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第455回高知市議会定例会市長説明要旨(平成28年3月7日)

 第455回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

 まず,他の議案に先立ちまして,市第89号訴訟の提起に係る議案につきまして,本議案を分離提案させていただき,ご審議いただきますことについて,特段のご配慮を賜り,ありがとうございます。

 本議案につきましては, 日本ロジテック協同組合と売買契約を締結しておりました高知市清掃工場の余剰電力売却にかかる電気料金のうち,滞納している平成27年10月分の一部と,11月分及び12月分の合計1億8,103万4,370円の支払い並びに,支払期限の翌日から支払済みに至るまでの遅延損害金の支払いを求める訴訟の提起について, 議決をお願いするものであります。

 本契約につきましては,既に料金は収納済みではありますが, 平成27年4月分から9月分の料金につきまして,再三の督促にも関わらず支払いの遅延を繰り返すなど,先行きが危惧されましたことから, 契約条項に則り, 平成27年12月末をもって日本ロジテック協同組合との売買契約を解除し, 本年1月からは四国電力株式会社と新たな売買契約を締結しております。

 今般の契約変更に伴いまして,買い取り単価が低下したことで差損が発生しますので, 訴訟において必要がある場合は差損等を追加請求する内容も盛り込んでおります。

 本市としましては, 早期に訴訟を提起することにより, 迅速な債権回収を目指してまいりたいと考えておりますので, 他の議案に先立ちましてご説明を申し上げましたが,よろしくご審議のうえ,適切なご決定を賜りますようお願いいたします。

 ただいま委員会付託されました,訴訟の提起に係る市第89号議案を除く議案につきまして,提案理由の説明を申し上げます。

 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政及び経済の動向

 まず最初に,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

 今月11日に,東日本大震災の発生から早くも5年を迎えようとしておりますが,改めまして犠牲になられました多くの方々のご冥福をお祈り申し上げます。

 国においては,復興対策に全力を尽くされるとともに,厳しい現実を胸にきざみ,災害に強い強靭な国づくりを強力に進めていただくことを強く願います。

 さて,先月15日に内閣府が発表しました昨年10月から12月期の国内総生産の実質成長率は,個人消費の低迷や輸出の減少に伴い,前期比0.4パーセント減,年率換算では1.4パーセントの減となり,2四半期ぶりのマイナス成長となりました。

 また,同25日に発表された国の月例経済報告では,「景気は,このところ一部に弱さもみられるが,緩やかな回復基調が続いている」とした一方で,先行きについては,中国をはじめとするアジア新興国等の景気が下振れし,我が国の景気が下押しされるリスクがあるとされています。

 同5日に発表されました日本銀行高知支店の高知県金融経済概況では,「景気は緩やかに回復しつつある」とされる一方で,当面は,新興国経済の減速に伴う影響や金融市場の不安定な動きによる消費への心理的な影響,人手不足感の高まりによる企業活動や収益面への影響等について注視していく必要があると報告されています。

 こうした経済状況の下,政府は新たな3本の矢として,「名目GDP600兆円の実現」,「希望出生率1.8の実現」,「介護離職ゼロ」という目標を掲げ,1億総活躍社会を実現していくことを表明しており,本年度の補正予算では,低額年金の高齢者への臨時給付金の支給や地方創生の加速化,介護人材の育成・確保などに取り組むために,総額で1兆1,646億円を予算計上しています。

 本市としましては,こうした国の支援策を積極的に活用するとともに,第3期高知県産業振興計画とも連携を深めながら,「高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を着実に実行し,本市経済の活性化につなげてまいります。

2 財政健全化・行政改革等

 次に,本市の財政健全化への取組について申し上げます。

 新年度の予算編成作業を通じ,今後における市税収入や地方交付税などの一般財源の推移と事務事業見直し効果等を反映した上で,総合計画第2次実施計画をベースにしながら,扶助費については2.5パーセントの伸び率で推計した場合,平成28年度から32年度までの5か年で59億円程度の財源不足が見込まれる収支見通しとなっています。

 この財源不足の対応として,アウトソーシングの推進や事業のスクラップアンドビルド,繰上償還等による公債費の削減,市税等徴収率の向上による収入の確保などの行財政改革の実施に加えて,投資事業の平準化等を踏まえた上で,なお財源不足が見込まれる場合には,財政調整基金や減債基金等を活用して収支の均衡を図ってまいります。

 次に,行政改革の取組について申し上げます。

 まず,機構改革につきましては,今年度中に策定します公共施設マネジメント基本計画に基づき,施設の統廃合や計画修繕等による長寿命化などの総合的なマネジメントを推進する組織として,管財課に「財産政策室」を設置します。

