ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織一覧 > 広聴広報課 > 平成29年度 市長と語ろう会 議事録(東部健康福祉センター)

本文

平成29年度 市長と語ろう会 議事録(東部健康福祉センター)

日時

平成30年2月22日(木曜日) 18時半~20時半 

会場

東部健康福祉センター 集合室

市長あいさつ 概要

 皆さん,こんばんは。日頃から,地域の子育て支援や防災対策をはじめ,さまざまな活動に協力いただいており,感謝申し上げる。

 ご承知の通り,南海トラフ地震の発生が少しずつ近づいている。具体的な日付を予測することは技術的に困難だが,発生することは間違いない。本日は,現在の被害想定やシミュレーション,対策等について説明した後,皆さんとの意見交換を行いたい。ぜひ,活発な意見を賜りたい。よろしくお願い申し上げる。

概要説明

(司会)

 南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策について,市長より説明する。

(市長)

 ※配布資料をもとに,南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策の概要を説明。 -説明については省略-

意見交換

(司会)

 意見交換を始める。本日のテーマ「南海トラフ地震長期浸水エリアにおける避難対策について」に関連する意見・提案をお願いする。

(参加者)

 私たちの町内会は,大津の食品団地に隣接し,98豪雨で浸水した地域にある。食品団地に汚水処理場があるが,老朽化が進んでおり,臭いの問題も発生している。周辺の擁壁を見ても小さなひび割れがあり,大きい地震には耐えられないように思う。浸水に加えて,この処理場の汚水が町内に流れ出る可能性があり,できれば下水道につないでいただきたい。また,この施設の耐震性が十分なものか,知っておきたい。

 上下水道局 食品団地の汚水プラントについて。これまで,食品団地の下水道処理について,特別に検討した経過はない。高須に,流域下水道の処理を行う高須浄化センターがある。県が整備した施設で耐震化もしている。ここに食品団地の汚水を取り込むことが可能か,この場で申し上げることはできない。県に要望を伝え,検討していただけるよう話をしていく。

(参加者)

 高須小学校区防災会のメンバー。津波避難ビルの指定について,行政の指導を受けながらマンションの所有者と交渉した結果,地区人口に対して十分な避難場所を確保できている。自主防災会として,地域の皆さんの協力や,意識の高さに感謝をしている。市も,山への避難路を整備してくれており,避難に関しては安心している。しかし,長期浸水については,先ほど,高須地区は約2メートル沈降して30~40日間浸水すると説明があった。一般の方も地区の住民もそう思っている。この想定が,高須に事前の被害を及ぼしている。買い手がいないためマンションが建たなくなり,需要がないため地価が下がった。以前は転入者から非常に人気があったが,現在は不動者業者も浸水被害がないエリアを紹介している。空き家は増える,地価は下がる。高須は,皆が住みたいまちから,逃げ出したいまちに変わってきている。これは,行政として考えていただきたい。

 現在,三重防護の工事を行っている。その効果について,早く皆さんに知らせてほしい。L1であれば浸水しない,L2でも10日あれば排水できる,1か月も浸水するようなことはないと,そう言っていただければ住民は安心する。私たちは,それぞれ個人の責任において避難し,命を守る努力をする。防災活動も一生懸命やっている。それ以上は行政に頼るしかない。公共施設の整備も浸水地域では抑制されている。そういう影響は大きい。三重防護の効果を広報して,1か月も浸水して生活ができないというイメージを払拭していただきたい。

 もう一つ,地価は下落しているが,固定資産税が高い。土地や家を貸しているが,借り手がなく値下げをしている。固定資産税も下げていただきたい。

(市長)

