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このページは、高知市広報「あかるいまち」に掲載されている「歴史万華鏡」のコーナーを再掲したものです。
歴史万華鏡
執筆「こうちミュージアムネットワーク」の皆さん
第33回 本を手渡す仕事
高知市広報「あかるいまち」2014年12月号より
子どもから大人まで、どなたでも利用できます。
●子どもから大人まで、どなたでも利用できます。
 現在、子ども向けの本がたくさん出版されているが、子どもの本が盛んに出版されるようになったのは、それほど昔のことではない。

 近代にさしかかるころ、それまで「小さな大人」として扱われてきた子どもたちが、「大人」とは違う独自な価値を持つ存在として意識されるようになった。そして、その「子ども」のための読み物が書かれるようになり、子どもの文学が生まれたのである。

 日本では、巌谷小波(いわや さざなみ)の『こがね丸』を第一編とする博文館のシリーズ『少年文学』叢書(そうしょ)が一八九一年に刊行され、一九一一年には近代絵本史の草分けの一つである『日本一ノ画噺(えばなし)』シリーズが出版された。それから約百年の間に、多種多様な子どもの本が出版されるようになった。けれども、作り手たちの「子どもたちに善きものを届けたい」と思う気持ちに変わりはない。

 永国寺町にある「高知こどもの図書館」は、現在約三万五千冊の本を開架している。作家や画家たちが心血を注いで作り上げた作品と思えば、どの一冊もおろそかにはできない。

 「人こそ大切。子どもにとって最善の利益を」これは高知こどもの図書館が、日本で初めてNPO法人が設立し、運営する図書館として一九九九年十二月に開館した当初から掲げている理念である。

 高知こどもの図書館は、行政からの委託や指定管理ではなく、市民自らが作り上げた図書館である。こどもの本を通じて出会った大勢の仲間たちに支えられ、ことしで十五周年を迎えることができた。

 開館の日、図書館の扉を初めて開けてくれた女の子は高校生に、小学生だった男の子は大学生になり、お菓子を持って図書館を訪ねて来るようになった。多くの方にご支援いただき、子どもたちの成長を近くで見守りながら本を手渡す仕事を続けてこられたことに、心より感謝している。

 子どもたちが暮らすどんな場所にも、本に出会える環境を整備し、本の持つ豊かな世界に遊ぶ時間を保障することが、子どもたちの未来への一助になると信じている。

 これからも本を通じてさまざまな善きものを、子どもたちに手渡していきたい。

こうちミュージアムネットワーク 認定NPO法人高知こどもの図書館 館長 古川 佳代子
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