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第470回高知市議会定例会市長説明要旨(令和元年6月13日)

 第470回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政・経済の動向

 まず最初に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。
 令和元年になって初めての国賓として,先月,米国トランプ大統領が来日され,日米の貿易交渉や北朝鮮情勢などを主要議 題として日米首脳会談が開催されました。
 また,今月28日・29日の2日間,我が国が初めての議長国となる「G20大阪サミット」が開催され,G20各国に加えて招待国の首脳や国際機関の代表が参加し,経済分野を主要議題に,世界経済や貿易・投資,開発,気候・エネルギーなど,幅広く議論されることとなっています。
 経済大国第1位と第2位の米中の貿易摩擦は,二国間だけの問題にとどまらず,日本の経済や産業にも大きな影響を及ぼすことが懸念されますので,両国の冷静な議論と賢明な対応を強く望みます。
 さて,今月26日には,第198回通常国会が会期末を迎えることとなり,来月には一票の格差是正に向け本県を含む4県を対象とした合区が適用されることとなってから2回目の参議院議員通常選挙が実施される予定です。

 前回の選挙では,初の合区選挙の影響もあり,高知県全体の投票率は,選挙区・比例代表ともに全国最下位という残念な結果となりました。

 公職選挙法が改正されたことに伴い,今回の参議院議員通常選挙から,比例代表において,優先的に当選人となるべき候補者名を名簿に記載するいわゆる「特定枠制度」が導入されることとなりましたが,根本的な合区の解消には至っておらず,今後も国に対して都道府県単位による選挙に基づいて,郷土の代表が国政に参加できる選挙制度が構築されるよう全国市長会等を通じて働きかけてまいります。

 今月10日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の実質成長率は,中国経済の減速などの影響が懸念されましたが,速報値で前期比0.6パーセント,年率換算では2.2パーセントと2四半期連続のプラス成長となりました。

 しかしながら,その要因としては,輸出入において輸入の減少幅が輸出の減少幅を上回り,外需が0.4パーセントプラスに寄与したことが大きく,内需においてはGDPの約55パーセントを占める個人消費がマイナス0.1パーセントとなるなど,景気の先行きが懸念されます。

 先月24日に発表された月例経済報告では,景気の基調判断について,「景気は輸出や生産の弱さが続いているものの,緩やかに回復している」とされ,今後の先行きについては,雇用・所得環境の改善が続く中で,緩やかな回復が続くことが期待されるとの見方が示される一方,通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに,中国経済の先行きや海外経済の不確実性,金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされています。

 高知県内では,今月10日に発表された日本銀行高知支店の金融経済概況において,高水準で推移している公共投資や住宅投資の増加などを背景に,「高知県の景気は回復している」と18か月連続で据置きの判断がされました。

 こうした経済状況の下,政府は今月11日の第3回経済財政諮問会議において,「経済財政運営と改革の基本方針2019」,いわゆる「骨太の方針」の原案を提示しました。

 「骨太の方針2019」の原案では,今後の経済財政運営の基本認識として,「潜在成長率の引上げによる成長力の強化」,「成長と分配の好循環の拡大」,「誰もが活躍でき,安心して暮らせる社会づくり」の3つの視点を重視するとともに,Society(ソサエティ)5.0時代にふさわしい仕組みづくりや,経済再生と財政健全化の好循環に取り組む方針などが示されました。

 特に,所得向上策の推進では,30代半ばから40代半ばのいわゆる就職氷河期の世代への支援として正規雇用の促進に取り組むとともに,最低賃金の引上げについては,より早期に全国加重平均1,000円の達成を目指すとされていますので,今後の具体的な取組を期待するところです。

 経済・財政一体改革の推進等では,社会保障の「予防・健康づくり」の分野において,健康寿命延伸プランの推進が掲げられ,2040年までに健康寿命を男女ともに3年以上延伸し,75歳以上とすることを目指すことが示されました。

 また,政府の審議会等において,国民健康保険について,標準的な医療費水準に基づく普通調整交付金等の配分によりインセンティブ機能を強化する方向性が議論されていますが,国保財政の構造的な課題を解消するためには,普通調整交付金が担っている自治体間の所得調整機能は極めて重要であり,今後も見直しを行わないことを国に対して強く働きかけてまいります。

