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第418回高知市議会定例会市長説明要旨(平成21年12月8日)

第418回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。

議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。

1 国政・経済の動向

まず,国政の動向と我が国の経済状況について申し上げます。

民主党のマニフェスト及び三党連立政権合意を踏まえた国の来年度予算の概算要求が10月15日に締め切られ,一般会計概算要求総額は過去最高の95兆円に達し,景気後退による国税収入の減少による影響も重なり,国債発行予定額は過去最高の44兆円を超える見通しとなっています。

鳩山総理を議長とする行政刷新会議では447事業を事業仕分けの対象として,聖域なき見直しと併せて類似事業にも仕分け作業の成果を広げて予算削減を進めており,概算要求額の3兆円以上の削減を目指しています。

去る11月13日には,地方交付税について事業仕分けが行われ,総額の圧縮という結果には至りませんでしたが,交付税制度の大幅な見直しが求められました。

言うまでもなく,地方交付税は地方にとって命綱とも言える地方固有の貴重な財源であります。

三位一体改革で一方的に削減された5兆円の交付税の復元が最優先されるべきであり,肥大化した国の予算要求の削減のために交付税が減額見直しの対象となってはなりません。

総務省が来年度予算に要求しております法定率の引上げと事項要求分の1.1兆円の増額は,5兆円に及ぶ三位一体改革での交付税の削減と比較しても,決して過大な要求ではないということを国は強く認識し,マニフェストに掲げられた「地域主権の確立の第一歩としての地方の自主財源の大幅な増額」を早期に実現すべきと考えます。

このほか,下水道事業が地方自治体の判断とされ,公立学校施設整備事業が耐震補強を除いて廃止されるなど,本市の今後の財政運営にも大きな影響を与えかねない仕分け結果が出されています。

国が地方に事業を移管するのであれば当然財源も一緒に移管されるべきものですが,その点について国の方針は一切示されておらず,国から地方への負担のつけ回しにならないことが重要でありますが,地方交付税も含め,来年度以降の地方財政の動向は,依然として不透明な点があります。

政府としての予算原案が固まります年末までに向けまして,全国市長会等を通じて地方からの声を強く訴えてまいります。

日本の経済は11月20日に内閣府が発表しました月例経済報告では,「景気の持ち直し傾向が期待される」とありますが,一方で,「雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念,デフレや金融資本市場の変動影響など,景気を下押しするリスクが存在する」として,3年5か月ぶりにデフレを公式に宣言するなど,依然として厳しい状況にあります。

価格競争の激化が企業収益を圧迫し,賃金低下や個人消費の低迷などの影響が広がってきており,一刻も早い国の二次補正予算による追加経済対策が望まれるところです。

急激な円高を招いたドバイショックと言われますアラブ首長国連邦の信用不安への対応も含めた総合的な経済対策として,中小企業支援や雇用対策,温暖化対策などにより24兆円を超える規模の補正が見込まれておりますが,本市のような地方都市の経済を直接的に刺激するものになることが重要ですので,今後の国の動向を注視してまいります。

2 本市の財政再建

次に,このような経済状況の中で,市民の皆様方にお願いをしておりました固定資産税の超過税率の引上げについて申し上げます。

本年5月から市内28か所で開催しました財政問題に関します地域説明会で市民の皆様からいただきました意見の多くは,「市民に負担を求める前に,まず行政として最大限の行財政改革の努力をするべきだ」というものが圧倒的でした。

説明会では,年金生活をされている方々などから,厳しい市民生活の中での負担増について切実な声も多くいただきました。

このような市民の皆様のご意見を重く受け止めまして,来年度からの固定資産税の超過税率の引上げにつきましては,導入できる状況にはないと判断し,撤回する決断をいたしました。

新政権の下では,子ども手当の財源として,現行の扶養控除の廃止なども検討されており,実質的に市民の皆様方にとって増税につながる論議がなされていることも懸念しております。

今後想定されます本市の財源不足につきましては,国の地方財政対策の動向も見極めながら,「財政破綻を絶対に回避する」という強い信念の下,人件費などの行政内部経費をはじめとする徹底的な歳出削減に加え,市税徴収率の向上,不要財産の処分活用などの歳入増加策により対応していかなければなりません。