 都市建設部みどり課では,「東部総合運動公園整備準備室」を設置し,市民の皆様の生涯スポーツの充実をはじめ,プロ野球のキャンプや競技大会等の誘致などスポーツツーリズムを推進していくとともに,災害時の広域支援物資等の集積拠点機能の強化を図っていくために,東部総合運動場を都市計画公園として整備してまいります。

 また,地方創生の推進に向けて,地域住民の方々や企業,団体の皆様との協働と連携による取組が重要になりますので,本市における広聴機能と広報機能の充実を図り,住民の皆様からのご提言,ご提案をいただく機会の充実と情報共有を推進するため,秘書広報課内に「広聴広報推進室」を設置し,全庁的な広聴・広報機能の強化に取り組みます。

 次に,総合計画の改訂について申し上げます。

 総合計画の基本計画については,10年の計画期間のうち,概ね5年を経過した時点で内容の検証を行うこととしており,折り返しの5年目を迎えた本年度から見直し検討を開始し,28年度には計画を改訂する予定となっています。

 改訂に当たっては,東日本大震災の発生や地方創生の推進をはじめとする社会経済情勢の変化などを踏まえて庁内で検討を進めており,今後,議会の皆様からのご意見やパブリックコメントによる市民の皆様からの意見を反映させながら原案を作成し,有識者で構成する「高知市総合計画審議会」に諮問し,答申を受ける予定となっております。

3 地方創生

 次に,地方創生に関する取組について申し上げます。

 昨年10月に人口減少の克服に向けて策定した「高知市まち・ひと・しごと創生総合戦略」では,毎年,KPI(重要業績評価指標)の達成状況を検証した上で,必要に応じて施策を見直すなど,PDCAサイクルにより着実に事業を進めていくこととしております。

 そのため,今月末には,総合戦略の策定に当たって貴重なご意見を頂いた「高知市まち・ひと・しごと創生有識者会議」に,KPIの達成状況や施策の見直し案をお示しし,ご意見を賜りますとともに,議会の皆様方からもご意見を賜りながら,総合戦略の改訂を行うこととしております。

 今回の改訂の主な内容として,国の制度を活用した「連携中枢都市圏」や「生涯活躍のまち」の形成に向けた取組などの新たな事業を追加してまいります。

 また,国の平成27年度補正予算において,先駆的な取組を支援する「地方創生加速化交付金」が新たに創設されたことに伴い,事業の前倒しを行い,関連予算を3月補正予算に計上しております。

 今国会には,「地方創生推進交付金(新型交付金)」や「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)」など,地方への新たな支援措置の創設を盛り込んだ「地域再生法」の改正法案が提出されていますので,今後もこうした国の支援制度を積極的に活用しながら,地方創生の推進を図ってまいります。

4 移住・定住促進

 次に,移住・定住促進の取組では,子育ての支援や世代を越えて助け合いながら暮らせるしくみづくりに向けて,子育て世帯が県外から転入し,三世代が同居等となる場合の費用等を助成する「三世代同居等Uターン支援事業補助金」を新設するとともに,「高知中央広域移住・定住PR事業」として,高知中央広域定住自立圏を構成する南国市・香南市・香美市との連携の下,移住希望者に対する大都市圏での相談会や移住体験ツアーの実施に取り組んでまいります。

5 南海トラフ地震対策

 次に,南海トラフ地震対策について順次申し上げます。

 今月3日に,国土交通省から,28年度の国直轄事業の候補箇所として本市の浦戸湾周辺の海岸整備事業を盛り込み,事業実施の検討を開始することが公表されました。

 これから有識者で構成されます事業評価部会において,費用対効果の検証が行われることとなりますが,(1)高知新港沖の防波堤(2)浦戸湾の外縁部・湾口部の防波堤・防潮提(3)湾内部の堤防・護岸の3つのラインで,堤防の嵩上げや補強,液状化対策等を行う「三重防護」の実現に向けて,大きな一歩を踏み出すことができました。

 南海トラフ地震の発生後,本市の市街地は広範囲にわたって長期浸水することが想定されていますので,これまで議会を含め県・市が連携して国に強く働きかけてきた結果,国土交通省をはじめ関係者の方々に事業評価に着手していただきますことに感謝するとともに,引き続き国の直轄事業として採択されますように,県・市で連携し,国に対して事業化を強く求めてまいりますので,ご支援をお願いいたします。