2 れんけいこうち広域都市圏の推進

 次に,れんけいこうち広域都市圏の取組について申し上げます。

 先月19日に,高知県内の一次産業の現場視察や,農林漁業者及び食品事業者等との意見交換を行うため,吉川貴(たか)盛(もり)農林水産大臣が来高され,本年4月にオープンした大規模直販所「JAファーマーズマーケットとさのさと」を視察されました。

 全国最大規模の「とさのさと」には,多くの県内特産品が常時出品されており,私も尾崎知事や運営会社の担当者とともに,高知市の商品や本市の農林水産業の実情について説明させていただきました。

 吉川大臣からは,小夏の食べ方についてのご質問をいただくなど特産品に関心を示されるとともに,全国級の売場面積を誇る「とさのさと」が,地域量販店との新しいコラボレーションによる相乗効果で多くの集客を図っていることについて,「素晴らしい取組であり,生産者の所得向上にもつながる」との談話もいただきました。
 本市が取り組む「れんけいこうち」の新たな取組として,同敷地内に,本年9月オープンする複合商業施設「AGRI(アグリ) COLLETTO(コレット)」への「れんけいブース」の開設を予定しています。

 「AGRI COLLETTO」は,地域の情報発信機能やイベント広場を有するとともに,県内各地の食材をふんだんに使った高知の食文化を味わえる各種レストランを併設する複合商業施設となっており,セレクトショップ内に圏域全体の地場産品の販路拡大を図る「れんけいブース」を設置して,圏域内の加工品を中心に地場産品の販売を行う予定です。

 この「れんけいブース」では,「AGRI COLLETTO」の運営会社である株式会社「とさのさと」とも連携し,お客様の声や売上分析などのマーケティング情報を出品事業者の方々にフィードバックする仕組みを構築して,商品のブラッシュアップに活用いただくとともに,卸事業者への商談サポート等も行いながら,事業者の方々の成長を支援し,圏域全体の経済成長につなげてまいります。

3 生涯活躍のまちの推進

 次に,生涯活躍のまちの推進について申し上げます。

 生涯活躍のまちは,国の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の「地方への新しいひとの流れをつくる方針」にも掲げられる「地方移住の推進」の主な施策の一つとして,地域再生法にも位置付けられています。

 本市では,移住・定住施策の一つとして,昨年9月に大都市圏に住む50歳以上の中高年齢者を主なターゲットとする「高知市版『生涯活躍のまち』構想・基本計画」を策定し,本年3月には,本市の地域再生計画「高知市版生涯活躍のまち推進事業~生涯現役!こうちらいふで『人生二毛作』~」が,地域再生法に基づく内閣総理大臣の認定を受けています。

 今年4月からは,本事業の「運営推進機能」を担っていただく事業主体として,「くろしお医療福祉株式会社」及び「一般社団法人 高知サマサマCCRCセンター」の2事業者を選定するとともに,事業主体の活動を支援するために国の地方創生推進交付金を活用した補助金の創設や,各事業主体の強みを活かした事業構築に取り組んでいるところです。

 本事業により大都市圏等から本市へ移住してきた中高年齢者の方々が,多世代の地域の方々との交流を図りながら,これまで積み上げてきた経験や知識,スキル等を活かして,様々な分野で輝き続けることのできる「生涯活躍のまち」の実現に向けて,事業主体や関係団体等との官民連携を推進し,新しい人の流れを生み出してまいります。

4 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。

 まず,南海トラフ地震に備える三重防護事業について申し上げます。

 高知港海岸では,平成28年度から海岸保全施設等の整備が進んでおり,発生頻度の高いL1津波に対しては浸水を防ぐ「防災」を,最大クラスであるL2津波に対しては浸水範囲を減少させるとともに,浸水するまでの時間を遅らせ,避難時間を確保する「減災」を目指しております。