特に,アウトソーシングや定員適正化などの行政改革につきましては,これまで以上に対応を加速してまいらなければならないと考えております。

今議会におきましては,自由民権記念館,春野文化ホールピアステージ,春野市民図書館,春野郷土資料館について,平成22年度から指定管理者による管理に移行するための指定議案や印刷業務の委託に関する債務負担行為についてお諮りしております。

また,競輪事業の包括委託や水道局料金業務の委託に向けて具体的な詰めの作業を進めているところです。

平成20年3月に策定しましたアウトソーシング推進計画におけるごみ収集業務のアウトソーシングにつきましては,これまで先進市の取組事例等を調査研究し,高知市と他都市の取組状況の比較や直営方式と委託方式のコスト比較,メリット・デメリット等について検討してまいりました。

これまでの調査研究結果を踏まえまして,平成22年度に部分委託に向けた検討委員会を立ち上げ,市民への影響や収集体制,委託方法等の法的な課題等の検討整理を行い,平成23年度には部分委託の一部試行を目指してまいりたいと考えております。

潮江東小学校で本年度から2か年の試行を行っております学校給食調理の外部委託につきましては,これまで同校の保護者の皆様方の試食会や2回の検証委員会を開催いたしましたが,特段の問題もなく好評をいただいております。

今後,来年1月と4月の2回の検証委員会でのご論議と評価をいただきましたら,その結果をもって23年度の本格実施に向けた手続に入りたいと考えております。

定員の適正化につきましては,これまで取り組んでまいりましたアウトソーシングの効果等もあり,春野町との合併後の定数3,133人に対しまして,平成21年10月1日時点での職員の実数は2,803人にまで削減してきており,330人の減少となっています。

今後,さらに目標であります2,700人の総定数に向けて取組を進めてまいります。

今議会でお諮りしております人件費補正では,職員数の削減による新陳代謝効果と給与改定を合わせまして全会計で約9億7,500万円の人件費の減額になっております。

今後さらに,目標の達成に向けまして,組織機構の効率化やアウトソーシングの推進など一層の取組を進めてまいります。

本市では,公債費負担が減少しはじめます平成25年度までの間は相当に厳しい財政運営となり,市民の皆様方からの様々なご要望にお応えすることができない場合もありますが,財政破綻をさせず,市民の皆様方の安心安全を守っていく行政としての重要な使命に全力で取り組んでまいりますので,今後ともの市民の皆様,議会の皆様方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

また,厳しい財政状況にありながらも,経済の活性化は非常に重要であり,交流人口の拡大による観光振興や地産地消・地産外商の推進,雇用の創出など,地域に活力を与える施策展開を図っていくことも大切ですので,財政再建を着実に果たしながら,市民の皆様方が将来に夢と希望を持てる新しいまちづくりを積極的に進めてまいります。

3 ごみ有料化

次に,家庭ごみの有料化について申し上げます。

 家庭ごみ有料化に関する地域説明会につきましては,7月14日の十津小学校を皮切りに,10月26日の春野西小学校までの43会場で開催し,延べ1,606人の市民の皆様の参加をいただき,ありがとうございました。

また,夜間の説明会にご出席いただけなかった方々のために,10月14日から12月10日までの間,市民会館やふれあいセンターなど31会場におきまして昼間の説明会を開催しているところです。

 小学校区単位の説明会では1,052件のご意見・ご質問をいただいておりますが,併せて当日会場でご記入いただいたアンケートでのご意見が879件ございます。

説明会では,高知方式に関しまして長年続けてまいりました高知方式が壊れることのご心配や,可燃ごみが資源・不燃物ステーションに持ち込まれることを心配されるご意見もいただいています。

有料化になると不法投棄や不適正排出などが増加するのではないかと懸念されるご意見や,ごみの減量に関して有料化しなくてもごみの減量は可能であるとのご意見もありました。

また,ボランティア清掃で集めたごみへの対応方法や,指定袋に関する経費や販売手法,ごみ袋の大きさなど有料化の仕組みに関すること,また,財政面からの経費削減や人件費削減の問題など,様々なご意見やご提案をいただいたところです。

