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第468回高知市議会定例会市長説明要旨(平成31年3月1日)

 第468回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政及び経済の動向

 まず最初に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月11日で東日本大震災の発生から早くも8年が過ぎようとしていますが,昨年は,7月豪雨や台風21号,大阪府北部地震,北海道胆振(いぶり)東部地震など,相次いで大規模な災害が発生しております。

 犠牲になられました方々のご冥福を心からお祈りいたしますとともに,喫緊の課題であります南海トラフ地震等の大規模災害への対策を全庁的に進めてまいります。

 国におきましては,昨年12月14日に,「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策」を閣議決定し,大規模災害時における重要インフラ等の機能維持を図るため,2020年度までの3か年で約7兆円の緊急対策を実施することとし,速やかに着手すべき事業については,平成30年度第2次補正予算で対応することを表明しています。

 本市におきましては,「次代へつなぐ共生と安心のまちづくり」を新年度予算のテーマに掲げて編成作業を進めるとともに,今議会の補正予算として,国の第2次補正予算を活用し,全会計純計で約4億8千万円を計上し,うち公共下水道事業においては3億円を平成31年度当初予算から前倒しし,合流管渠耐震化工事などを実施することとしております。

 また,一般会計補正予算では,公園施設防災機能強化事業として大谷公園の擁壁改修を実施するとともに,港湾や津波高潮防災県営工事負担金などを計上しており,今後も組織一丸となって,大規模災害から市民の皆様の生命と財産を守ってまいります。

 さて,先月21日に発表された内閣府による月例経済報告では,景気の基調判断を据え置き,「景気は,緩やかに回復している」とされ,先行きについては,「雇用・所得環境の改善が続く中で,緩やかな回復が続くことが期待される」との見方を示す一方,「通商問題の動向が世界経済に与える影響や,中国経済の先行き,海外経済の動向と政策に関する不確実性,金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある」とされています。

 県内では,先月8日に発表された日本銀行高知支店の高知県金融経済概況において,「高知県の景気は回復している」と14か月連続で据置きの判断がなされ,「先行きについても回復が続くと考えられる」とする一方で,「海外経済を起点とした県外需要の動向等について注視していく必要がある」とされています。

2 財政健全化及び行政改革

 こうした内外の経済状況を踏まえて,本市の財政健全化への取組について申し上げます。

 まず,先月8日に閣議決定された「平成31年度地方財政計画」では,一般財源総額については,前年度を5,913億円上回る62兆7,072億円を確保しており,地方交付税については地方税が増収となる中で,前年度を1,724億円上回る16兆1,809億円が確保される一方,地方交付税の代替措置である臨時財政対策債については,前年度を7,297億円下回る3兆2,568億円となり,地方交付税との合計では5,573億円減の19兆4,377億円となっています。

 また,本年10月から実施されます「幼児教育・保育の無償化」に係る経費については,平成31年度は消費税率引上げに伴う地方分の増収がわずかであることから,地方負担分を国が措置する臨時交付金が創設され,全額国費で負担するとともに,「防災・減災,国土強靱化のための3か年緊急対策の推進」として,地方が単独事業として実施する防災インフラの整備を促進するため,新たに緊急自然災害防止対策事業費が計上されています。

 平成31年度高知市当初予算については,国の見込みほど税収の伸びが期待できず,市税は456億円と前年度同額で据え置くとともに,普通交付税と臨時財政対策債との合算額は,対前年度比較で5億円減の271億円を見込んでいます。

 一方,歳出については,新庁舎の供用開始や,新図書館及び給食センターの運営が通年化することによるランニングコストの増加,少子高齢化の進展に伴う扶助費の伸び,公共施設の維持補修費の増加などにより,財政調整基金や減債基金の取崩しを行う予定です。

 今後5か年の財政収支見通しにつきましては,新年度の予算編成作業を通じて,市税収入や地方交付税等の一般財源の推計を行い,第3次実施計画を踏まえた投資事業や扶助費の伸びなどを基に試算した結果,平成30年度から34年度までの5か年で約117億円の収支不足となり,昨年3月にお示ししました159億円の収支不足と比較しますと,42億円の収支改善が見込まれています。

 これは,「幼児教育・保育の無償化」により,本市が全国的にも先行して実施してきた保育所の第2子以降の同時入所における保育料の減免分が,一定,国費や県費で措置されたことや,生活保護費など扶助費の伸びが鈍化したことなどによるものであり,依然として厳しい将来見通しに変わりはありません。