 次に,津波避難対策の取組状況について申し上げます。

 平成25年度に着手した津波避難困難地域における11か所の津波避難施設整備につきましては,12月議会におきまして津波避難タワー4施設,津波避難センター1施設のあわせて5施設が完成しましたことをご報告いたしましたが,残る6施設につきまして,本年2月末までにすべての本体工事が完了いたしました。

 また,自然地形の高台への津波避難路整備につきましても,当初整備を予定しておりました,すべての路線の本体工事が3月末をもって完了いたしますので,今後は,地域の皆様とともに,それぞれの施設や避難路などを活用した避難訓練等を積極的に実施しながら,より実践的な津波避難対策を進めてまいります。

 次に,災害時における主要な避難所となる市立学校へのヘリサインの整備について申し上げます。

 ヘリサインの整備は,避難者の方々の円滑な救助・救出及び物資搬送を図るために有効であり,本年度は,公益社団法人高知県公共嘱託登記土地家屋調査士協会様のご寄付によりまして,長期浸水が想定されている江陽小学校,潮江東小学校,高須小学校,愛宕中学校,青柳中学校の5校を整備していただきました。

 来年度からは残ります長期浸水区域内の学校から優先的に整備を進め,平成29年度中には,すべての市立学校60校に対するヘリサインの整備を完了したいと考えております。

 また,長期浸水エリアの対策として,津波避難ビルにおける避難者の孤立に備え,長期浸水区域内の津波避難ビルに対して飲料水の備蓄や簡易トイレの配備を順次進めるとともに,津波避難ビルで孤立する避難者の早期救助・救出を図るため,航空機等への情報伝達手段として,平成28年度中に浸水区域内のすべての津波避難ビルに簡易な資機材を配備する予定です。

6 庁舎等の整備・耐震化

 次に,庁舎等の整備・耐震化について申し上げます。

 まず,新庁舎整備につきましては,昨年末に実施設計を完了させ,今年1月には総合評価落札方式による一般競争入札によって建設工事の発注を行っており,落札後に仮契約締結を経て,4月に臨時会を開催させていただき,建設工事にかかる契約議案のご審議を賜りました後,5月から工事に着手したいと考えております。

 建設工事のスケジュールとしては,平成28年度は,旧本庁舎の地下部分や市民図書館の解体工事を進めるほか,県産材の丸太を利用した地盤改良工事や杭工事を行い,平成29年度からは基礎躯体工事や免震装置の設置に取りかかり,本体施設の建設を順次進めまして,平成31年2月の新庁舎完成を目指してまいります。

 新庁舎の完成後,平成31年3月には新庁舎議場での議会定例会の開催を予定するとともに,4月頃には市民の皆様へのお披露目を兼ねまして内覧会や開庁セレモニーを開催し,5月のゴールデンウィークを利用して移転引越作業を行った後,連休明けから新庁舎での本格的な業務を開始する予定です。

 また,今後,新庁舎での市民サービス向上に関する検討も本格化させ,市民の皆様が利用しやすい市役所の実現を目指してまいります。

 市民の皆様には新庁舎完成までの間,仮庁舎での業務受付となり,大変ご不便をおかけいたしますが,ご理解,ご協力を賜りますようお願いいたします。

 次に,鏡庁舎につきましては,自然豊かな周辺環境と調和したコンパクトな新庁舎を旧庁舎の位置に建設することとしており,現在,鏡地域振興課については旧庁舎に隣接する中山間地域構造改善センターに仮移転し,執務を行っております。

 春野庁舎につきましては,現庁舎の敷地が仁淀川の氾濫浸水予想区域内にあるため,浸水の恐れのない春野文化ホールピアステージの東側の駐車場部分に移転改築することとし,木造2階建で温かみのある庁舎を建設することとしています。

 両庁舎とも,27年度に実施設計を完了させ,28年度に建築工事を行い,年度内の供用開始を目指してまいります。

 次に,学校施設の耐震化について申し上げます。

 これまで最優先で取り組んでまいりました校舎の耐震化は,平成27年度末に完了見込みとなっており,議会をはじめ関係者の皆様に感謝申し上げます。

 平成28年度につきましては,12月にご承認をいただいております屋内運動場6棟及び本議会で予算の繰越をお諮りする2棟の合計8棟の屋内運動場の耐震補強工事と,27年度から2か年継続事業で実施中の朝倉第二小学校屋内運動場改築工事を完了させるとともに,新たに28年度から2か年継続事業で実施する横浜小学校屋内運動場改築工事に着手します。

