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第460回高知市議会定例会市長説明要旨(平成29年6月15日)

 第460回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

 まず最初に,本市の環境部職員が強制わいせつ容疑で逮捕されるという不祥事が発生したことにつきまして,被害者の方をはじめ,市民の皆様や議員の皆様に心からお詫び申し上げます。

 今回の不祥事は,先月12日に,当該職員が面識のない女性の身体を触るなどの犯行を行ったもので,市民の皆様の安全・安心を守るべき本市職員がこのような事件を起こしたことは,市政に対する信頼を著しく損なうものであり,極めて遺憾であります。

 現在,警察当局において捜査中ですが,事件の全容が明らかになり次第,厳正な処分を行ってまいりますとともに,このような事件を二度と起こさないよう,職員一人一人が公務員としての自覚と強い使命感をもって規律ある行動をとることをさらに徹底し,市民の皆様の信頼回復に全力で取り組んでまいります。

 次に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月8日に内閣府が発表した本年1月から3月期の国内総生産の実質成長率は,海外経済の回復が追い風となって輸出が伸びたことなどから,前期比0.3パーセント増,年率換算では1.0パーセント増となり,5四半期連続のプラス成長を達成しています。

 また,先月24日に発表された月例経済報告では,景気の基調判断を5か月連続で据え置き,「景気は一部に改善の遅れもみられるが,緩やかな回復基調が続いている」とされ,今後の先行きについては,雇用・所得環境の改善が続く中で,緩やかに回復していくことが期待されるとの見方を示す一方で,海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があるとされています。

 高知県内においては,今月7日に発表された日本銀行高知支店の金融経済概況で,「志国高知幕末維新博やクルーズ船寄港の効果により観光入込客数が増加した」ことなどを背景に,「高知県の景気は緩やかに回復している」との判断がなされています。

 こうした経済状況の下,政府は,経済財政諮問会議の答申を受けて,デフレからの脱却を確実なものとし,経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していく「経済財政運営と改革の基本方針」,いわゆる「骨太の方針」を今月9日に閣議決定いたしました。

 この方針では,同一労働同一賃金や長時間勤務の是正をはじめとする働き方改革,幼児教育と保育を対象とした教育無償化等による人材投資の抜本強化の取組等を盛り込むとともに,財政健全化に向けた社会保障改革については,平成30年度から施行される国保の都道府県単位化を踏まえ,現行の国保普通調整交付金の見直しなどによるインセンティブの強化や,薬価制度の抜本的な見直しを検討する方針などが打ち出されています。

 特に,地方財政制度に関しては,平成30年度までの地方一般財源の総額については,平成27年度と同水準を確保することが約束されているにもかかわらず,地方自治体の基金残高が増加している状況等を捉えて,地方交付税の削減を求める議論があり,交付税削減につながるおそれがあります。

 このため,今月7日に開催された全国市長会総会において,「都市自治体は不測の事態による税収の減少や災害への対応に備えるとともに,地域の様々な課題に対処するため,自治体自らの判断に基づいて基金を積み立てているところであり,地方の基金残高が増加していることをもって短絡的に地方歳出を削減しないこと」などを強く求める「都市税財源の充実強化に関する特別決議」を行い,関係省庁に強く働きかけておりますので,全国市議会議長会としてもご支援をお願いいたします。

 次に,南海トラフ地震対策について順次申し上げます。

 まず,浦戸湾三重防護対策の取組について申し上げます。

 平成28年度に概算事業費600億円で事業が採択されました「高知港海岸 直轄海岸保全施設整備事業」,いわゆる「浦戸湾の三重防護」が,いよいよ平成29年度から本格的に工事着手されることとなりました。

 先月14日には,総合あんしんセンターにおいて,国土交通省の主催の下,田中良生国土交通副大臣や山本有二農林水産大臣をはじめとする地元選出の国会議員の方々,尾崎正直高知県知事,県議会・市議会,地元自主防災組織の皆様などのご臨席を賜り,工事着工式典が厳粛に行われ,私からも地元市長として感謝の意を表させていただきました。