日頃から各地域においてステーションの管理やごみの分別,再資源化等に取り組んでいただき,ご苦労されている方々からのご意見も多く,意見内容につきましては充分整理・検討し,不法投棄や不適正排出の防止,ボランティア清掃等の市民活動への対応など,本市において高知方式を継続・発展させていくためにはどのようなシステムがふさわしいのか,現在,それぞれの項目毎に具体的な詰めの検討作業を行っております。

 これらの具体事項の検討を踏まえまして,ごみ減量化を目指した家庭ごみの有料化に向けた最終判断を行ってまいりますので,市議会の皆様方の今後とものご指導をお願い申し上げます。

4 機構改革

次に,機構改革について申し上げます。

厳しい財政状況の下,組織のスリム化を図りながら地方分権改革の推進や今後の市民サービスに対応できる効率的な組織体制を構築することを目的として,組織機構の見直しを行ってきているところです。

限られた財源と人員を効果的に活用するとともに,迅速かつ総合的に行政運営を推進するという観点から,関連の深い部署の統合等により,効率的な組織体制の構築を図ってまいります。

主な内容としましては,まず,地域説明会でも申し上げてまいりました地域コミュニティの再構築に向けまして,市民協働を軸としたまちづくりをさらに推進していくため,市民生活部を市民協働部に改組し,地域コミュニティの再構築や,人権尊重,男女共同参画,消費者問題,交通政策等,安心安全のまちづくりに向けた組織体制として再編いたします。

また,弥右衛門,高知駅周辺,潮江西部の3地区で進めてまいりました区画整理事業が完成を迎えますので,建設担当部門ではハード事業の縮小が見込まれており,新たなインフラ整備から維持管理を重視した事業展開に向けて効率的な管理体制を図るため,都市整備部と建設下水道部を統合し,都市建設部として再編いたします。

課のレベルにつきましては,総合あんしんセンターの完成に伴い移転いたします保健所につきましては,総務機能を充実させるため保健総務課を新設することといたしました。

平成17年1月1日に合併いたしました鏡・土佐山地域につきましては,それぞれ森林政策課と中山間振興課を配置して業務を進めてまいりましたが,縦割り行政的なものではなく,地域を総合的に対応する体制がとれないかといったご要望を強くいただいております。

そのため,両地域におきまして,それぞれ鏡地域振興課,土佐山地域振興課に改組することとし,できる限りワンストップサービス的に対応できる体制を構築してまいりたいと考えます。

このほか,より効率的に業務を行う体制に見直すため,業務の関連性の深い課の統廃合をはじめ,部局を越えた業務の再編を図ることに主眼を置き,簡素で機動力のある組織を目指してまいります。

5 定額給付金・子育て応援特別手当

次に,本年度実施しました定額給付金と子育て応援特別手当の給付状況について申し上げます。

本市の定額給付金と子育て応援特別手当は本年4月6日から申請の受付を開始し,6か月間の申請期間を経て10月6日で受付を終了いたしました。

ほぼ最終段階となる12月4日時点の集計では,定額給付金につきましては,対象世帯158,592件の約98.2パーセントに当たる155,738件の申請があり,うち155,718件の方々に給付を行い,残る20件は申請書類の記載不備等で却下の手続を行っております。

受付期間中は本市の広報誌やホームページ,マスコミ等を通じまして積極的な制度の広報に努めますとともに,所在不明で返送されてきました申請書類につきましては再送付し,3回目には簡易書留で送付するなど対象世帯の給付に向けて最大限の努力を行ってまいりましたが,最終的に申請をされなかった件数は2,854件であり,うち所在等が不明で申請書類が不達となったものが752件,申請期間中に辞退の意思表示が行われたものが16件であります。

金額ベースでは対象である52億206万円の約99.2パーセントに当たる51億6,004万円の給付を行い,未申請等の残額は4,202万円となっております。

総務省がまとめた11月30日時点の全国の定額給付金の給付状況は対象世帯の97.6パーセントが給付済みであり,高知県では対象世帯の98.7パーセントが給付済みとなっております。

