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第408回高知市議会定例会市長説明要旨(平成20年6月16日)

 第408回高知市議会定例会にご出席をいただき,まことにありがとうございます。
 議案の説明に先立ち,当面する市政課題に関連して,ご報告と考え方を申し上げ,ご理解を賜りたいと存じます。
 まず最初に,先月31日に道路維持課職員が酒気帯び運転で現行犯逮捕されましたことにつきまして,市民の皆様,議員の皆様方に深くお詫び申し上げます。
 これまで全庁を挙げて職員の意識改革,公務員倫理の意識向上に取り組んでまいり,特に,飲酒運転防止につきましては,職場会議や職員研修など,様々な機会を通じて訴えてまいりましたにもかかわらず,このような不祥事が起きてしまい,本当に情けない思いをしております。
 事件発生後直ちに庁議におきまして,各部局長に対しまして,改めまして飲酒運転の撲滅と公務員倫理の徹底を指示したところです。
 今回の不祥事を起こしました職員につきましては,朝から飲酒をした上で車を運転し,しかも偽りの証言をしていたこともあり,6月9日付けで,懲戒免職という厳正な処分をいたしました。
 市政の遂行は,市民の皆様の信頼とご協力があってこそ,はじめて成し遂げられるものでありますことを全職員が肝に命じ,二度とこのような不祥事を起こさぬ決意で取り組んでまいりますとともに,市政への信頼の回復のために全力を尽くしてまいります。
 次に,国政の動向と本市の財政状況等について申し上げます。
 第169回通常国会は,ガソリン税と道路特定財源を巡る問題で混乱を極め,本年3月末の暫定税率の失効,そして4月30日の衆議院での再可決による税率復活など,経済活動や市民生活,また地方税財政にも多大な影響を及ぼす結果となりました。
 この暫定税率の失効期間中の減収影響額は,資源エネルギー庁の速報によりますと,当初想定されておりました1,800億円を300億円超える約2,100億円と見込まれており,そのうち地方への影響分は当初想定の600億円を上回る約700億円とも言われております。
 地方へ影響を与える減収分につきましては「国が責任を持つ」とされていますが,その具体的な補てん方法は未だ示されておらず,今後の動向を注視しながら,減収分の確実な補てんを国に対して強く要求してまいります。
 また,道路特定財源につきましては,平成21年度から一般財源化する方針が政府与党において決定されたことを受けまして,各省庁間では社会保障や教育予算を中心に早くも争奪戦が始まっておりますが,このような動きを牽制するかのように財務大臣の諮問機関であります財政制度等審議会では,さる6月3日,骨太方針2006で掲げました2011年度の国・地方を通じたプライマリーバランスの黒字化目標を堅持し,財政健全化に向けた取組を進めていくことを柱とした建議が行われました。
 この建議は,6月10日の経済財政諮問会議において財務大臣から資料として提出されましたが,まもなく決定される予定であります骨太方針2008におきましても,これまでの歳出改革の努力を緩めることなく,引き続き最大限の削減努力を行っていくことが想定されております。
 そのため,平成21年度の地方財政対策におきましても,この歳出削減路線に基づいた総額抑制が求められてくることが予想されるため,本年度は地方再生対策費により総額4,000億円の増加がなされたものの,財政環境としては来年度以降の明るい材料が見当たらない状況にあります。
 平成22年度には,起債の元利償還が現在の水準よりもさらに20億円程度増加するとともに,鏡村・土佐山村との合併に伴う普通交付税の割増措置4億円がなくなりますことや,実質公債費比率の将来推計では平成24年度及び25年度にピークを迎える見込みであり,来年度から平成25年度までの5か年が本市の財政運営上,最も厳しい時期であると考えております。
 そのため,平成19年度決算作業を終えた後,9月議会を目途に向こう5年間の財政収支見通しを作成し,議会,そして市民の皆様に内容をお示ししますとともに,この5年間を乗り切るための新たな財政再建推進プランの本年度内の策定に取り組んでまいります。

