ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織一覧 > 財政課 > 第392回高知市議会定例会市長説明要旨(平成17年12月8日)

本文

第392回高知市議会定例会市長説明要旨(平成17年12月8日)

 第392回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
 最初に,三位一体改革について申し上げます。
 三位一体改革は,第一期の改革の最終年度となる平成18年度に向けまして,義務教育費や生活保護費の扱いなど,平成17年度の改革で残された課題について国と地方との協議等が進められてきましたが,11月30日の政府・与党合意により国庫補助負担金の改革と地方への税源移譲について,ようやく決着いたしました。
 特に本市にとりましても影響の大きい生活保護費では,「生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会」での協議がまとまらず,厚生労働省と地方側が決定的に対立する厳しい状況となっておりましたが,最終の政治判断により生活保護費の負担率引き下げは見送られ,児童手当と児童扶養手当の国庫負担率が見直されることとなりました。
 私自身,全国市長会の代表として「生活保護費及び児童扶養手当に関する関係者協議会」に参加し,「生活保護制度は所得を再分配する国の責任で行うべき制度である」ことを強く主張し,最終的に生活保護事務の返上という最悪の事態が回避されたことに,まずは安堵をしております。
 今回の合意内容は,地方側の意見により生活保護費が対象から除外され,総額3兆円の税源移譲が行われることについては一定の前進であり,評価するものですが,内容を見ますと地方の望んでいない国庫負担率の引き下げが大部分を占めており,本来の目的である地方の自由度を高め,地方分権を推進するという三位一体改革の本旨からかけ離れたものであり,とても満足できるものではありません。
 昨年8月に発表しました地方六団体による「国庫補助負担金等に関する改革案」に対する達成率では,義務教育費を除きますと金額ベースでわずか12.1パーセントしか地方側の案が尊重されておらず,地方と国の省庁との考え方には依然として大きな相違点が残されたままとなっております。
 今回の内容は,地方分権の今後の展望を開くための第一段階であり,真の地方分権を確立するための改革はまだ終わっていないものと認識しており,今後も関係団体等とさらに連携を強め,第二期の三位一体改革の推進に向け積極的に取り組んでまいります。
 次に,本市の平成18年度予算編成について申し上げます。
 平成18年度に向けましては,三位一体改革で残されております交付税総額削減の動きが懸念されており,今後の総務省と財務省の折衝による地方財政対策の動向を注視していく必要があります。
  景気回復の地域間格差が広がっている中で,本市では雇用環境をはじめ厳しい経済情勢が続き,市税収入も固定資産税等の減少が見込まれるなど,財源面では依然として厳しい状況にあります。
  また,本年行われた国勢調査の12月1日付県速報で明らかになりましたとおり,本県の人口は大幅に減少し,高知市においても初めて減少に転じるなど,人口減少は予想を上回る速さで進行しております。
 このような社会経済状況の下,平成18年度は現総合計画に基づく第二次実施計画の最終年度であり,計画に基づく取組を着実に進めるとともに,これまでの事業を総括しながら,人口減少社会への対応や団塊世代の定年退職を迎える2007年問題,超高齢社会に向けた社会保障制度の抜本的見直しなどを踏まえた新たな施策展開に向けて,次期総合計画策定への取組と行財政基盤の確立・強化を一層進めなければなりません。
 これらを踏まえて,平成18年度の予算編成では,新財政健全化計画の収支改善目標を確実に達成した上で,限られた財源を有効に活用し,「地域再生」,「少子高齢化」,「環境」,「防災」を重点課題として取り組むとともに,新産業創出など産業構造の再構築や中山間地域との交流と連携をさらに深め,合併効果を最大限に活かした「ゆとりと豊かさ」を実感できる新たなまちづくりを進める予算編成作業に取り組んでまいります。