次に,子育て応援特別手当につきましては,対象世帯4,324件の約99.8パーセントに当たる4,314件が給付済みであり,未申請者は10件となっております。

金額ベースでは対象である1億6,329万6千円の約99.8パーセントに当たる1億6,293万6千円の給付を行い,未申請の残額は36万円となっております。

6 観光行政

次に,11月26日から29日に開催されました「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジin高知」について申し上げます。

市議会の皆様のご支援をはじめ,オール高知とも言える民間の実行委員会の皆様の献身的なご協力により,大会は大成功で終えることができました。

この場をお借りして,ご協力いただきました岡内実行委員長をはじめ,大会運営の中心を担っていただいた高知商工会議所青年部,高知青年会議所をはじめとします各界の皆様方や,多くのボランティアスタッフの方々に厚く御礼を申し上げます。

オープンカレッジ開催中は,林真理子さん,田原総一朗さん,江原啓之さん,布袋寅泰さん,茂木健一郎さん,勝間和代さんなどをはじめとする超一級の120人近くの講師の皆様方,多くのスタッフの方々が来高され,3つのシンポジウム,43の講座・ワークショップ,25の夜楽,そして最終日には後夜祭として,エンジン01会員による「龍馬ミュージカル」が開催され,延べ約15,000人の市民・県民の皆さんが,日本を代表する文化人・知識人との交流を楽しまれ,大好評をいただいております。

特にミュージカルでは,元宝塚トップスターの姿月あさとさんを龍馬に,おりょうには林真理子さん,勝海舟に茂木健一郎さん,そして語り部に川島なお美さんなどの豪華キャストに加え,総合プロデューサーと作詞は秋元康さん,脚本はヒットドラマを連発している中園ミホさん,作曲は三枝成彰さんや小六禮次郎さん,美術は日比野克彦さんなど,超一流のエンジン01メンバーが制作を担い,素晴らしい感動的な舞台を,高知だけのために演じていただき心から感謝申し上げます。

講師の皆様には,滞在中は「ウエルカムパーティー」や「夜楽」等の場におきまして,高知の食や人々と交流を堪能され,土佐の歴史や文化の奥深さにもふれていただき,高知の大ファンになっていただいたものと確信しております。

今回のオープンカレッジの参加をきっかけに,多くの講師の皆様が「高知県観光特使」にご就任いただくことにもなっておりますので,今後はエンジン01の皆さんとの「知のネットワーク」を大切にしながら,「夏季大学」への講師招聘等の文化振興や,「土佐のおきゃく」での「夜楽」の引き継ぎ,地域文化や観光資源の情報発信など,エンジン02,エンジン03へとつなげてまいりたいと考えております。

次に,NHK大河ドラマ「龍馬伝」の放送に向けた取組について申し上げます。

来年1月3日からの「龍馬伝」の放送開始が目前に迫り,ドラマの一場面が目に触れる機会も増えたことや,龍馬が生きる幕末にタイムスリップしたTBSドラマ「JIN」などの関連する番組も高視聴率を取っており,大いに期待が高まってきています。

「龍馬伝」に合わせて来年1月16日に開幕する「土佐・龍馬であい博」は,メインパビリオンであるJR高知駅前の「高知・龍馬ろまん社中」や隣接する県下の観光や物産などの情報発信拠点「とさてらす」の整備が最終段階になっております。

これまで県外旅行代理店を対象としたモニターツアーや県外の拠点都市でのプロモーション活動など,積極的な誘客対策や宣伝活動を展開してきた成果として,秋ごろから首都圏等の旅行代理店で「龍馬であい博」関連の旅行商品の販売が開始されるなど,「龍馬伝」の放送開始に向けて気運が高まっております。

本市の主な龍馬伝関連事業としては,私と田上長崎市長が発起人となり,10月26日に東京の品川プリンスホテルにおいて「龍馬伝」に関連するそれぞれの自治体の首長による「龍馬伝サミット」を開催いたしました。