 次に,行財政改革の取組について申し上げます。
 まず,事務事業の見直しでは,事業費の縮減だけではなく,公益性が薄れた事業や効果が低い事業などを中心に見直し対象事業を一定絞り込みまして,廃止を前提とした集中的な検討を進めることとしております。
 具体的な作業としましては,6月下旬から企画財政部において,各部局と見直し対象事業の選定や見直し内容につきまして個別にヒアリングを実施し,本年7月下旬からのサマーレビューで全庁的な論議を積み重ねながら,平成21年度予算へその内容を反映させてまいります。
 次に,アウトソーシングの推進につきましては,本年3月に策定しましたアウトソーシング推進計画に基づき,本年度から本格的な取組を開始したところであり,本年5月には,管財課が所管する公用車の運行管理業務を民間委託するとともに,今議会におきましては,本年7月から土佐山へき地診療所の指定管理者に,全国で初めてとなります国立大学法人高知大学を指定することについて議案をお諮りいたしております。
 また,学校給食調理業務につきましては,試行の候補対象校を絞り込み,今後,当該学校並びにPTAをはじめとする関係者のご理解を求めてまいりますとともに,委託業務の仕様書の作成や委託業者の選定に向けた準備を進め,平成21年度から具体的な試行に入ってまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いいたします。
 その他のアウトソーシングの対象事業につきましても,保育園や福寿園など,各部局において具体的な準備,検討を進めているところであり,今後,関係機関等とも調整しながら,計画の実現に向けて着実な取組を進めてまいります。
 また,平成24年度までに440人の職員定数の削減を目標として本年3月に策定しました新定員適正化計画につきましても,これらの取組と併せまして,引き続き関係団体等との協議を進めますとともに,市議会の皆様方のご意見等を賜りながら取組を進めてまいります。
 こうした行財政改革に向けたいずれの取組につきましても,厳しい財政状況に対する職員一人ひとりの危機意識を高めていくことが大切でありますので,この7月には,私自身が参加して本市のすべての係長級の職員を対象に市政課題研修を実施し,職員との一層の意見交換を行いながら,この行財政改革という喫緊の課題に,組織一丸となって取り組んでまいります。

 次に「環境」と「食」を軸にした本市の活性化の取組について申し上げます。
 本市では,豊かな自然と温暖な気候を活かした一次産業が盛んであり,四季折々の多種多彩で,安全・安心,美味しい「食」は高知の強みであります。
 実際,昨年のリクルート「じゃらん宿泊旅行調査2007」では,「地元ならではの美味しい食べ物が多かった都道府県」というアンケート調査で高知県が第1位に輝きました。
 そして,これらの素晴らしい食を育んでくれる自然豊かな「環境」も本市の大きな強みです。
 本市は,平成17年の鏡村・土佐山村,本年1月の春野町との合併により,都市部,中山間部,田園地帯,臨海部がバランス良く揃った「森里海の都市」となりました。
 山,川,海,田園,都市のすべてがフルセットで市域内に揃い,かつ,先般,環境省から「平成の名水百選」に選ばれました清流・鏡川の源流域から河口域までのすべてが市内に存在しているわけであります。
 すなわち,「環境」をテーマとした循環型都市を目指す上で,最高のフィールドがあると確信しております。
 県全体では日本一の森林面積率84パーセントを誇り,高知市におきましても「協働の森事業」や「森林救援隊」の活発な活動により間伐等の森林保全活動を積極的に実施しています。
 また,高知市は地勢的に「天然のコンパクトシティ」であり,国内現役最古の歴史を誇る路面電車が活躍するとともに,市中心部は坂道が少ない自転車通行のしやすいまちであり,環境負荷の少ない低炭素都市であると言えます。