 本市の財政構造につきましては,昨年度の「経常収支比率」は96.3パーセントで財政構造の硬直化が進んでいる状況となっており,特に「公債費分」の比率については21.5パーセントで中核市46位となるなど,公債費負担が財政を圧迫する要因となっています。

 一方で,「公債費を除く経常収支比率」は74.8パーセントで中核市の中で22位,さらに「公債費と扶助費を除く経常収支比率」は55.5パーセントで中核市8位となるなど,人件費や物件費については,これまでの行政改革の取組の成果が着実に表れておりますが,子育て支援等に係る扶助費等は今後も伸びが見込まれますので,公債費負担の抑制と起債残高の削減が課題となります。

 今般新たに策定します財政健全化プランでは,収支及び将来負担の健全化を図るため,「実質公債費比率」や「将来負担比率」とともに「経常収支比率の公債費分」などについて,本市独自の将来的な目標値を定め,公共施設マネジメントの推進,投資事業の平準化や先送りを決定する際の判断材料にするとともに,市民サービスの質を守っていくためには,公債費指標の改善が不可欠であるという方針を定め,財政健全化に着実に取り組んでまいります。

 次に,機構改革について申し上げます。

 平成31年度の機構改革につきましては,地方公務員法の一部改正に伴い,「会計年度任用職員」への制度移行が平成32年4月に控えていることに加え,国家公務員の定年年齢の見直し等の動向を注視する必要があり,当面の対応が必要な政策課題について機構改革を行います。

 主なものとして,健康福祉部健康福祉総務課に「地域共生社会推進室」を設置し,地域共生社会実現に向けた取組として,庁内外の関係部署等との連絡体制の構築を目指すとともに,障がい福祉課に「地域生活支援室」を設置し,障がいをお持ちの方々に対する地域の支援体制の強化及び地域ネットワークを充実させてまいります。

 また,商工観光部商工振興課に「プレミアム付商品券推進室」を設置し,事業実施に向けた準備に取り組むとともに,農林水産部鏡地域振興課に「森林政策室」を設置し,森林法等の改正に伴う林地台帳の整備や,新たな森林経営管理制度への対応を図ります。

3 れんけいこうち広域都市圏事業

 次に,れんけいこうち広域都市圏の取組について申し上げます。

 昨年4月に,県全域を圏域とする「れんけいこうち広域都市圏」を形成し,この間,県内全市町村との連携協約に基づく様々な連携事業に取り組んでおります。

 取組2年目となる来年度については,JA高知県が新たに整備する「とさのさと アグリコレット」で圏域の地場産品の展示・販売等を行う取組や,高知新港のターミナル開設を踏まえ,大型客船が寄港する際に連携市町村へシャトルバスを運行し,圏域への周遊促進等を図るとともに,昨年7月にオープンした高知みらい科学館の機能強化と科学体験展示の充実を図り,子どもの科学に対する興味・関心を高め,人材育成を図ることなどの3事業を新たに追加します。

4 移住・定住の取組

 次に,移住・定住の取組について申し上げます。

 今年1月末に総務省が発表した平成30年の人口移動報告によりますと,東京圏への転入超過は前年を上回り,一極集中がさらに拡大している状況にあります。

 本市では,人口の社会増を目指し,平成26年度に移住・定住の総合窓口を設置し,移住相談への対応や情報発信,ガイドツアーなど,様々な移住・定住施策に取り組んでおり,平成29年度には193組302人の方が県外から本市へ移住されています。

 昨年は「れんけいこうち広域都市圏事業」の一つである「二段階移住」をスタートさせるとともに,大都市圏に住む50歳以上の中高年層の方々を主なターゲットとする「高知市版『生涯活躍のまち』構想・基本計画」を策定いたしました。

 現在,この計画に基づいて,「住まい」「ケア」「活躍」「移住」「コミュニティ」の5つの機能をコーディネートするための「運営推進機能」を担っていただく事業主体を募集しているところであり,大都市圏等から本市へ移住してきた中高年層の方が多世代の地域住民の皆様と交流を図りながら,様々な分野で輝き続ける「生涯活躍のまち」を目指して,来年度からは事業主体や関係団体等と官民連携を図り,本市への新しい人の流れを生み出してまいります。