当日は,在京のマスコミや旅行代理店など多くの関係者にお集まりいただき,鈴木圭「龍馬伝」チーフプロデューサーの「大河ドラマと地域の活性化」をテーマとした基調講演に続き,高知市・安芸市・品川区・京都市・福山市・下関市・長崎市・霧島市・鹿児島市の各首長から,龍馬とのゆかりや各自治体の「龍馬伝」に向けた取組の紹介などを行いました。

この会の最後には「龍馬のまちづくり維新八策」を宣言し,各地域の住民の方々や,事業者,行政が一体となって,「龍馬伝」を契機とした活性化に取り組むことや情報発信等の交流を継続的に行うことを互いに確認して終了しました。

このサミットの模様はNHKの全国ニュースで放送されたことや,関東のケーブルテレビや全国紙でも取り上げられ,大きな宣伝効果を挙げられたものと考えております。

また,本年10月に発表した6つの「龍馬の生まれたまち歩き」コースは,参加された観光客の皆様方や旅行代理店の方々から高い評価を受けており,好評のうちにスタートを切っております。

「龍馬の生まれたまち記念館」では,「龍馬伝」の放送開始直後の1月9日から2月7日まで「おりょう物語から夢追い人の龍馬を追ってから」と題して,龍馬とともに歩き,龍馬を支えた妻おりょうの生涯を紹介いたします。

長崎の小曽根()家に伝わるおりょうさんが愛用したとされる月琴や,おりょうさんが眠る横須賀・信楽寺に祀られている二人の座像のレプリカ,おりょうさんが勤めたと伝えられている横浜の老舗料亭に残る貴重な資料などを展示する予定で準備を進めております。

平成22年度には,大河ドラマ「龍馬伝」の題字を書かれました人気女性書家の紫舟さんの作品展の開催について関係機関と協議を行っております。

いよいよ来年は「龍馬であい博」本番の年となりますが,23年度以降のポスト「龍馬伝」もにらみながら,一過性のものにならず,後年度に継続していく事業展開を図ってまいりたいと考えております。

次に,国民宿舎桂浜荘の経営改善につきましては,去る12月3日に個別外部監査人から監査報告の提出を受け,施設の改築時点の計画の甘さや指定管理の在り方などについて厳しいご指摘をいただき,また,併せて今後の経営改善の道筋について,一般会計からの負担の在り方や都市公園内での課題等につきましても詳細な示唆をいただいております。

今回の監査報告を受けまして,国民宿舎桂浜荘の経営改善に向けた方策を早急に検討いたしまして,来年3月議会には,財政健全化法に基づく経営健全化計画をお諮りする予定としておりますので,今後とものご指導をお願い申し上げます。

7 安心安全のまちづくり

次に,安心安全のまちづくりについて申し上げます。

市民の皆様の命と暮らしを守る安心安全のまちづくりは,財政再建を果たしながら,しっかりと守らなければならない重点施策と位置付けております。

このような中,「保健・医療・防災」の拠点施設として平成20年3月から建設しております総合あんしんセンターにつきましては,本年11月末現在での工事進捗状況は約80パーセントとなっており,今後のスケジュールとしては来年2月に建物の引渡しを受け,3月下旬には保健所及び危機管理室等の移転を予定しているところです。

現在,新型インフルエンザの流行で平日夜間小児急患センター及び休日夜間急患センターは大変混雑しておりますが,この施設の完成によりまして,保健所や休日夜間急患センター等に来られます市民の皆様方の利便性が大幅に向上することが期待されますとともに,災害時における総合的な対策本部としての機能を果たすことが可能となってまいります。

今後,旭地域の命を守るためのまちづくり事業や学校施設等の耐震化など,安心安全のための事業には多くの財源が必要となってくる部分もございますが,内部努力を重ねながら,重点的に事業を進めてまいります。

8 新型インフルエンザ対策

次に,新型インフルエンザの高知市の発生状況と対策について申し上げます。

1週間単位で医療機関を受診したインフルエンザ患者の平均数を示す定点患者報告数は,11月の第2週には62人と今年最大の流行となりましたが,第3週には54人,第4週には51人と低下しました。

一方,保育園や学校等からの休業の報告は,11月の第2週に98件,第3週は104件でしたが,第4週には70件と低下し,本市では11月中旬に流行のピークを迎えたものと考えられます。

