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下調べをしながら憧れと勢いで
地方移住決めた職人の話、聞く?

二段階移住 取材レポート

香美市 藤田 将尋さん

「田舎暮らしは甘くないのか?」
その真相を探るべく、実際に高知に移住された方を訪ねる取材を決行した二段階移住取材班。お1人目は、香美市土佐山田町で鍛冶職人修行中の藤田 将尋さんです。
待ち合わせ場所に、バイクに革ジャン姿で颯爽と登場された藤田さんは、思い描く職人のイメージからはいい意味で程遠く、期待十分。早速、職場である高知県土佐刃物連合協同組合内の「鍛冶屋創生塾」でお話をお伺いしました。

■モノづくりをしたい。父親を超える、
長けた職人技術を身につけたい。

父親が木工職人という藤田さん。モノづくりが身近にある環境で育ったからなのか、高校生のころから(モノづくりをしたい。どんな分野でもいいので、職人としての技術を身につけたい)と思っていたそうです。同時に親とは違う道の職人になりたいとも。
そして大学生の時に青森で出会ったのが「打刃物」。熱した鉄を叩き、鉄がカタチを変えていく―。その“鉄の動き”に魅せられて、「自分の進む道はこれかもしれない」と思ったそうです。

大学卒業後、土木系の企業に就職した藤田さんですが、心の中に灯った職人への憧れは消えませんでした。そして、(夢を追えなくなるのは嫌だ)と一大決心。もちろん周りの人は大反対。
「23歳で鍛冶屋を目指す人はいない」、「中学を卒業してすぐ修行するのが職人の世界ではないか」と…。でも、藤田さんの決心が揺らぐことはなかったそうです。
とはいえ、夢を叶えるためには資金や情報も必要です。会社を辞め、アルバイトをしながら資金を貯め、打刃物のイベントの出展者を直接訪ねたり、インターネットで検索したり。そこで出会ったのが、土佐打刃物の後継者を育てる「鍛冶屋創生塾」でした。

■もう、鉄を打たせてもらってるんです。

「2年間の修行期間とのことですが、どのくらいから鉄を打てるようになれそうですか?」取材班がお聞きしたところ、
「研修に参加して1か月ほどになりますが、実は…もう、2週間前から鉄を打たせてもらっているんです」
「そんなに早くからですか?職人修行と言えば、最初は師匠の身の回りのお世話とか、行儀作法から入るイメージがあったのですが。。。」
「そんなのはないですよ(笑)」と藤田さん。実際に、藤田さん自身もこんなに早く鉄が打てるとは思ってなかったそうです。

高知市が取り組む二段階移住の1年目のPR動画は、「下調べもせずに憧れと勢いで地方移住決めた夫婦の話、聞く?」でしたが、藤田さんの場合は「下調べをしながら憧れと勢いで地方移住決めた職人の話、聞く?」でしょうか。

■師に習う。
一般的な職人修行とは違うイメージ

「師匠に作業場の見学が可能かどうか聞いてみます」と藤田さん。程なくして取材許可がおりました。
窓から太陽の日差しが差し込む鍛冶場は、想像以上に明るく、鍛造に使うベルトハンマーや加熱炉が1人に1台ずつ設置されています。「これが僕の打ったモノです」。藤田さんが少し恥ずかしそうに、打ち延ばした鉄を見せてくれました。(もう、こんなに打たせてもらっているのか)と、その量の多さにびっくり。「最近は、朝9時から夕方4時半まで、時間があればどんどん打たせてもらっています」と藤田さん。「修業は厳しいですか?」とお聞きすると、「どこがどう悪いのか。それをどうすれば良くなるのか。すごく丁寧に教えていただいています」。どうやら鍛冶屋創生塾は、一般的な職人修行のイメージとは違うようです。「修行してみて想像以上に風景が違いました。やはり師匠はすごい。僕の打ったものとは全然違うんですよ」と、藤田さんが嬉しそうに師匠の打ち物を見せてくれました。「今、材料はいらなくなったものをご提供いただいているのですが、それでも無駄にするのは心が痛くて。一日でも早く商品になるようにしたいです」そんな話を一緒に聞いていた、高知市二段階移住担当職員の森田さん。思わず、「包丁ができたらぜひ連絡して。買いに来るき!」と。

香美市の「鍛冶屋創生塾」で修行されている藤田さんの取材が終わったところで、藤田さんからお師匠さんをご紹介いただきました。そこで急きょインタビュー。

Q.見たことのない道具がたくさんあって、凄いですね。

「(ワハハ)鍛冶屋にはこういう道具がないと仕事にならんきね。だからこの子らにも一人前の鍛冶職人として、はよう道具を使いこなしてもらわんといかん(笑)」

Q.現在修行されている3人の塾生さんは見込みがありますか?

「(藤田さんを見ながら)ウン、いけると思う。このまま順調にいってくれたら、将来が楽しみやね。この3人が上手くいってくれたら、後から新しい研修生も続いてくれるき、自分らぁの将来にも希望が持てる。そんな意味ですごく期待しちゅうがよ」

Q.藤田さんから、すごく丁寧に教えていただいているとお聞きしましたが。

「うちらぁはウェルカムやき。この塾は20年やら30年前から持ち上がっちょった事業で、それがようやっとできた。ほんまに跡取りがおらんで、もう切羽つまった状況やったがですよ。だから3人には、期待もしちゅうし、なんでも教えたいがよ、本当に」

Q.長年の夢がようやく叶ったということですね。

「そうながよ。だからここ(香美市)だけでなく、高知県内の鍛冶屋のみんなぁも期待しちゅうし、盛り上がっちゅうね」

ゴツゴツした手。藤田さんを見つめる優しそうな眼差しと、終始笑顔が絶えない、とても魅力的な師匠。
「なんぼでも取材や話しを聞きにきてや!!なんでも話しするきね(笑)」
打ち刃物職人になりたいという若者の夢。伝統の技術を後世に残したいという鍛冶職人の念願。2つの願いが重なりあった香美市の「鍛冶屋創生塾」からのリポートでした。

#田舎暮らしは自己責任

Q.藤田さんにとって田舎暮らしとは?

「田舎暮らしは、お金を払えば誰かがやってくれる、『誰かに頼れる世界』とはちょっと違います。自分でしなければならないことも多いです。自分でできることをしっかり見定めて自己責任で動くということでしょうか。逆に言えば、都会ではできなかった経験ができるということでもあります。自分のできる範囲が広がりそうですね。そんなのも全部含めて自己責任かなと思います」

憧れと勢いに加え、下調べをしっかりされた藤田さん。
だからこそ、香美市の鍛冶屋創生塾が、(モノづくりをしたい。父親を超える、長けた職人技術を身につけたい)という藤田さんの夢が叶う場所でありますように。

※「二段階移住 取材レポート」は、フェイスブック「こうち二段階移住」でも投稿しています。

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