5 新図書館西敷地の利活用

 次に,新図書館西敷地の利活用について申し上げます。

 本事業は,民間事業者に市有地の貸付を行い,公共事業ではなく,その事業者が持つノウハウや柔軟な発想で民間事業を実施してもらうことにより,中心市街地の活性化を図ることを目的とするものであり,公募型プロポーザル方式により,適正な手順に沿ってプロポーザル選定委員会による厳正な審査を経て決定された優先交渉権者と,実現に向けて協議を行ってまいりました。

 しかしながら,選定過程を非公開としたことにより,結果的には市民や議員の皆様方より公正・公平さについて様々なご意見を多く賜るとともに,決定された優先交渉権者が風評被害を受ける結果となったことは残念であります。

 現時点におきましても,事業に対する市民の皆様のご理解が深まっていないと感じており,本市としましてはこのまま事業を進めることは困難と判断し,改めて再公募することとし,このことについては優先交渉権者の同意を得たところです。

 選考過程を非公開とした判断につきましては,間違いではなかったと考えますが,結果として市民の皆様や議会の皆様方のご理解が得られにくくなっていますことから,その点につきましては反省しています。

 今後のスケジュールとしましては,議会の皆様とも協議しながら,現行の新図書館西敷地利活用事業基本方針を踏まえて,平成31年度に中心商店街や町内会連合会などの団体の方々との協議を経て,プロポーザル選定委員会を設置し,原則公開による事業者の選定を実施したいと考えております。

6 市長と語ろう会

 次に,「市長と語ろう会」について申し上げます。

 今年度の「市長と語ろう会」は,「若者とともに考える地方創生」をテーマに,昨年10月に高知大学,12月には高知県立大学,今年1月12日には高知商業高校,先月25日には高知学園短期大学で開催いたしました。

 開校120周年の節目の年を迎えた高知商業高校では,生徒会を中心に地方創生の推進を高校生の視点で考える「地方創生プロジェクト」がありますので,「市長と語ろう会」には,このメンバーを中心とした27名の生徒さんから,「移住促進」及び「中心市街地活性化」の提案をいただいた後,グループディスカッションを実施しました。

 「中心市街地活性化」に向けた提案では,外国人観光客をターゲットにした「体験型の食」をメインに,たこ焼きをヒントにした「かつおやき」の事業提案や,様々な商品開発に取り組んでいる県内の各高校の商品を集めて販売することなど,高校生自(みずか)らが観光資源になる取組の提案をいただきました。

 また,先月25日には高知学園短期大学の学生さん25名に参加いただいき,私から本市における地方創生の取組を説明した後,参加いただいた学生さんとグループディスカッションを実施しました。

 高知学園短期大学には,栄養士や保育士,歯科衛生士など,卒業後に高知県内の医療福祉分野で仕事をされる方が多くおられますので,次のライフステージとなる就職に対する不安や雇用条件に関する疑問など,今後の雇用拡充策につながる意見や提案をたくさんお聞きすることができました。

 市内の3大学と高知商業高校の計4校の学生,生徒の皆様やご協力いただきました各学校の教職員の皆様に心から御礼申し上げます。

 来年度に予定しています次期「高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定作業の中で,「市長と語ろう会」でいただきましたご意見や提案も踏まえながら,若い世代の皆様が本市で暮らし続けられることや,進学,就職で市外に転出されてもUターンしやすい雇用環境を整備することなど,効果的な施策を検討してまいります。

7 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について申し上げます。

 まず,「支援物資の配送」については,南海トラフ地震発生時には,避難生活に必要となる支援物資が国等からプッシュ型で配送されてきますので,市の物資拠点である春野総合運動公園と東部総合運動公園で一旦受け入れを行い,そこから各避難所に物資を配送する必要があります。

 これまでの大規模な地震の被災地では,物資拠点から避難所までの速やかな物資配送ができなかった事例等も多くありますので,本市における具体的な運営体制や配送方法等を検討しておくことが不可欠だと考えており,本年度から庁内ワーキンググループと,民間の配送事業者や有識者の方々を構成員とした「高知市物資配送計画検討協議会」を立ち上げ,配送を効率的に行うための体制や資機材の必要性など,物資配送に係る基本方針の策定を進めています。

