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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
フランクチャンピオンと鬼政(おにまさ)
高知市広報「あかるいまち」2017年12月号より
フランク・L・チャンピオンの位牌(永福寺 所蔵)
●フランク・L・チャンピオンの位牌(永福寺 所蔵)
 宮尾登美子さんの書かれた、『鬼龍院(きりゅういん)花子の生涯』が映画化されたのを覚えている人もまだ多いことだろう。登場人物の松恵(まつえ)(夏目雅子)の凄みのきいたセリフ「なめたらいかんぜよ!」は流行語にもなった。
 この小説に、もう一人の主人公「鬼政(鬼龍院政五郎(まさごろう))」が飛行家フランク・L・チャンピオンを高知に招聘(しょうへい)し、曲芸飛行を行ったシーンが登場する。この飛行興行の最中に、フランクチャンピオンは墜落死してしまう。その後、高知市柳原に「フランクチヤムピオン之碑」が建立され、その碑頂部には飛行帽があしらわれている。
 「鬼政」は実在の人物「鬼頭良之助(きとうりょうのすけ)(本名 森田良吉(りょうきち))」がモデルで、大親分(侠客(きょうかく))であるが、高知の航空史を語る上で欠かせない存在でもある。この鬼頭の足跡を高知市内にいくつか見ることができ、かるぽーと近くにある「九反田地蔵尊」もその一つである。本尊は石仏で、石田三成の娘に関わる伝承を有し興味深い。この境内に姿彫りの地蔵尊と火災復旧記念碑、百度石があり、いずれも鬼頭良之助の足跡が記されている。真新しい石灯籠は「鬼政」を演じた俳優仲代(なかだい)達矢氏の奉納である。
 フランクチャンピオンは、大正六(一九一七)年五月に米国の女流飛行士キャサリン・スティンソンの機関士として来日した。スティンソン嬢が帰国した後、日本に飛行学校設立のため残り、各地で曲芸飛行を続けていた。
 寺田寅彦の日記中、大正四(一九一五)年十二月十一日、十二日「米人ナイルスの宙返り飛行」、翌年十二月十六日「スチンソン嬢曲乗りあり」の記述があり、寅彦も興味を示している。寅彦が東京で見た同機で、大正六(一九一七)年十月三十日、チャンピオンは高知の地に散ったのである。県あげての葬儀の後、鬼頭は井口町の永福寺に白木の位牌を遺している。ことしは、フランクチャンピオンが高知の空に舞い、人々を魅了、驚嘆させてからちょうど百年目の年にあたる。

香南市文化財センター 濱田 眞尚
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