 三重防護は,平成29年度から本格着工している。完成すると,相当の効果があると思われる。国土交通省は,これが完成すれば,L1の地震では津波の侵入を防ぐことができる。L2でもかなり軽減できると言っている。ただし,完成までに約16年かかる。入り口で食い止めることが最も大事であり,第1,第2ラインの工事を先に行う予定になっている。若松町等の古くなった堤防については,県が先行して工事をしており,効果は非常に高いと思っている。南海トラフ地震の発生に間に合うように進めていただくよう,国土交通省に強く要求している。各年度に予算がどれだけつくかということも大事なポイントであり,国土交通省だけではなく,財務省にも要請している。この対策が完成したらここまで大丈夫といった具体的なことをどこまで言えるか,国土交通省と相談する必要があるが,国土交通省は,三重防護が完成した場合に浸水エリアがどう変化するか,いくつかシミュレーションをしている。そういった資料を積極的に出していきたい。地価が下がったことや,マンションに空き部屋ができていることは,非常に気になっている。

 固定資産税について,マンションに空き部屋が出ているから税を下げほしいという話はよくお聞きするが,固定資産税は建物に対して課税されるため法律上難しい面がある。いずれにしても,三重防護の効果をしっかりとアナウンスしていきたい。

(参加者)

 私たちが持っている浸水マップは三重防護が決まる前に県が示したもの。市はそれ以外配布していない。国や県との関係もあるだろうが,アナウンスをするのは市。市から修正版を早く配布していただきたい。固定資産税は価値にかかっている。付加価値によって地価は上がる。国とか制度とかではなく,市長の裁量でもっと現実的に安全性のPRをしていただきたい。

(市長)

 三重防護が完成すればここまで被害を軽減できるという資料を国土交通省で作っているが,まだ広く知られていない。修正版ということではなく,それをいろいろな場面で出していくことになると思う。

(参加者)

 高須砂地防災会のメンバー。長期浸水から少しそれるが,新木の電停付近が変則交差点になっている。電車通りにはガードレールもなく,何年か前に改善の要望をしたが返事がない。美術館通りの電停付近も,右折レーンがないため,朝夕の混雑する時間帯に右折の車が数台並ぶと道路をふさいでしまう。安全上の問題があると思うが,対策を考え直していただけないか。

(都市建設部)

 先ず,新木橋の変則交差点について。平成21年頃,交差点を真っ直ぐな形にして交通の流れをスムーズにするよう要望があり,北に新しく橋を架けることなど,いろいろな方法を検討してきた。当時は交通量が増えていくと見込んでいたが,交通量調査を行った結果から,東西の国道も南北は朝夕で変化はみられるが,平成21年当時から交通量はほぼ変わりないことが分かった。この交差点を新たに整備することになると,かなりの費用負担が生じる。今年度当初,整備は困難ということで一旦返事をさせていただいた。

(参加者)

 そのような返事は聞いていない。

(都市建設部)

 要望された方と話をしたと聞いている。

(参加者)

 地元では組織を作ってきちんと要望している。そこへ説明するべきではないか。

(都市建設部)

 地元組織の代表者の方に説明したと報告を受けている。

(参加者)

 聞いていない。

(都市建設部)

 そこは確認させていただく。

 美術館通りの件。交差点に北方向への右折レーンがなく,道幅は若干広くなっているため3台程度ならば問題ないが,それ以上になると後続車の通行を妨げてしまう状態。現状は理解しているが,改めて右折レーンを設置することは困難ではないかと思われる。この地点で渋滞が発生しているということを,県には,なお話をさせていただく。

(参加者)

 美術館通りについては,道路全体を見直していただきたい。南側にバス利用者の駐車場があり通れない。北側には大きな電停があり道路が狭い。自動車の接触事故も起きている。整備を見直していただきたい。

 新木橋についての回答は誰も聞いていない。組織で陳情しているのだから,個人ではなく組織に回答するべきだ。あの交差点は変則ということだけでなく,橋の耐震性,高潮対策,道路の電停,3つの大きな問題がある。それを,交通量が変わらないからといってそのままにしておくのか。そういう考え方は間違っている。回答についても,組織に話をして地元で説明会を開くべきではないか。

