ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 組織一覧 > 財政課 > 第429回高知市議会定例会市長説明要旨(平成23年9月9日)

本文

第429回高知市議会定例会市長説明要旨(平成23年9月9日)

第429回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

1 松尾前市長追悼の辞

議案の説明に先立ちまして,去る7月28日に急逝されました,前高知市長であり,高知市観光協会会長でありました松尾徹人会長の御霊(みたま)に対しまして,市民を代表して謹んで哀悼の意を捧げます。

本年5月には,姉妹都市提携25周年を記念し,松尾会長とともに北見市を訪問させていただきましたが,観光協会会長として精力的に記念行事に参加され,病状も安定しておられるご様子でしたので,突然の訃報に接し残念でなりません。

振り返ってみますと,旧自治省に勤務されておられた時に,高知とのご縁がはじまり,昭和56年から平成元年まで高知県庁でめざましいご活躍をされました後,平成6年11月に,多くの市民の皆様方のご支援を受けられ,第31代高知市長に初当選されました。

以来,平成15年10月まで3期9年間高知市長としての重責を担われ,本市の都市基盤整備を一挙に推進するとともに,四国で初めて中核市への移行実現や平成14年のよさこい高知国体を成功させるなど,市政のトップリーダーとしてその手腕を大いに発揮され,市政発展に多大なるご貢献をいただきました。

また,大きな被害をもたらした98集中豪雨では,災害対策本部で陣頭指揮を取られ,市民の皆様方の命と暮らしを守るために,まさに不眠不休で救援活動や災害復旧に取り組まれていたお姿を忘れることができません。

高知市長をご退任された後も,歴史ある三翠園の社長及び会長としての職責を担われ,平成22年7月からは高知市観光協会会長として,よさこい全国大会や龍馬まつりをはじめとする様々な観光事業に取り組まれ,全国に高知の魅力を積極的に発信し,高知の観光振興に多大なるご尽力をいただきました。

高知を心から愛し,高知の発展のために,まさに命をかけてご尽力いただきましたそのご功績は高く,今後は,その高い志をしっかりと私たちが受け継ぎ,松尾会長が愛してやまなかった高知のさらなる発展に向けて全力をあげてまいる決意であります。

いま,ここに改めまして松尾会長に対します哀悼の意を捧げますとともに,ご生前のご功績に対して敬意と心からの感謝を申し上げ,ご冥福をお祈りいたします。

2 次期市長選に向けての決意

次に,時間をいただきますことをお許しいただき,次期市長選挙に向けての私の決意について申し上げます。

平成15年11月に多くの市民の皆様方から暖かいご支援を賜り,市長に就任させていただきまして,以来二期8年間,喫緊の課題であります財政再建に積極的に取り組み,都市機能の強化を目的とする高知駅周辺などの3地区の土地区画整理事業を完成させるとともに,国の緊急雇用対策制度の活用やコールセンター誘致の実現など,新たな雇用の確保と活力あるまちづくりを進めてまいりました。

さらに,集中豪雨や地震などの災害から市民の皆様の命と財産を守るため,学校施設耐震化の推進をはじめ,保健・医療ニーズへの対応や防災拠点としての機能を併せ持つ総合あんしんセンターを開設するなど,安心・安全のまちづくりの推進を図っております。

この間,国の三位一体改革等の影響を受けた財政危機により市民の皆様にご心配をおかけした時期もありましたが,徹底した行財政改革に取り組み,困難な課題をひとつひとつ着実に克服しながら,全力で駆け抜けてまいりました。

この8年間,市政発展に多大なるご支援とご協力をいただいております市議会の皆様方や市民の皆様方に心から感謝申し上げます。

私は,常日頃から市民の皆様の命と財産を守ることが市長として最も大切なことであると考えています。

しかしながら,3月11日に発生しました東日本大震災では,これまでの地震の規模や津波被害の想定をはるかに上回っていたことから,一人でも多くの県民市民の命を救うために,これまでの南海地震対策を根本から見直す作業に取り組んでいかなければならないことを強く感じています。

そのため,高知県とも連携を強めながら,これまで以上に命を守るための防災対策に重点的に取り組むとともに,にぎわいのあるまちづくりに向けて,雇用対策や新たな産業の創出,観光振興などの産業振興と中心市街地の再生に取り組んでまいります。

