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第428回高知市議会定例会市長説明要旨(平成23年6月16日)

第428回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

まず,震災対策について申し上げます。

去る3月11日に発生した東日本大地震から早くも3か月余りを経過しましたが,今なお7千人を超える方々が行方不明となられており,約8万人の方々が厳しい避難生活を余儀なくされておられ,日々心が痛みます。

今般の震災被害は津波による被災が特に大きく,観測史上最大のマグニチュード9.0の大地震により発生した大津波は,明治29年や昭和8年の三陸海岸大津波を上回る甚大な災害となりました。

被災地の東北地方には,電気機器や自動車などの部品メーカーや各分野の素材を生産する工場が数多く立地しており,各部品等の供給網が滞り,自動車製品等をはじめとする生産が停止するなど国内外の経済への影響が生じておりますが,各企業の懸命の努力により,徐々に回復の動きがみられてきています。

しかしながら,夏場に向けた電力不足などの課題もあり,まだまだ企業の操業環境は大変厳しい状況が続くものと考えられます。

さらに,被災自治体においては,復興に至るまでに困難な課題も多く抱えており,現地の住民の皆様や自治体関係者の日々のご苦労を考えますと,西日本からの支援を今後とも長期的に実施していかなければなりません。

高知市では,被災直後からこれまでに,消防職員や保健師など69名の職員を被災地に派遣し,継続的に支援活動を行っております。

また,全国市長会の要請に基づき,この6月から土木技術職員2名を岩手県岩泉(いわいずみ)町に本年度末までの予定で派遣しており,各自治体や関係機関とも連携しながら,被災地の復興を積極的に支援してまいります。 

被災から3か月余りを経て,被害の大変な実態や大津波の猛威が詳細にわかってくるにつれ,県民や市民の皆様は,来るべき南海地震の恐ろしさを強く感じておられることと思います。

東日本大震災の厳しい被災状況を貴い教訓として,私たちは,これまでの南海地震に対するイメージを根本的に改めながら,強い揺れと津波に対する備えを急がなければなりません。

国においては,中央防災会議の中で,今回の東日本大震災を受けて地震・津波対策を見直すための専門部会を設置し,今後の地震動や津波の推定,被害想定手法の点検・見直し等の方向性を今年の秋ごろを目途に示し,東南海・南海地震等の被害想定や津波対策などに反映させる方針が発表されています。

これらの国の動きと並行して,本市における南海地震対策の抜本的な再検討を行うため,去る4月13日に「高知市南海地震対策再検討プロジェクトチーム」を立ち上げました。

プロジェクトチームでは,中央防災会議の被害想定や今後の国の動向に留意しながら,地域防災計画の震災対策編や南海地震対策中長期計画などの見直しを早急に行ってまいりますとともに,まず急務となっております市民の方々の避難対策など優先的に取り組む課題について,プロジェクトチームで項目の洗い出しを行い,避難計画や自主防災組織の育成強化,被災時における各県からの支援の受け入れ体制の整備など順次実施していくこととしています。

今後のプロジェクトチームの実践的な検討を行っていく上で,地震や津波などの専門家の助言が不可欠だと考え,東京大学の都司(つじ)准教授を始め,東北大学の今村教授や高知大学の岡村教授など,東日本大震災の検証等で実績をあげられておられます著名な5名の先生方にプロジェクトチームのアドバイザーをお引き受けいただきましたので,今後の震災対策に対する積極的なご助言をいただけるものと期待しております。

東海・東南海・南海の3連動地震の発生や日向灘の震源域も加えた4つの地震が連動した場合など,現在の想定をはるかに超える大津波の可能性が指摘されており,来るべき南海地震は甚大かつ広域的な災害となることも予測されますので,県や関係機関,また県内各自治体との緊密な連携の下に着実に対策を進めてまいります。

市議会の皆様や住民の皆様方とともに,市民一人一人が「生命を守る」という強い防災意識を持っていただくように,実践的な避難訓練と防災対策に取り組んでまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。