 以下,当面する市政課題と提出いたしました議案に関連し,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
 まず,不適正発注問題について申し上げます。
 この件につきましては,先ほど不適正発注等に関する調査特別委員会の最終報告において厳しいご指摘とご提言をいただきました。
 一部業者への偏りや安易な分割発注など,これまでの一連の不適正な発注事務につきましては,過去に発生した事件や度重なる不祥事が教訓として生かされておらず,組織を預かるものとして大変申し訳なくお詫び申し上げますとともに,再発防止の責任を強く感じております。
 市議会でのご指摘等も踏まえまして,発注手法の改善や再発防止に向けた組織体制・人事制度面での見直しに徹底的に取り組んでいかなければならないと考えており,事務処理において安易な発注手法の選択や前例踏襲をしてきたこと,事務部門と技術部門の連携が不十分であったこと,情報の共有や管理が十分にできていなかったことなどの反省すべき点を踏まえ,計画的な修繕や公正な工事発注,業者選定等に関する具体的な運用方針を確立し,適正な事務執行を行ってまいります。
 組織・機構については,公共施設の営繕を受託する部署の体制強化や民間への業務委託など改善に向けた見直しを進めるとともに,情報に対する管理意識の徹底を図り,部局別の総務担当課の機能として関係各課との情報の共有や交換を充実させてまいります。
 また,人事制度改革につきましては,本年10月から人事制度アドバイザーとして3名の方を委嘱し,人事考課制度の見直しや多面評価制度,自己申告降任制度,昇格基準などについて具体的な検討を進めております。
 さらに,不当要求行為の対応として,今回の内容等も含めた具体的事例の全庁的な情報共有化を図ることにより,不当要求行為対応マニュアルの徹底と実効性を高めていくとともに,不当要求行為対策本部において不当要求に該当する行為があったものと判断した場合に,当該対象者が高知市の指名業者であるとき又は代表役員等である場合には,契約の相手方としてふさわしくない不誠実な行為として厳正な措置を行わなければならないものと考えております。
 今後に向けましては,議会からのご指摘を重く受け止め,行政組織の原点である公正で公平な公務のあるべき姿にもう一度立ち返り,市政への信頼回復に向けて全力で取り組んでまいります。
 一連の事件における私自身を含む管理監督者の責任につきましては,その職責を果たすことができていなかったことを重く受け止めており,私自身の処分等について,今議会の会期中に関係議案を提案申し上げたいと思います。

 次に,高知市陸上競技大会について申し上げます。
 平成18年4月22日・23日に開催予定の第58回高知市陸上競技大会・第21回高知市小学生陸上競技大会が,高知市陸上競技場を管理する所管部局の怠慢な事務処理により当該競技場をお貸しできないこととなり,高知市陸上競技協会をはじめ中学・高校の対象選手の方々や市民の皆様,議会の皆様に多大なご迷惑をおかけしておりますことを心からお詫び申し上げます。
 本競技大会は,本市の伝統ある大会であり,現在,高知市陸上競技協会において,この競技大会を分離開催する方向でご検討いただいておりまして,是非とも来年度開催できる方向での調整をお願い申し上げているところであります。その日程によりましては中・高校生等に体力的に大きな負担を強いることになるかとも思われますが,本市といたしましても可能な限りの支援をしてまいる所存でございます。
 今後,再びこうした事態を生じさせないために,高知市陸上競技場は社会教育としての陸上競技の使用を優先させるとの前提に立ち,(仮称)「高知市陸上競技場使用調整会議」を設置し,事前に十分な日程等の調整作業を行いまして,高知市陸上競技場の円滑な利用につなげてまいります。