 次に,保育所園舎の耐震化について申し上げます。


 保育所園舎につきましては,平成30年度末までに市内すべての保育所の耐震化を完了できるよう重点的な取組を進めております。

 平成28年度は,公立保育園では,宮前保育園,大津保育園の改築工事等に着手するとともに,秦中央保育園の移転改築に向けた用地取得を進めてまいります。

 民営保育所については,三里保育園,おさなごの園,十津保育園,瀬戸保育園,大津東保育園,城山保育園の6園の改築工事等に対する助成を行い,民営保育所の一層の耐震化を推進します。

7 観光行政

 次に,観光振興の取組について申し上げます。

 平成27年に高知県を訪れた県外観光客は408万6千人となり,3年連続で400万人観光を達成するとともに,大河ドラマ「龍馬伝」効果で賑わった平成22年に次ぐ過去2番目の多さとなりました。

 昨年は龍馬生誕180年の節目の年でありましたことから,「龍馬像米寿記念イベント」,「龍馬ミステリーラリー」,「平成の薩長土中学生フォーラム」,「帆船海王丸」の来港,「全国龍馬ファンの集い高知大会」の開催など,年間を通して各種事業やイベントが盛況であったことや,国の地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用し,県市合わせて9億1,400万円の発行を行った「ふるさと旅行券」が後押ししたものと考えます。

 インバウンド観光では,本市の外国人旅行者延べ宿泊者数は,前年の13,032人に対して,平成27年は17,623人,対前年比35.2パーセント増となっています。

 今後,更に増加が見込まれます外国人旅行者の皆様に,より快適に本市で滞在していただけるよう,観光施設のWi-Fi環境の充実やホームページ・案内板・パンフレット等の多言語化,おもてなし研修の実施など受入体制の充実を図ってまいります。

 また,大型客船の28年度の高知新港への寄港は,2月時点で仮予約を含めますと36回の予定が入っており,県市連携の下,大型客船の受入強化を図ってまいります。

 平成29年(1867年)が「大政奉還150年」,「龍馬没後150年」の節目の年であり,翌30年(1868年)は「明治維新150年記念」となることから,県内で幕末をはじめとする歴史を中心にした博覧会の開催が予定されており,本市も準備段階から積極的に参画し,歴史資源の磨き上げを行ってまいります。

 次に,桂浜公園の再整備では,昨年4月の基本構想策定を経て,5月には議員の皆様をはじめとする多くの市民の皆様,地元関係者の方々のご参加の下で説明会を開催しましたところ,景観や歴史,防災の観点などから貴重なご意見を多く頂いております。

 同9月から基本計画の策定に着手し,公園のエントランスエリアを中心とした施設計画や事業手法,管理運営方法等について検討を行っているところですが,三重防護や官民連携基盤整備調査事業などとの調整等に時間を要することから,基本計画は今年の夏頃の完成予定となっています。

 基本計画の策定後,地元関係者の方々のご理解を得ながら,事業方式の決定や詳細な施設機能・規模・業種・業態・店舗配置等を確定する実施計画の策定を進めてまいります。

8 子ども・子育て支援

 次に,子ども・子育て支援の取組について申し上げます。

 子育て家庭の経済的負担の軽減に向けまして,平成28年度から子どもさんの医療費について,現在の小学校就学前までの助成枠を,通院・入院ともに小学校6年生までの全額助成に拡充するとともに,所得制限も撤廃することとし,市民の皆様への周知や関係機関との協議を重ねまして,本年10月の受給者証の更新時期に合わせて新制度を実施したいと考えております。

 新生児における聴覚検査につきましては,高知県内の分娩を取り扱う産科医療機関において,新生児の聴覚検査を無料で実施することにより,本市の子どもさんの聴覚障害の早期発見と成長発達への支援を行ってまいります。

 また,地域において,ライフステージに応じた切れ目のない子育て支援を実現するため,(1)拠点となる東西南北及び中央の地域子育て支援センター(2)保育所併設型等の地域子育て支援センター(3)多世代が集う地域における身近な場所としての「集いの場」,の3層構造からなる「高知市版ネウボラ構想」に取り組みます。

 3層構造のベースとなります「集いの場」は,小学校区毎に1か所以上の設置をめざし,地域において福祉活動に取り組んでいる民間団体や子育て中の保護者同士による子育てサークル等とともに,関係機関が連携して多世代交流による多様な子育て支援の仕組みづくりを構築します。

