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第422回高知市議会定例会市長説明要旨(平成22年9月9日)

第422回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政・経済・地方財政の動向

まず,我が国の経済状況と国政の動向について申し上げます。

去る8月10日に内閣府が発表した月例経済報告では,「景気は,着実に持ち直してきており,自律的回復への基盤が整いつつあるが,失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」とされている一方で,先月24日には1ドル83円72銭と15年ぶりの高値まで円高が急速に進み,平均株価も低迷するなど,海外の外需に牽引されてきた景気回復にも陰りが見えてきており,海外生産へのシフトなど,国内産業の一層の空洞化が懸念されています。

国政では,9月1日に告示されました民主党代表選挙では,現総理の菅代表と小沢前幹事長の一騎討ちとなり,激しい選挙戦が繰り広げられておりますが,政界再編が加速するとの見方も強く,国政の混迷の度合いは高まってきています。

激動する社会環境の下で,先月31日には国の平成23年度予算の概算要求が出揃いましたが,政府はその前日に,雇用対策を中心に今年度の予備費を活用した追加経済対策の方針を決定しておりますので,地域経済の活性化に向けた一日も早い景気対策の実行を強く望みます。

さて,高知市の財政見通しですが,本市における平成22年度普通交付税の7月算定につきましては,国の1.1兆円の交付税の上積み等によりまして,当初予算比較で交付税は13億円余り増加し,臨時財政対策債を合わせました実質的交付税では,21億円余りの増加となりました。

この内容を分析しますと,今回の増加要因のうち,過去の交付税算定の精算により増加したものが約4億円,市税等の減収に伴い増加したものが約13億円ありますので,本年度の増加額が来年度以降も単純に維持されるものではありません。

また,総務省が発表した来年度の地方財政収支の仮試算では,本年度並の地方一般財源を確保するとされていますが,その内容によっては実質的な地方負担が拡大することなどの懸念もあります。

最終的には,12月末の財務省と総務省との大臣折衝にまでもつれ込むものと考えられますので,今後の国政の動向を注視していくとともに,全国市長会等を通じまして,地方財源の充実確保を引き続き強く訴えてまいります。

2 行政改革・アウトソーシング

次に,行政改革の推進について申し上げます。

まず,平成20年度から進めておりますアウトソーシング推進計画の進捗状況ですが,本年7月末時点で,対象50事業のうち,全体の46パーセントに当たります23事業をアウトソーシングしております。

アウトソーシングに基づく削減効果として,平成20年度から22年度までの3か年で,職員定数削減で67名,コスト削減では累積で約4億9千万円の削減となっております。

23事業のアウトソーシングの内訳は,指定管理者制度が12事業,民間委託が8事業,民営化が1事業,施設の統廃合等が1事業,非常勤特別職への切替えが1事業となっており,そのうち県内企業へのアウトソーシングは17事業で,残りの6事業が県外企業となっています。

学校給食調理業務の民間委託につきましては,試行検証しておりました潮江東小学校での委託業務について,本年4月の検証委員会での最終結果報告で,全ての検証項目で良好であるとの評価結果をいただいたことを踏まえ,教育委員会において平成23年度からの外部委託の本格実施の決定がなされております。

本格実施に当たりましては,「保健所の飲食店営業許可が取得可能な施設であること」,「真空冷却機が設置されていること」,「栄養教諭又は学校栄養職員が配置されていること」の3つの条件を満たす17施設を対象とし,給食調理員の欠員状況等を勘案して,基本的に毎年2校を新規に実施してまいります。

平成23年度の実施校については,潮江東小学校のほかに,新規実施校として潮江東小学校と同じ中規模校であり,また,献立グループが同一であること等を踏まえ,長浜小学校と横浜新町小学校の2校を選定いたしました。

長浜小学校,横浜新町小学校の両校とは,教職員への説明や保護者の方々への説明会を4回実施するとともに,潮江東小学校での試食会を開催するなど,協議を重ねてまいりました。

保護者の皆様からは,安全確保の方法やアレルギー食への対応などのご質問をいただきましたが,委託そのものに対する反対の意見はございませんでした。

説明会への参加者数は多くはありませんでしたが,市のホームページで潮江東小学校での試行検証報告書の公表を行ったことや,保護者の方々への説明会の案内文書に民間委託業務の概要や多く寄せられる質問へのQ&Aなども併せて配布したことなどが反映しているのではないかと考えております。