 来年度は,この基本方針を踏まえ,市内2か所の物資拠点ごとに物資の受入れや配送方法・手順などを取りまとめた「物資配送マニュアル」を策定し,効率的な物資配送の体制を構築してまいります。

8 新庁舎の整備状況

 次に,新庁舎の整備状況について申し上げます。

 新庁舎の整備につきましては,昨年9月の台風21号の影響により,新庁舎の建築資材の製作を請け負う工場が高潮被害に見舞われたため資材の納品が遅れたことや,新庁舎の鉄骨を組み立てる時期に西日本で豪雨が発生するなど作業を度々中断せざるを得ない状況が生じました。

 このため,工事工程の見直しが必要となり,施工業者等との協議を重ねた結果,新庁舎の十分な品質と機能を確保するために工事期間を3か月延長し,完成時期を今年の11月末といたしました。

 昨年10月には新庁舎で使用する予定の免震オイルダンパーについて,製造元であるKYB株式会社が性能検査記録データを書き換えて納品していることが判明しましたので,工事工程に影響を及ぼさないように,再度,第三者機関による性能確認検査済の製品を納品するように調整しております。

 なお,新庁舎への移転スケジュールにつきましては,工事期間の変更に伴いまして,工事完了後の今年12月頃から什器備品の搬入・組立などの開庁準備に取り掛かり,来年1月以降,順次,新庁舎への引越し作業を進め,2月末頃までの移転完了を目指してまいります。

 この間,市民の皆様には,大変ご迷惑をおかけいたしますが,ご理解,ご協力を賜りますようお願いいたします。

9 観光振興

 次に,観光行政について申し上げます。

 昨年,本県を訪れた観光客は,官民が連携して「志国高知 幕末維新博 第二幕」の取組を進めた結果,県外観光客入込数は約441万人となり,過去最高を更新いたしました。

 今後のさらなる観光客の入込みを目指して,本年2月1日からは本県のもう一つの強みである「自然・体験」を活用した新たな観光キャンペーン「リョーマの休日~自然&体験キャンペーン~」がスタートしております。

 本県には,海外からも多くの観光客に訪れていただいておりますので,れんけいこうち広域都市圏の事業として,今月29日にはひろめ市場周辺のアーケード内に,外国語に対応できる観光案内所「こうち観光ナビ・ツーリストセンター」をオープンし,国内はもとより外国人観光客の皆様にも県内の食や歴史,自然体験などの観光資源を紹介し,県内を周遊していただく取組を展開します。

 また,外国人観光客へのアンケート調査において最もニーズの高い「言葉の壁」を解消するため,本日から,外国人観光客がお持ちのスマートフォンを活用した,人工知能(AI)による多言語の観光案内システムを稼働いたしました。

 この観光案内システムは,「日本語,英語,中国語の繁体(はんたい)字と簡体(かんたい)字,韓国語」の5言語に対応しており,専用アプリのダウンロードは必要なく,SNSを利用しながら,外国人観光客から質問の多い観光名所への行き方や,周辺のグルメ情報などを民間の情報サイトと連携し紹介することとしており,人工知能で対応できなくなった場合は,本県の観光情報を熟知したオペレーターによる有人対応に切り替えるなど,切れ目のない適切な観光案内を提供してまいります。

10 プレミアム付商品券の推進

 次に,プレミアム付商品券の発行について申し上げます。

 プレミアム付商品券は,本年10月から実施予定の消費税率10パーセントへの引上げに伴う負担を軽減するとともに,地域における消費を喚起し,下支えすることを目的に,国の財政支援の下で市町村が事業主体となり発行するものです。

 国が示す事業概要では,生活保護受給者等を除く,本年1月1日時点で住民税が非課税の方や,本年6月1日時点の市民の方で,平成28年4月2日以降に生まれた子どもさんが属する世帯の世帯主を購入対象者としております。

 また,商品券1枚当たりの額面を利用しやすい額とするように配慮するとともに,複数回に分けて購入することも可能とし,最大で2万5千円分の買い物ができる商品券を2万円で販売することとしており,高知市の当該商品券の発行総額は22億2,500万円となる予定です。

 円滑な事業実施を図るため,先月1日に「プレミアム付商品券推進室」を商工観光部内に設置しており,本年秋頃からの販売開始に向けて着実に準備してまいります。

11 新食肉センター

 次に,新食肉センターについて申し上げます。

 高知県が中心となって立ち上げた「高知県新食肉センター整備検討会」で取りまとめられた「新食肉センター整備の基本方針への意見」に基づき,新センターの整備への取組が進められています。

