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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
高知にやってきた西郷どんの置き土産
高知市広報「あかるいまち」2017年11月号より
西郷が揮毫した書(竹村守博氏蔵)
●西郷が揮毫した書(竹村守博氏蔵)
 来年(二〇一八)の大河ドラマ『西郷(せご)どん』の主人公、西郷隆盛は、慶応三(一八六七)年二月、明治四(一八七一)年一月、合わせて二回、高知を訪問している。
 一回目は四侯会議開催に向けて山内容堂の上京を促すため、二回目は明治政府の基礎固めに、板垣退助を呼び出すためである。
 中でも、二回目の訪問時には、高知市菜園場にあった木屋(竹村家)に宿泊。そして、東京へ出発する一月二〇日、木屋の主人・竹村與左右(よそう)が用意した土佐和紙に、「一貫唯々諾(いっかんいいのだく)」と「幾歴辛酸(いくれきしんさん)」の二つの漢詩を揮毫(きごう)した。
 そのうちの一つ「一貫唯々諾」の、紙面いっぱいに、大きく、のびのびとした筆遣いは、いかにも西郷らしく、豪快な作品である。
 しかし、おやっ、と思う所が二カ所ある。
 一つ目は、二行目の上から五文字目の「士」の字の横に、小さく「勲」の文字が書かれていること。これは「勲」の文字を書き忘れたため、書き足したものである。
 二つ目は、左下に捺(お)されるはずの落款印(らっかんいん)(書画の左下に捺印する作者印)がないことだ。
 これらのことは、二つの作品を収める木箱の蓋裏(ふたうら)に書かれた「由来書」に、次のように書かれている。
 書き終えた直後に、脱字に気付いた西郷は、「書き直したいから新しい紙をください」と主人に求めた。主人は、「脱字した箇所の横に書き足してください、そしてもう一つなにか揮毫してください」と頼んでいる。このとき西郷は、「生涯の恥だ」と言って大いに照れながら、脱字を書き足し、新たに用意された紙に「幾歴辛酸」を揮毫した。
 ただ、二つとも落款印がないので、主人がそのことを問うと、「急いで出てきたので印鑑は持参していません。それにこの西郷の書をまねする人間なんて後世になってもいないでしょう」と言って大笑いしたという。
 これら西郷どんの置き土産は、現在、県立歴史民俗資料館に寄託されている。

北川村立中岡慎太郎館 学芸員 豊田 満広
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