次に,外郭団体等の見直しについてですが,従来の公益法人(特例民法法人)は全て平成25年11月30日までに,新制度による法人格に移行することが義務付けられております。

そのため,本市が出捐等しています特例民法法人については,新法人格への移行手続等を進める必要があり,現在,関係部局の職員で構成します「外郭団体等見直し検討委員会」を設置し,見直し作業を進めております。

今後は,外部の専門家等で構成します「経営検討委員会」を設置し,外郭団体等が行っています事業整理など,組織の見直しや今後の法人形態の在り方等についての整理検討を進め,その検討状況につきましては,議会の皆様方にもご報告申し上げ,ご意見を賜ってまいりますので,よろしくお願いいたします。

高知市土地開発公社につきましては,公有地の先行取得等において重要な役割を果たしてまいりましたが,土地価格が下落している現在では公社の所期の目的は失われてきております。

そうした中,平成21年度から5年間の時限措置として,第三セクター等の整理又は再生のために特に必要となる経費を地方債の対象事業とすることができる特例措置が創設されましたことから,土地開発公社の整理に向けて国及び県と協議を進めてまいりましたが,今般内諾を得られましたので,今議会におきまして,土地開発公社の解散と公社が保有する土地の取得に関する議案及び関連予算のご審議をお願いするものであります。

なお,今議会で公社の解散をお認めいただきましたら,県知事の解散認可を得まして年内の解散及び土地の全筆取得,関係起債の発行を行う予定であります。

3 産業振興計画・東西軸・観光振興・雇用対策

次に,去る8月24日に尾崎高知県知事と県市連携会議を行いまして,「産業振興計画」「学力向上対策」「野球場照明灯設備の設置」「県市の一体型の図書館整備」など5つの共通する行政課題について協議し,県市で一定の方向性を確認いたしましたことから,この会議での協議の内容を踏まえまして順次申し上げます。

まず,産業振興計画の県市連携についてであります。

現在,全国的な坂本龍馬ブームが巻き起こり,本県への観光客の入込みも順調に推移しておりますので,この財産を来年以降に繋げ,発展させて行くことが喫緊の課題となっており,「ポスト龍馬博」に向けた具体的な取組を県市が連携して行っていくことを確認いたしました。

活況を見せております高知駅前のパビリオンの活用策のほか,集客の核となる観光施設や観光資源と連動したイベントを展開することなどの協議を行い,県市連携の下,本年10月からポスト龍馬博を見据えた観光PRを前面に出していく方向で誘客に取り組んでまいります。

具体的には,来年2月から「(仮称)志(し)国(こく)高知『龍馬ふるさと博』」を開催することを目指して,大河ドラマ「龍馬伝」で登場した龍馬の生家セットを再現した話題性のある展示施設を誘客の目玉にしながら,県下各地域の歴史や食,花,体験プログラム等にスポットを当てたイベントの実施,観光案内所のネットワーク化等により,さらなる誘客に取り組んでまいりたいと考えております。

現在,「土佐・龍馬であい博」では,JR高知駅前のメインパビリオン,「高知・龍馬ろまん社中」の入場者数は,8月末時点で43万4千人を超え,好調に推移しております。

本年11月からは,台湾において中国語の字幕入りで「龍馬伝」の放送が開始される予定もあり,龍馬のふるさと高知を訪れる台湾や中国人観光客の増加などが期待されます。

外国人観光客の誘致は,今後の観光振興においても重要でありますので,観光案内板の外国語表記の推進や外国語観光パンフレットの製作など,県と連携して,さらなる取組を進めてまいります。

また,最近は,歴史に興味を持つ若い人々が増える中,ゲーム等をきっかけに長宗我部元親公の人気が急上昇していることから,長浜にある初陣の像や浦戸城址,墓所など元親ゆかりの地のマップづくりや史跡の整備をはじめ,「土佐の歴史ゆかりの地」の新たな魅力向上にも取り組みます。