 次に,鏡・土佐山地区のまちづくりについて申し上げます。
 両地区と合併して,まもなく1年が経過しようとしておりますが,両地区のまちづくりにつきましては,合併協定書や新市まちづくり計画の着実な実施に努めるとともに,過疎地域自立促進計画を策定し,事業展開に有利な財源の確保等に取り組んでまいりました。
 中山間地域の指定については,11月17日に開催された中山間地域振興審議会におきまして,鏡・土佐山地区だけでなく,両地区に隣接する北山の一帯や朝倉北部の行川地区など旧高知市14地区も含め,対象区域とすることを審議会で確認いただいたところです。
 今後,中山間地域の生活基盤の確立と活性化を目指した農林業の振興や交流人口の拡大,少子高齢化への対応としまして,市民農園の拡充や有機農業の推進,交流拠点施設整備,福祉・教育における行政サービスのあり方などについてさらにご審議いただくこととしております。
 また,11月14日から鏡・土佐山地区では,住民の皆様方から直接ご意見やご提案をいただく「まちづくりトーク」を実施しており,来年1月までの間に各地区4か所,計8回の開催を予定しております。
 これまでに開催いたしました「まちづくりトーク」では,住民の皆様方から行政と住民のつながりの希薄化や窓口サービスのあり方,福祉タクシーなど交通手段の確保,森林や鏡川の清流保全の問題などについて,地域の切実な思いや多くのご意見,ご要望をいただいており,旧2村時代に培われていた行政と住民,各団体が手を携えてともに進めてきた地域づくりが合併により少し薄れているというように感じているところです。
 今後,こうしたご意見等を踏まえまして,合併後の約1年間の取組状況等を総括し,課題解決に向けたさらなる取組を進めるとともに,来年度から取り組みますコミュニティ計画や次期総合計画の策定にもつなげてまいります。

 次に,春野町との合併協議について申し上げます。
 合併協議会につきましては,両議会での設置議案のご承認を受けまして,10月11日に「高知市・春野町合併協議会」を設置いたしました。第1回合併協議会を10月17日に高知市で開催し,合併協議に関する会議運営規程や幹事会・専門部会設置規程等の各種規程の制定が承認されております。
 11月8日に第2回合併協議会を春野町で開催し,合併の方式を編入合併とすることや,各種行政制度等の調整方針は,「高知市・鏡村・土佐山村の合併協議において協議された調整内容を基本とし,3市村で協議されなかったものについては,本市の行政制度等を基本にしながら,本市及び春野町の地域性等を勘案して調整する」ことが承認されました。
 12月3日には第3回合併協議会を本市で開催し,行財政改革の視点を踏まえ, 3市村の新市まちづくり計画を基本に,地域特性や各種課題を十分勘案するとともに,それぞれの地域の均衡を図りつつ,地域全体の発展に資する計画となるよう配慮することなど,合併する場合の新市のまちづくり計画策定に当たっての基本的な考え方を承認いただきました。
 新市のまちづくり計画につきましては,合併協議会でのご意見や,今後予定しております高知市,春野町の住民アンケートの結果等も踏まえまして,合併の意義やメリット,合併後の高知市の将来像などをわかり易くまとめた計画として策定してまいりたいと考えております。
 また,これまで春野町からは,違法または不適正な墓地が9か所あると報告を受けておりましたが,この度新たに5か所の違法墓地が判明いたしました。第3回合併協議会では春野町長から,この件に関する謝罪と併せて「来年の1月末までにすべての町有地を洗い出し,今年度末までに解決へ向けての方針を決定したい。」との説明がありましたので,本市からは「墓地問題が合併協議に支障を及ぼさないように,これまで以上に町が全力をあげて速やかに解決を図っていただきたい。」ということを春野町長に対して強く要請いたしました。
 墓地問題につきましては,今後,作業の進捗状況をしっかりと確認するとともに,機会あるごとに議会及び合併協議会にご報告申し上げます。