 この三重防護対策では,平成28年度から平成43年度までの16年間で,高知新港沖防波堤の延伸などを行う「第1ライン」,浦戸湾湾口部の津波防波堤の整備や外縁部の防潮堤の耐震対策等を行う「第2ライン」,浦戸湾内部の防潮堤や胸壁等の液状化対策や嵩上げ等を行う「第3ライン」の海岸保全施設の整備等を順次実施することとなっています。

 そのうち,本年度に国直轄工事として着工する高知港海岸の工区では,第2ラインの高知新港東側から千松公園西側までの種崎(外縁)工区の約3,000メートルのうち,高知新港緑地西側の500メートルの区間を工事施行対象としており,地震津波対策として,津波による洗掘防止のために既設堤防の背後に鋼矢板を打設するとともに,海側の堤防を新設し,嵩上げするものであります。

 これらの対策を今後着実に進めることによりまして,南海トラフ巨大地震発生時に約2メートル地盤が沈下した場合であっても,発生頻度の高いL1地震の津波に際しては津波の浸入を防ぐとともに,最大クラスのL2地震の津波が発生したときには,住民の皆様の避難時間を確保するための「減災」が可能となります。

 本市においては,高知県全体の約46パーセントの人口が集中しており,特に浦戸湾周辺には,行政機関や学校,病院などの重要施設が多数設置されている一方で,この地域の海岸保全施設は,老朽化により防護機能の低下が顕著になっているものも多くあり,今般の三重防護の対策は,南海トラフ地震対策を推進する上で,本市の生命線とも言える極めて重要な事業となります。

 この事業は,津波浸水想定区域内で生活されておられます皆様の大切な生命や財産を守るとともに,本市の経済活動や社会基盤の根幹を支える重要プロジェクト事業となりますので,その進捗に大きな期待を寄せており,毎年度の確実な予算獲得を目指して,今後とも国・県との連携を図ってまいりますので,ご支援をお願いいたします。

 次に,先月18日に開催した第15回高知県・高知市南海トラフ地震対策連携会議について申し上げます。

 この会議は,東日本大震災の発生を契機に平成24年11月から開催しており,県市の関係部局が緊密に連携を取りながら震災対策を迅速に進めていくため,現在13項目の分野について進捗確認や今後の取組方針を協議しております。

 今回の会議では,全13分野について,進捗状況等をより分かりやすくし,期限を明確に定めて実施していくため,県・市それぞれが本年8月を目途に数値目標を設定して,より具体的な取組を進めていくことを決定いたしました。

 また,重点項目である「避難所対策」「長期浸水域の住民避難対策の推進」「医療体制」「応急仮設住宅対策」「住宅の耐震対策」の5分野について,個別協議を行い,取組の進捗状況や今後の課題等についての認識を共有するとともに,詳細な取組の進め方を確認したところです。

 特に,「長期浸水域の住民避難対策の推進」では,本市において昨年度に実施した「長期浸水想定地域の住民の方々への防災意識調査」の結果や,社会福祉施設等への説明会の実施状況と併せて,迅速な救助・救出につなげる避難者情報伝達・収集システムの整備状況について説明を行うとともに,この秋以降に予定している地元住民の皆様との意見交換会の開催などについて報告を行い,県からは長期浸水地域の住民避難シミュレーションの策定状況について説明があり,迅速な救助・救出につなげる対策を確認したところです。

 また,「住宅の耐震対策」では,昨年4月に発生した熊本地震を教訓に本市における住宅耐震化を促進するため,本年6月から本市における「木造住宅耐震化の補助額の上限額を92万5千円から110万円に増額し,一般的な工事費が120万円の場合の個人負担を27万5千円から10万円に軽減する」ことを報告するとともに,引き続き住宅の耐震化を加速するための支援を県に対して要請しております。