(都市建設部)

 確認の上,対応させていただく。

(参加者)

 鹿児東自主防災会のメンバー。私たちの一次避難場所は中央高校になるが,そこへ行くまでの避難路の上がり口に神社がある。ここの木を切っていただきたいというお願いを,地元の総代,林野庁,神社等各所に相談したがらちが明かない。市の道路整備課や地域防災推進課へも相談したが,個人の所有物であり難しいという返事であった。木は,樹齢100年近い椎の木で,中央高校へ避難するちょうど上り口に2本生えており,もし,地震で倒れたら避難ができなくなる。そうすると,大津小学校か大津中学校に避難しなければならないが,ここも橋の状況によって舟入川を渡れるかどうか分からない。木の伐採費用は見積もりで100万円強。それを町内会で負担することは困難であり,市からの援助について再考していただけないか。

(市長)

 昨年10月の台風でも,土佐山,鏡地区で倒木被害が多くあった。倒木があると交通を遮断してしまう。神社地の大きな御神木となると,それを行政が伐採することはなかなか難しいとは思うが,避難路をふさいだ場合にどうするのか,その対策は考えておく必要がある。倒木があった場合,どのルートでどのように避難するのか,具体的に協議していきたい。

(参加者)

 高須東防災会のメンバー。南海トラフ地震が起きた場合,四国の自動車道は最低1か月不通になると聞いた。1週間程度は避難場所で何とかなると思うが,その後1か月の間,市民はどのように生活することになるのか。家屋が倒壊して住めなくなったら,仮設住宅等を利用しなければならない。長期浸水との関連の中で,仮設住宅の用地をどのように考えているのか。自動車道が不通になれば,高知県は孤島になる。船かヘリコプターしか輸送手段がない状態でどのように住宅を建てるのか。浸水エリアの住人,この高須地区の住人たちはどこへ行けば良いのか。半年,1年の間の市民の生活をどう確保していく考えか。

(市長)

 高速道路は耐震基準を高めに設定している。四国の高速道路には橋梁が多いが,落橋することがないように整備している。ただし,山からの土砂がトンネルの出入り口をふさいでしまうことはある。先ず,その土砂を取り除く作業を行い,緊急車両や自衛隊の部隊を受け入れる。

 物資について。熊本地震から,国がプッシュ型支援の形でどんどん物資を送り込んでくるシステムになっている。熊本地震の際,益城町などの町村では,職員が避難所対応に追われて役場として機能しなくなった。国に対して要請を行える状況ではなかったことから,受け入れ態勢に関わらず物資を送り込むことになった。しかし,受け入れ態勢が整っていなければ,物資が集積地に山積みになり,行き渡らないことになる。受け入れをしっかり行えるよう,県とも協議している。

(防災対策部)

 最大クラスの地震が起こった場合,高須地区は地盤沈降を伴い,最大2~3メートルの津波が,概ね1時間前後で到達することが想定されている。高須東地区周辺には,自然地形の高台が少ないため,最寄りの津波避難ビルに避難していただくのがベストだと考える。

(参加者)

 現実は,想定どおりにはならない。先ほど,三重防護の話もあったが,実際に津波が来たら浸水して生活できなくなる。いつまでも津波避難ビルにはいられない。

(防災対策部)

 津波避難ビルはあくまでも一時的な避難場所。自衛隊や県警,消防等の応急救助の機関と連携しながら,先ず,孤立している方々を救助救出する作業に入る。ただし,本市の場合,長期浸水エリアが広く,避難したビル等に孤立する方が多数出てくると思われる。小さい子どもさんや病気を抱えている方などを優先しながら,全ての孤立者をドライエリアに移すには,やはり一定の日数が必要である。津波避難ビルには,スペースの都合もあり,水や食料を十分に配備できていない。自衛隊等の応急機関の力を借り,必要な物資をヘリコプターやボートで運搬することを考えている。来年度以降,市で救助救出計画を立てる。その作業の中で,きめ細かな対応を考えていきたい。

