平成27年度 第2回 高知市自立支援協議会 日時:平成27年11月19日(木)18:30〜 場所:高知市保健福祉センター 3階大会議室 欠席:上田真弓委員,小笠原紀江委員 1 開会 (司会) 本日の議事内容及び資料確認 2 委員紹介 (前回欠席委員より) 高知県立大学社会福祉学部 准教授 鈴木孝典様 3 協議事項・報告事項 (会長) 前回,この会議を進めるに当たって皆さんからご意見いただきまして,その中で,改善点をまとめますと,1点目には,論議の中身は障害当事者本人の願いや家族のニーズ。それから,地域の実情や福祉現場の声といった,そういう実際の声というのをベースにおいた論議をしていこうということだと思います。2点目には,自由で率直に話し合える雰囲気を大切にしようということでした。 雰囲気は自由率直ということを大切にしていきたいなというふうに思いますので,皆さんよろしくお願いしたいと思います。また自由率直というところは我々委員のほうだけではなくて事務局,障害者相談センターの方々に自由に協議に参加していただきながら,会議を深めていきたいなと思います。そして3点目には,計画性や見通しを持ったこの協議会を進行していこうということです。 併せて,1つ付け加えさせていただきたいのは,この自立支援協議会が始まって7年ぐらいになります。今年で8年目ということでリニューアルであると言いましたけども,改めて振り返ってみますと,平成19年の準備会から始まってその7年間の取組があってこそ,今回の自立支援協議会があるということも改めて確認したいと思います。地域生活移行のモデルケースをやってみたり,相談支援部会の活動を始めてみたりとか,それと日常生活用具と余暇活動支援など様々なことをやってきました。それらのことが,今日の就労検討会や障害者の相談センターの再編だとかいうことにもつながってきているし,そして今回の自立支援協議会のスタートになっていると思います。そういう意味での7年間には多くの我々の取組が糧になったということを確認しておきたいと思います。 今日のテーマとして設定したのが,地域生活支援拠点についてということと,それから障害者相談センターとのキャッチボールをしていくという関係を作っていきたいということで,センターからの取組と事例報告ということの2つです。 @地域生活支援拠点 (事務局)  説明資料スライドを用いて説明。 高知市から整備方法の構想があるわけではありませんが,今から2年以内に建物等の整備を行うことは時間や財政面の理由も含め,単独型というのは困難と考えています。今後委員の皆様からご意見を頂戴しながら,高知市に合った高知市の障害のある方の居住支援を満たすためにどのような整備をしていけばいいのかといったところをこの協議会でご議論いただきたいと思っております。 【質疑応答】 (委員) この地域生活拠点の中で,国は居住支援に求められる機能として5点挙げていますが,高知市はこれに沿っていくという基本的な考え方になるのでしょうか。 (事務局) 基本的にはこの考え方がベースになりますが,最終的には高知市の実情を踏まえた上での原案作成という形になると思いますので,必ずしもこれだけの機能ということにはならないと。 (委員) 地域生活支援拠点の中核的な機能が居住支援だとするならば,国が示しているこの5点の機能で居住支援は十分ではなく,重要な機能が幾つも出てきます。1つは,対象者の方の緩やかな成長と変化をどう捉えて支え続けるかということだと思います。つまり,その人のライフスタイルを形成することをどう支えていくかというのが居住支援の本来の形であって,国が示しているのは,単にベッドを病院施設から地域に移したときに,この5つの機能がとりあえず必要だよと言っているだけにしか見えない。その中で,相談,体験の場,緊急受入れ,専門性,地域づくり,これは確かに必要でしょう。でも,重要なポイントがあり,1つはやっぱり誰が見守るのかと。居住支援の中では見守りの機能ってとても重要なわけですね。でも,書いてないわけですよ。じゃあ,その病院施設から地域に移ってきた人たちを誰が見守るのか,その体制をどう作るのかというプランは,国が示したものにはないですよね,ということがまず1つです。 