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美しい風景の見え方も、
そして、じぶんも変わる。

二段階移住 取材レポート

本山町 山本修悟さん

本山町職員

■野生動物好きが“自然の楽園”に導かれる。

四国山脈の中央部に位置する、高知県本山町。「日本で最も美しい村」連合の加盟村地域で、川、山の大自然に溢れ、アウトドアが盛んなまちだ。その中心地から車で約10分走らせると、谷の両岸の下から上まで、約600メートルに渡って田んぼが重なる壮大な風景が待つ。東京都出身で現在、本山町職員の山本修悟さんは今、名所「大石・吉延地区の棚田」を守る一員になっている。

東京都府中市で生まれ育った山本さん。子どもの頃から自然や動物が好きで、大学時代は野生動物の研究を専攻。卒業後は、「研究を生かせる」と高知県須崎市内の野生動物を調査するNPO法人に就職した。山本さんのルーツをたどれば、豊かな自然に触れた経験が幼少期にある。

「父親の実家が愛媛だったので、もともと四国に親しみがありました。両親に連れられて帰省するたびに、山や川に出かけました。楽しかった記憶がずっと残っていました。このまま東京で満員電車に乗って通勤するのも想像できなかったですし、地方暮らしにも興味がありました」

■高知の自然のスケールの大きさを知る。

2013年に移住するまで、高知の印象は海だったという。実際のところ、高知県は森林面積率が83.4%と日本一。雄大な四万十川を育むほど、森林の地域でもあった。

「暮らしの近くに海があって、少し車を走らせるとすぐ山がある。『自然がいっぱい』とはいっても、そのスケールのすごさに驚きましたね」

県内各地で野生動物の調査をしながら、風景も人の気質もまるで違う地域の“おもしろさ”を知った山本さんは言う。

「同じ県でも東と西でこんなに違うものかと。風景も人も本当に表情が豊かです。カツオなどの魚介類も、お米をはじめとした野菜もお肉も、食べ物がとにかくおいしくて、東京から両親が遊びに来たらいつも、こっちの食べ物のおいしさに感動しています」

山本さんは移住後、現在のパートナーに出会い、結婚した。将来もずっと、高知で暮らすため、行政職員を目指す。いろんな地をめぐる中で選んだのが、本山町。森の中にエメラルドグリーンの清水をたたえた汗見川をはじめ、未知の自然の美しさに惚れたという。

■農業を担当し、景観の裏にあるものに
気づく。

2016年から本山町職員になり、畜産や農業を担当する。“新人”として立ち会った水田巡回で、大石・吉延地区の棚田の風景に出合った。

「最初に見たときは単純にすごいと思いました。この景観を人の手で作ったのかと感動しました」。その一年後、実際に棚田を担当するようになってから風景の見え方が変わっていったという。

「この景観の中で米を栽培することも、景観を維持していくのも言葉で表現できないほど大変だと実感しています。農業に携わる人たちの高齢化も進んでいます。ささやかでも、この景色と田んぼを守るためのお手伝いがしたいと思っています」

■温かい地域で自分も変わる。

中山間地域の制度を活かしながら、農家と農地を守る手立てを講じる山本さん。そして、その奮闘する背中を、生産者や地域の人たちの温かい声かけが支えている。人との距離が近く、温かい。そんな環境に身を置くことで、山本さん自身も変わっていった。

「畜産農家さん、棚田の農家さんから、やさしく声をかけてもらって何度も元気をもらいました。人との付き合いがいかに大事かということがわかりましたね。自分も相手を知ろうと思うし、知ってもらいたいと思います。ここに来るまでは人と話すことも苦手意識があったんですけど、今はむしろ、いろんな人と付き合える日々が楽しいと思えるようになりました」

現在、0歳と2歳のお子さんを合わせて4人で本山に暮らす。自宅近くの沢や森が遊びのフィールドだ。「この環境で子育てするのはとても幸せなことです」。自然と人の温かさに包まれて、山本さんは、仕事も暮らしも健やかな時間をつむいでいく。

文:ハタノエリ 写真:石川拓也

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