 救助救出された後の避難所生活について。現在,市内に168か所の指定避難所がある。大部分はいわゆるドライエリアに二次避難場所を構えているが,長期浸水エリアにも指定避難所はある。高須地区は,本日の会場である東部健康福祉センター,高須ふれあいセンター,高須小学校の3か所。基本的には,救助救出された方をドライエリアの避難所に移し,国からの支援や調達により物資を補給しながら,避難所の中で一定生活していただくことになる。その間に,仮設住宅等を公共用地等に建設していくが,どの場所にどれだけの仮設住宅を建てられるか,具体的な道筋はまだ明らかになっていない。これは,県市連携で協議している課題の中でも最重要事項である。対処できるよう,県と連携しながら進めていく。

(参加者)

 ここが避難場所になった場合,何人がどのくらいの期間避難する想定か。半年くらいか。

(防災対策部)

 半年もの期間になるとは考えていない。条件によって適材適所で対応しなければならないが,できるだけ短い期間で対応していきたい。

(参加者)

 もし,ここに200~300人避難して,1メートルの水深があった場合,物資はどのように運ぶのか。

(防災対策部)

 救助救出は長期浸水エリア以外のドライエリアに移すことが基本。長期浸水エリアに留まっていただくことは想定していない。

(参加者)

 トイレの問題もある。下水道は全く使えないと思う。そうすると,ここには長くいられない。

(防災対策部)

 指摘のとおりである。それらを踏まえ,救助救出や,指定避難所でどのような生活をしていくかといった,きめ細かな部分について順次検討していく。

(参加者)

 市は,高須地区の住人を全てドライエリアへ移送することを考えているのか。

(防災対策部)

 現在,168か所ある指定避難所のうち,ドライエリアにある100か所に移すことを第一に考えていく。

(参加者)

 地震が起きたら先ず一時避難場所に逃げる。そこには長くいられないからどうするか。地区の防災組織が中心になって考えてほしいということで,昨年と今年の2回,訓練を行った。浸水しても1週間程度かもしれないし,昭和56年以降に建った新耐震の家もある。地域の公民館もある。自宅待機も含めて,皆で連携を取りながら救援を持つという前提で訓練している。市の災害対策本部に在宅が何人,収容が何人といった情報を送り,救援物資をいただく。そういう形を組み立てている。地区の住民を全てドライエリアに移すと言うならば,私たちの考え方と全く違う。そのようなことが現実に可能なのか。それよりも,早く排水すれば良い。

(市長)

 避難された方の中には,体調が悪くなる方も出てくる。その時にどうするのか,避難所の管理・運営を地元の方に考えていただくことは,非常に大事なことだと思う。長期浸水の期間がやはり問題になる。最長の場合に20日と想定して,全員を運ぶかどうかという問題はあるが,少なくとも高齢者や子どもさん,妊婦さんなどは運ばなければならない。自衛隊等が所有しているボートが日に80艇稼動した場合,1日で約1,000人移送できると試算している。20日運べば2万人。それ以外に,ヘリコプターによる救助も可能と考えている。自衛隊は,基本的に3日目に偵察機が来た後,準備を整えて5~6日後に入ってくる。先ず,善通寺から。善通寺が動けない場合にどこの部隊が入るか,順番が決まっている。そういった態勢の中で,できるだけ20日から短縮したいと思っている。

(県 危機管理部)

 先ほど,高速道路が1か月くらい使えないのではないかという話があったが,1か月も使えないと大変なことになる。高速道路で心配なのは崖崩れである。先ず,土砂を除去し通行できるよう,3日で作業を行う計画を立てている。なぜ3日かと言うと,4日目以降,高速道路を使い国がプッシュ型で支援物資を大量に送ってくるためである。物資は,この地域であれば香美市野市町のセンターに運ばれ,そこから周辺に配送される。県の各拠点のマニュアルを作成し,それをもとに訓練を行うことにしているが,拠点まで来た後,地域の皆さんにどう送るかという課題がある。その点についてのマニュアルを,県と市町村が連携して作成することになっている。