次に,新図書館等複合施設整備について申し上げます。

新図書館の整備計画につきましては,平成19年1月の県市トップ会談で,当時の橋本知事から,県市図書館の複合化を提案されたところから,検討が始まったものであります。

 昨年8月の県市連携会議におきまして,追手前小学校敷地に,市民図書館本館と県立図書館を一体型で整備するために連携して取り組んでいくことを合意し,昨年9月議会で基本構想検討委員会の運営にかかる予算の議決をいただき,「新図書館」,「子ども科学図書館・こども科学館」,「新点字図書館」の3つの基本構想検討委員会の下で,熱心な検討が進められました。

この間に中間報告が取りまとめられ,パブリックコメントや県内3か所での図書館フォーラム等を実施することにより,広く県民市民のご意見をいただき,本年3月議会で基本計画・基本設計の補正予算案を計上し,ご承認をいただいているところです。

 こうした経過を踏まえまして,県市が協同して「新図書館等複合施設整備基本計画」の策定作業を進めてまいりました。

 その基本的な考え方としては,新図書館・新点字図書館・(仮称)こども科学館を効率的に配置し,相互に連携を図ることで,生涯学習や文化振興を目的として,様々な人々の交流の促進を図るとともに,県民市民の皆様の娯楽,教養の面だけに限らず,暮らしの中で起きる様々な課題の解決を支援する役割を果たす施設を目指しております。

 さらに,災害時の緊急避難施設としての機能を持つことや,まちのにぎわいを生み出し,中心市街地活性化に寄与することなども掲げております。

 市民図書館と県立図書館はそれぞれの役割分担を明確にしながら,図書をはじめ様々なデータと資料を豊富に揃え,相互に連携してサービスを提供することにより,県民市民の読書環境と情報環境の充実を図るものであります。

市民図書館は高知市全域の図書サービスの強化を図り,県立図書館は市町村支援を充実させるとともに,子ども読書活動や学校図書館との連携を拡充していくことも目指しています。

 また,レファレンスサービスを強化し,専門書,新聞雑誌記事,データベースなどの利用環境を整えまして,ビジネスや就職情報支援,健康増進,防災対策など,市民の皆様の暮らしや仕事の課題解決を支援するサービスの充実に取り組みたいと考えております。

新点字図書館では,高齢化等のため視力が低下し,読書が困難になった方々にも利用できるよう利用対象者の範囲を拡大するなど,視覚に何らかの障害のある県民市民の方々への読書支援や,利用者の方々のニーズに応えられる情報提供の拠点施設としての役割を担うこととしており,県内唯一の点字図書館として,県の支援と協力をいただきながら,サービスの充実強化を図ってまいります。

(仮称)こども科学館は,本市の「子ども科学図書館」拡充構想と高知県の「こども科学館」構想に基づき,新たな科学体験と科学学習の施設を設置しようとするものです。

主に子どもたちを対象に,次代を担う創造性豊かな人材を育成し,科学的な見方や考え方を養い,創造性を育む活動の場を提供することを目指しております。

展示室では,科学の不思議や郷土の自然,台風や地震のメカニズムなどに触れ,科学教室では系統的な学びと体験を提供し,プラネタリウムでは宇宙等について楽しく学ぶことができるものを目指しております。

 今後の全体スケジュールについては,本年度中に基本設計を行い,平成24年度に実施設計,25年度から追手前小学校校舎の解体工事及び埋蔵文化財調査を進め,建設工事に着手し,平成26年度内の竣工,平成27年度中の開館を目標としておりますので,ご理解賜りますようお願いいたします。

次に,観光振興の取組について申し上げます。

今年のゴールデンウィークは,東日本大震災の影響による落ち込みが懸念されておりましたが,家族旅行やグループ旅行を中心に宿泊施設への予約申込みが相当あり,多くの観光客の方々が高知県を訪れていただきました。