 次に,公の施設に係る指定管理者制度への対応について申し上げます。
 先の9月議会でご審議をいただきました18年4月から指定管理者制度の導入を予定する施設のうち,ヨネッツこうち,勤労者交流館,国民宿舎桂浜荘,文化プラザ,総合運動場,中央公園地下や県庁前通り地下などの各駐車場等の30施設につきまして,指定管理者を指定する議案14件を今議会にご提案申し上げております。
 今回,お諮りしております団体は,公平な利用の確保,効率的かつ効果的な管理,的確に管理を遂行する人的構成や財産的基礎,管理経費の縮減,個人情報の取扱を適正に行う体制の整備などの選定基準に基づきまして,高知市指定管理者審査委員会が各団体から提出された事業計画,収支予算書等を含む申請書類の審査を慎重に行ったものであり,審査の結果,いずれの団体も指定管理者として適切であるとの報告を受けております。
 この中で,ヨネッツこうち,勤労者交流館の2施設につきましては,指定管理者の募集を公募で行いまして,応募いただいた団体の中から,審査委員会による面接,書類審査を経て最高評価を受けた団体を指定しようとするものです。
 今後,議決をいただきました後に,公の施設ごとに団体を指定し,指定管理者が行う業務の詳細などを定める協定書を当該団体と交わしまして,18年4月から指定管理者による施設管理に移行してまいります。
 なお,その他の公の施設につきましては,市民サービスの向上と施設管理の効率化を図る観点を基本として,官民の役割分担を勘案しながら,条件の整ったものから順次指定管理者制度への移行を進めてまいります。
 次に,中心市街地活性化について申し上げます。
 高知市の中心市街地は,県都としての大切な顔でありますが,高知西武百貨店やダイエーショッパーズ高知店の跡地問題,鉄道高架への切替えや新駅舎の改築が平成19年度と目前に迫っているJR高知駅周辺都市整備のあり方など,各ゾーンにそれぞれ課題を抱えております。
 中心市街地の活性化は,本市のみならず県全体の活性化につながる重要な課題であり,県や商店街振興組合等の各関係団体との連携を強化し,実効性のある対応を図っていく必要があります。
 こうしたことから,去る10月31日に商店街・経済界関係者や高知大学,国,県,市からなる中心市街地活性化推進懇話会を立ち上げるとともに,庁内には関係部局長からなる中心市街地活性化検討委員会とワーキング・グループを設置いたしました。
 今後におきましては,この懇話会を核として,県が新たに設置いたしました庁内情報連絡会や関係団体等と連携を一層密にしながら,来年3月を目途に,市として一定の方向性を持った中心市街地活性化のシナリオをお示ししたいと考えております。

 次に,長浜産業団地の分譲とコールセンター誘致について申し上げます。
 長浜産業団地につきましては,平成15年3月の分譲開始以来,各企業への誘致活動を行っておりますが,この度,高松市に本社を置く株式会社四電工が事業再編に伴う高知支店の社屋拡張と,地震等の災害発生後の迅速な復旧体制及び備蓄資材の確保等を目指して,長浜産業団地に主力であります配電事業部門を移転立地していただくこととなり,去る12月1日に約2万平方メートルの土地売買契約を締結いたしました。
 今回,災害復旧をはじめとする市民の生活を守る防災拠点として,長浜産業団地を活用していただくことで,現在の団地の分譲率は約66パーセントとなっており,今後,引き続き住工混在の解消や操業環境の改善等に向けまして,さらなる企業への誘致活動に積極的に取り組んでまいります。
 また,コールセンターにつきましては,雇用の拡大や経済波及効果を期待し,県とも協力しながら積極的に誘致活動を行ってまいりましたが,この度,誘致企業として4社目となりますNTTマーケティングアクト四国「高知ブロードバンドサポートセンター」がオープンをいたしました。
 この新しいコールセンターは,中国・九州地域の代理店や顧客を対象に光回線サービスに関する取次ぎサービスをNTT西日本から受託するものであり,新規雇用70名を含む100名程度の体制が計画され,今月12日から業務を開始される予定であります。
 今後,対象地域の拡大など,新たな雇用の確保にも期待するところであり,本市としても支援をしてまいりたいと考えております。