 さらに,世界に目を転じますと,穀物を始めとした食糧価格が国際的に急騰しており,一部の国では食糧輸出を規制する動きが見られるなど,にわかに食糧自給率や食糧安全保障の問題がクローズアップされております。
 また,冷凍餃子問題や老舗料亭,食品会社などによる偽装表示の問題など,「食」の安全・安心に対する関心も国民的に高まっています。
 申し上げるまでもなく,地球温暖化問題は,全世界・全人類にとって,近未来の存亡に関わる課題であり,7月7日から始まる洞爺湖サミットにおいても,最重要テーマとして取り上げられる予定となっています。
 このような中,本市には,国民的・世界的に関心が高まっている「環境」や「食」の分野において,多くの優位性や潜在的な素地・素材が豊富にあると考えます。
 今後,これらの強みを軸に据え,「高知らしさ」にこだわった様々な活性化策を検討・実施していくことにより,模範的かつ先導的な低炭素都市・循環型都市,そして,安全・安心で美味しい「食の都・高知市」を目指してまいりたいと考えております。
 このため,この度,国が全国で10都市を選定する「環境モデル都市」に本市として立候補するとともに,「環境」と「食」を軸に据えた関連事業を「地方の元気再生事業」として国に対し提案・応募いたしました。
 また,併せて「ふるさと納税制度」についても原則として環境関連事業に使途を限定することとし,市外・県外に在住の本市出身の皆様はもとより,地球環境問題に関心をお持ちの多くの皆様に積極的にPRを行い,ご寄附をお願いすることとしたところです。
 本市の強みである豊かな「環境」や「食」を軸に据えながら,産業振興,観光振興,中心市街地の活性化等の取組を総合的に推進していくものであり,本市の地域活力の向上に資する「攻めの環境行政」であります。
 環境モデル都市で提案した具体的施策としましては,通勤・通学手法を車やバイクから自転車への転換を促すとともに,観光客の皆様にレンタサイクルの活用をお願いする「エコちゃり運動」の推進や,地場の豊富な食材を活かした「地産地消弁当・土佐弁」の開発,友人同士や近隣世帯でチームを組み,目標を定めて100日間,省エネなどの温室効果ガスの削減に努めていただき,ユニークな活動や優秀な取組を表彰する「チーム・マイナス6-よさこいエコライフチャレンジ100」など,楽しみながら温室効果ガスの削減に取り組んでいただけるような仕組を考えております。
 また,「地方の元気再生事業」では,環境保全型のエコ農業の普及とブランド化,エコ商店街の実証実験,企業の協力による民有林整備手法の検討などを盛り込んでいるところです。
 そして,これらの施策を実効あるものとするためには,高知の最大の強みである,明るく情熱的で,地元高知を愛する市民の皆様の力を結集していくことが重要であります。
 市民の皆様,産業界,大学,NPOなど多くの皆様のご理解とご協力をいただき「土佐から始まる環境民権運動」を展開してまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。

 次に観光振興の取組について申し上げます。
 本県観光の現状は,先日,日銀高知支店から発表されました4月の金融経済概況によりますと,「であい博」の開催もあって,県中部を中心として主要観光施設への入り込み客が増加し,中部と東部で宿泊客数が14か月ぶりに前年を上回ったことが明らかになっております。
 「であい博」の連携事業・五台山花絵巻の会場であります牧野植物園では,前年のゴールデンウィークの2.4倍以上の約4万6千人の人出で賑わいを見せましたし,本市の取組では,「高知城花回廊」の開催時期をゴールデンウィークから春休み最後の週末に変更し,満開の桜が咲き誇る中で事業展開し,前年を大きく上回る約6万5千人の方々に来場いただきました。
 また,4月26日から新京橋プラザで開催しております「海洋堂の宝島」展は,本県出身者が創業し,世界的にも評価の高い「海洋堂」が作製しましたフィギュアを展示しておりますが,会場に隣接した中央公園で「こうち春花まつり」が開催されたこともあって,オープニングからわずか3週間余りで入場者1万人を達成するなど,好調な滑り出しとなっております。