4月29日から5月5日までの7日間の県内36か所の主要観光施設の入込客数は,合計で21万4千人となっており,「龍馬伝」放送期間中の前年と比較いたしますと9パーセントの減少に留まっているところです。

この間の桂浜の坂本龍馬記念館の入館者数は23,853人で,前年比では74パーセントとなっていますが,一昨年比では205パーセントであり,また,上町の龍馬の生まれたまち記念館の入館者数は6,956人で,前年比61パーセントと減少していますが,一昨年比では232パーセントとなるなど,昨年の「龍馬伝」ブームで急増した龍馬関連施設については,「龍馬伝」効果が見られたものと考えます。

また,桂浜周辺の渋滞対策としまして,本年は4月30日から5月5日までの6日間,長浜の民有地や高知競馬場を臨時駐車場として活用し,桂浜への無料シャトルバスで観光客の方々の送迎を行い,バスの中では土佐観光ガイドボランティア協会の方々による,まごころのこもった観光案内を行っていただき,好評を賜りました。

ご協力いただきました警察関係者をはじめ,県や観光コンベンション協会,土佐観光ガイドボランティア協会など,関係の皆様方に感謝申し上げます。

さて,現在開催中の「志国高知・龍馬ふるさと博」は,坂本龍馬記念館や龍馬の生まれたまち記念館,歴史民俗資料館等で,幕末志士を中心とした偉人たちの心に触れる企画展を実施するとともに,牧野植物園では五台山花絵巻などが開催されております。

本市では,4月から観光ガイドと歩くまち歩き「土佐っ歩」の新コースをスタートさせ,龍馬の生まれたまち記念館では,外国人の観光客にも楽しんでいただけるよう4か国語による音声ガイドを導入するとともに,長宗我部元親公ゆかりの地マップを新たに制作配布するなど,高知の歴史の魅力向上に取り組んでおります。

一方,懸念材料として6月20日から高速道路の休日1,000円の政策が廃止されることとなり,本県への観光振興に与える影響が危惧されます。

このため,さらなる誘客を目指し,来月9日には,高知駅前に「志国高知・龍馬ふるさと博」の新たなパビリオンとして「『龍馬伝』幕末志士社中」がオープンする予定であり,大河ドラマ「龍馬伝」での龍馬生家セットが再現されることとなっています。

このパビリオンに併設されますステージでは,本場高知のよさこいを体感いただくため,よさこいおもてなし隊を結成し,正調よさこいなどを観光客の方々と一緒に踊る事業等も予定しており,よさこいの魅力やおもてなしの心を観光客の方々にも伝えてまいりたいと考えています。

現在,龍馬ふるさと博推進協議会では,県外での観光宣伝活動を本格化させており,本市も県外キャラバンへ参加し,積極的に「志国高知・龍馬ふるさと博」のPrや誘客活動を推進してまいります。

次に,雇用対策について申し上げます。

本年4月の県内の有効求人倍率は,県全体で0.60倍,高知市を含むハローワーク高知管内では0.63倍となっており,前年同月と比べ県全体で0.14ポイント,ハローワーク高知管内では0.15ポイント改善されていますが,パート求人の占める割合が高いことなど,依然として厳しい雇用状況にあります。

こうした状況に対応するため,国の基金事業の積極的な活用を図っておりますが,今議会におきましても,さらに4件の緊急雇用創出臨時特例基金事業を新たに実施することとし,約1,800万円の補正予算を計上いたしました。

国の基金事業につきましては,一部を除き本年度をもって終了しますことから,国に対しましては,地域の厳しい雇用の実態に応じた雇用対策事業の継続を強く訴えてまいります。

求職者の就職支援に向けて,国の事業採択を受けて実施しております地域雇用創造推進事業,いわゆるパッケージ事業につきましては,昨年度と同様,観光の振興や地産外商の推進等を図る人材を育成し,就職を支援していくことを目的とし,本年度第1回目のセミナーを今月10日から開講しております。