次に,先月開催されました第57回よさこい祭りは,総数188チーム,約1万8千人の踊り子が参加し,「第12回よさこい全国大会」では県外47チームと本祭入賞チームの計67チームによる熱演が繰り広げられ,県内外からお越しいただきました多くの観光客の方々に熱気と感動を与えてくれました。

また,第60回記念高知市納涼花火大会は,不安定な天候ではありましたが,4,000発の打ち上げ花火や仕掛け花火を多くの市民の皆様にお楽しみいただくことができ,ご協力いただきましたスポンサーの方々や警察等の関係機関の皆様方に感謝を申し上げます。

さらに,高知のよさこい祭りを舞台にした映画「君が踊る、夏」が,9月11日から全国公開が始まります。

ほぼ全編が高知ロケであり,桂浜,高知城,ひろめ市場など市内の主な名所をはじめ,仁淀川の沈下橋,越知町横畠の美しい茶畑などがすばらしい映像で登場しますので,多くの皆様方にぜひご鑑賞いただきたいと思います。

明日9月10日には,全国公開に先駆けまして,高知限定で前夜祭上映会が開催されることになっており,主役の溝端淳平さんが演じる新平君の親友役である五十嵐隼士(いがらししゅんじ)さんが来高され,舞台挨拶が予定されております。

地元高知からこの映画の成功を盛り上げていくために,多くの皆様方のご支援を心よりお願い申し上げます。

本市では,高知県観光コンベンション協会と共同で映画ロケ地マップを作成し,原宿スーパーよさこいをはじめ,龍馬ブームで賑わう京都霊山護国神社などで配布を行うとともに,東映のご協力により,全国の主要な映画館でも配布するなど,この映画を通じまして,よさこい発祥の地高知を全国にアピールし,誘客に取り組んでまいります。

4 市民図書館合築構想・野球場照明灯設備整備

次に,県市一体型の図書館構想について申し上げます。

老朽化,狭隘化が進み,懸案となっております市民図書館本館の整備につきましては,先月24日の県市連携会議におきまして,追手前小学校敷地に県立図書館と一体的に整備する方向性で,尾崎知事と基本合意したところであります。

ご承知のとおり,高知市民図書館は,昭和24年に「個人の完成と市民社会の発展に貢献すること」を目的に,多くの市民の皆様に親しまれ,利用されることを願って「市民の図書館」と名付けられて誕生して以来,61年間にわたり,「くらしの中に図書館を」をスローガンに積極的に活動してまいりました。

特に草創期は,15年間にわたって日本の図書館界をリードする図書館史に残る画期的な活動を行い,「ユネスコ共同図書館事業」に参加するなど,高知市民が誇りとする図書館であります。

多くの利用者の皆様に支えられまして,現在では,本館,6分館,15分室,そして移動図書館を活用して年間約180万冊の貸出及び35万冊の回送本が物流する大きなネットワークとして活動しているほか,子ども科学図書館を傘下に持ち,子どもたちの科学教育の振興にも貢献しております。

今後,少子高齢化や読書環境に変革をもたらす電子書籍の出現など,図書館をめぐる環境の変化も踏まえつつ,これまでの「市民の図書館」の伝統を大切にしながら,市民県民にとって気軽に利用でき,子どもさんから高齢者の皆様,障害者の方々など全ての人々の様々なニーズに応えられる図書館ネットワークを発展させていくことが,これからの市民図書館には求められています。

一方,高知県におかれましては,この度公表されました「新高知県立図書館のあり方」に今後の方向性が示されているところですが,その役割は,本県の新しい時代を切り開くにふさわしい「知」に関する情報を集積した県民の生涯学習の拠点施設であるとともに,全ての県民の読書環境を充実させるための市町村立図書館等への支援の強化や,子どもの読書活動や学校教育への支援などを通して本県の人づくりを積極的に支えていくことを目標とされております。

去る8月20日付けで県市合同のワーキンググループから報告書が提出されていますが,市民図書館と県立図書館との合築による一体型整備構想は,この報告書の提言も踏まえまして,県市の十分な連携の下に,機能分担の明確化,重複する機能の整理統合などを行いながら,利便性と効率性を高めていくことによって,両図書館の目的をより一層効果的に実現することができるものと考えます。