 事業の進捗につきましては,港湾施設である沖合等の第1ラインでは,国及び県の事業として,防波堤の延伸と粘り強い構造への整備などが順次進められています。

 浦戸湾口部等の第2ラインでは,国の直轄事業として高知新港東側から種崎千松公園までの種崎(外縁)工区のうち,平成29年5月から新港西区間の約500メートルについて,また昨年8月からは緑地区間の約750メートルについて工事に着手し,地盤沈下を考慮した堤防の嵩上げや,粘り強い構造のための洗堀対策の整備が進んでおり,本年度からは高知新港東側の港湾利用区間約170メートル及び砂浜区間約260メートルについても工事に着手する予定です。

 浦戸湾内の第3ラインでは,県事業として若松町における胸壁・防潮堤・護岸の約880メートルについて整備が完了し,また新田町の護岸については,約180メートルの工事に昨年度から着手し,今年度は萩町から桟橋通の工区約1,400メートルにおける工事に着手する予定です。

 次に,津波防災避難路の整備等について申し上げます。

 「津波から命を守る対策」として,L2での津波浸水が想定される地区では,地域住民の皆様とともに地区別津波避難計画の検証を順次行っており,計画の見直しによる避難の実効性の向上を図っています。

 昨年度に検証を行った浦戸小学校区では,改訂後の津波避難計画に基づき,本年度,エリア内の備蓄物資を補完していくための新たな備蓄等の拠点となる施設を浦戸消防分団屯所の横に整備するとともに,桂浜地区における高台への新たな避難路整備に向けた測量や設計に取り組んでまいります。

 次に,「支援物資の配送」の取組について申し上げます。

 南海トラフ地震発生時には,避難生活に必要となる支援物資がプッシュ方式により国等から県の物資拠点を経由して,春野総合運動公園と東部総合運動公園へ配送されることとなっており,そこから市内の各避難所に物資を速やかに配送するため,現在「高知市物資配送計画」の策定を進めています。

 昨年度末に策定しました本市の物資配送に係る基本方針では,配送を効率的に行うための体制や,必要となる資機材等を明確にするとともに,配送先となる各避難所の優先順位の考え方を示しており,本年度は,市内2か所の物資拠点ごとに具体的な物資の受入れや配送方法,手順などを取りまとめた「物資配送マニュアル」を策定してまいります。

 次に,長期浸水対策について申し上げます。

 長期浸水エリアにおける「救助救出計画」については,救助救出の対象となるエリアや応急救助機関等の活動方法,目標日数の考え方などを取りまとめた基本方針を昨年度末に策定しており,本年度は,対象となるエリアごとの具体的な救助救出方法や関係機関との情報共有の手法などの具体的な計画を策定し,各地域における速やかな救助救出体制を構築してまいります。

 また,長期浸水エリアで孤立した避難者の方々が本市に避難情報を発信できる「高知市津波SOSアプリ」の運用を本年4月から開始しています。

 このアプリの特徴は,インターネット通信等が断絶している場合でも,スマートフォンのWi-Fi等の機能を活用し,アプリがインストールされているスマートフォン同士をバケツリレーのようにして避難情報を送信することができ,平常時には津波避難ビル等の津波避難場所を確認することもできますので災害への備えにもなります。

 南海トラフ地震の被害をできるだけ最小化していくために,「地震による揺れや津波から命を守る」対策をはじめ,「守った命をつなぐ」対策についても取組を強化してまいります。

5 新産業団地整備の取組

 次に,新産業団地整備の取組について申し上げます。

 操業環境の悪化や企業の事業継続計画の構築による高台移転等の需要に対して,高知県と共同開発してきました高知中央産業団地が完成し,昨年9月に3区画,5ヘクタールを分譲しましたが,市内企業の移転需要には応じきれていないことから,東側に隣接する布師田地区において,引き続き県と共同で(仮称)高知布師田団地を整備することといたしました。

 (仮称)高知布師田団地につきましては,約19ヘクタールの開発エリアが定まり,関係権利者との間で土地取得に関する合意形成が進展したことから,本議会において土地取得議案を提出しております。

 今後のスケジュールとしましては,議決をいただきました後に,地区計画の策定や開発協議を進め,年度内の用地取得完了を目指すとともに,令和2年度に団地造成工事に着手し,令和5年度の団地分譲に向けて精力的に取組を進めてまいります。