この流行の影響で,特に本市の平日夜間小児急患センター及び休日夜間急患センターを利用される患者数が急増しましたため,高知市医師会のご協力を得て,平日夜間小児急患センター,休日夜間急患センターの小児科医,内科医の増員体制を組みまして,急増している患者の診察に対応しており,献身的に診療していただいております医師会の皆様方に感謝申し上げます。

医療行政を主管する県と連携し,小児科,産科,腎透析医療において,重症患者数の増加に対応できる病床の確保と重症患者の救命を最優先する医療体制の確保に努めております。

感染拡大防止対策としましては,福祉施設や医師会などの関係機関を対象とした研修会を開催し,具体的な新型インフルエンザの拡大防止対策について協力を求めるとともに,ホームページやチラシにより市民への啓発を図っています。

また,学校等の休業の目安については,運営上の目的や社会的な影響のバランスを勘案して弾力的な運用ができるよう,対策本部会議にて見直しを行ったところです。

新型インフルエンザによる死亡者や重症者の発生を減らし,必要な医療を確保することを目的としましたワクチン接種対策につきましては,医療従事者,妊婦及び基礎疾患を有する方などの優先接種対象者の方々への接種が開始されております。

これらの優先接種者のうち低所得者の方々への接種費用の減免制度として,生活保護世帯や市民税非課税世帯に属する方などの接種費用を免除する制度を定め,今議会に補正予算をお諮りしているところです。

ワクチン接種については,今後も接種回数の見直しや,スケジュールの前倒しなど流動的な部分もありますが,医師会や県と情報交換を図りながら円滑な実施に努めてまいります。

9 後期高齢者医療制度見直し

次に,後期高齢者医療制度の見直しについて申し上げます。

新しい政権の三党連立政権合意によりまして,医療制度改革の具体策として,「後期高齢者医療制度は廃止する。廃止に伴う国民健康保険の負担増は国が支援する」,「被用者保険と国民健康保険を段階的に統合し,将来,地域保険として一元的な運用を図る」との方針が示されています。

これを受けまして,厚生労働省では,先月6日に現行制度を廃止した後の新たな制度を検討するため,後期高齢者医療制度に関係する団体や高齢者の代表,学識経験者の3つの視点でメンバーを選定し,「高齢者医療制度改革会議」を設置しました。

私も全国市長会を代表して,この改革会議に参加しており,11月30日に開かれました第1回の会議に出席し意見を述べてまいりました。

この会議における検討に当たっての国の基本的な考え方は,

・  後期高齢者医療制度は廃止する

・  マニフェストで掲げている「地域保険としての一元的運用」の第一段階として,高齢者のための新たな制度を構築する

・  後期高齢者医療制度の年齢で区分するという問題を解消する制度とする

・  市町村国保などの負担増に十分配慮する

・  高齢者の保険料が急に増加したり,不公平なものにならないようにする

・  市町村国保の広域化につながる見直しを行う

の6点が掲げられており,来年末までに議論を取りまとめ,関連法案を平成23年1月の通常国会に提出し,自治体のシステム改修や住民の方々への周知を経て24年度末をもって現行医療制度を廃止し,25年度から新制度へ移行する方向が示されております。

後期高齢者医療制度は,創設から2年が経過しておりますので,新制度の創設に当たっては,現場に大きな混乱を招くことがないように,高齢者の皆様の一番身近な窓口であります私ども市町村の意見を十二分に反映していただく必要があるものと考えます。

特に新制度の有力な受け皿となります国保制度の広域化と再編が今後の大きな鍵となってまいります。

全国市長会では,「後期高齢者医療制度を廃止して新たに創設する医療保険制度については,全ての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けて,国又は都道府県を保険者とする国民健康保険制度の再編・統合を早急に検討すること」を決議し,関係省庁に提言しております。

全国市長会の考え方も踏まえながら,今後,改革会議で積極的に発言してまいります。

10 教育

次に,教育について申し上げます。

学力向上対策では,全国学力・学習状況調査や高知市到達度把握調査の結果の分析を踏まえ,各学校で個別の分析を「授業改革」に活用するとともに,中長期的な学力向上プランの作成に着手しております。