また,今後ますます進行する少子高齢社会に対応し,すべての市民の方々が,安心して安全に暮らせることができるように,保健,医療,福祉の充実を図るとともに,未来の高知市を担う子どもたちの学力向上にも重点的に取り組んでいかなければなりません。

そして,新しい高知型の住民自治を目指して,地域コミュニティの再構築を図り,市民と行政の協働を進めるとともに,行財政改革を徹底して推進し,財政基盤の確立を目指してまいります。

現況の厳しい局面を乗り切り,市民生活を守り育てていくために,高知市が培ってきたすべての力を結集していかなければならないと考えており,未来に希望を持てる高知市の新たなまちづくりに全力で取り組んでいく決意を強くしています。

今後,具体的なマニフェストを最終的にまとめあげまして,支援者の方々や後援会の皆さんと協議を重ねて,その内容を発表してまいりたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。

3 国政・経済の動向

次に,我が国の国政の動向と経済状況について申し上げます。

激動が続きます国政では,先月29日に行われました民主党代表選で野田佳彦氏が選出され,翌30日に開かれた国会で新総理としての指名を受けまして,今月2日に野田新内閣が発足いたしました。

野田新総理には,国のすべての力を結集して,東日本大震災からの本格的な復興を早急に進めていただきますとともに,地域経済の活性化に向けた一日も早い景気・雇用対策の実行を強く望みます。

先月10日に内閣府が発表した月例経済報告では,「景気は東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるものの,持ち直している。」とされている一方で,同月19日の海外市場では1ドル75円95銭の戦後最高値を記録するまで円高が一挙に進み,平均株価も下落するなど,企業収益の急速な悪化を招いており,電力供給問題と相まって,生産拠点基盤を海外移転する産業空洞化の加速が現実味を帯びてきていることを懸念しています。

 激動する政治経済情勢の下で,政府は先月12日に平成24年度から3か年の予算の大枠を定める「中期財政フレーム」を閣議決定し,23日には国の新年度予算概算要求基準の大枠を定め,国債費を除く政策経費や新規国債発行額を本年度当初予算の規模と同水準とすることなどを盛り込み,全省庁に対しては公共事業関係予算などの政策経費を一律1割削減することを求めています。

また,地方公共団体の命綱である地方交付税については本年度の水準を維持するとしていますが,震災の影響により交付税原資となります法人税収の落ち込みが懸念されます。

消費税率引き上げを含む税制の抜本改革など,財政再建に向けた道筋が十分定まっていないことから,来年度の国の予算編成は相当の困難が予想され予断を許さない状況となっておりますので,新内閣の今後の動向を注視し,地方六団体とともに地方財源の確保を国に強く訴えてまいります。

4 南海地震対策・東日本大震災復興支援

次に,震災対策について申し上げます。

本年3月11日突然の大災害となりました東日本大震災の発生から早や半年が経過しましたが,今なお4千人を超える方々が行方不明となられ,被災地ではいまだにがれきの撤去作業が続いており,現在も8万人余りの方々が厳しい避難生活を余儀なくされているなど,被災地復興が遅れていることを心配しています。

本市では,被災直後からこれまでに,消防職員や保健師をはじめとする79名の職員を被災地に派遣し,支援活動を積極的に続けております。

また,この8月から機械技術職員1名を宮城県石巻市に,9月から水道技術者を岩手県庁に1名長期派遣しています。

今後とも各自治体や関係機関と連携しながら,引き続き被災地の復興を継続的に支援してまいります。

現在,国の中央防災会議においては6月の中間報告で,津波や地震の規模について千年に一度の最大クラスの地震規模にまで想定を広げ,より大規模な災害に備える方針への転換が打ち出されていますが,具体的な検討はこれからであり,想定される東海,東南海,南海地震の具体的な被害想定や津波対策の報告は来年秋になる見通しとなっています。

本年4月に立ち上げました高知市南海地震対策再検討プロジェクトチームでは,防災対策の優先課題の洗い出しを急いでおり,浸水想定地域における津波避難ビルの指定等に早急に取り組み,現在市営住宅をはじめ36施設を指定し,本年度内には国や県・民間施設など新たに約30施設の指定を目指します。

さらに,地域において共助の役割を担う自主防災組織の結成に向けた積極的な取組を進めていただくとともに,三里沿岸部にモデル地区を指定して,避難場所や避難経路を地域住民の方々とのワークショップにより選定し,地域への周知徹底を図るための津波避難計画の作成に関する予算をご提案申し上げております。