 また,「であい博」の最大のイベントの一つでもあります「ジャパン・フラワー・フェスティバル」が,5月16日から3日間「こうちぢばさんセンター」で開催され,3日間で目標の2万人を大幅に上回る約4万5千人もの入場者の方々で大いに賑わいました。
 今後,夏から来年春の閉幕までにかけて3回開催される「であい博」の特別イベントや,第55回よさこい祭りと10回目の節目を迎える「よさこい全国大会」,特に「全国大会」では,東京ディズニーリゾートのチームをゲストとして迎えること等を積極的にPRしながら,観光交流人口の拡大に取り組んでまいります。
 平成21年度からは,「であい博」開催の成果を活かした継続的な取組を行うことが大きな課題となってまいりますが,そうした中で平成22年のNHK大河ドラマが「龍馬伝」に決定いたしました。
 大河ドラマ「龍馬がゆく」が放送されてから半世紀近く経過しておりますが,松尾前市長時代から十年以上にわたって「龍馬」を題材とした大河ドラマの放送をNHKに粘り強く要望してきた努力が実り,大変うれしく思っております。
 大河ドラマ「龍馬伝」は,坂本龍馬33年の生涯を,安芸市出身で三菱グループの創始者である岩崎弥太郎の視線から描くオリジナル作品であります。
 脚本家は,木村拓哉主演ドラマの「HERO」や「CHANGE」,また,映画「海猿」などのヒット作で有名な福田靖さんが新たに脚本を書かれ,ディレクターにはNHKドラマ「ハゲタカ」で名を馳せた大友啓史さんという,話題の最強コンビで「龍馬」が描かれるということで,今後のキャスティングが注目されます。
 多くの話題作品を制作された方々が,脚本及び演出を担当されることとなり,これまでにない斬新な魅力あふれる「龍馬」の新たな物語が誕生することを大いに期待しております。
 また,来年秋には「エンジン01文化戦略会議」による「オープンカレッジ」が高知市で開催されることが決定いたしました。
 「エンジン01文化戦略会議」は,芸術,文化,科学,スポーツ,教育,経済等の幅広い各界・各分野の文化人や著名人約200人の方々が,日本文化のさらなる深まりと広がりを目的に参集したボランティア団体で,「オープンカレッジ」は,毎年1回「エンジン01」の会員である作曲家の三枝成彰さん,アートディレクターの浅葉克己さん,作家の林真理子さん,脳科学者の茂木健一郎さん,俳優の奥田瑛二さんや川島なお美さんなどなど,各分野約100名の著名人の方々が,ボランティアで地方を訪れて3日間にわたってシンポジウムや分科会を展開し,地域の人々と「知の交流」を行うものです。
 本市では,「オープンカレッジ」の開催を目指してきた多くの民間の皆様方等の熱いご支援を受けて,県とともに連携して積極的に誘致活動を展開し,今回の開催を実現することができ,喜んでいるところです。
 「であい博」の開催によって高められる県内各地域の観光資源の魅力や地域元気力を活かし,来年の「オープンカレッジ」の成功と再来年の大河ドラマ「龍馬伝」の放送による観光振興策や地域活力の活性化につなげ,議会の皆様方や市民の皆様とともに,大いに盛り上げてまいりますので,ご支援賜りますようお願いいたします。

 次に,高知駅周辺都市整備について申し上げます。
 高知駅周辺土地区画整理事業につきましては,地元関係者の皆様のご理解とご協力を得まして,また,国や県など関係機関のご配慮もいただきました結果,昨年度末の進捗率は事業費ベースで約91パーセントまで到達いたしました。改めまして,関係各位の皆様に感謝申し上げます。
 本年2月26日に供用が開始されました新高知駅の構内では,旧高知駅舎の取り壊しが進み,現在では,南側の電車通りから,高知の新たなランドマークとなりました新駅舎の素晴らしい姿を臨むことができるようになり,多くの市民の皆様に喜ばれているところです。
 また,市内11か所の踏切が撤去されたことにより,市中心部における南北の交通は目に見えてスムーズな通行が可能となり,本市経済の発展や災害・救急時の迅速な対応につながるものと期待しております。