 次に,姉妹・友好都市の交流について申し上げます。
 本市は,昭和40年以来,国内外の4都市と姉妹・友好都市提携を行い,それぞれの都市と息の長い交流を続け,相互の友好関係を育み,経済・文化・教育など幅広い分野で多くの成果を上げてまいりました。
 本年は,中国・蕪湖市との友好都市提携が20周年の節目を迎えましたことから,5月に蕪湖市から瀋(しん)衛国(えいこく)市長をはじめとする訪問団をお迎えしましたが,先の10月22日から28日にかけましては,市議会議長をはじめとします議会の皆様方と本市からの市民親善訪問団141名の一行とともに,私も蕪湖市を訪問してまいりました。
 蕪湖市では,訪問団の到着直後から市民あげて熱烈な歓迎を受け,心のこもった温かい歓迎ぶりから,国情に左右されることのない両市の友好の絆の強さを改めて実感したところです。
 こうした強い絆をさらに発展・拡大させるため,蕪湖市滞在中に瀋(しん)衛国(えいこく)市長との間で,今後の両市間の友好交流・協力関係に関する協議書を締結いたしました。
 今回の親善訪問で最も印象的であったことは,中国経済の活況ぶりであります。視察先の蕪湖経済技術開発区は,急成長を続ける中国経済の象徴の一つであると感じましたし,蕪湖市の経済成長率が14.6パーセントと説明を受け,国内経済の好調さが支えている中国市場は,「世界の市場」といわれ国際的に注目されております。
 13億人という巨大な消費力を秘めた中国市場は,本市のような地方都市にとっても,大変な魅力があると感じたところです。
 実際に,本県から進出している会社を含めましていくつかの企業を訪問し,それぞれの企業から農業の近代化を目指す中国政府の要請に沿った農機具の生産や,環境問題を先取りした企業戦略等を読み取ることができましたし,在上海日本国総領事館では,中国の今後の国家方針が経済成長最重視から環境保全対策に軸足を置いた持続性のある経済成長を目指す方向に転換される見込みであるといった示唆に富んだ情報をご教示いただくなど,県内企業にも十分にビジネスチャンスがあると感じた意義深い中国訪問となりました。
 今後とも,高知県上海事務所長でもあり,本市の産業振興アドバイザーも務めていただいております上海駐在の沼所長とも連携を密にしながら,本県の産業振興につなげてまいりたいと考えております。

 次に,日高村に設置しますエコサイクルセンターについて申し上げます。
 エコサイクルセンターにつきましては,財団法人エコサイクル高知の臨時理事会が11月に開催され,正式に焼却炉などを除く管理型最終処分場に特化する縮小計画案が承認されました。
 これまで,多くの関係者の方々の一方ならぬご努力に感謝を申し上げますとともに,引き続き施設の建設・稼働に向けて,県・市をはじめ,関係者一同,一層の努力を傾注しなければならないと考えております。
 縮小案につきましては,管理型最終処分場のみに特化することで,民業を圧迫することなく経営的にも安定させ,県外処理の依存度を減らしていくという県内の企業が抱えている産業廃棄物の課題を一定解決するとともに,産業育成にも寄与するものと考えております。
 今後におきましては,具体的な処分場の稼働までのスケジュールや,エコサイクル高知に対する市の財政負担など残された課題等について,議会等にもお示しし,ご意見等もいただきながら,財団の理事会で協議,調整を図り,より望ましいエコサイクルセンターの整備に努めてまいります。

 次に,地域包括支援センターの設置について申し上げます。
 法律施行から6年を迎えました介護保険制度は,制度の持続可能性の確保や超高齢社会への対応,社会保障の総合化を基本的視点として,制度全般について見直しが実施されました。
 今回の改正の概要につきましては,第一に予防重視型システムへの転換,第二に介護保険施設等における居住費及び食費を保険給付外とし,低所得者対策として所得に応じた新たな補足的給付を創設,第三に地域包括支援センターの新設と地域密着型サービスの創設及び居住系サービスの充実,第四に介護サービス事業者等の指定等について更新制を設けるとともに,情報の公表を義務付けしたこと,第五に低所得者に配慮した保険料の設定や特別徴収の対象拡大等の5項目が主な改正内容となっております。
 この中で地域包括支援センターにつきましては,高齢者の方々が住み慣れた地域で生活を継続することができるようにするため,地域の高齢者の心身の健康維持,保健・福祉・医療の向上,生活の安定のために必要な援助,支援を包括的に行う中核機関として新設するものであり,保健師,社会福祉士,主任ケアマネジャーの3職種を配置し,

  • 介護予防事業のマネジメント
  • 介護保険外のサービスを含む高齢者や家族に対する総合的な相談・支援
  • 被保険者に対する虐待の防止や早期発見等の権利擁護事業
  • 支援困難ケースへの対応などケアマネジャーへの支援