約3か月間のセミナーでは,実際に企業や関連施設等の現場で仕事を行いながら課題解決に取り組む「実践訓練」を経て,就職活動に挑んでいただく内容となっております。

次に,中山間振興について申し上げます。

土佐山・鏡両地区をはじめとする本市北部の中山間地域は,市民にとって大切な清流鏡川の水源域に位置し,多様性に富んだ自然豊かな地域であります。

 しかしながら,近年高齢化や人口減少が著しく,このままの状況が続きますと,集落機能が低下し,田畑や森林の荒廃が進み,国土の保全や水源の涵養など田畑や森林が有している多面的な機能が失われてしまうことを危惧しております。

 このため,平成22年度に策定した過疎地域自立促進計画に登載された事業を着実に推進するとともに,交流人口の拡大や,農産物に対する安全・安心志向の高まりを背景にした環境保全型農業の産地化を図ることなど,特色ある農業振興を目指してまいりたいと考えます。

 また,市域の56パーセントを占める森林は,木材生産とともに水源涵養,災害防止,地球温暖化防止など公益的機能も併せ持っておりますので,森林整備による機能の確保と公共施設の木材の活用等による林業振興に取り組んでまいります。

 今般,財団法人夢産地とさやま開発公社をはじめ,地域住民の方々や,民間企業が行政と一体となって取り組む「土佐山百年構想」を本年3月に地域にご提案しております。

 この「土佐山百年構想」は,土佐山の小中一貫校の整備に合わせて,これまで地域が育んできました,社会教育と学校教育を地域全体で進める社学一体の理念の下で地域の教育力の向上を目指すとともに,地域の特産物を原材料とする加工品の開発・販売等を通じてブランド化を図る「土佐山/まるごと有機プロジェクト」,有機農業や鏡川流域の豊かな自然と生態系,希少植物の宝庫など土佐山地区の強みを活かした「土佐山アカデミー」と銘打ったスクール事業やセミナーなどを展開し,交流人口と定住人口の拡大を図る「土佐山/交流・定住人口拡大プロジェクト」等を複合的に推進し,地域振興を目指そうとするものであります。

次に,国の社会保障改革や医療制度を巡る動きについて申し上げます。

 政府・与党は6月2日の「社会保障改革に関する集中検討会議」において,2015年度までに,現行5パーセントの消費税率を段階的に10パーセントに引き上げる社会保障改革案を示し,今月中に「社会保障と税の一体改革」の成案としての取りまとめを進めています。

この改革案では,消費税を社会保障の目的税として,年金,医療及び介護の社会保障給付と少子化対策に充てる内容となっておりますが,地方が負担している社会保障費の算定の中には,乳幼児医療助成や障害者福祉分野など自治体が単独事業として取り組んでいる経費が含まれておらず,大変危惧しています。

 現在,消費税収の43.6パーセントは地方消費税や地方交付税として地方の自主財源で配分されていますが,改革案では消費税収の配分について,国が相当分を取り込んでしまうことが予測されます。

このため,地方六団体は結束して地方財源の充実確保を強力に国に対して訴えていかなければなりません。

また,国においては,昨年12月に取りまとめた高齢者医療制度改革会議の「最終とりまとめ」を踏まえ,後期高齢者医療制度を廃止し平成25年度から新たな高齢者医療制度をスタートさせる方向で法案の準備を進めておりましたが,東日本大震災の影響などもあり,今通常国会への法案の提出は不透明な状況となっています。

私も委員として参加することとなっております,国保の基盤強化策を協議する「国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議」の開催に先立ち,事務レベルの会議が開催されるなど,地方の意見を踏まえた国保の基盤強化策の議論が始まったところです。

政府・与党の社会保障と税の一体改革を議論する「集中検討会議」において,厚生労働省から,低所得者対策として,医療・介護・保育・障害に関する自己負担の総合計額に上限を設定する「(仮称)総合合算制度」の創設や,高額療養費制度の負担上限額の見直し,医療分野での財源確保のために外来患者の窓口負担に一定額を上乗せする「定額負担」を導入する考え方などが示されています。