 外部からの応援について。地震が発生してから68時間後には,自衛隊だけでなく,全国の消防や警察から,相当の部隊が応援に入っている。問題は,その方たちに,どこの地域で活動していただくか。実際に入ってきた部隊をどのように展開するかということが今後の課題であり,市町村の皆さんと共に検討していく。

(参加者)

 東日本大震災で実際に起こったことで心配なのは火災。その中でも,特に燃料タンクの火災。高知市にはタナスカに大きな基地がある。そこの安全性はどうなのか。石油タンクが流されて浦戸湾から国分川まで流れてくることを心配している。また,タナスカにずっと基地を置くつもりなのか。移転はしないのかお聞きしたい。

 もう1点,三重防護の工事について。葛島橋から南,高須地区側の部分は第三ラインにかかっていないが,ここの堤防は大丈夫なのか。西側は堤防の中央に鋼板を入れて強くしているが,そのような工事は不要か。

(県 危機管理部)

 タナスカの件について。東日本大震災では,気仙沼市で石油タンクが主な原因になって非常に大きい火災が起こった。後に,気仙沼市役所の方から,タンクが流されてからあっという間に火が出たと聞いたが,非常に長く燃え続けた。高知ではタナスカが同じような条件であり,平成25年から,高知市と共に事業所や有識者を交えて検討してきた。先ず,タナスカから油が漏れたら浦戸湾内にどのように広がるかを知りたかったが,当時はそのための技術がなく,地震の揺れに対して石油ガスの施設がどのような状況になるのか検証してきた。元々,危険物を取り扱っているため,L2の大きな揺れでも,本体が壊れることはおそらくない。つなぎ目等,部分的に一定の被害が出る可能性はあるため対策は必要だが,揺れによって大きく油が漏れるということはない。津波が来た場合に,少しでも油が流れたらどうなるか,宿題として残っている。現在は研究が進んだため,油や材木が流出したら浦戸湾内でどのような動きをするのか,シミュレーションを行っている。油や材木が流れることが悪いのではなく,どこでどのような悪さをするのか,そこが大事になる。シミュレーションを踏まえ,市と一緒に具体的な対策を検討していきたい。

 タナスカの石油基地で高知の燃料の9割以上を賄っているが,たとえ燃料が漏れなくても,震災後は使用が困難だと思っている。そのため,燃料確保計画を立てている。自動車だけでなく施設や官庁も非常用発電のために燃料が必要になる。可能な限り備蓄の量を増やすことが重要。もう一つ,県民の皆さんに,車の燃料が半分になったら満タンにすることをお願いしたい。東日本大震災の時に,ガソリンスタンドに多くの方が押しかけ,緊急車両に燃料が入れられなくなる事態が起こった。常に半分を保っていただければ,かなりの距離を移動できる。県庁では,公用車の燃料は絶対半分を切ることがないよう,すでに取り組んでいる。これを,県全体でやっていただくことで,ある意味,燃料を備蓄していることになる。また,発災から4日経てば外部から燃料は入ってくる。それを効果的に給油していくため,消防本部と提携して燃料タンクを設置している。北消防署と南消防署にも,県市で協力してタンクを作っている。これらは地震が発生した際に給油所になる。震災後の燃料確保についても,いろいろな角度で検討していきたいと考えている。

(都市建設部)

 葛島の堤防の件について。三重防護は,L1の津波に対しては,進入を防ぎ市街地の長期浸水をなくすよう計画されている。L2に対しては,津波の侵入をできるだけ抑える減災の考え方を基本としている。その中で,葛島の高須西町の西側にある堤防については,既に耐震対策済みか対策不要となっており,三重防護の計画において,現状の堤防で大丈夫だと国が判断したものと考えている。