具体的には,県立図書館は県内全体の市町村立図書館や学校図書館への支援を強化することにより,図書館振興を行う機能を十分に果たしていただき,市民図書館本館は多くの利用者の方々への直接サービスの機能拡充と,分館分室・移動図書館・市内学校図書館等への支援機能を充実させていくことを目指してまいりたいと考えております。

特に,県民・市民の利用者の皆様への直接サービスでは,広く快適な開架スペースや閲覧室を設置し,子ども用,一般用,レファレンス用等のカウンターを効率的に配置し,システム統合を行い,各種のルールを統一整備することによりまして,利用されます県民・市民の皆様が1枚の利用者カードで全てのサービスが受けられるようにするほか,ICタグの導入などで業務の効率化を図ることも可能となります。

また,蔵書数につきましては,新図書館は,四国最大級となる205万冊の収蔵能力を持つこととしており,大型書庫の整備により,県立図書館の重要な機能であります各市町村図書館支援のための蔵書や本県における「知の集積」としての保存機能をさらに向上させることができるものであります。

想定されます施設規模としましては,両者が単独で整備する場合は合計1万7千平方メートル程度の床面積が必要になる見込みでありますが,一体型整備とした場合には共有部分の効率的な活用などによりまして,面積を約4千平方メートル削減可能であり,約1万3千平方メートル程度の規模で両図書館の役割を十分に果たすことができるものと考えます。

市民図書館本館と県立図書館の一体的整備運営は,全国初の取組となりますが,県立・市民両者の役割をしっかりと果たしながら,連携した一体的なサービスを展開することによりまして,県全体の図書館振興に寄与する,我が国における地方中核図書館の新しい在り方を示す,画期的な取組になるものと考えております。

また,本館整備と併せまして,点字図書館,子ども科学図書館につきましても,新施設に移転改築することによりまして,現在の機能をさらに充実させることを目指しております。

今後のスケジュールですが,今議会でご承認をいただきましたら,平成22年度に基本構想策定を進め,平成23年度及び24年度の2か年で基本計画・基本設計・実施設計を行い,平成25年度及び26年度に建設工事を実施する予定であります。

関係予算が成立した後になりますが,本年度は,県市合同で基本構想検討委員会を立ち上げ,合築等の課題の検証など,専門家や有識者等の方々からのご意見をいただき,また,パブリックコメントによる県民・市民の皆様方のご意見を伺いますとともに,議会からもご意見やご提言をいただきまして,21世紀型の新しい図書館構想の策定に積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますので,今後ともご支援賜りますようお願い申し上げます。

次に,高知市営野球場照明設備の設置について申し上げます。

全国で唯一野球場にナイター設備を持たない高知県において,ナイター設備の設置は長年の懸案事項でありました。

本市では,昨年4月に外部有識者の委員も含めました高知市野球場照明設備建設検討委員会を立ち上げ,四国他県のメイン野球場を中心にナイター設備の利用実績や使用形態などを参考にしながら協議が重ねられ,同年11月に,同委員会から「施設規模が大きく,総合運動公園として大規模大会の受入れも可能な春野球場を第1候補,高知球場を第2候補として,公式野球レベルでの照明設備建設を検討することが適切」との報告をいただきました。

一方で,野球関係者からは,利便性や将来の利用者増の可能性の観点から,高知球場への照明設備の設置を望む声が強く,軟式野球連盟をはじめとします各関係団体からは高知球場での整備について継続的に陳情されてきております。

先月24日の県市連携会議におきまして,尾崎知事から,「平成24年度の全国スポーツマスターズ高知大会の開催決定を受けて,野球関係団体からの強い要望や県民・市民の利便性,経済波及効果などを考慮し,高知球場でのナイター設備の整備について高知県が全面的な財政支援を行うので協力をお願いしたい」とのご提案をいただきましたので,同球場への照明設備の設置について県知事と基本合意に達したところです。

今回の合意に基づきまして,今議会におきまして関連予算のご審議をお願いしておりますが,関連議案をお認めいただきましたら,本年度に基本設計・実施設計を行いまして,来年度には工事に着手し,平成24年春の完成を目指して取り組んでまいりますので,ご理解賜りますようお願いいたします。