こうした医療保険制度や社会保障全般の見直しは,市民生活にも大きく直結する課題であり,今後の少子高齢化のさらなる進展の中で,国民皆保険制度の最後の砦である国民健康保険制度の財源強化や,介護保険制度を安定的に運営することが重要であります。

今後の国の動向を注視しながら,地方都市の厳しい実態も踏まえ,国における国費の拡充や低所得者対策の充実など,地方の立場から国に対して積極的に意見を述べてまいります。

次に,本市の学力向上の取組等について申し上げます。

本年度は,東日本大震災の影響により,これまで4年間実施されてきた全国学力・学習状況調査の全国的な実施が見送られることになりましたが, 

希望する市町村教育委員会には問題集の冊子が配布されますので,「学力向上の取組の検証改善」は継続して行ってまいります。

現在,市内各校におきましては,県・市協働事業として実施している中学校学習習慣確立プログラムや授業改革を通して,子どもたちの学力向上のための取組を実施しており,本市における中学生の学習習慣の定着状況が,中学2年・3年生ともに前年度と比べて大きく改善されてきております。

特に,取組を始めて3年目を迎えている中学3年生において,毎日1時間以上机に向かって学習する生徒たちが増加していることから,本事業をさらに継続するとともに,教育委員会の担当職員が各中学校の保護者説明会に出向き,改めて本事業の目的と家庭におけるご協力を要請しております。

また,学力向上や学習習慣を確立していくために,小・中9年間で子どもたちの学びや育ちを捉え支援することを目指して実施している,小・中連携推進事業を10中学校区に拡大いたしました。

さらに,放課後学習支援員・中学校学力向上補助員・学習チューター等の学力向上のための人的支援のほか,教員補助員・児童生徒支援員など各校の課題に応じた人的支援を充実させております。

特に,学校図書館支援員等につきましては,昨年度から,県教育委員会からの加配教員に加え,53名の学校図書館支援員等を配置することで,すべての小・中学校の図書館に専任できる人的支援体制が整いました。

このことによりまして,各校の学校図書館の環境整備はもとより,子どもたちの読書量も倍増し,また,学校図書館に常に迎えてくれる専任のスタッフがいてくれることの効果も大きく,休み時間に子どもたちが図書室に集まってきて本について語り合うなど,温かい居場所としての役割を果たしているものと思います。

こうした各校における学力向上の取組や授業改革をさらに推進するため,学力向上スーパーバイザーの派遣や学力向上のための出前研修を実施し,各校別の詳細なデータに基づいて,実際の授業場面ごとに学力向上のための指導・助言を行っております。

本年度は,重点的に各学校を訪問することで,学校に対して具体的な手立てを示すとともに,課題が解決したかどうかを点検するPdcaサイクルを大切にした取組に発展させることを目指しております。

次に,財政再建に向けた取組について申し上げます。

平成21年度から25年度までの5か年で見込まれる約244億円の財源不足の解消に向けて,昨年3月末に新高知市財政再建推進プランを策定しました。

このプランにつきましては,国の地方財政対策や市税収入の動向により収支が変動するため,最新の地方財政対策に基づく地方交付税などの一般財源の見通しや管理経費の削減努力を反映させて再試算を行った結果,平成23年度から25年度までの3か年の財源不足は,前回プラン策定時の164億円から約50億円を圧縮し,財源不足額は3か年で約114億円の見込みとなっています。

また,一般会計の起債残高につきましては,地方交付税の代替措置である臨時財政対策債を除いた残高は,当初予算ベースでは平成23年度末見込みで,1,908億円となっており,残高を確実に削減することができております。

国においては,現時点で,特例公債法案の成立の目処が立っていないことなど国政の動向が不透明であり,加えて東日本大震災の影響による国内経済の悪化が懸念されるなど,厳しい財政運営が見込まれることから,国の動向や経済状況を注視しながら予算執行を行っていかなければならないものと考えております。