 新しい高知駅を中心とした拠点街区の開発構想は,市有地における国の高知第2地方合同庁舎の建設を除き,現時点では明らかになっておりませんが,中心商業地との連携を意識した回遊性あるまちづくりに取り組み,中心市街地全体の活性化につなげていく必要があると考えております。
 これらに引き続きまして,駅北側の市営駐車場につきましては7月22日の供用開始を予定しており,同じく駅北側のバスターミナルは進入路となります高知駅東線の開通と合わせ7月28日の供用開始に向けて整備を進めているところであります。
 また,弥右衛門地区との接続道路となる愛宕町北久保線は本年8月末,高知駅西線は11月上旬,そして鉄道高架の両側に整備されます高架側道は今年度中の完成を目指して,順次事業を進めてまいります。
 さらに,まもなく解体が終了します旧駅舎の跡地を含めました南口駅前広場の整備につきましては,新駅舎が北側へ移転したことに伴います路面電車の延伸を行うため,今議会で補正予算のご審議をお願いするものであり,議決いただきますと,今年度末の工事の概成を目指してまいりたいと考えております。
 次に,後期高齢者医療制度につきまして申し上げます。
 本年4月からスタートしましたこの制度は,制度の周知不足や準備期間の不足により,全国各地で様々な混乱が生じているところです。
 本市におきましても,新制度加入者約3万7千人の方々のうち,旧春野町分を除いた本市の国保加入者から移行された約2万5千人分の公的年金からの保険料の特別徴収を本年4月に開始した際に,一部誤徴収が発生してしまい,大変申し訳なく思っております。
 これは,従来からの国保加入者ではなくサラリーマンなどの被用者保険から移行されてまいります加入者の方で,本来10月分の年金から特別徴収が開始される方のうち95人の方々から,電算処理上の事務の誤りによりまして,保険料総額216万円余りを誤って徴収してしまったものです。
 誤徴収となりました皆様には直ちにお断りの文書をお送りし,併せて次回の年金からの天引き中止の処理を行いましたが,この場をお借りしまして,関係の皆様方に改めましてお詫び申し上げます。
 今後は,このようなことが起こらないようシステム業者とも連携を密にし,再発防止に取り組んでまいります。
 次に,本制度の直近の見直し案についてですが,今月4日に全国市長会の副会長として,谷垣政調会長や与党プロジェクトチームの鈴木会長等から直接ご説明をいただき,意見交換をしたところであります。
 今回発表されました政府・与党の具体的な見直し案では,まず,本年度限りの対策としまして,現在保険料の加入者全員に賦課されております均等割部分の7割軽減の対象者の方で既に8月分までの保険料を年金で支払っている方々に対して,本年10月からの保険料の徴収を半年間停止し,負担軽減を8割5分に拡充するものであり,同様に普通徴収の方々についても同等の軽減措置を行うこととなっておりまして,これは本県の場合に置き換えますと,年額14,570円であったものが7,200円程度の負担に軽減されます。
 それぞれの所得に応じて納めていただく所得割につきましては,年金収入が年153万円から210万円程度の方々を対象に,本県では原則一律50パーセント軽減する方向で現在広域連合が検討しております。
 また,平成21年度からは,年金収入が80万円以下の世帯の方々を対象にしまして均等割部分を現行の7割軽減から9割軽減にまで拡大し,年額14,570円であったものが年額4,800円程度に軽減されることとなります。
 さらに,所得割につきましては,軽減対象者は本年度と同様ですが,軽減率は,各都道府県の広域連合に委ねられておりますので,広域連合が各市町村とも協議しながら,今後決定していくこととなります。
 このほか,国保料を滞納せずに納付されていた方は年金からの天引きではなくご自身の口座からの引き落としを選択できるようにし,また,年金収入が180万円未満の方については申請により保険料を天引きする代わりに世帯主や配偶者の口座から引き落としする肩代わり納付などが盛り込まれているところです。