 昨年7月には,高知県やJAグループ,高知県中央食肉事業協同組合等を構成員とした「新食肉センター整備推進協議会」が設立され,新センターの詳細な運営シミュレーションや建設予定地の地質調査,新施設の基本設計などが実施されています。

 来年度には,高知県やJAグループ等が出資を行い,新センターの運営を担う新会社を設立し,新施設の実施設計が行われる予定となっており,昨年末には高知県から各市町村に対しまして,実施設計費や施設整備費,詳細な運営シミュレーション等が示されたところです。

 高知県の計画では,牛や豚の生産地を考慮して,高知市には牛メインの新施設を整備するとともに,四万十市には豚メインの新施設が整備される方針であり,県内と畜事業の競争力の強化を目指し,県内の最大消費地である本市としても新施設建設に係る応分の負担は必要であると考えておりますので,ご理解をお願いいたします。

12 人権尊重のまちづくり条例の制定

 次に,人権尊重のまちづくり条例の制定について申し上げます。

 近年,人権を取り巻く環境が変化し,インターネットを利用した誹謗中傷などの悪質な書き込み,被災者や性的マイノリティの方の人権など,新たな人権課題が生じています。

 このような状況の下,平成28年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」,「本邦外(ほんぽうがい)出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」,「部落差別の解消の推進に関する法律」と,差別解消に関する法律が相次いで制定されたことなどを受け,本市におきましても,不当な差別や偏見を解消し,様々な人権課題の解決を図るために条例の制定が不可欠との考えから,人権に関する条例制定に向けて検討を重ね,広く市民の皆様のご意見も伺いながら条例案を作成し,本市議会に提案しております。

 本条例案では,本市における人権尊重のまちづくりに関する基本理念を定め,市の責務,市民,事業者の役割を明らかにするとともに,人権を尊重する意識の高揚や,差別解消のために必要な人権施策の効果的な推進に向けて,基本計画を策定することや審議会を設置すること等を規定しています。

 条例制定を契機として,市民の皆様との協働による人権尊重のまちづくりをさらに推進し,多様な考え方をお互いに認め合い,一人一人がかけがえのない存在として尊重される社会の実現に向けて取り組んでまいります。

13 子ども・子育て支援

 次に,子ども・子育て支援について順次申し上げます。

 まず,「幼児教育・保育の無償化」について申し上げます。

 本年10月1日から予定される「幼児教育・保育の無償化」につきましては,課題でありました無償化に伴う地方負担について,「国と地方の協議の場」において強く申し入れをした結果,初年度は国が全額負担することで決着し,先月12日に「子ども・子育て支援法改正法案」が閣議決定され,通常国会に提出されています。

 この無償化の対象児童としては,3歳から5歳のお子さんと,0歳から2歳の住民税非課税世帯のお子さんとなり,対象となる施設やサービスは,幼稚園,保育所,認定こども園等と,新たな支給認定や上限額など一定の要件に基づく幼稚園の預かり保育及び認可外保育施設等が対象となります。

 「幼児教育・保育の無償化」には,地方の負担分を国が負担するための臨時交付金の制度や,給食の副食材料費の実費徴収の取扱いなど,国において検討中の課題もありますが,現時点の情報収集に基づきまして,無償化に対応した当初予算案を編成し,本議会にお諮りするとともに,今秋からの無償化に円滑に対応できるよう鋭意準備を進めてまいります。

 次に,子育て世代包括支援センターについて申し上げます。

 現在,子育て世代包括支援センターは,市内に1か所,母子保健課内に設置していますが,平成31年度は,これに加えて,西部健康福祉センターの地域子育て支援センターと併設する形で,新たに2か所目となる子育て世代包括支援センターを整備し,妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制の充実を図るとともに,市内14か所の地域子育て支援センター,民生委員や地域住民が運営する子育てサロンなどと合わせて,地域と連携した子育て支援に取り組みます。

14 基幹相談支援センターの設置 等

 次に,基幹相談支援センターの設置等について申し上げます。

 平成30年度から32年度までを計画期間とする「高知市障害者計画・障害福祉計画・障害児福祉計画」の重点施策として位置付ける「新たな相談支援体制の構築」を踏まえて,本年4月に「基幹相談支援センター」を開設することといたしました。