 次に,本市を含む中央圏域14市町村の「広域避難に係る協定締結」について申し上げます。

 現在,新たな避難所の確保に向けた施設の指定や耐震化等を順次行っており,L1地震発生時に必要となる避難所施設は現状で確保できている一方,L2地震では津波による浸水域が広大な範囲になり,避難者数が大幅に増加することから,L2地震発災後に必要となる避難所施設の確保ができておりません。

 高知県が取りまとめた中央圏域市町村の避難者収容可能数につきましては,それぞれ5市において避難所が不足する状況にあります。

 そのため,平成27年度から高知県が調整役となり,広域避難に関する検討を行い,先月9日に,本市をはじめとする中央圏域14市町村で,お互いの自治体の枠を越えて避難者を受け入れるための「広域避難協定」を締結いたしました。

 締結式では,各首長から,「有事の際に広域圏で連携して対応することが重要である」「協定締結を契機にさらに連携を強化したい」などの意見が出され,中央圏域で連携して災害対応に当たる必要性を再確認いたしました。

 この協定では,避難者の受入れの協力や,原則として避難元の市町村が移送手段の確保や避難所の運営に努めることなどの基本項目を定めており,今後,受入れ候補地となる避難所の洗い出しや運営方法などの具体的なルールづくりに向けて,本協定の下に,中央圏域広域避難検討会において詳細を詰めてまいります。

 この協定が締結できたことにより中央圏域での広域避難の可能性が高まりますが,本市の市域内で避難所を確保することが一番の基本目標であることに変わりはなく,今後とも本市における避難所の拡充を目指してまいります。

 次に,新庁舎整備について申し上げます。

 新庁舎の整備につきましては,昨年6月から建設工事に着手し,現在,新庁舎建物の基礎工事に取り組んでおります。

 この基礎工事では,建物本体を支えるために,比較的強固な地層となっている地表面から約29メートル付近の層まで既成コンクリート杭を打設するほか,緩い砂地盤で形成されている地表面付近については液状化対策工事を行います。

 この砂地盤の層は,大地震発生時に液状化する可能性が高いため,約1万6千本の県産材の杉丸太を打設することにより,地盤の密度を増大させる液状化対策を行うものです。

 今回採用した丸太打設による液状化対策工法については,これほど大規模な施設での施工実績は全国的にも例がなく,関係する業界から非常に注目を集めております。

 この工法は,地中に炭素を長期間貯蔵できるほか,自然素材を用いるため地下水汚染の心配がないことなど,環境面にも非常にやさしい工法であるとともに,従来の工法と比較して大型重機を用いる必要がないことから,振動や騒音の発生も少なく,工事期間中の周辺環境にも配慮した工法となっています。

 利用する丸太は全て県産材を利活用しますので,森林県である本県の林業活性化にもつながることを期待するところです。

 新庁舎は平成31年6月末頃の完成後,順次市議会や各部局の引越し作業を行い,同年秋頃の全面供用開始を目指しており,市民の皆様には,それまでの間,大変ご不便をおかけいたしますが,ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に,地方創生の取組について申し上げます。

 政府においては,今月9日に,地方創生に向けた当面の人口減少対策をまとめた「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」を閣議決定し,中心市街地の空き店舗解消に向けた土地の課税強化や中央省庁のサテライトオフィス設置に向けた実証実験の検討など,新たな事業も打ち出しながら地方創生の取組強化を図っております。

 高知県内の人口は,平成22年と27年との国勢調査の比較で36,180人も減少しており,減少率から見ると,秋田県,福島県に次いで,青森県と並ぶ第3位に位置付けられるとともに,県内すべての市町村で人口が減少しております。

 本市においても,同様の比較で,5年間で6,203人の人口減少となっており,年齢別人口では,65歳以上が人口・構成比ともに増加傾向にあるなど,少子高齢化がさらに進行しています。

 県人口が減少していく中で,本市人口の県人口に占める割合は,約46パーセントとなっていますので,これまで以上に県域全体のけん引役としての役割を発揮するため,昨年から,県との連携の下,県内全市町村との間で「連携中枢都市圏」の形成に向けた協議を進めております。