 さらに,訪問型産後ケア事業として,退院直後から概ね1か月の乳児と母親の方々を対象に,産後における心身の不調や育児不安等がある利用希望者の方々に対して,助産師等が自宅へ訪問し,母体ケアや乳児ケア,心身のケア及び育児技術の習得等の支援を積極的に行ってまいります。

9 介護予防,総合事業

 次に,介護予防及び総合事業の取組について申し上げます。

 介護保険法の改正により,要支援1・2の方々の訪問介護及び通所介護については,市町村が実施する総合事業に移行することとなっており,平成29年3月末までに,すべての市町村において事業を開始する予定です。

 本市では,本年10月から既存の介護予防訪問介護や通所介護事業所について,総合事業の「みなし指定事業所」として事業を開始することとし,生活援助のみにサービス内容を緩和した訪問型サービスの新設や,病気などからの回復を短期集中的に支援する新たな通所型のデイサービスの創設を目指し,準備を進めております。

 併せて,包括的支援事業の充実に向けた,3つの事業を新たに開始することとしています。

 1点目として,在宅医療・介護連携事業では,地域の医療・介護の資源の把握や在宅医療・介護連携に関する相談支援などを行う相談窓口センターを設置します。

 2点目は,認知症施策の充実に向けて,認知症初期集中支援チームを2か所に設置し,認知症の初期段階からの支援を集中的かつ包括的に実施します。

 3点目は,生活支援体制整備事業として,従来の介護保険制度の枠組みから外れていた「地域での助け合い・支え合いづくり」について,関係機関や民間団体等と協議しながら構築していくための仕組みづくりとして,「協議体」の設置や「地域支えあい推進員」を配置します。

 これらの事業を着実に実施することにより,住み慣れた地域において誰もが安心して心豊かに暮らせる地域包括ケアシステムの構築を進めてまいります。

10 国民健康保険

 次に,国民健康保険について申し上げます。

 平成28年度は,診療報酬が全体で1.03パーセントのマイナス改定となり,医療費の伸びの低下も見込まれますが,一方で団塊世代等の高齢化の進展に伴い,医療費水準の高い前期高齢者の割合が増加するため,本市の国保財政はさらに厳しくなるものと予想されます。

 国においては,平成28年度から,保険料の賦課上限に係る限度額を4万円改定することが決定されており,本市では,平成27年度からの国の4万円の引き上げを2万円に留めておりましたが,平成28年度に国がさらに改定した状況や厳しい本市の国保財政を踏まえ,医療基礎賦課分及び介護納付金分の賦課限度額を,それぞれ2万円引き上げさせていただくことをご提案しております。

 国保の運営に関しては,平成30年度から都道府県が国保の運営主体に位置づけられ,都道府県単位での財政運営を行うことが決定しており,現在,国民健康保険における納付金及び標準保険料率の算定方法や都道府県国民健康保険運営方針策定要領の素案などについて,国の国保基盤強化協議会で議論が進められています。

 本年秋には,都道府県に対して納付金の試算システムの配布が行われる予定であり,平成30年度からの都道府県による財政運営を見据えて,準備を着実に進めてまいります。

11 学力向上対策 等

 次に,本市の学力向上対策等の取組について申し上げます。

 平成28年度は,中学生の学習意欲向上のための支援として,土佐山中・鏡中・行川中を除く市内16中学校に「中学校放課後学習支援員」を16名配置し,県市連携の下,生徒の学習意欲及び学力向上のための学習支援を行います。

 昨年4月に開校した「土佐山学舎」では,「社学一体」という,すばらしい地域の教育力の下で,9年間の英語教育やICT等を活用した特色ある教育活動に取り組んでおり,開校当初から,全国各地からの多くの視察があり,「土佐山学舎」を中心とする地域活性化や中山間地域の課題克服のための取組として,全国に情報発信できる特色ある一貫校となっています。

 現在,全校児童生徒数は98名となっており,28年度からは全校児童生徒数は130名を超える見込となっていますので,来年度からは新たな義務教育学校として行川学園とともに校種変更を行い,さらなる小中一貫教育の特色ある教育活動を推進してまいります。

 次に,子どもの貧困連鎖の防止策として,平成23年11月からスタートしました高知チャレンジ塾は,6年目を迎えますが,中学生の参加登録者数は年々増加してきており,この3年間は400人前後の生徒さんが参加されております。

 「チャレンジ塾に参加することで,将来の目標を持つことができるようになった」という参加生徒の感想を聞くと,本当にうれしく,我々にも力を与えてくれますので,今後とも福祉と教育の両部門で協働して,貧困の連鎖を断ち切るための取組を充実させてまいります。