 なお,現在世帯単位で行っています保険料軽減判定,平成20年度限りの措置であります70歳から74歳までの方の医療費自己負担1割の取扱い,サラリーマンの子どもさんの扶養家族だった方々の負担軽減の期間延長などにつきましては,引き続き検討することとされています。
 具体的な事務手続などの詳細が今後明らかになり次第,広域連合と連携してシステム改修を行う必要がありますが,そのシステム改修経費や保険料軽減拡大などによる財源補てん等の予算組替え等につきましては,制度の詳細決定後に補正予算案としてお諮りしたいと考えております。
 今後は,見直し案の詳細などにつきまして,高齢者の皆様方に混乱を招かないよう広報紙などを通じまして,さらに制度の周知を徹底してまいりたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。

 次に,潮江市民図書館の清掃業務委託に係る損害賠償請求事件の一連の経過について申し上げます。
 本件は,昨年1月29日に高知市監査委員に対しまして住民監査請求が提出され,監査の結果,請求人の主張は棄却されましたが,住民訴訟として高知地方裁判所に提訴されたものであります。
 訴えの内容は,平成18年度の潮江市民図書館の清掃業務委託契約に関して,「随意契約による委託料が市場価格と乖離した高額なものであり,この過大な公金支出は裁量範囲を著しく逸脱した背任的財務会計行為である」として,市長は,支出負担行為を決裁した高知市教育長並びに支出命令を決裁した市民図書館館長に対し,過剰支出額の賠償を命令するよう求めたものであります。
 この潮江市民図書館の随意契約は,本市の就労対策を目的とする政策的な特命随意契約の一つであり,この政策的な特命随意契約につきましては,昭和50年代初め,地域の団体から,それまで市から支出していた「団体への補助金よりもどのような仕事でもいいから,地域の自立につながる仕事を受託させてほしい」との要望を踏まえまして,公園の清掃等軽度の作業を当時の同和関係団体の方々に委託したことが始まりで,約30年にわたり実施してきた経過があります。
 この間,平成14年2月には,高知市同和対策推進本部におきまして,「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(いわゆる地対財特法)が平成13年度末で失効するという状況を受けて,これまでの同和対策関連事業についての総括を行うとともに,地対財特法失効後の同和行政の在り方の点検・見直しを行い,今後の同和行政の推進についての施策を,「同和対策関連事業の見直しについて」という形で方針化してまいりました。
 この中におきまして,「同和問題の解決は行政の責務である」という基本認識の下に,不安定就労によってもたらされている脆弱な生活基盤の克服,高齢者福祉の充実など,就労,福祉等の各分野で,今日なお取り組むべき課題が残されていると総括し,本市の厳しい財政状況や行政に求められる効率性にも留意しながら,就労対策等に取り組んできたところです。
 このような取組の中での就労対策を目的とした政策的な特命随意契約につきましては,法的にも認められる妥当な契約であるとの認識の下に,同和関係団体や障害者団体の方々などと,契約時ごとに仕事量や契約単価等の見直しを行いながら契約してまいりました。
 しかしながら,係争中の潮江市民図書館の清掃業務委託に係る訴訟につきましては,高知地方裁判所の勧告に基づきまして,和解内容の協議を進めてまいりましたが,本市が就労対策を目的として地方自治法施行令第167条の2第1項第2号を適用し締結している特命随意契約について,同裁判所から「法令の解釈上,疑義がある。」と指摘されたことを受けまして,本市としましては,同裁判所の指摘を踏まえ,該当する特命随意契約について,可及的速やかに廃止する方針としたところであります。
 今回の廃止に当たりましては,これまで特命随意契約に基づく委託業務でそれぞれ生活を支えてこられました住民の方々への配慮が必要であることから,段階的に廃止することとしております。