次に,行政改革の取組について申し上げます。

まず,アウトソーシングの推進状況ですが,本年度は,新たに「市営住宅5,033戸等の維持管理,入居者の募集,入居・退去等」に関する管理運営を指定管理者に移行することを予定しており,5月13日から公募を開始し,5月27日には公募説明会を実施するなど,平成24年2月からの業務開始に向けた事務手続きを進めてまいります。

学校給食調理業務の民間委託につきましては,民間委託への条件を満たす施設を対象として本格実施に移行し,本年度から2校を追加しており,今後も順次実施の拡大に努めてまいります。

指定管理者制度につきましては,現在,45施設において制度導入しておりますが,指定管理者による適切な管理運営を確保するため,市と指定管理者の両者で業務評価を行う「指定管理者業務評価」を実施しており,課題・改善点等について,協議を深め,公共サービスの水準の確保に努めてまいります。

次に,平成22年度の決算見込みについてご報告申し上げます。

一般会計におきましては,長引く景気低迷により個人市民税収が減少するなど,市税収入全体では平成21年度実績額から若干落ち込んだものの,普通交付税が一定伸びたことなどにより,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。

特別会計では,収益事業におきまして,東日本大震災により3月11日以降に予定していました日韓対抗戦競輪や場外車券発売が中止となったことなどから,収支不足が生じる見込みですが,本年度は特別競輪も予定されておりますので,売上げの確保に努めてまいりますとともに,一層の経営改善に取り組んでまいります。

そのほか,施設建設時の起債償還が減少しました駐車場事業は平成22年度決算から単年度収支も黒字に転換する見込みであり,また,国民宿舎運営事業においては,「龍馬伝」効果によりまして収支改善を果たすことができ,本年度以降も指定管理者の選定方法の見直しを行うなど,さらなる経営収支の改善に努力してまいります。

企業会計では,水道事業で収益的収入は給水収益などの増加のため前年度より0.6パーセントの増加となり,収益的支出は人件費などの減少のため1.9パーセントの減少があり,約12億円余りの純利益となっております。

以下,議案についてご説明を申し上げます。

今回提出いたしました議案は,予算議案2件,条例議案6件,その他議案1件です。

まず,今回の補正予算は,一般会計につきましては,東日本大震災を受けて南海地震対策の再検討に要する経費,国・県の内示に伴う農業振興,教育や子育てに関する経費,国の基金を活用した雇用創出のほか,生活保護につきましては,生活保護調査員等を配置する経費を補正することとしております。

特別会計では,国民健康保険事業特別会計において,国・県の補助制度を活用しまして,特定健康診査の受診率向上に向けた受診勧奨のための経費について補正するものです。

以上,申し上げました内容によりまして,提案しております今回の補正規模は,

 一般会計     6,800万円

 特別会計       950万円

のそれぞれ増額であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,404億8,602万5千円となり,この補正予算財源としまして,国・県支出金等の特定財源のほか,一般財源として繰越金を充当いたしました。

次に,予算外議案について申し上げます。

条例議案は,法令の改正に伴うものなど6件です。

市第66号議案は,本年7月に高知市農業委員会と高知市春野地区農業委員会を統合することに伴い,職員定数の改正を行うものであり,市第67号議案は生活保護調査員を非常勤特別職として新設するものです。

市第68号議案及び市第71号議案は,災害時の職員派遣に係る災害派遣手当等を国等の職員派遣を受けた場合に支給が可能となるように改正するものです。

市第69号議案は,東日本大震災の被災者を支援するために,地方税法等に関する関係法令が改正されたことに伴い,住宅や家財等に生じた損失額について,個人市民税の雑損控除の適用を損失が生じた年の前年課税分に適用できるものとするなどの改正を行うものです。

また,市第70号議案は,高知市健康福祉センターの施設区分に変更を行うものです。

その他の議案は,市営住宅使用料等滞納者4名に対して滞納使用料等の支払請求及び明渡し請求に関する民事調停の申立てを行うものです。

報告9件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。