(参加者)

 高知市では,防災について県外から専門家を呼び講演会を行うなど,防災意識を高めるために積極的に頑張っていただいている。2月24日に市民トリアージという講演がある。それには出席しようと思っているが,実際にL2の地震が起きた場合,市が負傷者の治療を行うための医療所のようなものを直ちに設置するのか。あるいは県か。避難所に医療所を作ってどのように動くのか教えていただきたい。医大や医療センター,日赤等の指定された病院に運ぶのか,負傷者を本当にそこまで運んでいけるのか。それよりも,例えばこの東部健康福祉センターなど,地域に医療所があれば,守った命をつなげていけると思うが教えていただきたい。

(健康福祉部)

 災害緊急救護所について。日赤と医療センターにDMATというものがある。こういった所が被災時の救護場所になる。そこへの移動が非常に重要になってくる。市長から説明があったとおり,先ず,一次避難所にどのくらいの負傷者の方がいるのか確認しながら,自衛隊等外部からの救護隊がどれだけそこに駆けつけられるのか見ていく。この間については,避難所におけるお互いの救助活動ということになる。津波避難ビルにあるレスキューリクエストやスマートフォンを活用した情報伝達等により,要救助者の状況を把握していかなければならない。長期浸水区域での一次避難所からの移送については,検討段階に至っていない。今のところは,DMATによる救護医療所をどのように機能的に運営していくのかを考え,訓練の中で検討している。

(市長)

 長期浸水エリアから負傷者を運び出すまでに時間がかかると思う。県外からドクターに来ていただくことが重要になる。日赤や民間のドクターの団体であるAMDA。こういうところが翌日からすぐ動くと思う。消防のヘリコプターは,地震が起きた時にどこの消防が飛ぶのか持ち回りで決めてあるため,すぐに動くことができる。それにドクターなどが乗って,全国から比較的早いタイミングで飛んでくると考えている。

(参加者)

 発災後,避難所へ避難してその後浸水した場合,ヘリコプターがあるといっても,L2の場合には想像を絶する数の負傷者が出る可能性がある。避難所に医療に関係した人がいれば良いが,いなければ誰が手当てをするのか。素人の私たちができるだけのことをするしかないが,市としては,医師や看護師を避難所に配置することを考えていないか。

(防災対策部)

 避難所に医療関係者をどのくらい配置するか,具体的に決めたものは持ち合わせていない。地域の防災リーダーを育成するため,毎年,防災人づくり塾という講習会を開催している。その中で,日赤の西山先生からトリアージの方法について話をしていただき,知識を身に付けていただいている。また,防災士の資格取得についても市で支援しているが,救急救命講習を受けることが条件の一つになっている。救命救急講習を受講した以降もフォローし,できるだけ裾野を広げていきたいと考えている。

(市長)

 基本的に,現役の医師や看護師は勤めている病院に駆けつけることにはなると思うが,浸水で行けない可能性もある。その場合,地域に残っている方は自発的に避難所に行かれると思う。保健師も同様だと思う。また,現役でなくOBの看護師や保健師。そういう方が避難所にいれば,自主的に活動してくれると思う。ただし,そういった方が何人いるかとかいう把握はできていない。

 阪神淡路大震災の際,学校で訓練を受けたばかりの高校生が心肺蘇生で母親を救ったという実話がある。その話を聞き,現在,小学校5年生と中学校2年生を対象に救急救命訓練を実施している。小・中学校で2回体験していれば,とっさの時には思い出すので,市内全校で実施している。

(参加者)

 津波避難ビルの備蓄について。避難ビルの方たちの希望を聞いて県や市が援助しているのか。それとも,ビルの方が好意で水などを準備しているのか。学校も含めて,避難した場所にどれだけの物があるかということを知っておきたい。

(防災対策部)