また,本市の南海地震対策再検討推進アドバイザーである群馬大学片田教授が精力的に関わってきた岩手県釜石市の小中学校の先進的な教育実践では,「想定にとらわれるな」「最善を尽くせ」「率先避難者たれ」の3つの教えを教訓として,「迅速かつ想定にとらわれず,大災害の中でも最善を尽くす」という訓練を繰り返し行うことで,未曾有の大津波に対しても被害を免れることが出来たという事例もありますので,本市におきましても,片田教授のアドバイスをいただき実践的な防災教育の確立を目指してまいります。

5 新図書館等整備・下知市民図書館整備

次に,新図書館等複合施設整備について申し上げます。

 本事業につきましては,市議会・県議会でも多くのご意見を頂戴しながら,昨年度末に基本構想を取りまとめ,今年度は基本設計を策定するため,県市合同で新図書館等複合施設整備基本計画を策定し,6月議会でご報告申し上げたところです。

この基本計画につきましては,県・市のホームページで公開するとともに,関係機関へ配布し,さらに8月号の「あかるいまち」で特集を組み,その内容を広く広報しております。

 新しい図書館は,複合施設として,県立図書館・市立市民図書館本館・新点字図書館・こども科学館(仮称)の4館を効率的に配置し連携して活動するとともに,環境との調和や中心市街地活性化への寄与,津波避難ビルの機能,障害者の方々にも利用しやすい施設とすることなどを目指しております。

国内トップレベルの規模となります新図書館は,市民図書館本館と県立図書館が連携し,それぞれの機能を発展させながら,共通する業務を一体的に対応し,県民・市民の暮らしや生活情報を支援する,充実した図書館サービスを提供していこうとするものです。

新点字図書館は,より幅広く視覚に何らかの障害のある県民市民の方々を対象として,読書支援や利用者の方々のニーズに応え得る情報提供の拠点施設としての役割を担ってまいります。

こども科学館(仮称)は,次代を担う創造性豊かな人材の育成を目指し,科学的な思考を養い,科学体験や科学学習の場を提供するため,各種の展示,実験・学習機能,プラネタリウムを整備してまいります。

 基本設計の策定につきましては,複合施設全体の基本設計と科学館の展示に関する基本設計について,それぞれ公募型プロポーザル方式により業者選定する作業を県市事務局で行なっております。

 議会にもご報告申し上げながら,それぞれの審査委員会で選定された共同企業体と基本設計策定作業を進めてまいりますが,基本構想や基本設計に盛り込まれました機能の実現を図り,県民市民の皆様の期待に応え得る施設を目指して取り組んでまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。

6 下知市民図書館整備

次に,下知市民図書館整備について申し上げます。

 下知市民図書館の改築につきましては,東日本大震災の津波被害の現状を強く受けとめまして,当初の3階建ての構想を4階建てに変更し,併せて防災倉庫や非常用飲料水タンクも整備するなど,津波避難ビルとしての機能を強化することを6月議会でご報告させていただきました。

 この新施設は,図書館機能だけでなく,地域のコミュニティ活動や生涯学習活動,防災機能の拠点として整備する方向で,現在,地元の皆様方と管理・運営方法などについて協議を進めています。

今後のスケジュールですが,先月末に現下知市民図書館を休館し,今月21日から仮設図書館を向かいのビルに開館する準備を進めており,その後,本年中に現施設を解体しまして,来年12月には新施設を完成させ,備品の搬入等を行いまして平成25年4月の開館を目指してまいります。

7 東西軸の活性化

次に,県市連携で進めております東西軸の活性化について申し上げます。

 一昨年11月から県・市合同で取組を進めております「はりまや橋周辺から高知城までの東西軸エリア活性化プラン」につきましては,民間の有識者の方々の検討会における議論を経て本年3月に計画を策定し,平成27年度までの5年間を計画期間として取組を進めています。

本年度につきましては,アーケード街における「にぎわいを呼ぶ各種イベント」の充実,ホームページやブログ等を活用した総合的な「おまちの情報発信」,ガイド付きの「龍馬の生まれたまち歩き~土佐っ歩~」の充実など39項目の具体策について,順次事業の実施を図っているところです。

また,東西軸エリアより更に広い範囲となります中心市街地の活性化を図るため,中心市街地活性化法をはじめとする「まちづくり三法」に基づく中心市街地活性化基本計画の策定に向けた取組を進めています。