5 学力向上対策

次に,本市の学力向上に向けた取組について申し上げます。

平成22年度の「全国学力・学習状況調査」の結果が7月末に公表されましたが,その結果から,小学校は昨年度から大きく改善され全国水準か,それを上回る学力状況に達したものの,中学校は全国との学力差が依然として厳しい状況にあることが明らかになっております。

平成21年度に始まった県・市協働による中学校学習習慣確立プログラムの実践等により,本市中学生の学習習慣の定着状況は,全国学力・学習状況調査の結果で「授業以外で全く勉強しない」と回答した生徒の方が,平成19年度は17.8パーセントでありましたものが平成22年度には9.4パーセントに減少するなど改善の方向に向かっており,今春の高等学校への進学率も過去最高の97.2パーセントとなりましたことなどから,一定の成果が見られてきております。

今後は,中学生の学力向上や学習習慣の確立をより確かなものにするため,県からの支援策も最大限活用しながら,これまでの取組の質をさらに高めてまいりますとともに,新たな施策を実践していくこととしており,短期及び中長期的な展望の下に,さらに早急に9月から取り組むべき学力向上策を推進します。

9月からの具体的な内容につきましては,

学力調査の結果分析を基に各校が作成した学力向上改善プランについてヒアリングを実施

小・中学校の義務教育9年間の一貫した学力向上対策の構築

中学校学習習慣確立プログラム推進事業による人的物的支援の検証と改善

ホームページを活用した,学力向上対策が有効に機能している学校の取組の紹介及び普及

課題のある学校に対する「学力向上スーパーバイザー」や「学力向上プロジェクトチーム」等による重点的な指導・援助体制の充実

中学校入学後の1年間において学力の定着に課題が見られる「数学」における教員のスキルアップを目指した「数学塾」の開講

等を行うこととしております。

こうした新たな施策を通じまして,本市の地域の宝であります子どもたちの将来を保障するための学力向上に向けた取組をより実効性のあるものにしてまいります。

6 定住自立圏構想・過疎計画

次に,定住自立圏構想への取組について申し上げます。

定住自立圏構想は,原口総務大臣の「緑の分権改革」推進プランの一環として,特色ある地域資源を最大限活用する仕組みを創り上げ,地域の活性化を図り,地域から人材や資金が流出する中央集権型の社会構造を見直し,地域が自立して,地域の自給力等を高める地域主権型社会の構築を実現しようとするものであります。

本市では,昨年9月30日に中心市宣言を行い,定住自立圏を構成する南国市,香南市,香美市との4市間で,福祉・教育分野,環境・交通分野,産業振興・交流分野の各分野において,ワーキンググループや主管課長会を設置し,4市連携による圏域内の魅力向上に向けた具体的な連携内容を協議してまいりました。

この圏域は人口減少をくい止めるダム的な役割を担うことを目指し,人口定住の促進を図るため生活機能を確保するという観点から,「生活機能の強化」「結びつきやネットワークの強化」「圏域マネジメント能力の強化」の3つの視点に基づき,南国市と13項目,香南市及び香美市とは12項目の協定をそれぞれ締結しようとするものであります。

今後,中心市である本市では,市議会の皆様や有識者の方々のご意見をいただきながら,定住自立圏全体を対象として,将来像や5年間の具体的な取組内容を掲載した「定住自立圏共生ビジョン」を,今年中を目途に策定し公表してまいりますので,今後ともよろしくお願いいたします。

次に,過疎地域自立促進計画について申し上げます。

過疎地域自立促進特別措置法,いわゆる過疎法につきましては,議会の皆様方にもご支援いただき,本年3月に衆参両院全会一致で改正法案が可決され,平成22年度から6年間制度が延長されたところであり,感謝申し上げます。

改正過疎法では,過疎対策事業債の対象事業が見直され,地域医療の確保,住民の皆様方の身近な生活交通の確保,集落の維持及び活性化など,安全・安心な暮らしの確保を図るためのソフト事業への起債の充当が新たに可能になるなど,過疎地域の置かれている厳しい現状を踏まえ,過疎地域の自立促進のための特別措置が拡充されております。

本市では,過疎地域とされております鏡・土佐山地域において,合併協定書や新市まちづくり計画を着実に推進するとともに,平成17年度に過疎地域自立促進計画を策定し,事業展開に有利な財源である過疎債の確保等に取り組んでまいりました。