12 中学校給食

 次に,中学校給食について申し上げます。

 教育委員会では,平成26年に設置した「高知市中学校給食実施検討委員会」の報告を受けて,今年度当初から整備基本構想の策定及び関連調査等を実施し,現在,給食センターと対象中学校の配膳室整備のための基本・実施設計及び建設予定地の造成に係る測量設計に着手しております。

 また,これらの設計業務と並行して,中学校給食の運営方法,食育の実践方法・地産地消の取組など,中学校給食の完全実施に当たりまして,課題となる事項について「高知市中学校給食実務検討委員会」を設置して具体的な検討を行っております。

 今後とも,議会や地域の皆様からのご意見を賜りながら設計業務を完成させ,造成工事及びセンター建設工事の早期着工を目指し,平成30年度中の中学校給食の完全実施に向けて精力的に取り組んでまいります。

13 平成28年度当初予算

 次に,平成28年度当初予算について申し上げます。

 新年度予算では,「夢と希望にあふれるにぎわいと暮らし安心のまちづくり」を目指し,南海トラフ地震対策や子育て支援策をはじめとする安全・安心のまちづくりを最重点に置き,総合計画第2次実施計画に登載された実施事業を着実に推進することを基本に,地域や市民の暮らしに密着した事業を中心に予算編成を行いました。

 以下,総合計画の施策の大綱で掲げた六つの環の主な施策について順次ご説明申し上げます。

(1) 共生の環

 下水道雨水対策事業

 一つ目の「共生の環」では,まず,雨水対策について申し上げます。

 現在,秦地区においては,日本赤十字病院の移転や(仮称)高知市北消防署の新設など,新たな防災拠点の整備が進められていますので,周辺地域の排水能力の強化に向けて,上下水道局と道路・河川の関連部局が連携して,効率的な排水対策を推進することとしております。

 平成28年度は,東秦泉寺及び南秦泉寺排水機場のポンプ能力増強に係る設計委託のほか,東秦泉寺排水機場に口径700ミリメートルのポンプ設備1台の増設を図ってまいります。

 また,北江ノ口地区の浸水対策として,高知駅北側から江ノ口雨水貯留管への接続管の推進工事や,弥右衛門公園内での排水ポンプ施設の築造のほか,雨水を江ノ口雨水貯留管へ取り込むための分水施設工事を進め,平成28年度末からの供用開始を目指します。

 鏡川清流保全基本計画策定事業

 次に,鏡川清流保全基本計画について申し上げます。

 「森と海とまちをつなぐ環境軸」としての清流鏡川に関する現行計画の期間が,平成28年度末に満了することから,現在,計画の改訂作業を進めております。

 次期計画につきましては,現行計画の検証と総括を行い,水質や源流域の保全など鏡川の抱える課題を踏まえ,市民団体などの様々な主体の役割の明確化と連携による取組を一層推進していくとともに,地域の活性化につながる新たな施策を検討し,次世代を担う子ども達に引き継ぐことのできる基本計画にしてまいります。

(2) 安心の環

 年金生活者等支援臨時福祉給付金

 次に,「安心の環」では,年金生活者等支援臨時福祉給付金について申し上げます。

 この給付金は,これまで過去2か年実施してまいりました臨時福祉給付金の給付事業をベースにして,市民税均等割が非課税の方々のうち,一定の要件を満たす方を対象に,1人当たり3万円を支給するものです。

 支給スケジュールとしては,まず,満65歳以上の高齢者の方々に対する給付金につきましては,申請手続のご案内通知を4月下旬に発送し,7月下旬まで支給対象となる方々の申請を受け付けまして,順次ご指定の口座へ振込む予定となっています。

 また,障害基礎年金又は遺族基礎年金を受給されている方々の給付金につきましては,国の通知により,本年10月以降の支給を予定しており,それぞれ円滑な給付事務の実施に向けて,これらの申請手続につきましては,「あかるいまち4月号・5月号」や高知市ホームページなどで制度の周知を図ってまいります。

(3) 育みの環

 新図書館等複合施設整備

 次に,「育みの環」では,新図書館等複合施設整備について申し上げます。

 本事業につきましては,東洋ゴム工業の免震装置の影響により,昨年10月から工事を一部中断して,免震装置を他社製に変更する設計の見直しを進めております。

 本年4月1日からは,新図書館の西隣に設置する仮設市民図書館及び点字図書館における図書館サービスを開始するとともに,高知みらい科学館展示業務などの事業を進めてまいります。