この基本計画は,平成25年から建設予定の新図書館等を基幹事業として,ハード事業・ソフト事業を中心に都市機能の高度化や中心市街地の活性化を図るもので,来年度中の内閣総理大臣の認定を目指してまいります。

8 観光振興

次に,観光振興の取組について申し上げます。

先月開催されました第58回よさこい祭りは,189チーム,約1万8千人の踊り子が参加し,第13回よさこい全国大会では県外46チームと本祭入賞チームの計66チームによる競演が繰り広げられ,お越しいただきました多くの観光客の方々に熱気と感動を与えてくれました。

特に今年のよさこい祭りでは,東日本大震災で被災されています福島県浪江町や宮城県岩沼市の子どもたちを高知へ招き,本場高知のよさこいを体験していただきました。

浪江町の子どもたちとは,高知市役所チームで一緒に踊りましたが,福島第一原発の事故の影響で避難生活を強いられている子どもたちは,力強く鳴子を打ち鳴らして本当に楽しそうに踊っていて,その笑顔が強く印象に残っています。

第61回高知市納涼花火大会は,天候に恵まれ,4,000発の打ち上げ花火や仕掛け花火を多くの観客の方々に楽しんでいただき,スポンサーの皆様のご協力により,花火協賛金の中から50万円を浪江町へ義援金として寄附させていただくことができました。

ご協力いただきましたスポンサーの方々,そして警察等の関係機関の皆様方に厚く御礼を申し上げます。

さて,現在開催中の「志国高知 龍馬ふるさと博」では,大河ドラマ「龍馬伝」での龍馬生家セットを再現した新パビリオン「龍馬伝」幕末志士社中が,7月9日JR高知駅南口にオープンいたしました。

オープン以来,多くの観光客の皆様にご入場いただき,8月末現在の入場者数は43,687人にのぼり,好調に推移しております。

また,パビリオンに併設する「こうち旅広場」では,「よさこいおもてなし隊」を結成し,毎日,よさこい鳴子踊りの披露や正調鳴子踊りの体験観光を行っており,観光客の方々から大変ご好評をいただいております。

観光客の入込数については,6月から実施された高速道路の1,000円効果の打ち切りを懸念していましたが,夏休み期間中には桂浜や龍馬の生まれたまち記念館など,一昨年を大きく上回る入込状況となっており,昨年の全国的な龍馬ブームの好調が続いているものと考えます。

来月22日には,第23回を迎えます「全国龍馬ファンの集い」を高知で開催することとしており,この大会では高知県観光特使であり落語家の桂三枝さんをお招きし,龍馬にまつわる特別講話を行っていただくほか,龍馬ゆかりの地である高知,長崎,下関,京都によるリレートーク,また,ロサンゼルスなど海外から参加される龍馬会の活動報告など趣向を凝らした内容で開催する予定であります。

国境を越えて広がる龍馬ファンの方々へ,志国高知龍馬ふるさと博の盛り上がりや龍馬のふるさと高知の魅力を大いにアピールする絶好の機会になるものと考えております。

9 中山間振興

次に,中山間地域の振興について申し上げます。

本年3月末に高知県から無償譲与を受けました旧土佐寒蘭センターは,中山間地域における有機農業振興のセンター的機能と,コミュニティ機能を併せ持つ施設として改めて利活用していくため,来春4月1日オープンを目指し,施設整備に向けた設計作業を進めており,今議会に工事関係の補正予算をお諮りしております。

当施設は,「土佐山百年構想」実現の拠点施設として,清流鏡川の源流域に位置する自然環境等を活かし,地域経済の活性化や生態系の持続など,高齢化が進む中山間地域に産業を起こし,地域全体の活力向上を目指すものであります。

土佐山地域では,財団法人夢産地とさやま開発公社が中心となり地域全体で有機農業の振興を図ってきており,これを充実させ,公社や地域で生産される有機農産物の集出荷や加工施設として当該施設を活用するとともに,民間企業との連携により地域での起業や新事業に携わる人材を育成する土佐山アカデミーを開設し,セミナーやスクール事業を実施する予定であります。

また,施設周辺につきましても,多様な希少植物と豊かな自然を活かした自然体験ゾーンとしての整備を進め,より多くの市民の皆様にご利用いただくことにより,交流人口の拡大を図ってまいります。