6 (仮称)長浜・御畳瀬・浦戸地域振興計画の策定

 次に,(仮称)長浜・御畳瀬・浦戸地域振興計画の策定について申し上げます。

 長浜・御畳瀬・浦戸の沿岸部3地区につきましては,人口減少や高齢化が急速に進んでいる地域であり,地方創生の取組を重点的に進める必要があり,中期的な振興計画を本年度中に策定することとしています。
振興計画の策定に当たって,幅広いご意見をいただくことが重要であり,平成29年度以降,地元住民の方々で設立されました団体との協議を重ねるとともに,地域外からは移住者の方々や,県立大学の学生など様々な分野から貴重なご意見をいただいています。

 地域住民の皆様との協議では,地域コミュニティにかかわりのある方を中心とした「長浜・御畳瀬・浦戸地域活性化協議会」が,これまでの間,50回を超える会議を熱心に開催され,先月8日には,地域の歴史や文化などを活かした地域振興策を盛り込んだ提案書をいただき,地域の意見にワンストップで応える「市役所の組織体制づくり」や,振興策に必要な財源の措置,地域づくりのための人材支援や交流の場づくりなど,様々なご提言をいただいております。

 また,この地域に事業者としてかかわりのある方々を中心とする「南部振興計画経済部会」からも,先月10日に,地域活性化のためのご提言をいただきますとともに,新たに長浜で植付けしたサツマイモを原料にしたお菓子の開発,地域の観光資源や飲食店を紹介する「長宗我部村総合マップ」の作成などの活動状況についてもご報告いただきました。

 先月16日に,長浜の歴史ある呉服店を利活用してグランドオープンした「お遍路さんの無料接待所」の開設は,その活動の一環であります。

 今後は,両団体からいただいた提案内容等を踏まえながら,庁内全体で早急に検討を進め,本年度末を目途に実効性のある計画策定を目指してまいります。

7 新図書館西敷地の利活用

 次に,新図書館西敷地の利活用事業について申し上げます。

 今後のスケジュールとしましては,新図書館西敷地の利活用に関するご提案やご意見をいただく機会として,商店街組織や町内会連合会などの各種団体の皆様との協議を行いまして,いただきましたご提案やご意見等を踏まえ,順次市議会の皆様方からも募集要領案等の検討などについてご意見をいただきながら,事業の検討を行ってまいります。

8 観光振興

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 まず,今年のゴールデンウィーク中の観光客入込み状況につきまして申し上げます。

 新天皇陛下の御即位に伴い10連休となりました今年は,九州や東北地方などの遠来から多くの観光客が高知を訪れ,市内の主要施設の入場者数は,昨年と比べ平均で約3割増となり,今春,リニューアルオープンした県立牧野植物園では1日平均利用者数が昨年比47パーセント増加したほか,高知城も1日平均で29パーセントの増加となりました。

 桂浜では,4月28日から5月5日までの8日間で,桂浜公園の駐車台数は臨時駐車場と合わせて2万2,017台と昨年比で31パーセント増となり,「龍馬に大接近」でも2万人を超える観光客の皆様に楽しんでいただきました。
次に,高知新港への大型船舶の寄港については,昨年度の34隻に対し,本年度は39隻を予定しており,約6万4千人の外国人をはじめとする観光客の来高を見込んでいます。

 近年,外国客船をはじめ本県を訪れる外国人観光客が増加しており,本年3月29日には,ひろめ市場周辺の商店街アーケード内に,外国語に対応した観光案内所「こうち観光ナビ・ツーリストセンター」をオープンさせました。
オープニングセレモニーには,尾崎高知県知事をはじめ,市議会や商店街関係の方々など多くの皆様にご参列いただくとともに,外国客船の入港に合わせて同センターがオープンしたことから,当日は,多くの外国人観光客の皆様にご利用をいただきました。

 また,ゴールデンウィーク期間中には,国内の旅行者はもとより,台湾,香港などアジアをはじめ,アメリカ,ドイツ,フランスなど世界中の旅行者の方々等,延べ3,706人に当観光案内所をご利用いただき,県内で開催される様々なイベントや,地元名物に関する問い合わせなど,各種のご相談にもお応えしており,今後とも県内への周遊促進や消費の喚起を図ってまいります。