(4) 地産の環

 農業振興対策

 次に,「地産の環」では,農業振興対策についてご説明いたします。

 本市の農業を取り巻く環境は,農業従事者の高齢化等による担い手の減少や耕作放棄地の増加など,多くの課題に直面しております。

 本年2月にはTPP(環太平洋連携協定)への署名がなされ,今後,農水産物の輸入増加による農業・水産業への影響が強く懸念されるなど,農業者や農業者団体等からは不安の声があがっています。

 こうしたことから,国では「総合的なTPP関連政策大綱」を策定し,競争力強化と経営安定を柱とした国内農業対策への支援が講じられることとなっています。

 本市においてTPP対策を含め,将来にわたり農業を持続可能な産業としていくためには,地域特性を活かした特色ある農業の振興を図っていくことが重要であり,担い手を確保・育成し,産地の維持を図るとともに,6次産業化に向けた農産物の「外商活動」や「新商品の開発」にも積極的に取り組んでまいります。

(5) まちの環

 次に,「まちの環」について順次申し上げます。

 官民連携基盤整備

 まず,官民連携基盤整備調査事業について申し上げます。

 官民連携基盤整備調査は,本市の南部地域の活性化の観点から,急激な人口減少・少子高齢化の進展や南海トラフ地震による津波浸水被害の想定などにより,地域活力の低下が顕著となっている長浜・浦戸・御畳瀬地区において,地域の特性や強みを活かした交流人口の拡大や活性化の拠点機能の検討を行うとともに,一大観光地である桂浜公園との連携による観光振興を図るため,官民連携による事業活動等の基盤整備に関する現地調査を行い,道の駅の事業化の可能性を検討しているものです。

 本年度の調査に引き続き,平成28年度には地元住民の方々の市民意識調査を行い,地域の思いやニーズ等を把握し,今後の具体的な取組に反映してまいります。

 旭駅周辺都市整備

 次に,旭駅周辺都市整備について申し上げます。

 旭駅周辺市街地整備事業につきましては,下島地区では,今年度中に用地の先行買収が確定しましたので,平成28年度中の仮換地指定を目指し,換地設計等を進めます。

 中須賀地区では,来年度も引き続き用地の先行買収を進めながら,土地区画整理審議会等を開催し,事業進捗に向けた取組を進めます。

 都市再生住宅の整備では,下島地区の換地移転や中須賀地区の先行買収に伴います住宅の確保を図るため,本年度完成しました第一期目の北棟に引き続き,平成28年度には南棟の建設工事に着手してまいります。

 また,電車通りの国道33号線では,旭町一丁目から鏡川橋までの間の約1.5キロメートルが未整備であり,これまでも国・県等に対して早期事業化の要望を再三にわたり行っております。

 国におきましては,事業化をするためには円滑な用地取得が大きな課題であるとされていますので,来年度から本市におきまして関連用地の境界測量を実施し,早期の事業着手に向けて,国に対し強く働きかけてまいりますので,ご支援をお願いいたします。

 高知駅秦南町線街路整備

 次に,高知駅秦南町線街路整備事業について申し上げます。

 高知駅秦南町線街路整備事業は,(仮称)北消防署の建設や高知赤十字病院の移転整備に合わせて,これらの防災拠点の機能確保や地域の交通混雑の解消を目指し,県道北環状線から産業道路までの交通をつなぐ南北の重要路線として県市連携で整備に向けた取組を進めています。

 この道路は,南海トラフ地震や緊急時の活動に欠かせない第3次緊急輸送路線に指定されておりますので,平成28年度は引き続き関係者の皆様にご理解をいただきながら,建物の移転や用地取得の交渉を進め,高知赤十字病院の開院予定であります,平成31年4月の暫定供用に向けて精力的に取り組んでまいります。

 街路整備事業

 次に,街路整備事業について申し上げます。

 平成27年度に,高知駅北側の東西の幹線道路として「愛宕町北久保線(愛宕町工区)」,朝倉地区の東西の幹線道路として「鴨部北城山線(第2工区)」を,同じく南北の幹線道路として「曙町西横町線(中工区)」の3路線において,新たに街路整備事業に着手しております。

 これらの3路線については,幼稚園や保育園,小中学校,高等学校,大学などへの通園・通学にも多く利用されておりますが,現道は狭あいで自動車の交通量も多く,歩行者の安全確保が強く求められている路線であります。

 高知県においては,朝倉地区の幹線道路である都市計画道路「朝倉駅針木線」の整備が進められており,これに合わせて「曙町西横町線(中工区)」・「鴨部北城山線(第2工区)」を整備することにより,朝倉地区の幹線道路のネットワーク機能を強化し,交通の円滑化を進めるとともに,災害時における地域の防災機能面での強化を図ってまいります。