 津波避難ビルは,現時点で市内に311か所指定している。そのうち,長期浸水エリアには253か所,高須地区には83か所。さらに増加をめざしている。物理的にスペースが確保できれば,説明資料に掲載している1~7までの品目を津波避難ビルに備蓄していく方向で進めている。スペースがなければ,置ける範囲で必要なものを優先的に備蓄していく。現在は,まだ備蓄の途中段階である。長期浸水エリアは孤立するビルが出てくる可能性があり,滞在期間が一定長くなる。水や食料の部分については,ビルのスペースの関係もあり,備蓄は進んでいない。孤立すると,物資はヘリコプターから投下するか,船で運んでしのいでいかなければならない。これまでの「市長と語ろう会」でも,一時的に避難する津波避難ビルにも,当座の水や食料,携帯トイレ,そういったものは一式必要ではないかという意見が多く出た。防災対策部として,いただいた意見を今後の施策にどう生かしていくか,検討していきたい。

 津波避難ビルの孤立状態を解消させて,一時的に生活していただく二次的な避難所,指定避難所というものが,学校を中心として168か所ある。そこにも備蓄品を置いているが,食料等まだ十分ではない部分がある。鋭意努力していく。

(参加者)

 防災会でも,水や食料の確保を考えているが,備蓄する場所に困っている。食料なので,湿気や温度,小動物など,いろいろな問題がある。高須小学校の空き部屋に防災会の水や食料を置かせてもらえないか。小学校には生徒用の備蓄はある。一般の者がそこへ避難したときに,その世話にはなりにくい。高須に限らず,他の小学校でも空き部屋があればお願いしたい。難しい面はあるだろうが,要望しておく。

(参加者)

 今日はいろいろな話が出たが,この地区にどのような被害があるのか,それによって対策がある。1か月も2か月も長期浸水になると言われると対策も変わってくる。移転という話もあった。県の部長も来られているので聞きたい。三重防護の河川部分は,堤防のかさ上げをせずに耐震補強をするということなので,L1の場合は津波が堤防を越えないという想定なのか。

 もう1点。次に来る地震はL2だと思っている。どの程度の覚悟をしておくべきか。移転するよりも自宅の2階で生活したいという人が多いと思う。孤立状態が1週間なら辛抱できるが,1か月だと辛抱できない。三重防護の効果について,イメージで構わないので言っていただきたい。

(県 危機管理部)

 三重防護が完成し,L2の地震が来たときにどうなるのか,皆さん一番気になるところだと思う。L1では浸水しない見込みだが,L2については逆に自分たちも知りたい。三重防護がある方が良いに決まっているが,それでどこまで防ぐことができるのか。残念ながら,きちんと責任を持って評価する手法が今のところはない。そのため,長期浸水を考える場合には,最悪の事態を想定している。最悪の場合,水が引くまで44日かかる。早く排水するためには,早く止水しなければならない。44日という日数を少しでも短くするよう,高知市と一緒に考えていくが,具体的に何日にするとは申し上げられない。

(参加者)

 言われていることは分かるが,一般論でなく,この東部地区に限った話で構わない。県は全体的なことを考える必要があるだろうが,市長の判断である程度示してほしい。堤防はそれなりにしっかりしているし,排水機もある。私は,1週間も浸水するのか疑問に感じている。浸水深も,堤防の高さからするとそれほどにならない。干潮になれば,水門で自然に排出できると思う。移転するのか,自宅待機で大丈夫なのか。そういった対策や備蓄のことも含めて,ある程度のことを示していただきたい。

(市長)

 堤防によって,かさ上げが必要な所と必要ではないところがあるが,地盤沈下も含めて,津波に対する高さを保つとともに,津波の引き波で倒れないようにする工事を行っている。L2の場合,何が起こるか分からない,予測不可能な部分がある。ここまで大丈夫といったことは言い難い。しかし,三重防護が完成すれば,かなりの抑制ができると考えているし,国土交通省も相当の効果があると言っている。完成すればこうなるというイメージを伝えていくことは大事だと考えている。