それと,実際に暮らしの中で遭遇する問題というのは,多様なものが生じてくるし,そのときにタイムリーにそれを支えていくということが重要なわけであって,その中で,確かに相談でそれをやっていくということかもしれないですし,それは体制づくりの中でやっていくということかも知れませんが,実際に病院から地域にから移り住む人,あるいは親亡き後に単身生活に移行する人にとってみれば,待ったなしの問題が生活の中で出てくるわけですね。そのときに相談に乗れたりだとか,場合によってはそこに少し支えをするという体制をどう作っていくかというタイムリーさといいますか,そういった点を居住支援の中で求められると思います。一方で,現体制では非常にそれが難しい状況があるわけですよね。その問題をどう解決していくかということも,居住支援の中で非常に重要だと思っています。 それから,ヒアリングにおいて挙げられたニーズの中に,非常に重要なことが書かれているのにもかかわらず,求められる機能に書いていないのが,医療的ケアです。医療的ケアの問題は,特に障害を持つ方が高齢化してくる中で非常に重要な問題になってくるわけです。例えばグループホームであれば,今,グループホームに入所している人の5%は,服薬以外の医学的管理が必要な人たちです。例えばインスリンだったりとか,あるいは透析だったりとか,そういった人たちが現に増えてきている状況の中で,この医療的なケア,しかもそれは慢性疾患を抱えていて継続的な内科的管理が必要な人たちに対して,どう支援体制を作っていくか。また,それが高齢化していく中で,その問題が深刻化していったときにどう支えていくかということも重要な問題だと思います。 それと最後は,やはり居住支援の中で,どこまで居宅でその人たちを支えるかという問題だと思います。結局,高齢化してきた中で,その地域で住まう,グループホームに住まうことが限界を迎える人たちというのが少しずつ増えてきているわけですね。では,その人たちを当然継続的にどう支えるかということもあるし,支えきれなくなったときにどうするかということも,やはり居住支援の中で考えておかなきゃいけません。この地域生活支援拠点を考える場合は,そこも議論しておく必要があると思う。これをどうするかというのは,また議論を深めていくポイントだと思いますが,これを見たときに,私も国のこの示されたものだけで考えると絶対うまくいかないと思うし,絵にかいたもちになるだろうと思って見ています。 (会長) 今,委員が言われたような観点で,中身について,皆さんからの体験や現場を踏まえ,こういう見方はどうなのかとかいうことのご質問やご意見を頂きたいと思います。 今,委員が言われた医療的ケアの問題がありましたけど,実際にグループホームや一人暮らしに移行するときに,重複障害や医療的ケアが必要な場合の体制というのは,どこまでできているのかというのは分かりますか。 (事務局) 医療的ケアについて見聞きした事例では,看取りまでグループホームでしたであるとか,グループホームに訪問看護とかは聞いたことがあります。実際そういう方がおいでたというところが,先ほど,委員や会長がおっしゃったところのヒントになっていくと思った次第です。 (会長) 障害当事者の願いや家族のニーズ,状況の変化,高齢化などですね。ということと併せて,受け入れる側のグループホームなり施設や事業所における体制づくりということの課題もあるということですよね。そのことで何かご意見ありませんか。 (委員) 現にグループホームのほうに関わっています。さっき言われた医療的ケアが必要な人で,インスリンを打たないといけない方については,当事業所では精神障害を中心にしており,他の内科的な疾患などについて消極的になりがちですので,医療行為ができないですし,スタッフ側も手助けができないので,打つところまで一緒に見るが,ご自分でやっていただく必要がある。そこまでやれる人が果たしてどれだけいるのか,その人にグループホームが本当に必要なのかみたいなところまで考えないといけなくなる。受け入れる側としたら,やりたくてもできないホームというのはたくさんあったりして,消極的と思います。前に,某施設にも勤めていたことがあって,そのときに透析導入患者さんの受入れを依頼されたことがありました。でも,透析は定期的に通院をしたらいいし,迎えにも行くしというようなことだったのですが,シャントからの出血があったときにじゃあどうするんだということで,それがあることで頭から対象外としてしまうような傾向にそのときはありました。今はどうか分かりませんけれども。