 現在,本市には,委託による相談事業所が東西南北の圏域に4か所,また民間の相談事業所が30数か所あります。

 これらの事業所が,市民の皆様からの相談を受けて障害福祉サービスを調整するなどの支援を行っておりますが,近年,ダブルケアや障害者虐待,親亡き後の介護など相談内容が複雑・多様化しており,最前線に立つ相談支援従事者が対応に苦慮する事例が増加しています。

 こうした状況を踏まえ,複雑化・複合化する困難事例への対応支援や関係機関との協働による包括的な支援体制の構築に向け,障がい福祉課の中に「基幹相談支援センター」を本市直営により設置・運営することとし,地域の相談支援従事者の人材育成を図るとともに,困難ケースに対しましても,障害のある方のニーズを的確に捉え,適切な支援に着実につなげてまいります。

15 介護保険事業

 次に,介護保険事業について申し上げます。

 本年10月の消費税率引上げに伴い,逆進性という消費税の課題に対応するため,世帯全員が市町村民税非課税の方などを中心として,介護保険料の軽減策が強化されます。

 具体的には,本市では,高齢者の4割にあたる約4万人を対象として,平成31年度から2か年をかけて保険料負担の軽減強化が図られ,完全実施となる32年度と30年度の年間保険料の比較では,課税年金収入等が80万円以下の保険料第1段階の方で10,230円,同じく80万円を超え120万円以下の第2段階の方で17,040円,120万円を超える第3段階の方につきましては,3,410円の保険料が減額となります。

 今回の軽減強化は,公費5割という現行の法定負担とは別枠の制度となり,同時に実施される年金生活者支援給付金の支給と併せて実施することにより,低所得の方を中心とした高齢者の皆様の負担感の低減につなげてまいります。

16 学力向上対策 等

 次に,学力向上対策等について申し上げます。

 本市では,新たな学力向上対策として,平成29年度から4年間の「学力向上アクティブ・プラン」を展開し,これまでの取組を継承しつつ,学力向上対策のさらなる充実を図っております。

 平成30年度には,県からの支援を受けて「学力向上推進室」を設置し,学校への指導支援を強化しております。

 平成31年度は,学校運営の支援を行う学力向上推進員と,教員への指導助言を行う県教育委員会派遣の指導主事を増員し,学校経営と授業改善の両面からの指導・支援をさらに充実させてまいります。

17 31年度当初予算

 次に,平成31年度当初予算について申し上げます。

 平成31年度は,「次代へつなぐ共生と安心のまちづくり」をテーマとして,「南海トラフ地震対策」と「地方創生の取組強化」を2本柱に,総合計画第3次実施計画に登載された施策や事業を着実に推進してまいります。

 以下,総合計画の施策の大綱で掲げたそれぞれの「環」の主な施策の新年度予算について順次申し上げます。

(1)共生の環

 森林環境譲与税(仮称)活用事業

 一つ目の「共生の環」では,まず,森林環境譲与税(仮称)を活用して行う新たな森林整備の取組について申し上げます。

 近年の鏡・土佐山地域等における大雨の後に発生した斜面崩壊の多くは,平成29年10月の台風による風倒木被害に起因するものと考えられ,生活道周辺の私有林の整備の遅れが課題となっています。

 このため,平成31年度から森林整備等のための恒久的な地方財源として市町村等に譲与が開始される森林環境譲与税(仮称)を活用し,適切な森林の管理ができない私有林の所有者から市が森林の経営管理権を取得し,整備が急がれる私有林の公的管理を進めます。

 下水道雨水整備,地震対策

 次に,公共下水道の雨水整備事業及び地震対策事業について申し上げます。

 下水道雨水整備につきましては,平成26年8月豪雨で被害を受けた秦・初月地区の浸水対策を進めており,秦地区においては昨年6月に東秦泉寺排水機場に排水ポンプを増設し,現在は南秦泉寺排水機場の排水ポンプの強化に着手しており,本年6月末の供用開始を目指します。

 また,初月地区では,既設水門2か所に排水ポンプを設置する予定で,現在1か所目の実施設計を行っており,平成31年度には設置工事に着手してまいります。

 下水道施設の地震対策としては,現在,本市最大の処理施設である下知水再生センター管理棟の改築工事を進めており,平成31年度末には,近隣住民の皆様が避難できる機能を備えた耐震性のある建屋が完成する予定です。