今回の過疎法の改正を受けまして,平成27年度までの6年間を対象期間とした新たな過疎地域自立促進計画を策定することにつきまして,今議会に関連議案をお諮りしております。

今回の計画は,ソフト事業の拡充によりまして,「高齢者等の保健及び福祉の向上並びに増進」,「医療の確保」,「集落の整備」の3項目の施策を前回計画に追加しますとともに,引き続き「産業の振興」,「交通通信体系の整備,情報化及び地域間交流の促進」,「生活環境の整備」,「教育の振興」,「地域文化の振興等」の施策にも積極的に取り組んでいくこととしており,この施策を着実に推進していくことにより,中山間地域の振興を図ってまいります。

7 補正予算

以下,議案についてご説明を申し上げます。

今回提出いたしました議案は,予算議案8件,条例議案8件,その他議案13件です。

まず,今回の補正予算は,一般会計では,前段申し上げました土地開発公社の解散に伴う土地取得経費や新図書館の基本構想及び高知球場照明設備整備のための設計費のほか,介護療養型医療施設から新型介護保健施設への転換を図るための施設整備に対する助成,民立民営化後の知的障害者更生施設おおなろ園の改築に向けた設計費補助,民間保育所の耐震改修工事への補助等について補正するとともに,植木枝盛が憲法草案を起草した書斎を自由民権記念館に移設するための経費や災害復旧のための経費等を計上いたしました。

また,二次輪番病院の負担軽減と診療体制の確保のため休日夜間急患センター・平日夜間小児急患センターにおける小児科診療時間延長のための経費や,一般の認可外保育施設との人件費格差が生じている地方裁量型認定子ども園の補助基準額を増額するとともに,がん検診の受診促進を図るための経費を補正するほか,緊急雇用創出臨時特例基金事業として6事業を補正することとしました。

特別会計では,下水道事業で平成20年度から3か年の継続事業で実施しております北部汚水幹線管渠築造事業で事業費の増額及び継続費の変更を行うとともに,事業間での予算組替を行うことといたしました。

その他の特別会計では,平成21年度の決算確定に伴い収益事業,駐車場事業,国民宿舎運営事業の特別会計において繰上充用金の精算,中央卸売市場事業特別会計では決算剰余金の減債基金への積立てのほか,老人医療事業特別会計では支払基金への精算返還を行うものなどです。

以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,

 一般会計   64億7,000万円の増額

 特別会計   2,220万1千円の減額

であり,補正後の予算規模は全会計の純計で2,341億801万6千円となっております。

なお,この補正財源としては,普通交付税及び繰越金等を一般財源として充当いたしました。

8 予算外議案

次に,予算外議案について申し上げます。

条例議案は,法令の改正に伴うものなど8件です。

市第87号議案は,非常勤消防団員等に係る損害補償と父子家庭に係る児童扶養手当との併給調整を定めるものです。

市第88号から市第91号議案まで及び市第94号議案は,水道,下水道,団地下水道,農業集落排水処理施設及び桂浜公園汚水処理施設の使用の開始,休止,廃止月に係る基本料金について,日割計算を可能にするための改正を行うものです。

また,市第92号議案及び市第93号議案は,それぞれ知的障害者更生施設おおなろ園及び松田共同利用農機具保管施設の用途を廃止するものです。

その他の議案は,前段申し上げました過疎地域自立促進計画の策定や定住自立圏形成協定の締結,土地開発公社の解散及び土地取得に関するもののほか,工事請負契約の締結議案,決算の認定議案など13件です。

このうち,市第105号議案は,本年3月に発生した南消防署の消防車の管理瑕疵のため,同消防署南側の店舗兼住宅に損傷を与えた事故に伴う損害賠償の額の決定に関しまして,相手方と示談交渉がまとまったことにより,お諮りするものでありますが,あってはならない事故であり,被害者の方に深くお詫び申し上げますとともに,安全を守る消防組織として事故再発の防止を徹底させてまいります。

また,決算の認定議案につきましては,この後,水道事業管理者及び財務部長より概要のご説明を申し上げます。

報告8件につきましては,財政健全化法関連数値の報告や,継続費の精算報告など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。