 消防力の充実強化

 次に,災害発生時における市民の皆様の命と財産を守る消防力の充実強化について申し上げます。

 消防施設整備では,「高知市消防署所再編計画2015」に基づき,昨年4月には春野町芳原地区に南消防署南部分署の整備が完了し,本年4月からは(仮称)北消防署の建設工事に着手し,来年10月の開署を目指します。

 来年度は,引き続き再編計画の第3期整備として,現在の南消防署を(仮称)中央消防署として,筆山町市営住宅敷地へ移転整備することとしており,本議会において(仮称)中央消防署整備にかかる予算のご審議を賜り,基本・実施設計等に着手する予定です。

 今後のスケジュールにつきましては,来年7月までに基本・実施設計を完了させ,その後,造成や防火水槽等の工事を行い,平成29年度中に建設工事に着手し,平成30年度末の(仮称)中央消防署の開署を目指します。

 上水道安全対策

 次に,上水道の安全対策事業について申し上げます。

 現在,上下水道局では,大規模な災害や突発的な事故が発生した場合においても,安全で安定した給水体制を確保するため,基幹施設及び管路の耐震化や応急給水施設の整備などを重点的に進めております。

 平成28年度は,針木浄水場から九反田配水所までの送水幹線について,新たに耐震管で結ぶ送水幹線二重化事業を継続的に推進するとともに,鏡川第1取水所の耐震化,基幹管路の布設替による耐震化や一宮小学校への耐震性非常用貯水槽設置など,水道ライフラインの強靭化に取り組んでまいります。

(6) 自立の環

 公共施設マネジメント推進

 次に,「自立の環」では,公共施設マネジメント推進について申し上げます。

 平成27年度は,「高知市公共施設白書」で抽出した課題解決に向けて,「高知市公共施設マネジメント基本計画」を策定し,全庁的な今後の公共施設マネジメントの進め方を取りまとめたところです。

 平成28年度は,新たに管財課に新設する「財産政策室」を中心に,実際に各施設の点検を行い,施設の分類や状態,また利用頻度等を「施設カルテ」として標準化し,そのデータを基に公共施設の分類ごとの「再編・再配置計画」を策定してまいります。

 当初予算規模等

 以上,主な施策についてご説明を申し上げましたが,平成28年度一般会計の当初予算規模は,対前年度当初比44億円,2.9パーセント増の1,553億円となり,過去最大の予算規模となっています。

 全会計の予算規模は,国民健康保険事業特別会計や介護保険事業特別会計の給付費が増加していることなどによりまして,純計で2,701億2,446万余円,対前年度当初比1.9パーセント増となっております。

14 補正予算・予算外議案

 平成27年度補正予算

 平成27年度補正予算につきましては,水道事業会計における継続費の変更等によりまして,全会計純計で5億8,782万余円の減額となっております。

 予算外議案

 次に,予算外議案について申し上げます。

 条例議案は,法令の改正等によるものなど55件です。

 この中で市第27号議案高知市行政手続条例の一部を改正する条例議案など7件につきましては,行政処分に関し行政庁に不服を申し立てる制度について,公正性の向上等の観点から約50年ぶりに行政不服審査法が全部改正され,本年4月1日から施行されることに伴い,関係する条例の制定や改正を行うものです。

 また,市第31号議案高知市職員の勤務時間,休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例議案など5件につきましては,地方公務員法及び地方独立行政法人法の一部を改正する法律の施行に伴い条例の制定や改正を行うものです。

 市第42号議案は,住宅新築資金等貸付事業特別会計を廃止するものです。

 市第54号議案は,手話の理解及び普及を目的として,高知市手話言語条例を制定するものです。

 この条例の制定に伴い,市民の皆様や市の職員に対して研修等を行うことにより,手話や聴覚障害に対する理解を深めて頂き,手話が使いやすい環境づくりを推進することで,災害時においても障害の有無にかかわらず,お互いを尊重し合い,共生する地域社会の構築を目指してまいります。

 市第57号議案は,国民健康保険料の賦課限度額の引上げ及び保険料の軽減対象世帯の拡大を行うために,高知市国民健康保険条例の一部を改正するものです。

 その他議案は,高知市過疎地域自立促進計画の策定,包括外部監査契約締結,市道路線の廃止認定,工事請負等の契約締結,調停の申立てを行うための議案など10件です。

 報告4件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。


 以上,提出いたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。