 現在,県や各市町村の企画部門との間で継続的に事務協議を実施し,昨年度から検討を行っております13事業に加え,新規事業につきましても,それぞれの事業部門を交えて具体的な役割分担や,今後のスケジュール等について協議しているところであり,先月26日には,外部の有識者で構成する「(仮称)高知広域連携中枢都市圏ビジョン策定懇談会」を開催し,専門的な立場からのご意見を賜ったところです。

 全県域での連携を目指す本市の取組は,全国初となることから,いただいたご意見も参考にしながら,事業の相乗効果が発揮できるスキームの構築を目指し,質・量ともにさらに充実を図ってまいります。

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 去る4月12日に,大ヒット曲「南国土佐を後にして」で知られる名誉高知県人の「ペギー葉山」さんが急逝される突然の訃報があり,県民の皆様がこれまで親しくお付き合いをさせていただいた大切な方を亡くし,私たちも本当に残念でなりません。

 昨年10月の四万十町岩本寺での熊本地震チャリティーコンサートの事前打合せのため,昨年7月に高知にお越しいただいた際に,本市にお立ち寄りいただいたのが,私がお会いした最後の日となりました。

 その際には,ミュージカルやよさこいの話はもちろんのこと,岩本寺の本堂の天井画のお話しなどを楽しくさせていただいたことが鮮明に思い出されます。

 よさこい祭りでは,よさこい全国大会の審査員長を第1回から第16回大会まで精力的に務めていただき,第17回大会からは名誉顧問にご就任いただいており,審査員長の時には,いつも全国大会の締めくくりに,舞台やぐらの上でペギーさんが「南国土佐を後にして」を熱唱され,鳴子を手にした全国各地の踊り子が総踊りをするのが大会フィナーレの風物詩となっていました。

 全国大会の審査の際には,いつも手元にノートを用意され,大会に参加した全チームの特徴を熱心にメモされ,「是非若い人に賞をあげたい」と審査会場で頭を悩ませていたペギーさんのお姿が目に焼き付いています。

 高知市役所踊り子隊で,ペギーさんと正調よさこいをご一緒に踊ったことも大切な思い出の一つであり,高知を「第二の故郷」として想い続けていただいたペギー葉山さんの熱い情熱とご功績に対しまして,改めまして敬意と感謝を申し上げ,県民の皆様とともにご冥福をお祈りいたします。

 次に,今年のゴールデンウィークの県内の主要観光施設の入り込み状況については,後半が5連休であったことや天候に恵まれたこともあり,期間中の利用者数は好調に推移し,昨年と比較すると,1万7,199人多い7パーセント増となりました。

 本市の主要観光施設である桂浜公園の駐車場利用では,昨年と比較して5.7パーセント増となり,連休期間中に高知競馬場からシャトルバスを運行することで大きな渋滞が発生することもなく,多くの観光客の皆様が桂浜観光を楽しまれましたので,地元の皆様やシャトルバスに乗車して観光案内を行っていただきました土佐観光ボランティア協会をはじめとする皆様に感謝申し上げます。

 また,開催中の「志国高知幕末維新博」のメイン会場である高知城歴史博物館の来館者数が好調に推移しているとともに,本市の地域会場の一つである「龍馬の生まれたまち記念館」では対前年比で45.8パーセントの増,また「自由民権記念館」では対前年比で61.9パーセントの増と利用者数が大幅に増えており,幕末維新博の効果が県内各地に広がってきています。

 本市では,この好機をさらに活かすため,先月28日には「龍馬の生まれたまち記念館」において,幅広い年代の皆様に龍馬のことをより身近に感じ,楽しんでいただくために,「見る」「触る」「遊ぶ」「学ぶ」をコンセプトにした新たな5つのコンテンツを導入いたしました。