学力向上プランを実効性のあるものにするためには,小中9年間の連続した取組が不可欠であることから,来年度には小中連携モデル校として8中学校区程度を指定することとしています。

このモデル校におきましては,家庭学習の習慣化や生活習慣の確立,義務教育9年間の学力保障の観点から小中連携の内容を実践・検討しながら,教員の相互訪問授業などによって,学力向上に向けた実効性のある取組を重点化してまいります。

本年11月には,新たな人的支援として学校図書館支援員5名,教員補助員7名,児童生徒支援員3名を小・中・特別支援学校に配置し,学校図書館活動の充実を図ることや,子どもたちの教育支援に向けた取組を進めておりますとともに,今議会におきまして国の緊急雇用事業を活用した人的支援強化のための補正予算をお諮りしております。

本市の子どもたちの体力向上策につきましては,平成21年度全国体力・運動能力,運動習慣等調査の結果が今月中には示される予定となっており,本調査の分析の準備を進めているところです。

また,本年度は横浜中学校区の3つの小・中学校が中心となり,子どもたちの体力向上を地域ぐるみで推進する子どもの体力向上支援事業を実施しており,この中で児童生徒の体力向上を図るための教職員研修会,基本的な生活習慣の確立を啓発するための講演会の実施や広報活動等を通じ,体力向上に向けた取組を進めているところです。

さらに,親子で一緒に体力づくりに取り組むきっかけを増やすために,保育園児・保護者を対象とした「親子ふれあい運動」を企画し,参加した保護者の方々からは「紹介していただいた運動を実践していきたい」等の感想も受けております。

今後におきましても,地域や保護者の皆様方の協力も得ながら,知・徳・体のバランスのとれた児童生徒の育成に向けた学校支援を充実してまいります。

11 補正予算

以下,議案についてご説明を申し上げます。

今回提出いたしました議案は,予算議案12件,条例議案13件,その他議案10件です。

今回の補正予算は,11月24日の市議会臨時会において可決いただきました給与改定に伴う減額調整や新陳代謝等による人件費補正及び公的資金補償金免除繰上償還に係る補正などであります。

一般会計では,国の地域活性化・公共投資臨時交付金を活用した横内小学校の普通教室棟などの買取り,経済危機対策臨時交付金を活用した,はりまや橋観光バスターミナルの整備等,また,緊急雇用創出臨時特例基金事業14事業により32人の新規雇用を創出するとともに,障害者自立支援法関係での扶助費の増加や被保護人員の増加に伴う生活保護費の増額などの経費について補正することといたしました。

以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,

 一般会計   48億9,700万円

 特別会計   19億3,986万6千円 のそれぞれ増額,

 水道事業会計   2,100万円   の減額であり,

補正後の予算規模は,全会計の純計で2,464億20万4千円となります。

この補正財源として,特定財源では国・県支出金,市債等を充当し,一般財源については繰越金を充当いたしました。

12 予算外議案

次に,予算外議案について申し上げます。

条例議案は,議会の議決事件を定めるものや機構改革に関するものなど13件です。

市第122号議案は,本市と南国市,香南市,香美市との定住自立圏形成協定の締結等を議会の議決事件とするものです。

市第123号議案は,平成22年度の機構改革として都市整備部及び建設下水道部を廃止し都市建設部を新設するとともに,部の名称や事務分掌を改めるものです。

市第125号議案は,市長等の給料月額の減額措置を継続しようとするものです。

また,市第124号議案,市第126号議案,市第127号議案,市第129号議案は,国家公務員に準じ勤務時間の短縮や時間外勤務手当の支給割合,退職手当の返納などに関する規定の整備を行うものです。

市第131号議案はこれまで無料でありました市民会館の施設使用料を新設するもので, 市第134号議案は旧春野町の区域におけます放課後児童クラブの開設内容を国の補助基準に合わせること等により保護者負担金を現行5,000円から6,300円に改定するものです。

その他の議案は,指定管理者の指定に関する議案など10件です。

報告3件につきましては,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。

以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。