の4つの事業を地域において一体的に実施する役割を担う中核拠点として設置するものであります。
 設置場所につきましては,市内の東西南北にそれぞれ各1か所,合計4か所を設置することとし,東部は東部健康福祉センターに,西部は障害者福祉センターに,南部は南部健康福祉センターに,北部は高知市保健福祉センターにそれぞれ設置することとしております。

 次に,障害者施策について申し上げます。
 先の特別国会において障害者自立支援法が成立いたしましたが,この法律は,身体障害者,知的障害者,精神障害者の3障害にまたがる福祉・医療施策に関する既存の4つの法律から福祉・医療サービス部分を抜き出して1つの法律に集約したものであります。
 本格的な施行は18年10月からですが,来年4月からは更生医療,育成医療,精神通院公費負担の医療制度とホームヘルプ,デイサービスなどの福祉サービスが障害者自立支援法に基づく制度としてスタートいたします。新しい制度では,介護保険と同じように福祉サービス等に係る1割負担の導入や,食費,光熱水費等の利用者負担の設定がなされることとなります。
 この法律は,障害者の就労や地域生活の充実を目指し,障害施策の将来像を示すものですが,支援費制度のサービス量増加に伴う国の財源不足から生じた側面もあり,障害者の所得保障が十分確立されていない中での新たな負担を求めるもので,課題も多い制度であると受け止めています。
 また,国においては介護保険制度との統合も視野にあることから,その支給決定プロセスに介護保険と同様の認定調査や審査会・ケアマネジメントの仕組みが導入されておりますし,就労支援や地域生活支援の視点で施策体系の見直しもされています。
 本市の障害児・者数は,平成17年3月31日現在で19,280人,人口比で5.8パーセントですが,このうち,自立支援法の対象となるサービスを利用されている人数は現在7,159人で全障害者数の37パーセントとなっております。新制度移行後は,これまで大部分の方が無料であった居宅や通所施設サービスについてほとんどの方が有料となるなど,障害者の生活に大きな影響を及ぼすものと懸念しております。
 国は8種類の低所得者対策を検討していますが,内容が複雑なものとなっており,本市としては,利用者への説明はもとより制度に基づく減免措置がとれるよう体制の整備を図り,実効性が発揮できるように努めてまいりたいと考えております。
 準備期間は限られておりますが,精力的に準備を整え取り組んでまいります。

 さて,今回提出いたしました議案は,予算議案6件,条例議案5件,その他の議案20件であります。
 今回の補正予算は,台風被害等に対する災害復旧費,法改正に伴う施行準備経費,給与改定等に伴う人件費補正などを中心に編成いたしました。
 まず,公共事業では,街路事業について各路線の進捗に合わせて路線間の事業費組替を行うものです。
 災害復旧費につきましては,台風14号とそれに伴う集中豪雨などによる被害に対する復旧事業費を補正するものです。
 また,法改正に伴う施行準備経費については,前段申し上げました介護保険事業における地域包括支援センター開設に向けた費用,障害者自立支援法施行に向けての情報システムの整備費用等について補正をするものです。
 次に,人件費に関する補正につきましては,11月21日の市議会臨時会において可決いただきました給与改定に伴う調整,新陳代謝等による減額等について補正するものです。
 また,このほか,農産物の輸出促進事業に対する助成や農業基盤整備として防虫設備整備に対する助成,地球深部探査船「ちきゅう」の寄港歓迎事業に要する経費などについてそれぞれ補正するものです。
 以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,
  一般会計 4億3,300万円の減額
  特別会計 1,010万円の増額
 であり,これにより補正後の予算規模は,全会計の純計で 2,597億 195万7千円となります。
 この補正財源は,国・県支出金,市債等の特定財源を充当するとともに,一般財源については普通交付税を減額いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。
 条例議案は,法令の改正に伴うものや青年センター・教育研究所複合施設の整備に伴うものなど5件です。
 この中で,市第151号議案は,公営住宅法の改正に伴い市営住宅の管理の一部を高知県住宅供給公社に代行させることができるよう必要な改正を行うものです。
 その他の議案は,指定管理者制度の導入に伴う指定管理者の指定議案,工事請負契約締結議案など20件です。
 報告4件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。