 次に,本年2月から始まりました,「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」について申し上げます。

 本市では,「れんけいこうち広域都市圏」の枠組みを活用し,県外から高知県を訪れた来高者の携帯電話の位置情報を活用した移動軌跡調査の分析結果を基に,魅力的な県内の自然体験と本市の観光資源を組み合わせた新たな旅行商品を造成するとともに,「大型船舶寄港誘致・誘客促進事業」として,周辺市町村へのツアーバス運行を実施するなど,圏域での周遊観光を促進してまいります。

 また,平成21年に本市で好評を得ました「エンジン01オープンカレッジin高知」のスピリットを引き継いで,本年の11月2日から4日にかけて文化芸術に触れる機会を創出することなどを目的として,「カーニバル00(ゼロゼロ)in高知」が開催されます。

 本事業は,高知県,高知市及び民間関係団体の協働により実施するもので,若手の文化人などを講師として招聘し,本市の商店街を中心に複数の会場で,各種講座やイベントの開催を予定しており,文化芸術の振興と多様な交流の創出により,地域経済の活性化を図ってまいります。

9 地域共生社会の実現への取組

 次に,地域共生社会の実現への取組について申し上げます。

 本市では,「だれもが安心して,いきいきと自分らしく暮らせる支え合いのあるまち」を基本理念とする「第2期地域福祉活動推進計画」を昨年度策定し,子どもから高齢者の方々まで,すべての人々が安心して暮らせる地域共生社会の実現に向けて積極的に取組を進めています。

 第2期計画に基づく取組では,地域包括ケアシステムの構築や公的支援制度の課題,生活困窮者対策など幅広い分野の課題に対して,多様な関係機関が連携し,複雑化する地域課題の解決に向けた支援体制を構築してまいります。

 本年度の取組として,縦割りで把握していた高齢・障害・子育て等の複数分野の施設サービスや,相談窓口等の情報を取りまとめて,百歳体操やサロン等のボランティアによるサービスや支援等と合わせて,地域の社会資源情報を地図上で一元的に確認できるプラットフォームを構築し,情報提供を行う社会資源情報収集提供事業を進めます。

 この事業を通じて,窓口で相談を受けた支援者の方々が,効果的で適切な支援につなげやすくなるとともに,不足するサービスを住民主体で創り出していく地域の課題解決力の強化につながることが期待できるほか,地域のボランティア活動の「見える化」により,高齢者の皆さんの社会参加や健康づくりなど,孤立化の解消に向けた効果にも期待しています。

 今後,公募型プロポーザルにより事業者を選定し,契約を締結した後,地域でご相談に携わっていただいている専門職を対象とした説明会を開催するなどの準備を進め,今年度中の運用開始を目指してまいります。

 また,「住民の身近な圏域」において,地域生活課題に関する相談を包括的に受け止める体制の整備を進めることが重要ですので,困り事を抱えて相談に行くことができず,解決できずに悩んでおられる方々に対し,身近な地域で住民の皆さんが困り事の相談を受けることができる窓口の設置に向けて,関係団体との協議を進めています。

 本年度内には,モデル的な相談窓口の開設に向けた準備を進め,個々の困り事が重大化しないよう予防的福祉の視点から取組を進めてまいります。

10 総合あんしんセンターの利活用

 次に,総合あんしんセンターの利活用について申し上げます。

 総合あんしんセンターは,「保健・医療・防災」ニーズに迅速・的確に対応するため,保健所,消防局及び災害対策本部機能を併せ持ち,医師会等の関係団体の施設も含めた総合的な拠点施設として,平成22年3月から供用を開始し,全国から視察が続いています。

 供用開始当初から高知県医師会が区分所有し,同センター3階において運営しておりました「准看護学院」が本年3月末に閉校したことを受けまして,県医師会から買取りの要望をいただいておりましたので,今般,本市がこのフロア床部分を購入し,利活用を図ることといたしました。

