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見たことのない魚

No.28 見たことのない魚

ほぼ週刊鏡川 2010年10月22日

鏡川下流の水中写真


 先日,鏡川こども祭で展示する魚を採取していたときのこと,今までに見たことのない魚に出会いました。下の写真の中央の平べったい魚です。尾びれ,背びれ,尻びれに黒い縁取りがあります。

見たことのない魚の写真

 図鑑で調べると,ユゴイまたはオオクチユゴイという魚の稚魚と思われます。手持ちの図鑑ではユゴイはひれに黒い縁取りはなく,オオクチユゴイは尾びれの黒い部分は円形の斑点となっています。どちらともつかないこの魚,種の同定ができる方がいらっしゃいましたら教えてください。

ひれの縁が黒いのが特徴

 去年までは,鏡川でこの魚を見ることはありませんでした。図鑑によると,ユゴイの分布は「黒潮の流れる太平洋沿岸,奄美大島以南」となっており,伊豆半島などでの捕獲の記録はあるが,九州以南に多いとあります。オオクチユゴイの分布は「奄美大島以南」となっています。どちらにしても高知よりは南方に主に生息する魚です。

 地球温暖化により,分布が北に広がっているのか!?

 文献を調べてみると,ユゴイなら1976年と1992年の調査で鏡川で確認された記録がありますが,近年は記録がありません。図鑑にも伊豆半島などでの捕獲の記録があるとありますので,鏡川に来てもおかしくないものです。
 オオクチユゴイの鏡川での記録は確認できませんでしたが,高知県では浦ノ内湾や黒潮町で捕獲されたことがあるようです。

 過日の某地方新聞に,熱帯・亜熱帯地域に主に生息するタイワンヒイラギが浦戸湾で釣られたとの記事がありました。その記事の中で,専門家の見解として「今年は海水温が平年より1~2度高く,黒潮の流れも岸寄りになっているとした上で,「黒潮で流れ着いたのか,生息していた幼魚が成長したのかは不明」」とありました。

 鏡川で確認されたこの魚。たまたま黒潮に乗って流れ着いたのか,地球温暖化への警鐘なのか,現在のところは不明ですが,今後も状況を確認していく必要がありそうです。

2010年12月16日追記

静岡県在住のSさんより情報をいただきました。この魚,ユゴイでほぼ間違いないとのことです。静岡県でのユゴイ類の確認例は,最近10年間での急増しており,やはり温暖化との関連を疑っているそうです。

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