「土佐山百年構想」の3つの柱であります「社学一体・小中一貫教育プロジェクト」「まるごと有機プロジェクト」「交流・定住人口拡大プロジェクト」をそれぞれ具現化し,土佐山地域を持続可能な中山間振興のモデルにしていきたいと考えております。

先月行いました「土佐山アカデミー」事業の一環である「サマースクールinとさやま」では,東日本大震災で被災した福島県浪江町の子どもたちを中心に19人を招待し,地域の皆様や多くのボランティアの皆様のご協力を得て,子どもたちは土佐山の自然の中でのびのびと遊び,学び,花火大会や本場高知のよさこい祭りを体験することで,元気を取り戻し大変喜んで頂くことができましたので,今後もこのような交流を大切にしていきたいと考えております。

10 学力向上策

次に,学力向上に向けた取組について申し上げます。

平成21年度に県市協働でスタートした学力向上対策の最終年度に当たる本年度は,その成果を検証し,今後における対策の方向性を定める重要な年であると考えています。

本市の児童生徒の学力状況につきましては,4月から5月にかけて小学校4年生から中学校3年生を対象に実施した標準学力調査の結果では,小学校は国語・算数ともに全国の平均正答率と遜色がなく,全国水準を維持できています。

厳しい状況にありました中学校におきましては,まだ全国水準とは開きがあり努力していく必要がありますが,平成19年度の同調査の結果と比較しますと,全国の平均正答率との差が着実に縮まっており,特に中学校2年生の数学におきましては5.4ポイントの大幅な改善がみられました。

また,課題とされておりました本市における中学生の家庭学習の状況につきましては,平成19年度の全国学力・学習状況調査では,中学校3年生の17.8パーセントが「授業以外の学習を全くしない」と回答しており,全国平均の2倍以上でしたが,本年度はその割合は6.2パーセントと下がってきており,学習を全くしないという子どもたちの割合はこの4年間で3分の1に減少しております。

平成20年度を「授業改革元年」と位置づけて全小中学校で実施した授業の質を高める取組や,県・市協働による「中学校学習習慣確立プログラム」と,これを支援するための「中学校学力向上補助員」「放課後学習支援員」の配置,「学力向上スーパーバイザー」の派遣等の人的支援策が成果を挙げてきているものと考えています。

一方,各学校毎の学力状況の背景には,学校規模や生徒指導上の課題等それぞれ個別の実態があり,今後はそれらに対する個別のきめ細やかな支援が必要であるという課題も明らかとなっており,中でも家庭の経済状況は子どもたちの学力に色濃く影響を及ぼしております。

この課題に対応するために,生活保護世帯の中学生を対象に継続的に学習支援をする場を設け,高等学校進学と将来への希望をもって進路を選択し就労できるようにすることを目的とした「高知チャレンジ塾」を市内5か所で実施することとしております。

今後さらに努力していかなければなりませんが,高知市全体の学力の状況は着実に改善の傾向にありますので,これまでの取組の方向性は間違いないものと確信しております。

現在の取組をさらに充実させるためにも,中学校における学習習慣確立プログラムの改善と充実が必要であり,そのための人的支援の継続が必要であると考えていますので,先日の県市トップ会談でも県知事と県教育長に要請したところです。

11 ねんりんピックよさこい高知2013

次に,ねんりんピックについて申し上げます。

「全国健康福祉祭」通称「ねんりんピック」は,健康及び福祉に関する総合的な普及啓発活動の推進を通じ,高齢者を中心とする国民の健康の増進,社会参加と生きがいの高揚等を図り,ふれあいと活力のある長寿社会の形成に寄与することを目的としています。

高知県全域で,平成25年10月26日から29日までの4日間,「長寿の輪,龍馬の里で,ゆめ交流」をテーマに掲げ,「第26回全国健康福祉祭こうち大会・ねんりんピックよさこい高知2013」が開催されます。

高知県下の18の市町村及び広域連合において,スポーツ交流大会,ふれあいスポーツ交流大会,文化交流大会など全体で24種目が開催されます。

全国から本県を訪れます約1万人の選手・監督をはじめ,観客を含めて延べ40万人の参加が見込まれ,まさに国体並みの大規模な高齢者のスポーツと文化の交流イベントであります。