 次に,追手前小学校と新堀小学校の統合問題につきまして,現在の状況並びに今後の方向性について申し上げます。
 現在,両校の関係者の代表者の方々と高知市教育委員会とが意見交換を行い,新校設置に向けた協議を進める会として,「新堀小学校・追手前小学校・市教委との打ち合せ会」を月1回程度のペースで開催しております。
 この「打ち合せ会」には,両校のPTA役員の方々や校区交通安全会議,体育会,民生委員児童委員協議会連合会,青少年育成協議会などの地域の代表者の方々各6名の皆様と,両校の学校長,教育長,教育次長等の高知市教育委員会事務局の者が参加して協議を進めております。
 この会議は本年4月23日を第1回目とし,5月8日に第2回目,6月2日に第3回目が開催されており,毎回の協議内容については教育委員会から詳細な報告を受けております。
 これまでの会の中では,「両校の特色ある優れた教育の取組を新校に引き継いでほしい」「統合については今もって納得していない。合意形成のためにはさらに誠意ある説明がほしい」「追手前小学校は避難場所として設置されているが,統合後はどうなるのか」「体育会や校区交通安全会議等の各種団体や組織の今後の方向性について聞かせてほしい」等の様々なご意見やご要望が出されております。
 また,第2回目の会議では,参加者の中から,県外の事例を紹介しながら「今回の統合校の学校名については,両校の学校名とは違う全く新しい学校名にしては」とのご提案があり,第3回目には新校の学校名についての話し合いが持たれております。
 この「打ち合せ会」を新校開設に向けた合意形成を得るための重要な会と位置付け,今後も両校の関係者のご意見やご要望を十分にお聞きしながら,新校開設に向けて準備を進めていきたいと考えているところです。
 今後の方向性としましては,ご理解を深めていただきながら,今年中のしかるべき時期には平成25年4月1日の合併統合を前提とした学校設置条例の一部改正議案のご審議をお願いしたいと考えておりまして,議案が可決されました後には,新堀小学校の施設全体のリニューアルを目的とする工事に着手するべく準備を進めてまいりたいと考えておりますので,今後ともよろしくお願いいたします。
 また,この度の中国四川省で発生した大地震により,多くの学校施設が倒壊し,多数の児童生徒が被災するという痛ましい災害が発生いたしました。この災害を受け政府におきましては,学校施設の耐震化のための補助率の嵩上げと交付税措置の拡充により,最終的な地方負担を現状の約30パーセントから10パーセント程度まで削減するための制度の改正作業に着手したことが報道されております。
 しかしながら,国の補助金の比較算定に当たりましては,実際に工事を行うために必要な「実事業費」ベースではなく,国が定めました補助単価に面積を乗じて算出した「補助対象事業費」が算定の基本となっており,「実事業費」と「補助対象事業費」の間に大きな乖離があります。
 具体的に追手前小学校の耐震化に要する費用として試算した金額で申し上げますと,耐震化に要する費用約6億円のうち補助対象となる工事費の総額が実事業費ベースで約5億1千万円になるのに対して,補助対象事業費のベースでは約2億6千万円と約半分になります。この差額の2億5千万円は,当初から補助対象外でその全額が地方負担となりますので,国の新たな制度改正がなされましても,追手前小学校の耐震経費については,高知県が単独で実施している「高知県公立小中学校耐震化促進事業費補助金」が継続されたと仮定した場合でも,約3,200万円の削減のみにとどまる見込みであります。
 以上のことから,今回の補助率の嵩上げがなされたとしても「追手前小学校の耐震化事業の予算化は困難である」という苦渋の決断をした時点と財政的にみて大きく変ったという状況にはございませんので,ご理解をお願いいたします。

 次に,平成19年度の決算見込みについてご報告申し上げます。
