の経費を要すること,また,結果的に交付基準に達しない場合にはその経費が国保財政に影響を及ぼすとの判断から,1か月分のレセプトに基づいて推計したところ,交付基準に達しなかったため,平成7年度の申請を取りやめたという経過があります。
 その後,平成18年度に当該交付金を申請するまでの間,他の市町村の状況などから申請を検討してはどうかとの県の指導や助言などを参考にしながら,まず本市で直接精査を実施することを検討いたしましたが,交付金制度の複雑さに加えまして,レセプトを専門的に分析できる体制と作業スペースの確保が困難なことや,交付基準を達成できなかった場合のリスク等も考慮し,国保連合会を中心に民間会社への業務委託も視野に入れて検討・研究を重ねてまいりました。
 こうした経過の下,平成17年度分について国保連合会に対し業務委託の依頼も行いましたが,新たな業務でありシステム対応等の検討に一定の時間が必要であることやシステム改修経費の問題もあり,平成17年度の受け入れは了承を得られませんでした。しかしながら,引き続き交渉を重ねた結果,平成18年度から国保連合会に当該算定調査を委託することができ,交付金の申請が可能となったものであります。
 平成17年度以前のレセプトについてはすでに倉庫等に保管されているため,その抽出作業には多くの労力が伴いますが,今後は,去る8月24日に開催されました厚生常任委員会のご意見等も踏まえまして,国保連合会に重ねて調査の協力をお願いしながら,レセプトが存在する平成14年度から平成17年度までの4か年について各1か月分の抽出調査を実施し,その結果につきましては,できる限り年内には市議会や市民の皆様にご説明申し上げたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。

 以下,議案についてご説明を申し上げます。
 今回提出いたしました議案は,予算議案8件,条例議案18件,その他の議案8件です。補正予算は,国の補助内示に伴う公共事業の追加や春野町との合併に関わる予算などを中心に編成いたしました。
 このうち一般会計につきまして,公共事業等では,国の採択に伴い平成9年に建築しました横内小学校昇降所棟の学校建設公社からの買戻しや,弥右衛門土地区画整理事業での移転補償費,あざみの保育園の園舎改築に対する補助金,本年7月の台風4号災害に対する災害復旧費など,合計額7億4,679万2千円の補正を行うものです。
 春野町との合併関係では,下水道事業や消防活動等に係る合併準備経費や合併後に実施される高知市議会議員2名の増員選挙に伴う経費など合計3,012万5千円,そのほか地域提案型雇用創造促進事業における高知市雇用創出促進協議会に対する貸付金や障害者自立支援法関連のシステム関連経費等について補正を行うものです。
 また,国民健康保険事業特別会計では,制度改正等に伴いますシステム改修費の補正を行うものです。その他の特別会計では,平成18年度の決算確定に伴い収益事業,駐車場事業,国民宿舎運営事業の特別会計において繰上充用金の精算,中央卸売市場事業及び産業立地推進事業の特別会計では決算剰余金の減債基金への積立てを行うものです。
 以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,
 一般会計 7億5,000万円の増額
 特別会計   9,461万3千円の減額
 であり,これにより補正後の予算規模は,全会計の純計で2,681億8,826万3千円となります。
 この補正財源としては,国・県支出金,市債等の特定財源を充当するとともに,一般財源については普通交付税を増額いたしました。
 次に,予算外議案について申し上げます。
 条例議案は,春野町との合併関係や本市施設の指定管理者への移行に向けての規定整備,その他法令の改正によるものなど18件です。
 合併関係のうち市第77号議案は合併に伴う職員定数を改定するもので,市第82号議案,市第89号議案,市第90号議案,市第91号議案については,それぞれ高知市税条例,高知市国民健康保険条例,高知市介護保険条例,高知市廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例において合併後一定期間,経過措置を設けるものです。
 市第92号議案,市第94号議案は,龍馬の生まれたまち記念館及び青年センターと教育研究所の複合施設でありますアスパル高知について,平成20年度から指定管理者へ移行するための規定の整備を行うものです。
 その他議案は,合併に伴い春野町が加入していた高知中央西部焼却処理事務組合及び仁淀川下流衛生事務組合に平成20年1月から本市が加入することに関する議案,同じく合併後の旧春野町区域における町の区域の画定議案,横内小学校昇降所棟の取得議案,決算の認定議案など8件です。
 決算の認定議案につきましては,この後,水道事業管理者及び企画財政部長より概要のご説明を申し上げます。
 報告7件につきましては,継続費の精算報告などいずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。