高知市での開催種目は,テニス,ソフトテニス,ソフトボール,弓道,サッカー,水泳,ボウリング,俳句,健康マージャンの9種目となっております。

ねんりんピックの運営に当たりましては,競技に関わる補助員だけでなく,各交流大会会場での健康づくり教室,休憩所の湯茶接待・郷土料理のふるまいなど,競技の運営から会場案内やおもてなし,競技者の方々への暖かい声援,健康管理など,多岐にわたって市職員はもちろん,老人クラブ連合会や町内会連合会など関係団体の皆様やボランティアの方々など,広く市民の皆様のご協力とご支援が不可欠でありますのでよろしくお願いいたします。

本市における実施体制につきましては,本年6月の高知県「ねんりんピック実行委員会」設立を受けまして,この10月に高齢者支援課に専任職員を配置し,熊本大会の視察を経て,本年末から来年年明けを目途に,「ねんりんピック高知市実行委員会」を立ち上げてまいります。

さらに,来年度早期に実施本部を発足させ,全庁挙げた実施体制を構築し,平成25年度のねんりんピック開催に臨んでまいります。

このねんりんピックを契機として,誰もが住み慣れた地域で支え合いながら,いきいきと暮らしていくことができる社会を目指し,世代を超えた健康づくりや生きがいづくりの輪を広げてまいります。

12 補正予算・予算外議案

以下,議案についてご説明を申し上げます。

今回提出いたしました議案は,予算議案8件,条例議案5件,その他議案9件です。

まず,今回の補正予算は,一般会計につきましては,10年経過後の借換えを前提とした市債の満期償還借換えのほか,南海地震対策として,自主防災組織育成強化のための補助金の増額,津波避難ビルへの簡易トイレやゴムボート等資機材の配置,地盤標高データの情報提供に要する経費,木造住宅の耐震化を推進するための経費等を補正するとともに,保健所に食品や土壌の放射能汚染を測定する機器購入費を計上いたしました。

公共事業等では,下知市民図書館整備のための2か年の継続費の設定,旧土佐寒蘭センターの展示棟等の改修費,旭駅周辺整備の国補助金の内示増による下島町地区の地区界測量を実施するための経費等を計上しています。

また,生活保護世帯の厳しい家庭環境にある子どもたちの居場所を確保し,支援する就学促進員や高知チャレンジ塾運営に要する経費,ねんりんピック準備経費のほか,緊急雇用創出臨時特例基金事業として4事業,ペットボトル拠点回収運搬業務及び学校給食調理業務等について,それぞれ平成24年度から委託を開始するための債務負担行為について補正いたしました。

特別会計では,介護保険事業特別会計において,新たに春野弘岡中市民会館でなごやか宅老事業を実施するための予算措置を行うとともに,平成22年度の決算確定に伴う収益事業,駐車場事業,国民宿舎運営事業の特別会計における繰上充用金の精算,産業立地推進事業特別会計では決算剰余金の減債基金への積立てのほか,国民健康保険事業特別会計では国への精算返還を行うものなどです。

以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

 一般会計   44億3,000万円の増額

 特別会計   7,124万2千円の減額

であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,448億4,531万5千円となっております。

なお,この補正財源としては,普通交付税及び繰越金を一般財源として充当いたしました。

次に,予算外議案について申し上げます。

条例議案は法令の改正に伴うものなど5件です。

市第84号議案は,前段申し上げました就学促進員を非常勤特別職として新設するものであります。

市第85号議案は,地方税法等の一部を改正する法律の公布施行に伴いまして,寄附金税制の拡充や租税罰則の見直し等が行われましたので市税条例等の一部を改正するものです。

市第86号議案は,サービス付き高齢者向け住宅事業登録制度が開始されることに伴いまして,都道府県及び中核市が事務を所管することになることから,当該登録に係る登録手数料を新設するものです。

市第87号議案は,春野弘岡中市民会館の和室を廃止し,新たに会議室として使用するために条例の一部を改正するものです。

また,市第88号議案はスポーツ基本法の公布施行に伴い,高知市スポーツ振興審議会の名称,事項等の規定の整備を行うものです。

その他議案は,国民宿舎桂浜荘及び市営住宅等の指定管理者の指定に関する議案のほか,工事請負契約,消防ポンプ自動車購入契約の締結議案,決算の認定議案など9件です。

決算の認定議案につきましては,この後,水道事業管理者及び財務部長より概要のご説明を申し上げます。

報告7件につきましては,財政健全化法関連数値の報告や,継続費の精算報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出いたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。