 一般会計におきましては,三位一体改革に伴う税源移譲による影響で個人市民税の徴収率が低下するなど,前年度に引き続き厳しい財政運営となりましたが,普通交付税や固定資産税が増加しましたことや,特別会計への繰出金や公共事業等の歳出に不用が生じたことなどにより,収支の均衡を保つことができる見込みとなっています。
 特別会計では,収益事業におきましてオールスター競輪の売上げが想定に届かなかったことなどにより厳しい状況が見込まれましたが,歳出の縮減等により単年度収支はなんとか黒字となる見込みです。そのほか,施設建設時の起債償還を行っている駐車場事業や国民宿舎運営事業等の会計とともに,累積収支では引き続き収支不足が生じる見込みでありますことから,今後とも収入の確保とともに経費の節減に努め,経営収支の改善に一層努力してまいります。
 企業会計では,水道事業で収益的収入は給水収益などの減少のため前年度より0.7パーセントの減少となったものの,収益的支出が支払利息などの減少のため1.5パーセントの減少となったことにより,10億8,112万円余りの純利益となっております。
 以下,議案についてご説明を申し上げます。
 今回提出いたしました議案は,予算議案4件,条例議案8件,その他議案9件です。
 まず,今回の補正予算は,一般会計につきましては公共事業等では,高知駅周辺都市整備としまして高知駅南口広場の電車軌道の延伸に係る経費,排水機場整備として一宮地区に所在します山崎ノ丸第二排水機場のエンジン更新に係る経費について補正するものです。
 このほか,小児救急医療の輪番制度を維持するための委託経費や,旧市民病院時代のカルテからフィブリノゲン製剤投与によるC型肝炎罹患可能性を調査するための経費,春野町で平成18年度に交付したバイオマスの環づくり交付金の返還経費等について,補正することといたしました。
 また,政府系資金の補償金免除繰上償還金の平成20年度分に伴う補正としまして,一般会計,下水道事業特別会計,住宅新築資金等貸付事業特別会計の3会計で,総額73億8,580万円余りを計上し,利子負担の軽減を図るほか,国立大学法人高知大学を土佐山へき地診療所の指定管理者として指定することに伴います経費の組替を行うことといたしました。
 以上,申し上げました内容によりまして,提案いたしております今回の補正規模は,
 一般会計   47億6,900万円
 特別会計   28億3,325万6千円
のそれぞれ増額であり,補正後の予算規模は,全会計の純計で2,496億1,523万5千円となります。
 なお,この補正財源として,繰越金を一般財源として充当いたしました。
 次に,予算外議案について申し上げます。
 条例議案は,法令の改正に伴うものなど8件です。
 市第75号議案は,平成20年度税制改正に伴う寄附金控除や公的年金からの個人住民税の特別徴収等のほか,企業立地促進法に基づく立地企業に対する課税免除措置について,市税条例の一部を改正するものです。
 市第76号議案は,政令の改正に伴い消防団員等の配偶者以外の扶養親族についての補償基礎額の加算額を改正するものです。
 また,市第77号議案,市第78号議案は,それぞれ高知駅北口に整備しました駐車場,バスターミナルの設置及び管理について定めるものです。
 このほか,市第79号議案は福寿園の平成21年4月からの指定管理者制度移行を目指して規定の整備を行うものです。
 その他の議案は,老人医療事業特別会計補正予算及び市税条例の一部改正についての市長専決処分の承認を求めるもの,春野町上水道事業会計の決算の認定議案,南国市との住民票の写しの交付等の事務の委託の廃止に関する議案や指定管理者の指定議案,前段申し上げました潮江市民図書館の清掃業務委託に係る損害賠償請求事件の和解に関する議案,工事請負契約の締結議案など9件です。
 決算の認定議案につきましては,この後,水道事業管理者より概要のご説明を申し上げます。
 報告11件につきましては,繰越計算書など,いずれも法令所定の手続によりご報告するものです。
 以上,提出をいたしました議案について,概要の説明を申し上げましたが,よろしくご審議の上,適切なご決定をお願いいたします。