医療的ケアに関して看護師が配置されている施設だったらまだしも,消極的になりがちという気はしますが,その人の暮らしの中の一部なので,じゃあそれをどう考えるかというような視点で考えることができるといいなとは常々思っております。 (委員) スライド10のところで5つ挙げられている中の,「緊急時の受け入れ・対応(ショートステイの利便性・対応力向上等)」に関連して,スライド6のところで,短期入所の決定者数に比べて実利用者数が3分の1程度と。その背景には,もしもに備えて決定だけは受けておこうという,説明がありましたが,例えば,使いたいけど使えないというような,そういうお声など把握されているのでしょうか。 (事務局) 事業所の入所者がある程度埋まっていたら使えないという場合もありますし,ショート枠を長期的に利用している方がいるため空きがない場合もあります。医療ニーズが高い方は事前予約という形で利用しますので,突発的に必要になったときに,希望する期間,利用できないといったような実情もあります。希望する施設に空きがないと市内から離れた施設に依頼をする状況はございます。 (会長) 緊急性という観点で見たときに,緊急性に対する即応性はできているのかどうかということですよね。それは障害種別で若干違うと,身体,知的,児,またはその重複なのか,緊急性に対する即応性は担保できているのかと。本当に困ったときに利用できることを目指したいわけですが,現状としては,数の上では立っているみたいな形にはなるわけですけど,緊急性に対する即応性というか,もう少し分析したものは何かありませんか。 例えば,障害種別で緊急性に対する対応というのは現状どうですか。 (事務局) 普段の対応をしていると,肢体不自由の方の受入れは,比較的にスムーズです。知的障害の場合は,空きが有る無しもありますが,その方の障害の状況で施設が受入れ可能かどうかという判断も一定あります。対応可能かどうかというところで。身体・知的でいえば,知的障害のほうが緊急性の場合に苦慮する場合があります。 (会長) ありますね。その場合,結果としてその市内ではなくて,市外含めて探していくという形になるわけですね。 (事務局) そうです。 (会長) 精神の場合は。家族が困ったらすぐ対応できるかどうか。 (事務局) 精神のショートは場所が本当にないので,緊急のショートとなると精神科病院が優先されたりします。体を休めたいなどの休息目的だったりするわけですが,施設の数が限られていますので,事前に予約をして使うということで,緊急で何かというと,使いづらいところがあるのが現状だと思います。 (委員) 先ほどの説明の中で,長期間ショートを使っている方がという話ありましたが,そのために緊急の方が入れないときがあるのかということと,その長期間ショートを使っている方は,施設入所を希望しても入所枠がないため,そこでずっとショートとして利用し,実質は入所みたいな形なのかというところを教えてください。 (事務局) 施設入所を希望していて,空きがないために結果的に長期間ショートといった形で利用なさっている方もいますし,在宅の方でも,家族の働き方の都合であるとか,それからその人の生活のパターンといいますか,必要に応じて定期的に使われる方というのもいらっしゃいます。両方です。 (委員) 一つ気になるのが,精神の緊急性の対応があります。精神の方の場合には,緊急性イコール医療というふうに仕組みが作られがちですが,実は,医療以外のニーズで緊急性が高まる,あるいは,医療以外の仕組みの中で緊急性の問題が解決するということはあります。例えば,親御さんのレスパイト目的というのは当然精神でもあるわけですし,あるいは,取りあえず一晩誰かがそばにいれば落ち着いてくれるとかですよね。実は,医療以外の福祉的な側面でのニーズに対しても,やはりその緊急性があって,それは医療ではない福祉の分野のショートステイで十分対応できるにもかかわらず,医療を使わざるを得ない状況が現にあるというのは,やはり問題だと思います。これだけ地域ケアということが精神の領域でも言われている中で,その緊急対応が医療の分でしかないというのは非常にバリエーションとしては貧弱・脆弱であって,福祉型のショートステイなりエマージェンシーシステムということは,重視していく必要があると思います。