 朝倉総合市民会館整備

 次に,朝倉総合市民会館整備について申し上げます。

 朝倉総合市民会館は,昭和54年の建築で老朽化が著しく,耐震基準を満たしていないことや,施設の利用状況が変化していることなどから,耐震補強と合わせた施設の改修整備が必要となっています。

 平成29年度には,同館における必要な機能と適正規模等を検討し,基本構想を取りまとめており,その際に地域の皆様からいただきましたご意見やご要望を反映させながら,実施設計を進めています。

 本年5月には設計を完了させ,10月中旬に工事に着手する予定であり,福祉の向上と人権啓発の住民交流の拠点として,また,地域の防災拠点として充実を図ってまいります。

 社会資源情報収集提供事業

 次に,社会資源情報収集提供事業について申し上げます。

 本市では,「だれもが安心して,いきいきと自分らしく暮らせる支え合いのあるまち」を基本理念とする「第2期地域福祉活動推進計画」を本年度策定し,子どもさんから高齢者の方々まで,すべての人々が安心して暮らせる地域社会づくりに取り組んでおります。

 この第2期計画に基づく取組として,これまで高齢・障害・子育て等,分野ごとに提供していた施設サービスや,相談窓口等の社会資源に関する様々な情報を取りまとめるとともに,いきいき百歳体操やサロン等の地域のボランティアの方々による支援サービスについても一元的な情報提供を目指し,社会資源情報収集提供事業を実施することとしました。

 この事業を通じて,支援を必要とする方や複合的な課題を抱える方々に対し,より適切で効果的な支援につなげることで,地域の課題解決力の向上を図ってまいります。

(2)安心の環

 居住安定確保支援事業

 次に,「安心の環」では,平成31年度から新たに実施します生活保護の居住安定確保支援事業について申し上げます。

 生活保護受給者のうち,親族や地域社会から孤立した単身の高齢者や,自ら適切に家賃の納付を行えず滞納を繰り返す方等に対しまして,定期連絡による日常生活の見守りを行いながら,住宅費の代理納付を行う制度を新たに実施することといたしました。

 高齢世帯など,約800世帯を対象に代理納付を行うことで,家賃滞納の防止,住居確保の円滑化や生活保護の適正化を図るとともに,安否や日常生活の確認を行うことで,対象者の方々の日常生活支援の充実を目指してまいります。

 定期連絡により把握されました情報については速やかにケースワーカーに提供しながら,対象者支援の充実やケースワーカーの負担軽減にもつなげてまいります。

 この事業は,公募により事業者を選定し,本年10月からの事業開始を目指します。

 各種検診事業の充実

 次に,各種検診事業の充実について申し上げます。

 健康増進事業として実施する各種のがん検診は,がんによる死亡を少しでも減らすため,より効果的な方法で実施する必要があります。

 胃がん検診については,平成29年10月から40歳以上の方を対象とする胃エックス線の検診に加えて50歳代の方に限って胃の内視鏡検診を導入していましたが,平成31年度からは,胃の内視鏡検診の対象者を50歳以上のすべての市民の皆様に拡大いたします。

 また,平成31年度から新たに,40歳,50歳を対象として,糖尿病などの様々な全身疾患に影響すると言われる歯周病の検診を県内統一方式により開始することとし,これらの健康増進事業により市民の皆様の健康寿命の延伸を目指します。

(3)育みの環

 自転車ヘルメット購入助成事業

 次に,「育みの環」では,まず,自転車通学に係るヘルメット購入の助成事業について申し上げます。

 平成30年9月の高知県議会において,議員提案されました「高知県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が議決され,本年4月1日から施行されることとなりました。

 この条例では,保護者が児童等の自転車利用時にヘルメットの着用に努めることや,県が促進のために必要な財政上の措置を講じるよう規定されています。

 これを受けて,本市におきましてもヘルメット購入助成事業を新設し,高知市立中学校・高知商業高校などで,自転車通学を認めている生徒の保護者の方がヘルメットを購入する場合は申請により助成を行うこととし,ヘルメット着用による通学の安全と,適正な利用を促進してまいります。

