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内和外順高知市広報紙「あかるいまち」より


写真家星野道夫(ほしの みちお)(2013年3月号)

写真家 星野道夫(ほしの みちお)さんとクマの出会いに思いをはせる岡崎市長 子どもの頃から、クマが大好きで、いつか本物のクマに出逢(あ)えることを夢見ていた少年がいた。その名は星野道夫、彼はある日突然、街中でクマの鼓動を感じ、その息遣いを体感する。

 街中にクマがいたわけではない。現実には何百キロメートルも離れた険しい山中で活動している野生のクマの息遣いを突然、眼の前に感じている。

 野生のクマが呼んだとしか考えられな。この瞬間から、野生のクマの存在は、彼の人生の中で欠くことのできない大切なパートナーになった。

 その大切な人生のパートナーに逢うために、著名な動物カメラマンの助手となり、海外を単身で渡り歩き、気鋭のカメラマンとして独立する。

 「いつかおまえに逢いたかった」

 一番最初に野生のクマと遭遇した時に万感の思いを込めて、そう呟(つぶや)く。

 街中でせわしなく通勤している人間であろうが、人里離れた奥深い森林で暮らす野生の動物であろうが、今この一瞬は同じ時間が流れていることを彼は実感する。

 さまざまなクマとの出逢いを求め、その人生のほとんどを海外で一人で過ごした。そして数々の素晴らしい映像と心引きつけるエッセーを残しながら、1996年8月カムチャッカ半島でヒグマに襲われ、その短い生涯を終える。享年45歳。

 余りに早すぎる終焉(しゅうえん)だが、本人にとって一切の悔いはなかったものと確信する。

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