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天然アユの遡上

No.37 天然アユの遡上

ほぼ週刊鏡川 2011年3月29日

遡上してきた天然アユの群れ


 昨年末より雨量が極端に少なく,高知市の1月の降水量は,観測開始以来125年間で初のゼロでした。当然川の水も枯れる寸前で心配していましたが,現在はなんとか持ち直しています。

 今年は例年より気温も低めですが,そろそろ多くのアユが遡上してきているのではないかと思い,3月28日に潜水観察をしてみました。こんな寒い時期に川に潜っている人などいないわけですが,周りの目も気にせずに潜ります(ほんとはちょっと気になる)。

 おっと!初見の魚を発見!スミウキゴリだと思われます。高知県レッドリストでは準絶滅危惧にランクされています。汽水魚ですので,もっと下流には多くいるのかもしれませんが,ここトリム公園前より下流では潜ったことがないのでわかりません。

スミウキゴリと思われる魚 

 例年より気温が低いせいか,昨年の同時期よりもアユの数は少なめでしたが,トリム公園前の堰の下流には多数の若アユが群れていました。こんなに群れているのは,堰が遡上を阻害しているからにほかなりません。

堰の下流で滞留するアユ

 水量が少なく,堰を水が越流しないくらいになると,物理的に堰を越えることが不可能となってしまい,生息密度が過密となって餌不足で成長不良になったり,鳥などに捕食されたりします。

水量が少なく,魚類の移動が妨げられている

 年々減少する産卵場,遡上を阻害する堰,水量の少なくなった川,コンクリートで固められたすみか。鏡川は人間の都合の良いように自然の状態から姿を変え,生き物にとっては厳しい環境となりました。アユたちはそういった逆境にもかかわらず,持てる力を振り絞って必死で命を紡いでいるように見えます。

 がんばれ!天然アユ!

がんばっている天然アユ

 東北地方太平洋沖地震により被害を受けられた皆様に,心よりお見舞い申し上げます。あわせて,被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

 がんばろう!日本!

川岸に咲く菜の花

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