このページは,高知市広報紙「あかるいまち」に掲載されている「Mayor's Column 内和外順」のコーナーを再掲したものです。 |
田植え(2006年6月号) |
毎年五月に入ると、五台山小学校の子どもたちと一緒に田植えをするのが恒例になっています。ことしも素晴らしい五月晴れのもと、五・六年生と一緒に、泥んこになって田植えをしました。 幼いころおやじに命じられて、嫌々ながら田植えをした経験があるので、田の中のぬるぬるした感覚は分かっています。わたしたちが小さいころは、田の中に「ヒル」がいることは当たり前でした。しかし、近代化が進み、今の田には嫌いだったヒルもいないし、かわいらしかったドジョウやタニシも少なくなりました。一方、周辺の水路には、けばけばしい色をしたジャンボタニシの卵があったりして、外来種は少し不気味です。 最近はどこも機械植えが多いですが、子どもたちと植えるときは「手植え」です。子どもたちと一緒に泥だらけになり、はだしで田の中にいると、足の裏から何となく地球を感じます。 田の中では、「土」に生まれ、「土」に帰ることが、素足の肌から伝わってきます。一緒にはだしで泥んこになり、一生懸命、手で直接苗を植えたことを子どもたちには覚えていてほしい、記憶の片隅でいいから忘れずにいてほしいと思います。 人も最後には土に帰ります。都会のコンクリートジャングルに囲まれて暮らす生活もありますが、しっかりと土の大地を踏みしめている方が人間には合っていると思います。東京にそびえ立つ六本木ヒルズを見る度に「砂上の楼閣」のように見えるのはなぜだろうかといつも自問します。 子どもたちとの楽しいひとときは、わたしにとって大切な時間でもあります。 |
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