 潮江市民図書館耐震補強整備

 次に,潮江市民図書館の耐震補強整備事業について申し上げます。

 この建物は,昭和55年に旧耐震の建築基準で建築された施設であり,耐震診断の結果を踏まえて耐震改修を行うこととし,平成30年度は実施設計を行いました。

 平成31年度は,耐震補強工事や老朽箇所の改修,バリアフリー化を行うほか,地域からご要望いただいた地域コミュニティ活動拠点として,2階の旧子ども科学図書館部分を活用し,事務室や会議スペースを設置するとともに,津波避難ビルとしての指定を想定し,防災備蓄倉庫を整備します。

 工事中は休館いたしますが,利便性の確保のため,隣接する「アスパルこうち」において,予約本の受取や図書の返却が行えるサービスポイントを設置する予定です。

(4)地産の環

 ラグビーワールドカップ2019事前合宿招致事業費負担金

 次に,「地産の環」では,ラグビーワールドカップ2019事前合宿招致事業について申し上げます。

 本年9月20日から「ラグビーワールドカップ2019」が日本で開催されることに伴い,県や県ラグビーフットボール協会とともに参加国の事前キャンプ誘致に取り組み,南太平洋のラグビー強国である「トンガ王国代表チーム」が,9月9日から13日までの間,春野総合運動公園において事前キャンプを実施することとなりました。

 新たに設置されます「事前キャンプ受入委員会」に本市も参画し,トンガ王国代表チームの円滑な受入れや機運の醸成,スポーツ参加機会の拡大や競技力向上,さらなる国際交流・協力の拡大を図ってまいります。

(5)まちの環

 旭駅周辺市街地整備

 次に,「まちの環」では,まず,旭駅周辺市街地整備について申し上げます。

 中須賀土地区画整理事業は,本年度末の仮換地の指定を予定しており,仮換地指定後の平成31年度には,家屋調査や移転交渉を行うとともに,移転補償契約に基づく建物等の撤去を促進し,区画道路や宅地造成工事等を進めてまいります。

 また,都市再生住宅の整備につきましても,平成31年度から下島町の第二期棟建設工事に着手し,平成32年12月の完成を目指します。

 高知駅秦南町線街路整備

 次に,県市連携による高知駅秦南町線街路整備事業について申し上げます。

 高知駅秦南町線街路整備事業は,県道北環状線と高知駅北口を結ぶ路線であり,周辺地区の慢性的な交通混雑の緩和と防災拠点である北消防署や高知赤十字病院へのアクセス道路として,本年5月の高知赤十字病院の開院に合わせた暫定2車線での供用開始を目指し,積極的に整備を進めてまいります。

当初予算規模等

 以上,主要施策についてご説明を申し上げましたが,平成31年度一般会計の当初予算規模は,5か年の継続費を設定している新庁舎建設事業が最終年度を迎え事業費が大きく減少するなど,対前年度当初比58億円減の1,480億円となりました。

 全会計の予算規模は,医療費や給付費の伸びなどにより国民健康保険事業,介護保険事業特別会計で増加する一方で,収益事業特別会計において,本年度開催した特別競輪の開催が無いため事業費が減少するなど,純計で2,581億941万円余り,対前年度当初比2.8パーセント減となっています。

18 補正予算・予算外議案

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案23件,条例議案22件,その他議案14件です。

平成30年度補正予算

 平成30年度3月補正予算につきましては,本年10月1日の消費税率の引上げに伴い実施されるプレミアム付商品券の発行に係る準備経費や,港湾や街路などの県営工事負担金,退職手当のほか,公債費負担の低減に向けた起債の借換えなど,補正総額は全会計純計で33億9,395万円余りとなっております。

 これらの補正財源は,国庫支出金等の特定財源のほか,一般財源として繰越金や減収補てん債などを充当いたしました。

予算外議案

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正によるものなど22件です。

 このうち,市第24号議案は,消費税及び地方消費税の税率の合計が10パーセントに引き上げられることに伴い,公の施設の使用料等の見直しを行うため,関係する44条例を改正するものです。

 また,市第35号議案は,国民健康保険料の賦課限度額の引上げ及び保険料軽減対象世帯の拡大を行うものなどです。

 その他議案は,インフレスライド等に伴う新庁舎建設工事及び建設電気設備工事請負契約の一部変更や,新庁舎に設置するオフィス家具等の購入契約,包括外部監査契約締結,市道路線の廃止認定の議案など14件です。

 報告3件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,議案を中心に概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。