 メインコンテンツとなります「バーチャル4面シアター」では,前後左右のスクリーンに実写やコンピューターグラフィックスを交えながら,龍馬の生きた時代を追体験いただくとともに,鳴子の音を感知して盛り上げる仕掛けを取り入れるなど,高知らしさを感じられるシアターとなっています。

 また,今回のシアター制作に際し,登場人物の声優を公募したところ,県内外から多くの応募があり,オーディションのレベルも非常に高く,県内外の応募者の方々の龍馬に対する熱い思いを感じるとともに,みんなの手でシアターを創り上げたという志を強く感じています。

 そのほか,床面を踏むと様々な色彩に変わる「時のトンネル」や,来館者自身の姿に龍馬やおりょうさんの衣装を重ね合せることができるデジタル写真撮影システム,龍馬語録や土佐弁などを漢字でシールにできる「Wamojiシール」,さらには,現在の地図と古地図を見比べることのできるデジタル画面のテーブルなど,新たなコンテンツを館内に配置しましたので,より多くのお客様に楽しんでいただき,「志国高知幕末維新博」をともに盛り上げてまいります。

 次に,大型客船の寄港状況について申し上げます。

 昨年度は大型客船30隻が高知に寄港いたしましたが,今年度は,先月末時点で昨年を大幅に上回る73隻の寄港予約及び仮予約をいただいており,年間で約24万人の国内外のお客様が客船を利用して高知を訪れることが見込まれますので,国内外からのお客様にご満足いただけるように,岸壁での受入体制の強化や,中心市街地でのおもてなしの充実を図ってまいります。

 次に,水道事業及び公共下水道事業における経営戦略策定に向けた取組について申し上げます。

 両事業につきましては,地方公営企業として,長期的に安定したサービスの提供が求められています。

 本市においても人口減少が進んでいくことを踏まえ,平成27年度に学識経験者等で構成する高知市上下水道事業経営審議会を設置し,本年3月30日に「上下水道事業における今後の経営方針について」の答申をいただきました。

 この答申の中で,水道事業では,水需要の減少社会を考慮して,施設・設備のダウンサイジングを行うとともに,「人口減少の下で健全経営を維持できる料金体系を目指して,料金改定を検討する必要がある」ことなどが提言されています。

 また,公共下水道事業については,今後10年程度の集中的な汚水整備に伴う収益増加が見込まれるものの,毎年3億円から5億円程度の赤字が継続して発生することが想定されることから,「経営改善に向けて早期に使用料の改定を検討し,累積赤字を解消する必要がある」ことなどが提言されています。

 この答申内容を踏まえ,現在,上下水道事業における中長期的な経営の基本計画となる「経営戦略」の策定に取り組んでおります。

 この経営戦略では,今後10年間の投資の合理化や経営の効率化を前提とした投資試算及び財政試算を行い,収益で費用が賄えない収支ギャップが見込まれる場合については,その解消方法について具体的に検討してまいりたいと考えます。

 また,公共下水道,合併処理浄化槽,農業集落排水などの汚水処理人口普及率の早期向上を目指して,本市では,平成23年に見直しました高知市生活排水処理構想に基づき,生活排水処理施設の普及促進に取り組んでいます。

 しかしながら,今後の人口推移や施設整備費,維持管理費などのコスト面や整備に要する期間などを勘案しますと,普及率の向上に必要な生活排水処理の早期概成に向けて,人口密集地における公共下水道の優先的な整備と併せて,公共下水道区域から合併処理浄化槽区域への変更などの取組が必要となります。

 このため,昨年度から現行の生活排水処理構想の見直しを検討してきたところであり,現在,見直しに向けた素案が出来上がりましたので,市民の皆様から幅広くご意見をいただくため,パブリックコメントを実施しております。

 今後,議会からもご意見をいただきながら,本年度の上半期には新たな生活排水処理構想を策定し,全市的な普及率の向上に向けた取組等を進め,生活環境の改善や公共用水域の水質保全を図ってまいります。