 利活用に当たっては,「保健・医療・防災ニーズへの迅速・的確な対応」というセンターの設置目的を踏まえ,本市の地域防災推進課をはじめ,高知市社会福祉協議会,高知産業保健総合支援センター,高知県歯科衛生士会を配置する予定であります。

 特に,これまで塩田町と本町ニッセイ高知ビル内に分かれていた高知市社会福祉協議会をあんしんセンターに機能集約することで,地域共生社会の実現に向けた地域課題解決のための「多機関協働ネットワーク体制の構築」が可能になります。

 また,地域防災推進課が,あんしんセンター5階から移転することにより,手狭となっている災害対策本部の機能を強化し,災害対応力の向上を図ります。

 今議会では,県医師会からの旧准看護学院部分の購入及び改修工事に係る補正予算案と不動産取得議案をお諮りしており,議会のご承認がいただけましたら,来月には不動産売買契約を締結し,その後改修工事に取り掛かり,来年1月の工事完了後,順次,各団体が入居する予定となっておりますので,ご理解をお願いいたします。

11 平成30年度決算見込み

 次に,平成30年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

 一般会計では,普通交付税が当初の想定ほどは伸びず,また,地価の下落や評価替に伴い固定資産税が減少するなど,厳しい財政収支となりましたが,介護保険事業や国民健康保険事業において給付費などが見込みより減少し,それぞれ特別会計への繰出金で1億5千万円を超える不用が発生する見込みであり,また,生活保護費負担金等において,国費の超過受入が約5億円と多額になったことなどにより,財政調整基金や減債基金を取り崩すことなく収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。

 しかしながら,この超過受入の約5億円については本年度に国に返還することとなり,今後,補正財源が不足する場合には,財政調整基金の取崩しが必要となるなど,依然として厳しい財政状況に変わりはありませんので,引き続き慎重な財政運営に留意してまいります。
特別会計では,収益事業において,特別競輪である共同通信社杯の車券売上が,他競輪との競合などにより想定ほど伸びず,厳しい収支となりましたが,2億円を後年度の施設整備のため基金に積み立てた上で,8年連続の単年度黒字は確保できる見込みとなりました。
そのほか,国民宿舎運営事業では,単年度収支で前年度並みの2億7千万円余りの黒字を確保するとともに,累積赤字が3億2千万円余りまで減少することが見込まれ,令和元年度末の資金不足比率は経営健全化の基準である20パーセントを下回る見通しとなっています。

 企業会計のうち,水道事業では,給水収益の減少などにより,純利益は14億2千4百万円余りとなり,前年度より4千7百万円余りの減少となりました。
また,公共下水道事業では,2億9千百万円余りの純利益となり,うち受益者負担を原則とする汚水事業では,平成30年4月からの下水道使用料の改定や普及促進による増収などにより1億5千9百万円余りの純利益を確保することができ,累積赤字も15億5千9百万円余りへと減少しております。

12 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案1件,条例議案7件,その他議案13件です。

 まず,今回の補正予算は,一般会計において国費の内示増を受けて,本市の重点路線に位置付けている「愛宕町北久保線」の愛宕町工区をはじめとする3街路整備に向けた移転補償費や用地購入費等を増額補正するとともに,児童生徒の通学路の安全を確保するための区画線やグリーンベルトの設置などを行う「通学路安全対策事業費」や,道路幅員の拡幅工事を行う「狭あい道路整備等促進事業費」などについて補正を行うものです。
以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,一般会計 7億300万円の増額であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,588億1,615万9千円となり,この補正財源として,特定財源では国庫支出金や市債等を充当し,一般財源では繰越金等を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正に伴うものなど7件です。

 このうち,市第67号高知市税条例等の一部を改正する条例議案につきましては,今年度の税制改正に伴い,個人市民税の非課税範囲を拡大するとともに,消費税率の引上げに伴う住宅に係る需要の平準化を図るための住宅ローン控除の拡充,軽自動車税環境性能割の臨時的軽減措置などの関連する規定について改正を行うものです。その他の議案は,(仮称)高知布師田団地の土地取得議案や総合あんしんセンター3階の旧准看護学院部分の不動産取得議案,東部環境センター長寿命化整備工事請負契約締結議案など13件となっています。

 報告14件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。