なかなか作るのは難しいし,そこに事業者の方は手出しづらいということはあると思いますが,特別な何か,医療的なケアという問題ではない問題というのは,地域の中でも十分に解決できる余地があると思っております。 (会長) 障害者のニーズ以外にも,施設や事業所を励ますようなご意見も頂けたらと思います。 どうでしょうか。相談,体験,緊急,専門性,地域づくりということで,項目的にはトータル的な意味合いも含めてのことになりますけども。 (委員) 先ほどからも幾つも重複障害の方,高齢化などいろんな形で見ていったときに,どういうものを地域の生活支援拠点の中に求めていくのか具体的にイメージしにくいところがあります。3障害に分かれてはいますが,障害の程度によっても様々でしょうし,高齢化によってADLの低下が出てくると考えたとき,どの辺りの障害,どの辺りのレベルを想定しながら,この拠点の話を進めていけばよいか分からないところもありまして,皆さんにちょっと聞いてみたいなと思ったところです。 (会長) 今,委員が言われたことは大切でして,この障害者福祉は,どうしてもそれぞれが関わっている障害の内容だとかレベルがスタンスになって,共通ベースでの議論にはなりにくいのは事実ですよね。ですから,論議するときに大切なのは全体に共通する課題をきちんとするということと,併せて,障害種別,また重複の中身によって違いもあるということを認め合って,それも出していこうという,この両方が要ると思います。 今日はまだ質問という形ですので次回につなげてはいきたいと思いますが,どうですか。次回,ご意見いただく一つの手掛かりみたいなものは,つかめていただけたでしょうか。 ですから,先ほど言ったように,障害の中身によって違うということもありますので,それぞれの体験に基づいて出していただいたらいいと思います。例えば,知的障害で自閉症の人を想定して,困ったときに相談,それが具体的にできているのかどうか。また即応性のあるショートにつながっているのかどうか。それから障害種別で違う部分もあると思いますので,それぞれの状況によって出していただいて集約していきたいと思います。 次回に論議する上に当たって,何かご意見,ご質問ありますでしょうか。 (委員) 難しいとは思いますが,想定される数ですね。この地域生活支援拠点の対象を高知市として考えるとき,例えば,想定される利用者数,見込みも含めてという数で考えるのか。いずれにしても,先ほど委員が言われたように,どういう層をこちらが想定しているかということを確認しながら議論していくということが一つないと,何か空中戦で終わるという気がします。高知市としてどう考え,どういうものを作っていくのかについて,項目としてでも結構なので,どういう対象層を高知市としてまず想定するかというところは,少しお示しいただくと議論がしやすいのかなと思います。 (会長) その観点でまた事務局側お願いします。 (事務局) 数値については正直分からないところもありますが,協議するきっかけになるというご提案だと思いますので,ご用意したいと思います。 あともう1点,後半の非公開の事例報告でも,難渋しているケースを通じた報告をしますので,遠からずこの地域生活支援拠点ともつながっているというふうに聞いていただけたらと思いますので,よろしくお願いします。 (会長) 事務局のまとめを次回に提示するということで。 それでは,本日の地域生活支援拠点についての検討は終わりまして,次回,中身についてのお話を進めさせていただきます。よろしくお願いします。 それでは,ここで5分休憩を取りたいと思います。 (休憩) A事例報告 (会長) 後半は,事例検討といいますか,障害者相談センターの取組を理解し,センターとこの協議会との関係についてといいますか,一言で言ったら,キャッチボールができるような関係になったらいいなというふうに思いますので,今日は2つのセンターからの事例報告を通して,取組の内容を知っていただくということを中心にしてやっていきたいと思います。 障害者相談センター東部,障害者相談センター北部より事例報告及び委員との意見交換 個人情報のため非公開 4 その他  特になし 5 閉会 (司会) 第3回高知市自立支援協議会の開催は平成28年2月を予定しておりますので,またよろしくお願いいたします。 以上をもちまして,平成27年度第2回高知市自立支援協議会を閉会いたします。委員の皆様ありがとうございました。