 次に,平成28年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

 一般会計では,地方消費税交付金や法人市民税が大幅に減少するなど厳しい財政収支となりましたが,平成16年度以来,12年ぶりとなる財政調整基金や減債基金の取崩しを行ったことなどにより,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。

 特別会計では,収益事業において,昨年4月の熊本地震の発生時期と記念競輪の開催が重なったことから,売上げが減少するマイナス要因もありましたが,ミッドナイト競輪による売上げの増加等によりまして,6年連続の単年度黒字となり,累積赤字は57億円弱に減少する見込みであり,今後とも魅力あるレース編成に取り組み,さらなる収支改善に努めます。

 そのほか,国民宿舎運営事業では,平成26年度に起債償還が終了したことなどにより,単年度収支及び運営収支とも黒字になる見込みであり,現行の経営健全化計画では,平成31年度末で資金不足の解消を図る予定です。

 企業会計のうち,水道事業では,例年より給水収益の減少幅が小さく,13億8千9百万円余りの純利益を確保することができる一方で,公共下水道事業では,減価償却費の減少等により収益的支出は減少しているものの,3億6千百万円余りの純損失となりますので,先に申し上げましたとおり,今後の経営の基本計画となります経営戦略を策定し,経営基盤の強化による長期的に安定した経営を目指してまいります。

 以下,議案についてご説明を申し上げます。

 今回提出いたしました議案は,予算議案1件,条例議案6件,その他議案26件です。

 まず,今回の補正予算は,一般会計において国費の内示を受けまして,本市の重点路線に位置付けている「愛宕町北久保線」における愛宕町工区をはじめ,3街路の整備に向けた用地買収費及び建物物件調査費を補正するほか,全国的な課題である教職員の負担軽減に向けて,中学校3校をモデル校として,部活動の負担軽減策などの研究を行う経費を補正するものです。

 以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

  一般会計 2億4,000万円

 の増額であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,722億750万5千円となり,この補正予算財源として,特定財源である国庫支出金のほか一般財源として繰越金を充当いたしました。

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正に伴うものなど6件です。

 このうち,市第63号議案は,本年9月中旬にオープン予定の高知市東部総合運動場多目的ドームの使用料や照明料等を設定するものです。

 新多目的ドームのオープンに伴い,プロ野球や大学・社会人チームのトレーニング環境が格段に向上するとともに,野球やサッカーの室内練習,フットサルやハンドボールの試合等にも活用できることから,市民の皆様のスポーツ環境の充実と活動の推進に向けて積極的な利用を呼びかけるとともに,災害時には,広域支援物資の集積・荷捌き場として活用するなど,防災機能の強化にもつなげてまいります。

 次に,市第59号議案の高知市税条例の一部を改正する条例議案につきましては,平成29年度税制改正に伴い,個人住民税の配偶者特別控除の適用要件の拡大や軽自動車税のグリーン化特例の延長等を行うものです。

 その他の議案は,高知市税条例の一部改正についての市長専決処分の承認議案や土地取得議案など26件となっています。

 このうち契約締結議案が21件となっており,市第68号議案から市第70号議案は,老朽化した東石立町及び筆山町の両市営住宅について,現東石立町市営住宅敷地内に統合して建設するための一期工事請負契約締結議案であり,平成30年9月末の完成を目指し,敷地西半分に高層耐火7階建56戸の市営住宅を2棟整備いたします。

 市第71号議案から市第86号議案は,(仮称)長浜給食センター及び(仮称)針木給食センターの建設に係る工事請負契約締結議案のほか,ステンレス製回転釜や作業運搬台などの給食調理に必要な物品購入契約締結議案です。

 今議会で提案いたしております関連議案をご承認賜りました後に,市内2か所において整備する給食センターの建設工事等に着手し,平成30年度の2学期以降,できるだけ早期の中学校給食の完全実施を目指すとともに,大規模災害時等における炊き出しが可能な防災機能を併せ持つ施設として整備してまいります。

 報告13件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。